Chromebook
Google Chromebook(グーグル クロームブック)は、Googleが開発しているオペレーティングシステム「Google Chrome OS」を搭載しているノートパソコンのシリーズである。Chromebox(クロームボックス)は、そのデスクトップのシリーズ。
概要[編集]
Chromeブラウザのみが動作するノートPCとして登場した。
電源を投入してから起動するまでの時間は6 - 15秒ほどとされる[1]。データは Google が用意するインターネット上のオンラインストレージ(Google ドライブ)に保存されるため、盗難に遭ったり破壊されたりしても、新しい Chromebook に自動的にデータを復元できる。(Google ドライブフォルダがファイルエクスプローラーに表示されているだけなので、例えばOneDriveやDropboxを他OSにインストールした場合と基本的には同等[2]。)
一般的なラップトップやデスクトップPCのHDDやSSDに比べればストレージ容量は極めて小さく、市販されているものでは 16GB や 32GB のものが多いが、最近[いつ?]は 64GB などが増えている。ユーザーが利用可能なローカルストレージのルートは「マイファイル」で、初期状態ではその下に「ダウンロード」フォルダだけが存在していて、このフォルダと同じ階層に新しいフォルダを自由に作成できる。またGoogle Playを利用すると、Androidのサンドボックスに相当する「Playファイル」フォルダ[3]ができて、その下にMovies、Music、Picturesフォルダが自動的にできる。ストレージの容量の小ささから、インターネットからダウンロードしたファイル[4]やUSBフラッシュメモリなどからコピー/移動したファイルは基本的にはGoogleドライブにコピー/移動させるか、画像ならばGoogle フォトなどでバックアップすることが求められる。そのためかChromebookを購入すると、100GB, 2年間などのGoogle ドライブの無償利用権が付属する事が多い[5]。
日本語入力にはGoogle 日本語入力が使われている。
日本語フォントはデフォルトでは、標準フォントとサンセリフフォントにNoto Sans CJK JP、セリフフォントにMotoyaG04Mincho、固定幅フォントにNoto Sans Mono CJK JPが設定されている。ユーザー自ら新しいフォントのインストールはできないが、他のOSのChrome同様あらかじめインストールされているフォントの中から別のものに変更することはできる。
更新速度の違いによってStable版・Beta版・Dev版が存在し、ユーザーの目的や嗜好によって設定の概要からバージョンの変更が可能である。
2017年8月には企業向けの「Chrome Enterprise」も選択できるようになっている[6]。一括管理のための管理コンソールが提供されており[7]、端末を集中管理しやすいため、学校[8]や会社[9]での導入を Google は紹介している。
特徴[編集]
- HTML5 (JavaScript) やAdobe Flash[注 1]などで構成されたWebアプリが動作する[注 2]。一方で、Linuxアプリケーションを実行することも可能。
- ChromeウェブストアではChromeアプリ・拡張機能が配布されているが、これらの中身は単に既存のWebアプリサイトへのショートカットである場合と、Chrome固有のAPIを用いたローカル動作するWebアプリの場合がある。
- 同じアカウントでログインしたデスクトップChromeやChrome OS機との間で、アプリ・拡張機能・テーマ・自動入力・パスワードなどが同期される[注 3]。
- OSアップデートは完全にバックグラウンドで実行される。またOSはユーザーストレージ空間から切り離されている(スマートフォンに近い)。
上記の特徴により、新品のChromebookを購入した直後やPowerwash (端末初期化) 直後でも、数分で元の環境に戻る。
- 同スペックのWindows機と比較して動作が軽い。
- ユーザー側でウィルス対策する必要がない。
- Android端末とBluetoothペアリングしていればログイン時パスワード入力を省略できる(Smartlock)。
- HID準拠のマウス・ヘッドセット等、USBマスストレージクラス準拠のUSBメモリ・外付けHDD等はそのまま使える。
- キーボードはChrome OSに特化した固有のファンクションキーなどを備えている。
- プリンタを直接接続することはできない。Google Cloud Print対応プリンタやChromeインストール済みのWindows/Mac/Linux機経由で印刷する必要がある。
- Wi-Fiまたは有線ネットワーク接続のプリンタを使用できる[10]が、印刷にCUPS (旧称Common Unix Printing System) を利用するため、日本国内メーカーのプリンタは対応していないものが多い[11]。
- Windows用ドライバのインストールが必要になる周辺機器は使えない。内蔵の光学ドライブも搭載せず、Blu-rayやDVDのビデオを再生することはできない。
- ファイルシステムは、ダウンロードフォルダを除いてGoogleドライブそのものである。実際に使われるファイルのみ、自動的にクラウド上からローカルストレージに一時キャッシュされるため、扱うファイルの大きさによっては開くまで時間がかかる。一時キャッシュされたファイルはオフラインで扱える。手動でファイルをキャッシュさせることもできる。
- Chromecastへのキャスト機能がOSにビルトインされている。
- Chromeリモートデスクトップのクライアントは動くが、ホストにはなれない。
- 2017年8月にはChrome OSの企業版「Chrome Enterprise」が発表され、プリンタ管理、OSアップデートの制御、盗難防止などの機能が追加されたほか、24時間365日のサポートも提供されるようになった。又、Microsoft Active Directoryにも対応しており、既存のActive DirectoryのIDなどを使用して、Windows PCと併せて一元管理可能になっている[6]。
販売[編集]
- 2011年5月に、Google がサムスン電子との共同開発で1号機を発表。同6月より市販されている。Chromebook は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、オランダ、マレーシア、シンガポール、スウェーデンで販売されている。日本では、法人ユーザーと教育関係機関向けに先行販売され、個人向けは2014年11月11日より発売されている。
- 日本国内でも、2020年の Microsoft Windows 7 サポート終了を機に、低価格のChromebookを採用する企業が増えている。都市型ホームセンター大手の東急ハンズやエスカレーター大手のフジテックが採用するなど、企業の注目を集めている[12][13]。
- 2020年2月現在、日本の一般向けの市場では、Acer, Asus, HP, Lenovoが販売している[14]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 一部Webアプリで動画が再生されない、日本語が文字化けするなど、Linux版Flash固有の問題がある。
- ^ Ver57以降WebAssemblyに対応した。
- ^ ダウンロードフォルダ、日本語の入力設定とユーザー辞書は同期されない。
出典[編集]
- ^ “Chromebook のメリット、デメリット”. インターネットコム (2011年9月2日). 2011年12月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月6日閲覧。
- ^ “Introducing the Chromebook(Googleによる紹介ビデオ)”. Google. 2012年5月30日閲覧。
- ^ ファイルを開く、保存する、削除する - Chromebook ヘルプ
- ^ ダウンロードしたファイルが削除されないようにする - Chromebook ヘルプ
- ^ Chromebook で Chrome の特典を受けるには - Chromebook ヘルプ
- ^ a b 清嶋直樹 (2017年8月23日). “米グーグルが企業向け「Chrome OS」、Windows PCからの移行促す”. 日経 xTECH (日経BP) 2020年1月6日閲覧。
- ^ Chromebook management console
- ^ Chromebooks and Chromeboxes for Education
- ^ Chromebooks and Chromeboxes for Business
- ^ プリンタを設定する - Chromebook ヘルプ
- ^ chromebookから既存プリンタを使って印刷する方法
- ^ 清嶋直樹 (2017年8月10日). “Chromebookは本当に企業で使えるか?”. 日経 xTECH (日経BP) 2020年1月6日閲覧。
- ^ 清嶋直樹 (2017年8月2日). “「Windows 7の9割はChromebookへ移行する」、東急ハンズ”. 日経 xTECH (日経BP) 2020年1月6日閲覧。
- ^ ぴったりの Chromebook を見つけましょう(Google)
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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