BSマンガ夜話

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BSマンガ夜話』(ビーエス マンガやわ)は、NHKBS21996年から2009年まで不定期に放送されたテレビ番組である。全144回(全37弾)。

3時間のスペシャル番組BSマンガ天国』についても記述する。

概要[編集]

「1つの漫画作品を1時間かけて徹底的に語り合う」番組である[1]。元々は1回限りの企画だったが、視聴者からの反響があり年4回の放送となった[1]。作品の解説に留まらずに、作品の深い考察や業界の裏話にまで話が及ぶのが特徴である。第37弾までに144作品の漫画が取り上げられた。

NHKのBS枠編成の都合により、第32弾にて中断した。2007年11月に、2年9か月振りに放送が再開され、同時にハイビジョン制作化された。2009年12月の第37弾をもって終了した。

中断期間には、姉妹番組『BSアニメ夜話』が随時放送された。他に、この番組のスタイルを踏襲した『BS音盤夜話』、『BS海外ドラマ夜話』が製作された。スタイルは異なるが、本番組と『熱中時間 忙中"趣味"あり』のコンセプトを合わせたような『BS熱中夜話』が制作された。

出演者[編集]

2009年時点のレギュラー
過去の出演者
出演回数の多いゲスト

番組構成[編集]

原則的に、1人の作家で取り上げられるのは1作品のみである[1][注 1]

司会の大月隆寛(初期の数回は斎藤光)が女性アシスタント[注 2]とともに進行した。いしかわじゅん岡田斗司夫夏目房之介の3名がレギュラーメンバーとして出演し、これに各回ごとに1人から3人のゲストが加わり、視聴者FAX電子メールを紹介しながら番組を進行する[1]

岡田によれば大月が進行、いしかわが暴言や断言、夏目が分析、岡田が「イレギュラー担当」「分からない担当」といった具合に異なる役割を担っていた[2]。夏目によれば、自身といしかわを団塊世代、大月と岡田をオタク世代と位置づけ、旧世代による昔語りを、それに次ぐ世代が自覚的に聞き役に回る構造となっていたとし、さらに大月や岡田らオタク世代がそれより下の世代のゲストや年少の視聴者に向け、旧世代の見解を橋渡しする役割を担っていたとしている[3]

基本的に生放送であるが、まれに公開録画を放映する。

評論としては、メタな視点からの分析になることが多い。また、テレビ番組的、娯楽的な要請から、いしかわが直接的な言葉で作品の優劣を断定する点も番組の魅力のひとつとなっていたが、ともすると悪口にも聞こえるそれらの発言が作品の熱心なファン、あるいは作者本人、作者の身内から否定的に受け取られることもしばしばある[4]

  • コーナー「夏目の目」
    • レギュラーの夏目が、主にコマ割りや描線から作品の表現技法やテーマを解説するコーナー。ただし毎回あるわけではない。
    • 夏目不在の時には、いしかわが代理で「いしかわ式」[注 3]を担当したり、岡田の「岡田モード」[注 4]、大月の「大月流」などが存在する。

放送時間[編集]

シリーズや日によって、放送時間が変更される場合があった。

  • 24:15 - 25:15(第1弾)
  • 20:00 - 23:00(スペシャル)
  • 23:00 - 24:00(第2弾・第4弾)
  • 23:30 - 24:30(第3弾)
  • 22:00 - 23:00(第5弾 - 第12弾)
  • 24:00 - 25:00(第13弾 - 第25弾)
  • 23:00 - 24:00(第26弾 - 第32弾)
  • 24:00 - 24:55(第33弾 - 第35弾・第37弾)
  • 24:40 - 25:35(第36弾)

放送リスト[編集]

回数 放送期間 取り上げた作品 作品原作者
第1弾 1996年8月19日 - 22日、
8月26日 - 8月29日
童夢 大友克洋
ポーの一族 萩尾望都
秋日子かく語りき 大島弓子
めぞん一刻 高橋留美子
Pink 岡崎京子
櫻の園 吉田秋生
バタアシ金魚 望月峯太郎
花男 松本大洋
第2弾 1997年1月6日 - 10日 Dr.スランプ 鳥山明
SLAM DUNK 井上雄彦
日出処の天子 山岸凉子
幻想の普通少女 内田春菊
ぼくとフリオと校庭で 諸星大二郎
第3弾 1997年5月26日 - 30日 わたしは真悟 楳図かずお
動物のお医者さん 佐々木倫子
紅い花 つげ義春
行け!稲中卓球部 古谷実
美貌の果実 川原泉
第4弾 1997年9月22日 - 26日 巨人の星 梶原一騎
川崎のぼる
幽☆遊☆白書 冨樫義博
はみだしっ子 三原順
TO-Y 上條淳士
タッチ あだち充
第5弾 1998年2月23日 - 27日 伝染るんです。 吉田戦車
メイキン・ハッピィ 桜沢エリカ
攻殻機動隊 士郎正宗
うちのママが言うことには 岩館真理子
ナニワ金融道 青木雄二
第6弾 1998年5月25日 - 28日 サイボーグ009 石ノ森章太郎
すすめ!!パイレーツ 江口寿史
寄生獣 岩明均
俺の空 本宮ひろ志
第7弾 1998年8月24日 - 27日 北斗の拳 武論尊
原哲夫
バビル2世 横山光輝
エロイカより愛をこめて 青池保子
悪魔くん千年王国 水木しげる
第8弾 1998年11月9日 - 11日 賭博黙示録カイジ 福本伸行
ぼのぼの いがらしみきお
編集王 土田世紀
第9弾 1999年3月8日 - 10日 ベルセルク 三浦建太郎
ちびまる子ちゃん さくらももこ
1・2の三四郎 小林まこと
第10弾 1999年7月5日 - 7日 MASTERキートン 浦沢直樹
勝鹿北星
覚悟のススメ 山口貴由
エースをねらえ! 山本鈴美香
第11弾 1999年8月30日 - 9月1日 デビルマン 永井豪
ぼくんち 西原理恵子
ドラえもん 藤子・F・不二雄
第12弾 1999年11月8日 - 10日 ガラスの仮面 美内すずえ
天才バカボン 赤塚不二夫
機動警察パトレイバー ゆうきまさみ
第13弾 2000年3月6日 - 9日 がきデカ 山上たつひこ
アストロ球団 遠崎史朗
中島徳博
肉弾時代 宮谷一彦
陰陽師 岡野玲子
夢枕獏[注 5]
第14弾 2000年5月1日 - 4日 嗚呼!!花の応援団 どおくまん
るきさん 高野文子
不条理日記 吾妻ひでお
沈黙の艦隊 かわぐちかいじ
第15弾 2000年7月31日 - 8月2日 天才柳沢教授の生活 山下和美
哭きの竜 能條純一
野球狂の詩 水島新司
第16弾 2000年10月30日 - 11月2日 聖闘士星矢 車田正美
正しい恋愛のススメ 一条ゆかり
ホモホモ7 みなもと太郎
みどりのマキバオー つの丸
第17弾 2001年2月26日 - 3月1日 カスミ伝S 唐沢なをき
うしおととら 藤田和日郎
純情クレージーフルーツ 松苗あけみ
岸和田博士の科学的愛情 トニーたけざき
第18弾 2001年5月28日 - 31日 キン肉マン ゆでたまご
花咲ける青少年 樹なつみ
忍者武芸帳 影丸伝 白土三平
ここだけのふたり!! 森下裕美
第19弾 2001年8月6日 - 9日 あしたのジョー 高森朝雄
ちばてつや
できんボーイ 田村信
あたしンち けらえいこ
湘南爆走族 吉田聡
第20弾 2001年10月29日 - 11月1日 魁!!男塾 宮下あきら
サードガール 西村しのぶ
キバの紋章 真崎守
ハートカクテル わたせせいぞう
第21弾 2002年2月25日 - 28日 アイランド 尹仁完
梁慶一
青の6号 小澤さとる
課長島耕作 弘兼憲史
おいしい関係 槇村さとる
第22弾 2002年4月1日 - 3日 メトロポリス 手塚治虫
W3
ブラック・ジャック
第23弾 2002年8月5日 - 8日 マカロニほうれん荘 鴨川つばめ
ぶっせん 三宅乱丈
星のたてごと 水野英子
空手バカ一代 梶原一騎
つのだじろう
影丸穣也
第24弾 2002年10月28日 - 31日 最終兵器彼女 高橋しん
燃えよペン 島本和彦
百鬼夜行抄 今市子
子連れ狼 小池一夫
小島剛夕
第25弾 2003年2月24日 - 27日 魁!!クロマティ高校 野中英次
エリート狂走曲 弓月光
8マン 平井和正
桑田二郎
あずみ 小山ゆう
第26弾 2003年5月26日 - 29日 銀河鉄道999 松本零士
ファイブスター物語 永野護
風と木の詩 竹宮惠子
弥次喜多in DEEP しりあがり寿
第27弾 2003年8月25日 - 28日 無用ノ介 さいとう・たかを
雲の上のキスケさん 鴨居まさね
少年西遊記 杉浦茂
シェイプアップ乱 徳弘正也
第28弾 2003年11月24日 - 27日 ベルサイユのばら 池田理代子
三丁目の夕日・夕焼けの詩 西岸良平
漫画家残酷物語 永島慎二
GTroman 西風
第29弾 2004年2月23日 - 26日 はいからさんが通る 大和和紀
小さなお茶会 猫十字社
自虐の詩 業田良家
ブルーシティー 星野之宣
第30弾 2004年6月28日 - 7月1日 まんが道 藤子不二雄A
東京ラブストーリー 柴門ふみ
BECK ハロルド作石
ボーダー 狩撫麻礼
たなか亜希夫
第31弾 2004年11月29日 - 12月2日 虹色のトロツキー 安彦良和
青い空を、白い雲がかけてった あすなひろし
富江 伊藤潤二
クマのプー太郎 中川いさみ
第32弾 2005年2月28日 - 3月3日 パタリロ! 魔夜峰央
お天気お姉さん 安達哲
事件屋稼業 関川夏央[注 5]
谷口ジロー
鋼の錬金術師 荒川弘
第33弾 2007年11月27日 - 29日 真説ザ・ワールド・イズ・マイン 新井英樹
魔女 五十嵐大介
のだめカンタービレ 二ノ宮知子
第34弾 2008年6月17日 - 19日 へうげもの 山田芳裕
男組 雁屋哲
池上遼一
ハチミツとクローバー 羽海野チカ
第35弾 2008年9月16日 - 18日 ハチワンダイバー 柴田ヨクサル
蒼天航路 李學仁
王欣太
よつばと! あずまきよひこ
第36弾 2009年10月20日 - 22日 ケロロ軍曹 吉崎観音
リストランテ・パラディーゾ オノ・ナツメ
もやしもん 石川雅之
第37弾 2009年12月21日 - 23日 リアル 井上雄彦
犬夜叉 高橋留美子
青い花 志村貴子

備考[編集]

BSマンガ天国[編集]

1996年12月20日に放送された。内容は大きく3部に分かれ、第1部と第3部は生放送であった。

出演者(マンガ天国)[編集]

番組構成(マンガ天国)[編集]

第1部・うれし恥ずかし70年代懐かしの少年マンガ(1時間30分)
  1. いしかわと岡田によるスタジオの参加者へのインタビュー
    『あしたのジョー』『宇宙戦艦ヤマト』『まことちゃん』『750ライダー』『サイクル野郎』『仮面ライダー』
  2. FAX紹介(藤原紀香)
    『タイガーマスク』『愛と誠』『あしたのジョー』
  3. 4人の話(大月・いしかわ・夏目・岡田)
    『デビルマン』『手天童子』『ハレンチ学園』『男一匹がき大将』『俺の空』『サラリーマン金太郎』『銀河鉄道999』『マカロニほうれん荘』『がきデカ』『聖闘士星矢』
  4. スタジオマンガ意識調査(○×アンケート)
    • Q1:今でもマンガを読み続けている?
    • Q2:マンガを読んで泣いたことがあるか?
    • 『愛と誠』『ドタマじん太』(板井れんたろう)『ドラえもん』『おそ松くん』『パーマン』
    • Q3:親に隠れてマンガを読んだ経験がある?
    • 俺の空
    • Q4:マンガから人生を学んだことがある?
  5. 4人の話
    • ラサール石井の泣いた本:『男一匹がき大将』、(最近では)『がんばれ元気』、『夏子の酒』
    • いしかわじゅんの泣いた本:『自虐の詩』(業田良家)
  6. FAXコーナー(藤原紀香が紹介)
    『銀河鉄道999』『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ)など
  7. 4人の話
    ギャグマンガ、『がきデカ』(山上たつひこ)と筒井康隆、漫才ブームなど
  8. 質問コーナー
    セイント星矢のラストは?など
第2部・ガラスの仮面の20年(30分)
  • 作者・美内すずえのインタビュー、作品紹介
  • 熱烈なファンの話:夢枕獏、清水ミチコ、黒田勇樹
第3部・ギャグマンガ・笑いの行方(1時間)
『こち亀』『がんばれタブチくん』『伝染るんです。』『もののふの記』(ほりのぶゆき)『まあじゃんほうろうき』(西原理恵子)『自虐の詩』(業田良家)『ホスピタル』(唐沢なをき)『じみへん』『ネ暗トピア』『レベルE』(冨樫義博)
他に、大橋つよしの竹書房の4コママンガなど。

BSマンガ夜話 ライブ in 札幌[編集]

NHK札幌放送局主催で開催されたライブイベントである。テレビ放送は無かった。

日時 会場 作品
2000年1月29日
17:00 - 19:30
共済ホール[注 6] 気分はもう戦争[注 7](1982年、原作・矢作俊彦/画・大友克洋)
2001年1月29日 Zepp Sapporo[注 8] さよならにっぽん(大友克洋)

出演者(ライブ in 札幌)[編集]

2000年
  • いしかわじゅん
  • 岡田斗司夫
  • 夏目房之介
  • 大月隆寛
  • 小嶋晶子(NHK札幌放送局) - アシスタント

構成[編集]

2000年
  • 第1部・マンガ夜話ライブ(1時間)
  • 第2部・夜話スペシャル トークバトル(1時間30分)
    マンガ夜話の放送の裏話や、レギュラー出演者の素顔を紹介するほか、はがきで寄せられた視聴者の質問に答えた。

「ホッカイドウ学」的 マンガ学夜話[編集]

大月が在籍する札幌国際大学のプロジェクト「ホッカイドウ学」で漫画を取り上げたイベント[5]。数多くの漫画家を生み出しながらもその背景や意味については周知されていないという北海道の実情を踏まえ、かつてのマンガ夜話のフォーマットで、なおかつ同番組のレギュラーを集めて考察してみようという趣旨[5]。sapporo6hによるUstream配信があったほか[6]、2012年3月17日のNHKニュースおはよう北海道土曜プラスでも紹介された。夏目は番組のレギュラーが数年ぶりに集結した点について「久しぶりに楽しい場」だったとしつつも、議題については「もともと、北海道出身のマンガ家が多い、ということ自体、どこまで統計的にいえるものかわからない上、北海道の風土とマンガ家たちの個性を関連付けるのも、相当あやうい話でもあり、全体にぼんやりした座談ではありました」と評している[7]

日時 会場 作品
2012年3月6日 ちえりあホール[注 9] 銀の匙 Silver Spoon(荒川弘)

出演者(「ホッカイドウ学」的 マンガ学夜話)[編集]

  • 大月隆寛
  • いしかわじゅん
  • 岡田斗司夫
  • 夏目房之介
  • 笹峯愛

関連商品[編集]

この番組をもとにした本が出版された。キネマ旬報社からvol.1からvol.11までムックが出版された。カンゼンからは単行本が発売された。ハピネット・ピクチャーズからDVDが発売された。

キネマ旬報社・ムック版

カンゼン・単行本版「ニューウェーブセレクション」
  • 『童夢』(大友克洋)
  • 『るきさん』(高野文子)
  • 『自虐の詩』(業田良家)
  • 『弥次喜多 in DEEP』(しりあがり寿)
ハピネット・ピクチャーズ・DVD(第1期)
  • 『童夢』(大友克洋)
  • 『攻殻機動隊』(士郎正宗)
  • 『北斗の拳』(武論尊・原哲夫)
  • 『ガラスの仮面』(美内すずえ)

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ ただし例外もある。高橋留美子(『めぞん一刻』『犬夜叉』)、井上雄彦(『SLAM DUNK』『リアル』)。
  2. ^ アシスタントは、1 - 2弾ごとに別の女性タレントが起用されることが多かった。2007年現在では笹峯あいでほぼ定着している(トークにも積極的に参加する)。
  3. ^ ガラスの仮面』の回など。
  4. ^ 第24弾では「岡田の目」。
  5. ^ a b 原作者本人がゲスト出演した。夢枕は小説版の作者、関川は脚本担当。
  6. ^ 札幌市中央区北4条西1丁目。
  7. ^ 募集の際に、番組ホームページに掲載されていた『さよなら にっぽん』(大友克洋)は、翌年の題材に変更された。
  8. ^ 札幌市中央区南9条西4丁目4。
  9. ^ 札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10。

出典[編集]

  1. ^ a b c d 夏目 2004, p. 18.
  2. ^ 「BSマンガ夜話」裏事情を岡田斗司夫が語る 「いしかわじゅん=天然キャラ」ってどういうこと!?”. ニコニコニュースORIGINAL. ドワンゴ (2016年11月5日). 2022年1月30日閲覧。
  3. ^ 夏目 2004, p. 25.
  4. ^ 夏目 2004, pp. 20–21.
  5. ^ a b 札幌で「マンガ夜話」メンバー集結のトークセッション開催”. コミックナタリー. ナターシャ (2012年2月13日). 2022年1月30日閲覧。
  6. ^ 「ホッカイドウ学」的 マンガ学夜話 (Ustream配信). Sapporo Ustbar 2017. (2017年). https://www.ustream.tv/recorded/21162710 2022年1月30日閲覧。 
  7. ^ 夏目房之介 (2012年3月8日). “「「ホッカイドウ学」的マンガ学夜話@札幌」終了”. 夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ. アイティメディア. 2022年1月30日閲覧。

参考文献[編集]

  • 夏目房之介 『マンガ学への挑戦 進化する批評地図』NTT出版〈NTT出版ライブラリーレゾナント003〉、2004年10月。ISBN 978-4757140844 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]