WebGL

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WebGL
作者 WebGL Working Group
初版 2011年3月3日(6年前) (2011-03-03
最新版 2.0 / 2017年1月27日(9か月前) (2017-01-27
種別 API
公式サイト www.khronos.org/webgl/
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WebGLウェブジーエル)は、ウェブブラウザ3次元コンピュータグラフィックスを表示させるための標準仕様。非営利団体のKhronos Groupで管理されている。WebGL 1.0は、ブラウザ上で利用できるOpenGL ES 2.0の派生規格であるが、細部に違いがある[1]。WebGL 2.0は、ブラウザ上で利用できるOpenGL ES 3.0の派生規格であるが、細部に違いがある[2]。WebGLはHTML5canvas要素に描画する。

対応ブラウザ[編集]

WebGLに対応するウェブブラウザは以下の通り。

ウェブブラウザのWebGL機能対応度を示すデモの動作リストが存在する[6]。主要なブラウザの最新版は全てWebGL 1.0に対応している。WebGL 1.0を利用するには、グラフィックスハードウェア (GPU) がWebGL 1.0 (OpenGL ES 2.0相当の機能) をサポートしている必要があるが、後述するように、バックエンドにハードウェアベンダーが提供するOpenGL/OpenGL ESレイヤーを利用するかどうかは問わない。WebGLは実装形態を問わないAPI規格にすぎないからである。また、後述のセキュリティ上の問題から GL_ARB_robustness (OpenGL 3.2) もしくは GL_EXT_robustness (OpenGL ES 2.0) の対応が必要である。

WebGL 2.0のサポートには、Microsoft Windows上ではDirectX 11が、macOS上ではOpenGL 4.1が、Linux上ではOpenGL 3.3といくつかの拡張が、そしてその他のプラットフォームではOpenGL ES 3.0が必要である[7]

なおWindows版のChromeおよびFirefoxはハードウェアベンダーが提供しているWindows用のOpenGLドライバーを用いるのではなく、ANGLE英語版[8]を経由することで、内部的にDirect3Dを使ってWebGLを実現している[9]

ユーザーによる利用設定が必要になってしまい、またハードウェアアクセラレーションの恩恵は得られない方法だが、Mesa Off-screen rendering extension (libosmesa6) などを用いれば、ソフトウェアレンダリングによるWebGLの実行も実現可能である。

前述のANGLEや、ソフトウェアレンダリングによるWebGLを利用する場合などを除き、OpenGL 3.2をフルサポートしないハードウェアおよびデバイスドライバー環境では、ユーザーの自己責任のもと、ウェブブラウザ側で強制的に利用する設定をしないとWebGLを利用できない場合がある。

各ブラウザには、WebGLの動作がサポートされないGPUブロックリストが定められている。どのようなOSあるいはブラウザでWebGLを実行するにしても、ブロックリストに載っているGPUを使用する環境では、ユーザーの自己責任においてWebGLを強制的に有効にする設定をしなければWebGLは動作しない。

型付き配列[編集]

Firefoxなどでは、JavaScriptで型付き配列が使える[10]。型付き配列により生のバイナリデータの操作が容易になり、WebGLにデータを渡す際のパフォーマンスが向上する。

歴史[編集]

WebGLはMozillaのCanvas 3Dの実験から始まった。Mozillaは2006年に最初のCanvas 3Dのプロトタイプのデモンストレーションをした。2007年末に、Mozilla[11]とOpera[12]がそれぞれ別々の独自の実装をした。2009年初頭に、MozillaとKhronosがWebGLワーキンググループを始めた。WebGLワーキンググループはアップルGoogleMozillaOperaを含んでいる。

セキュリティの懸念[編集]

2011年5月9日、WebGLに深刻なセキュリティホールが指摘された[13]。問題点は以下の2点。現在は解決済み。

  • サービス拒否 (DoS) 攻撃 - WebGLでは制御構造をサポートするプログラマブルシェーダーを使えるが、GPU自体にバグなどがあると、OS全体をクラッシュさせたり、無限ループなどでデバイスドライバーの応答を停止させるシェーダープログラムを実行させることができてしまう。
  • クロスドメイン画像盗取 - Cross-Origin Resource Sharing に未対応で、他のドメインで使われている画像を取得できた

規格そのものに脆弱性が存在するため、米国のセキュリティ機関US-CERTはブラウザでWebGLを無効にするよう勧告していた[14]

Firefox 4 と Chrome 12 は標準状態でWebGLが有効になっており、セキュリティ問題を防ぐには手動でWebGLを無効にする必要があった。その後、Chrome 13 ではクロスドメイン問題が修正され、Firefox 5 ではクロスドメインは無効になったが、Firefox 8 から Cross-Origin Resource Sharing が利用可能になった。

DoS攻撃の方は、GL_ARB_robustness[15](OpenGL 3.2) または GL_EXT_robustness[16](OpenGL ES 2.0) を利用できるウェブブラウザに制限することで解決した[17][18]

なお、Adobe Flash 11.0 のプログラマブルシェーダーはforループなどが使えないので、DoS攻撃の問題が発生しない。

ライブラリ[編集]

C3DLやWebGLUなど、WebGLを使ったライブラリが開発されている。

関連項目[編集]

参照[編集]

  1. ^ WebGL Specification
  2. ^ WebGL 2 Specification
  3. ^ Opera Core Concerns - WebGL and Hardware Acceleration
  4. ^ サムソンやHTCなどの一部の端末では 4.x から対応している。またAndroid 4.x の環境で「メニューボタン」の「設定」から「Labs」から「WebGL」のチェックボックスを「オン」にすることでWebGLを有効化できる場合があるが、Labsの名の通り実験機能である。
  5. ^ スマートフォンタブレットなどの端末の製造メーカー・機種、GPUの製造メーカー・機種、グラフィックスデバイスドライバーの開発元およびバージョンなどによっては、Google Chrome for AndroidのGPUブラックリストに含まれているためWebGLが動作しない場合がある。この場合、ユーザーの自己責任となるが、Google Chrome for Androidにて「chrome://flags」にアクセスして「ソフトウェア レンダリング リストをオーバーライド」を有効化し、「WebGL を無効にする」を無効化し、そして「今すぐ再起動」することでコンテキスト「webgl」または「experimental-webgl」でWebGLを動作させることが可能となる。
  6. ^ Demo Repository - WebGL Public Wiki
  7. ^ WebGL 2.0 Arrives - The Khronos Group Inc
  8. ^ angleproject - ANGLE: Almost Native Graphics Layer Engine - Google Project Hosting
  9. ^ Windows上でANGLEを使って、WebGLレンダリング
  10. ^ JavaScript typed arrays - MDC Doc Center
  11. ^ Canvas 3D: GL power, web-style
  12. ^ Taking the canvas to another dimension
  13. ^ WebGL - A New Dimension for Browser Exploitation
  14. ^ 3D表示規格の「WebGL」に深刻なセキュリティ問題、主要ブラウザに影響 - ITmedia、2011年5月11日
  15. ^ GL_ARB_robustness
  16. ^ GL_EXT_robustness
  17. ^ Bug 93379 - WebGL Add support for EXT_robustness
  18. ^ Support GL_EXT_robustness in Chrome's WebGL implementation

外部リンク[編集]