内田春菊

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内田 春菊
生誕 (1959-08-07) 1959年8月7日(63歳)
長崎県長崎市
職業 漫画家エッセイスト
活動期間 1984年 -
代表作南くんの恋人
ファザーファッカー
『私たちは繁殖している』
でんこちゃん
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内田 春菊(うちだ しゅんぎく、1959年8月7日 - )は、日本漫画家小説家エッセイスト女優ノックアウト所属。落語立川流の門下でもあり、高座名「立川於春の方」を持つ。

来歴[編集]

1959年長崎県長崎市出身。妹がいる長女である[1]ホステスだった母親は、営業職で将来を嘱望されていた養父不倫関係になっている[1]。小学生の時に漫画家を志すが、実母と養父から漫画を描くことを禁じられ、隠れて豆本漫画を描いていた。

母親は春菊を子分のようにと接し、「どうやって自分の利益に結びつけられるか」としか考えておらず、「自分も時代さえ許せば」と学業成績が良かった春菊へ嫉妬していた[1]

中学時代に同級生の子を身籠ったことをきっかけに、養父から性的虐待を日常的に受け出した。母親は世間体を気にして、養父の性的虐待を黙認していた。高校1年途中の15-16歳で家出をしたため[2][1]長崎県立長崎南高等学校を学校側から強制退学となる[3]。この間、さまざまな仕事をして自活[2]

その後、心理学を学ぶために慶應義塾大学通信教育課程に入学するが、間もなく退学する[4]。 

退学後、印刷会社の写植バーホステス、喫茶店のウェイトレスなどを経た。

1979年20歳の時に初婚となる結婚をするが、ほどなく離婚[2]

クラブ歌手だった経歴を生かし、1983年にラテンバンド「アベックス」を結成し、ボーカルを務めた。

漫画家デビュー

その後、ペンネームの名付け親でもある編集者・プロデューサーの秋山道男に出会い見出される。その後、彼女の個性を認めたいしかわじゅんの紹介もあって、1984年に25歳で、双葉社発行の『小説推理』に掲載された『シーラカンスぶれいん』で漫画家としてデビューした。性的な事柄をストレートに描き、岡崎京子桜沢エリカらと共に「女の子エッチ漫画家」として人気を呼ぶ。また、エッセイ、漫画エッセイ等も執筆し、社会一般の価値観への異議を唱える内容が人気を博す。

青林堂発行の『月刊漫画ガロ』には、1985年9月号『おそろしいかえる酒』で初登場した。以後も『ガロ』に芸術性の高い作品を発表する。1986年から1987年にかけて『ガロ』誌上に連載した『南くんの恋人』は、これまでに4回テレビドラマ化されている。

母親への絶縁以後

1986年27歳当時、母と妹は漫画家になった春菊の稼ぎに依存していたことで「母にされたことを世間に出さなければ、死んでも死にきれない。養父の行為を黙認した母が何よりいやがったのが、世間体でしたから」と小説「ファザーファッカー」を書き始めた時のことを明かしている。そして、自分に子どもがいないまま死んだら、稼いだお金が全部母たちに相続されてしまうと危機感を覚え、母親と絶縁している[1]。 

1992年33歳の時に第1子の男の子(長男)を出産[2]

1993年に1986年から準備していた初小説『ファザーファッカー』を発売した[1]。これはベストセラーとなり、第110回直木賞の候補作となった(1995年に映画化)。

1994年には『私たちは繁殖している』・『ファザーファッカー』両作合わせて第4回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した。また『キオミ』で第112回芥川賞候補となった。

1995年35歳の時に同居していた男性と入籍し、二度目の結婚[2]。 

1997年37歳の時に第2子の女の子(長女)を出産[2]。 1999年40歳の時に第3子の女の子(次女)を出産[2]

2000年41歳の時に別居していた夫と離婚し、同居していた俳優の貴山侑哉と入籍し、三度目の結婚[2][5]。 

2001年42歳の時に第4子の男の子(次男)を出産[2]

2006年47歳の時に貴山と離婚はするも、その後2012年までの6年間は事実婚状態であった[2]

2010年から音楽活動を再開し、自身が監督を務める映画では主題歌を担当している。また、女優として映画、ビデオ、舞台などにも出演している。

2012年2月のテレビ番組で貴山と事実婚の形で続けていた同居の解消を明かした[5]

2017年4月、前年に大腸癌を患っていたことが判明し、人工肛門を造設したことを公表した[6]

人物・家族[編集]

女友だちより男友だちのほうが多く、「その友だちとセックスしたら、どうなるか想像することはある」と述べている。「男女の友情は成立する」とし、三度目セックスするまでなら男友達の関係でいられるとの持論を持っている[5]

3度の結婚歴があり、3人目の夫である俳優の貴山侑哉とは2005年に戸籍上は離婚したが、事実婚の形で同居していた。しかし2012年2月11日放送の『ゴロウ・デラックス[7]にて、貴山との同居を解消したと番組内で初めて明かした。貴山について、「この前までダメ男と暮らしていた。のんきで愉快な人だけど、仕事がうまくいかないと八つ当たりしてきて」とコメントしている。子どもたちから「かあちゃんはバカ専なんでしょ」と言われている[5]

子供

子供は4人(未婚中に長男。2人目の夫と結婚中に別の人との間に長女・紅多。貴山との間に次女・紅甘と次男)。長女・紅多はプロダクション人力舎所属のお笑いコンビ「人間横丁」のメンバー[8]。次女・紅甘[9][10]は女優。

長男・在波(あるは)、長女・紅多(べえた)、次女・紅甘(ぐあま)、次男・出誕(でるた)の由来は、長男誕生時に「未知の可能性を持つ子になるように」という願いで「プラスアルファ」から取っている。二人目である長女は「1人目がアルファだから、次はベータかな」で名付けている。3人目である次女は順番的にガンマにしようと最初は考えたが「女の子なのに音が強めなのはどうかと思って」と若干読みを崩した形で、四人目である次男には「4人目はデルタとつけないわけにはいかない」として名付けている[11]。 2016年9月22日放送の日本テレビ『想像を絶するテレビ』にVTR出演した 際に、長女の紅多は「学校で先生に名前を呼ばれた時、『べえた』って言うのかと驚かれて、名前をきっかけに友達もできた」と明かしている。次女の紅甘も「インパクトがあって覚えてもらいやすいから、得したなと思う」と答えている。次男の出誕は「漢字はもう少し良いのが欲しかった」と苦笑いしながら、「名前自体は誇りに思っている」と答えている[11]

作品リスト[編集]

連載中[編集]

漫画[編集]

web漫画[編集]

小説・戯曲[編集]

  • ファザーファッカー』文藝春秋、1993年 のち文庫
  • 『キオミ』福武書店、1995年 のち角川文庫
  • 『あたしが海に還るまで』文藝春秋、1996年 のち文庫
  • 『あたしのこと憶えてる?』新潮社 1997年 のち文庫、中公文庫
  • 『彼が泣いた夜』角川書店 1998年
  • 『やっぱりあなたが一番いいわ』マガジンハウス 1999年 戯曲
  • 『息子の唇』集英社 2000年 のち角川文庫
  • 『犬のほうが嫉妬深い』角川書店、2001年 のち文庫
  • 『いつの日か旅に出よう』中央公論新社、2003年 のち文庫
  • 『準備だけはあるのに、旅の』中央公論新社、2004年 のち文庫
  • 『ぬけぬけと男でいよう』角川書店 2004年
  • 『気がつけば彼を見ている』中央公論新社 2006年 のち文庫
  • 『私の中に答えはあるか』角川書店 2006年
  • 『その水の動く先』角川学芸出版 2007年
  • 『手を取って君とダイブ』光文社 2007年
  • 『ドパミナジック』角川学芸出版 2010年

漫画単行本・作品集[編集]

  • 『春菊』青林堂 1985年 のち文春文庫
  • 『シーラカンス・ロマンス』青林堂 1985年 のち文春文庫
  • 『ヘンなくだもの』実業之日本社 1986年 のち角川文庫
  • 『闇のまにまに』青林堂 1986年
  • 『四つのおねがい』河出書房新社、1986年
  • 『うーんとセラピー 知恵熱エッセイ集』CBS・ソニー出版 1987年 のち河出文庫
  • 南くんの恋人』青林堂、1987年、文春文庫青林工藝舎、2004年「改訂版」
  • 『めんず』実業之日本社 1987年
  • 『ユー・ガッタ春菊』双葉社 1987年
  • 『水物語』全4巻 光文社 1988年 - 1989年 のち知恵の森文庫
  • 『しあわせのゆくえ』青林堂 1988年
  • 『見守ってやって下さい』河出文庫 1988年
  • 『一身上の都合』集英社、1988年
  • 『物陰に足拍子』全4巻 実業之日本社 1988年 - 1991年 のち角川文庫
  • 『今月の困ったちゃん』マガジンハウス 1989年 のち新潮文庫
  • 『シーラカンスOL』読売新聞社 1989年
  • 『波のまにまに 古典的女中哀歌』朝日ソノラマ 1989年 のち文春文庫
  • 『幻想(まぼろし)の普通少女』双葉社 1989年 のちMF文庫、双葉文庫
  • 『凛が鳴る』青林堂、1990年 のち文春文庫
  • 『僕は月のように』光文社 1991年 のち知恵の森文庫
  • クマグス山村基毅原作 潮出版社 1991年 『クマグスのミナカテラ』新潮文庫
  • 『カモンレツゴー』白夜書房 1992年 のち角川文庫
  • 『けだるい夜に』集英社、1992年
  • 『ファンダメンタル』リイド社、1992年 - 1993年 のち新潮文庫
  • 『愛のせいかしら』青林堂 1993年 のち文春文庫
  • 『吸血少女対少女フランケン』朝日ソノラマ 1993年
  • 『仔猫のスープ』集英社 1993年 のち文庫
  • 『ストレッサーズ』全2巻 竹書房 1993年-1994年 のちMF文庫
  • 『24000回の肘鉄』マガジンハウス 1993年 のち角川文庫
  • 呪いのワンピース』朝日ソノラマ 1993年
  • 『私の部屋に水がある理由』文芸春秋 1993年 のち文庫
  • 『ナカユビ』ぶんか社 1994年
  • 目を閉じて抱いて』全5巻 祥伝社 1994年 - 2000年 のち角川文庫
  • 『私たちは繁殖している』既刊20巻 ぶんか社 1994年 - のち角川文庫
  • 『内田春菊の悪女な奥さん』メディアファクトリー 1995年
  • 『天使の思う壺』全3巻 光文社 1995年 のち知恵の森文庫
  • 『こんな女じゃ勃たねえよ』全4巻 実業之日本社 1995年 - 2004年 のち文春文庫
  • 『あなたの世間体』集英社 1996年
  • 『おさかな話』ぶんか社 1996年
  • 『彼のバターナイフ』ぶんか社 1996年 のち角川文庫
  • 『水族館行こミーンズI love you』扶桑社 1996年 のち角川文庫
  • 『アドレッセンス青年期』集英社 1997年
  • 『HOME』ぶんか社、1997年 のち角川文庫
  • 『ノートブック』朝日ソノラマ 1997年 のち角川文庫
  • 『鬱でも愛して』実業之日本社 1998年
  • 『彼が泣いた夜』角川書店 1998年 のち文庫
  • 『やっぱりあなたが一番いいわ』マガジンハウス 1999年
  • 出逢いが足りない私たち』祥伝社、2001年
  • 『解決はしません』全3巻 集英社 2002年 - 2005年
  • 『最近、蝶々は…』全5巻 祥伝社、2002年 - 2004年 のち新潮文庫
  • 『ベッドの中で死にたいの』飛鳥新社 2002年 のち文春文庫
  • 『隣人 内田春菊ホラー傑作選』角川ホラー文庫 2002年
  • 『もっと悪女な奥さん special edition』メディアファクトリー 2003年
  • 『ほんとに建つのかな』祥伝社、2004年 のち講談社文庫
  • 『ワイドショー 内田春菊ホラー傑作選』角川ホラー文庫 2004年
  • 『怒りと共にイキまくれ』祥伝社、2005年
  • 『ワイルドハンズ』祥伝社、2006年
  • 『30代はまだキレイ』ジャイブ 2007年
  • 『AC刑事 日笠媛乃』斎藤学監修 祥伝社、2007年
  • 『S4G sex for girls 女の子のための性のお話』飛鳥新社 2007年
  • 『ガールズビーヴァガボンド』メディアファクトリー、2008年
  • 若奥様玉地獄』祥伝社文庫、2008年
  • 『あなたも奔放な女と呼ばれよう』祥伝社、2009年 のち講談社文庫
  • 『ワイルドメディカル・ティーチャーズ』ぶんか社 2009年
  • お一人様二つまで!』竹書房、2010年4月、ISBN 978-4-8124-7253-8
  • 『お前の母ちゃんbitch!』1 - 2 ぶんか社 2010年 -
  • 『連結部分は電車が揺れる』祥伝社 2010年
  • 『恋の相手は選べない』祥伝社 2011年
  • 『安藤呂衣は恋に賭ける』ぶんか社 2012年
  • 『マンガ日本性教育トーク』角川文庫 2012年
  • 『おずおずと魔法使い』朝日新聞出版 2013年
  • 『南くんは恋人』集英社 2013年
  • 『おやこレシピ』新潮社 2015年
  • 『がんまんが〜私たちは大病している〜』全2巻 ぶんか社 2018年 ※電子書籍版では2巻のタイトルは『すとまんが』
  • 『すとまとねことがんけんしん』ぶんか社 2021年[12] ※『がんまんが』『すとまんが』の続編[12]
  • 『あんころろん』原作:高由貴子 ぶんか社 2021年[13]

漫画原作[編集]

エッセイなど[編集]

  • 『もんもん都市(シティー)』双葉社 1987年 『もんもんシティー』文春文庫
  • 『口だって穴のうち ホントとホンネ内田春菊対談集』洋泉社 1996年 のち角川文庫
  • 『あなたも妊婦写真を撮ろう 「私たちは繁殖している」うらばなし』PARCO出版 1998年 のち文春文庫
  • 『やられ女の言い分』文藝春秋 1998年 のち文庫
  • 『愛だからいいのよ』講談社 2002年 のち文庫
  • 『基礎体温日記』実業之日本社 2002年
  • 『ワイルドハンズ・ティーチャーズ』主婦と生活社 2006年
  • 『教育してます?』角川学芸出版 2007年 のち文庫
  • 『作家は編集者と寝るべきか』草思社 2007年
  • 夕刊フジ(火曜日発行・水曜付け)「内田春菊の怒ってもムダなの…」

共著[編集]

イラスト[編集]

出演[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]

オリジナルビデオ[編集]

舞台[編集]

テレビ番組[編集]

Vシネマ[編集]

関連番組[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f 「文春オンライン」編集部. “母親と絶縁して32年、内田春菊が書いた「母への最後の苦情」”. 文春オンライン. 2022年6月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 内田春菊さん、今だから振り返られる私の子育て/ 先輩ママインタビュー” (日本語). LEE. 2022年6月2日閲覧。
  3. ^ 人気漫画家の「法外な青春」 内田春菊『ファザーファッカー』” (日本語). 西日本新聞me. 2022年6月2日閲覧。
  4. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.474
  5. ^ a b c d 男女の友情は成立する? 内田春菊がディープな持論 : 映画ニュース” (日本語). 映画.com. 2022年6月2日閲覧。
  6. ^ 「漫画家内田春菊大腸がん闘病記」、『週刊朝日』2017年9月15日号、頁111-113
  7. ^ 価格.com - 「ゴロウ・デラックス」2012年1月20日(金)放送内容 | テレビ紹介情報”. kakaku.com. 2022年6月2日閲覧。 “教育してます? 今回の課題図書は内田春菊の「教育してます?」。作家の内田春菊が、父親の違う4人の子供の母として思う事を、自らの壮絶な過去やスキャンダラスなプライベートを交え、赤裸々に綴った一冊となっている。彼女のスキャンダルを報じたサンケイスポーツなどが映った。彼女の著書「南くんの恋人」「ファザーファッカー」が紹介された。 ゴロウ・デラックス2012年1月20日(金)00:25~00:55TBS”
  8. ^ Chronomedia, Site designed by. “人間横丁 | プロダクション人力舎” (日本語). プロダクション人力舎オフィシャルウェブサイト. 2021年10月17日閲覧。
  9. ^ 紅甘-フジテレビ
  10. ^ 紅甘(出典:VIPタイムズ社)”. ORICON NEWS. オリコン. 2017年4月9日閲覧。
  11. ^ a b 親が願いを込めたキラキラネーム 子は複雑「年取ったら恥ずかしいかな」” (日本語). J-CAST ニュース (2016年9月25日). 2022年6月2日閲覧。
  12. ^ a b すとまとねことがんけんしん”. ぶんか社. 2021年10月5日閲覧。
  13. ^ あんころろん”. ぶんか社. 2021年12月12日閲覧。

外部リンク[編集]