米朝関係

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米朝関係
North KoreaとUnited Statesの位置を示した地図

北朝鮮

アメリカ合衆国

米朝関係(べいちょうかんけい)では、アメリカ合衆国(米国)と朝鮮半島に位置した国、特に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国際関係について述べる。

米朝間には正式な国交がないため、米国の領事の職務はスウェーデンがその代理の役割を果たしている。

背景[編集]

東西冷戦時代の政治の副産物として両国の間には大いなる敵意が未だに残っているが、米朝間のそうした紛争や憎しみの感情は早くからあった。19世紀中頃、李氏朝鮮西洋列強に交易の門戸を閉ざしていた。1866年に勃発したジェネラル・シャーマン号事件では、李氏朝鮮政府が通商条約の交渉のために送られた米国の武装商船の入国を拒否した後、両国が戦火を交え、朝鮮民衆の攻撃により、ジェネラル・シャーマン号の乗組員が殺害された。その後、米国は報復を行い、1871年辛未洋擾が発生した。

米朝両国は1882年に完全な通商関係を築いた。1905年に米国が日露戦争の講和を仲介したとき、関係は再び悪化した。日本は朝鮮を自国の勢力下に置くことを受け入れるよう米国に求め、5年後に併合したとき、米国はこれに反対しなかった。朝鮮の国家主義者たちは第一次世界大戦終結に際してウッドロウ・ウィルソン大統領が民族自決の原則を提唱し、ヴェルサイユ条約を締結したパリ講和会議に赴き、米国に支援を嘆願したが成功しなかった。

米国による南朝鮮統治時代の関係(1945年 - 1948年)[編集]

1945年第二次世界大戦終結後、連合国は暫定措置として朝鮮を38度線で分断した。しかし、米ソ関係の悪化により再統一は妨げられた。在朝鮮アメリカ陸軍司令部軍政庁による南朝鮮(後の大韓民国)統治時代、北朝鮮側の米朝関係はソビエト連邦軍事政権が主導していた。

ソ連軍軍政下、北朝鮮臨時人民委員会によって間接統治が為されたこの時代の北朝鮮は米国を公然と非難し、米国を否定的にとらえ始めた。しかし、数人の米国の閣僚と使節は彼らが共産主義政権によって粛清されるまではこの時代でも活動的であり、個々の米国人も朝鮮の独立にとても協力的だった。

朝鮮民主主義人民共和国の成立から朝鮮戦争までの関係[編集]

1948年8月15日李承晩大統領による大韓民国建国後、同1948年9月9日金日成首相は朝鮮民主主義人民共和国の建国を宣言した。彼はソ連の承認をとりつけたが米国からは承認を得られなかった。米国は北朝鮮を外交的に承認せず、現在もなお承認していない。

1948年以後、金日成により米国は日本帝国主義の後継者であると主張する今でも使われている反米のレトリックが激しく唱えられ、朝鮮半島から多くの米軍が撤退した。米国は対敵国貿易法による北朝鮮に対する経済制裁を現在も続けている。

朝鮮戦争期(1950年6月25日 - 1953年7月27日)[編集]

1950年6月25日朝鮮戦争勃発から2カ月後、北朝鮮は仁川上陸作戦の後に開戦前の国境線であった38度線李承晩大統領の「北進統一」構想の下で北上した大韓民国国軍アメリカ軍を主体とした国連軍により反撃され、占領された。この時代、韓国軍の支援を受け、米軍はダグラス・マッカーサー元帥の指示の下、朝鮮民主主義人民共和国により焦土と化した北朝鮮に自由民主主義政権を樹立しようとした。マッカーサーは北朝鮮の将軍、特に金日成を捜索する計画を立て、戦争犯罪者として裁こうとした。しかしながら同1950年10月25日中華人民共和国彭徳懐司令官率いる中国人民志願軍(抗美援朝義勇軍)を派遣し、直接介入した結果、国連軍は38度線以南にまで押し戻され、1953年7月27日にアメリカ軍のウィリアム・ハリソン・Jr中将と朝鮮人民軍南日大将がそれぞれ国連軍と中朝連合軍の代表として朝鮮戦争休戦協定に署名した。

朝鮮戦争の終わりから冷戦の終わりまで[編集]

1968年のプエブロ号事件によって朝鮮人民軍に拿捕されたアメリカ海軍プエブロ号はその後、朝鮮民主主義人民共和国の首都平壌に係留され、観光資源となっている。

北朝鮮と米国はこの時期殆ど、或いは全く国交がなかった[1]

1968年プエブロ号事件が、1969年アメリカ海軍EC-121機撃墜事件が、1976年8月18日にはポプラ事件が発生し、何れも朝鮮人民軍アメリカ軍を撃破しているが、アメリカ合衆国から朝鮮民主主義人民共和国への報復攻撃は行われなかった。

朝鮮半島の非核化[編集]

1958年から1991年まで、米国は北朝鮮を射程に入れた核兵器を持っていた。多いときは1967年で950発にも上った[2]。これ以降の報告は削除された。米国は「抑止力として核の傘を拡げてほしいという要求の継続による」ものだという立場を崩していない [3]

北朝鮮は1985年に核拡散防止条約(NNPT)に非核所有国として加盟し、1990年には南北朝鮮による対話が開始され、1992年、両国は朝鮮半島の非核化に関する共同宣言を発表した。しかし1993年、米国の衛星写真によって北朝鮮の核開発疑惑が浮上し、国際原子力機関(IAEA)が北朝鮮の各施設を査察するべきだという要求につながり、1993年3月、金日成は北朝鮮の核拡散防止条約からの脱退を発表した[4]国連安保理は1993年5月、北朝鮮に国際原子力機関への協力を促し、1992年の共同宣言を遵守することを求める決議を採択し、すべての加盟国に、北朝鮮がこの決議に積極的な反応を示し、核問題の解決を促すよう求めた。

米朝両国は1993年6月に対話を開始したが協定を締結するプロセスは停滞し、北朝鮮は主要な原子炉の炉心から核兵器を製造するのに十分な核物質を取り出した[4]。緊張が高まったため、金日成主席は仲介者としてジミー・カーター元米国大統領を招待した。カーターは招待を受け入れたが民間人としての訪問であり、米国政府の代表ではなかった[4]。カーターは何とか両国を交渉のテーブルにつかせることに成功し、米国からはロバート・ガルーチ (Robert Gallucci国務次官補が、北朝鮮からは姜錫柱外務次官が出席した[4]

1994年10月、交渉の末、米朝枠組み合意 (Agreed Frameworkが成立した。

  • 北朝鮮はプルトニウム濃縮計画を凍結し、国際原子力機関の監視を受け入れることに同意した。
  • 両国は2003年までを目標に北朝鮮にグラファイトを利用する黒鉛炉に代わり軽水炉を共同で建設し、国際コンソーシアム(後に朝鮮半島エネルギー開発機構、略称KEDOに改称)が経済的および物理的な支援を行うことで合意した。
  • 米朝両国は5メガワットの原子炉から生じる使用済み燃料の貯蔵を共同で行い、その処理には安全なマナーで臨み、北朝鮮での再処理は行わないことで合意した。
  • 米国はこの間北朝鮮国内のエネルギーを供給するため、重油を提供することに合意した。
  • 両国は政治的、経済的な関係の完全な正常化に向けて努力することで合意した。
  • 両国は核のない朝鮮半島を目指し、平和安全保障の問題を協力して解決することで合意した。そして
  • 両国は国際的な核不拡散の問題で協力を強化することで合意した。

歴史家のポール・ローレン、ゴードン・クレイグ、アレクサンダー・ジョージ・ページは合意には多くの欠陥が含まれていることを指摘した。合意には相互の期限が特に設けられておらず、米国は危険なグラファイトによる黒鉛炉から代替軽水炉の建設の義務の履行に非常に長い時間を与えた[4]。さらに合意の遵守を監視し、実行を監督し、途中で調整が必要になった場合にそれを行う組織は何もない[4]。最後に韓国中国日本など利害関係国が交渉に参加することができないことなどである[4]

合意が署名されてまもなく、米国議会は合意に賛同的でなかった共和党に主導権が移った[5]。一部の共和党の上院議員らは宥和政策であるとして合意に強く反対した[6][7]

枠組み合意の条件に従い、北朝鮮は核開発計画を凍結し、米国とIAEAの査察に協力することを決断し、1995年1月、米国は北朝鮮に対する経済制裁を緩和した。当初、重油の供給のための資金に議会の承認が得られず、米国国防総省は海外から緊急的に資金を集めていた[8]。1996年からは、必ずしも十分な額ではなかったが、議会の承認を得て資金が提供された[9]。こうして枠組み合意で約束された重油の一部が送られた[10]。KEDOの初代事務局長スティーヴン・ボズワースは後に「枠組み合意は署名されて2週間もしないうちに忘れ去られてしまった」と語った[11]

1995年1月、枠組み合意により、米朝両国は5メガワットの原子炉の使用済み核燃料を安全に管理するための方法を話し合った。この方法によると、米朝の技術者は協力して使用済み核燃料を燃料収納缶に詰め、燃料収納缶は貯蔵プールに保管されるという。缶詰作業は1995年から開始された。2000年4月、利用可能なすべての使用済み燃料棒と燃料棒の断片の缶詰作業が完了したと宣言された。

北朝鮮は軽水炉の経済的、技術的支援者に敬意を払い、KEDOの決定に従うことに合意した。代替軽水炉の建設のための国際的な資金の応募は行われていたが、1998年まで公式な招待は行われず、そのことは北朝鮮を激怒させた[11]。1998年5月、北朝鮮はもし米国が軽水炉建設を行わないならば核開発の研究を再開すると警告した[12]。その後、KEDOは新浦市に軽水炉を建設する計画を立て、1997年8月21日、着工式が行われた[13]。1999年12月、KEDOと韓国電力公社(KEPCO)は軽水炉建設を認める契約書に署名した。しかし、その計画に必要な莫大な建設費用については2000年まで語られることはなかった[14]

1998年、米国は金昌里で核関連と思われる地下施設を発見した。1999年3月、北朝鮮は米国が「満足するまで立ち入り調査をする」ことに同意した[15]

ウィリアム・ペリー博士の呼びかけにより米国の対北朝鮮政策の見直しが公式に行われ、2000年5月、米朝両国は新しい交渉の場として枠組み合意履行対話を発足させた。2000年10月、趙明禄特使はワシントンを訪問し、その後米国の専門家チームが施設を訪問した。米国は北朝鮮とともに共同声明を発表し、米国の地下施設に対する疑問は解決された。

ジョージ・W・ブッシュ政権下の対北朝鮮政策[編集]

ジョージ・W・ブッシュは大統領選候補であった頃、枠組み合意に反対する彼の立場を明らかにしていた。2001年1月、彼は大統領に就任すると、新政権は北朝鮮に対する新しい政策を検討し始めた。2001年6月6日、検討の末、新政権は北朝鮮の通常兵器、ミサイル開発とその輸出計画、人権の状況と人道問題など、すべての分野にわたって懸案事項について対話を継続すると発表した。そのとき、枠組み合意で約束されていた代替軽水炉は完成していなかった[4]。2002年、政権は北朝鮮が核兵器を製造するためのウラン濃縮計画を進めていると主張した。ブッシュが2002年の一般教書演説で北朝鮮を「悪の枢軸」であると非難すると、米朝関係の緊張は頂点に達した。

米朝の直接対話は2002年10月に再開され、ウラン濃縮計画は米国の懸案議題で高い地位を占めていた。北朝鮮政府はウラン濃縮計画が存在するという米国の非難はジェイムズ・ケリー東アジア・太平洋担当国務次官補が主張していると考えていた。そのような計画は北朝鮮の核拡散防止条約の義務と1992年の共同宣言、1994年の枠組み合意を破るものだった。米国は北朝鮮は米朝関係の進展を望むなら、そのような計画を終わらせなければならないと述べた。米国はこの計画の中止が確認ができれば、米国は根本的に新しい関係を発展させていく用意ができているとも述べた。2002年11月、KEDOのメンバーは北朝鮮が核の問題を解決するまで重油の供給は棚上げにすることで合意した。

2002年12月、米国の依頼でスペイン軍は北朝鮮からイエメンに向かってスカッドミサイルを輸送していた船を臨検した。2日後、米国はその船を釈放し、船は再びイエメンへ向かった。このことは米朝関係をさらに緊張させ、北朝鮮はこの臨検を「海賊行為」だとして非難した。

2002年の暮れから2003年の初頭にかけて、北朝鮮はプルトニウム関連の核施設の凍結を解除し、IAEAの査察官を強制退去させ、核施設を封印、監視する装置を除去し、核拡散防止条約から脱退し、核兵器製造目的で使用済み燃料からプルトニウムを抽出する再処理を再開した。北朝鮮はこれらの行為は米国の脅威と米国の「敵対政策」に対する抑止力を持つためであると主張した。2003年、北朝鮮は凍結されていた寧辺の使用済み燃料棒の再処理が完了したと繰り返し主張し、北朝鮮はこの地域の安全について懸念を抱いていた隣国との協力の成果であると嘘をついた。ブッシュ政権は目標は北朝鮮が核開発計画を完全かつ検証可能で、復元することが不可能な形で放棄することだと述べた。北朝鮮の隣国は核のない朝鮮半島という理念に賛同した米国の側に加わった。しかし、米国の行動は北朝鮮との関係正常化の大きな障壁となり、政権は最も重要な目標として政権交代を提示し続けた。ブッシュ政権は北朝鮮との二国間での対話には一貫して抵抗し続けた。2005年に行われた合意では中国のみが公然と米国の交渉拒否の姿勢を非難した。

2005年9月19日の合意直後、両国の関係は北朝鮮が偽札作りをしているという米国の主張によってさらに緊張した。米国は北朝鮮が毎年1500万米ドルものスーパーノート[16]を製造していると主張し、マカオや他の銀行が北朝鮮との取引を停止する原因になった[17]。北朝鮮が偽札作りをしているという主張は1989年からあり、米国がこのタイミングで主張したことには疑いの余地がある。一部の専門家[誰?]は北朝鮮が本当にそのような偽札を作る能力があるのか疑問視しており、米国財務省はマカオの銀行の記録を調査したが公式な変化はまだない。2007年、アーンスト・アンド・ヤング社が監査を行ったが、銀行が北朝鮮の資金洗浄に協力していたという証拠は見つからなかったと報道された[18]

六者会合[編集]

2003年初頭、外交手段による問題解決を狙い、最も密接な関係を持つ6カ国による多国間の対話を開催することが提案された。北朝鮮は当初、そのようなプロセスに反対し、核問題はあくまで米朝間の問題であるという主張を維持してきた。しかし、隣国の圧力と中国の積極的な働きかけにより、北朝鮮は中国および米国との三者会合を2003年4月北京で行うことに合意した。

この会合の後、北朝鮮は米国、北朝鮮、韓国、中国、日本とロシアによる六者会合を開催することに合意した。最初の会合は2003年8月に行われ、その後は一定の間隔を置いて定期的に開かれている。第5回の第1フェイズから第2フェイズが開催されるまでの13か月間、進行が凍結され、その後北朝鮮は対話に復帰した。この行動は北朝鮮がマカオに持っている銀行口座を米国が凍結したことと関連がある。2005年初頭、米国政府は東アジアの同盟国に対し北朝鮮がリビアに核物質を輸出したことを伝えた。このことは東アジアの同盟国が米国が重要な同盟国であるパキスタンの関与を秘匿していたことを知ると裏目に出た。2005年3月、コンドリーザ・ライスは信頼関係の修復のため東アジア諸国を訪問した。

第5回の第3フェイズは2007年2月に開催され、行動を目標にする合意に達した。すべての当事者の善意により、2007年3月19日、米国は北朝鮮資産の凍結を解除した[19]

2008年10月11日、北朝鮮は米国の核査察要求をすべて受け入れることに合意し、ブッシュ政権はこれに応え、テロ支援国家リストから削除した[20]

2006年の核実験[編集]

米国の情報機関は核実験が行われたことを確認したが、状況を見守っていた[21]。ブッシュ政権のトニー・スノウホワイトハウス報道官は米国は「このとても深刻な行動に対し我々が次に何をすべきか」決断すべく、国連に行くと語った[22]。2006年10月9日、ブッシュ大統領はテレビ中継された演説で、核実験は「挑発的な行動」であり、米国はそのような行動を非難すると述べた[23]。ブッシュ大統領は米国は「関与政策」を行うが、「米国と米国の利害を保護することを継続していく」と語った。

正常化への道のり[編集]

2007年2月13日、米国、南北朝鮮、日本、中国、ロシアによる六者会合での合意によって、朝鮮半島の非核化への道のりに加え他の行動を要求した。また朝鮮戦争の休戦協定講和条約に置き換え、東北アジアの地域的平和を構築することなど北朝鮮との政治的関係の正常化への道のりの骨子も作成された[24]

北朝鮮は燃料支援の見返りに寧辺核施設の閉鎖に同意した。米国は北朝鮮との関係正常化の議論を開始し、北朝鮮をテロ支援国家リストから削除する手続きを開始することにも合意した[25][26][27]。この合意の実行は今のところうまくいっており、米国の交渉責任者であるクリストファー・ヒルは北朝鮮は約束を守っていると語った。第6回目の会合は2007年3月19日から行われ、北朝鮮の核兵器開発計画の将来について話し合われた。

2008年6月上旬、北朝鮮が核開発計画を放棄した後、米国は経済制裁の解除を開始することに合意した。ブッシュ大統領は北朝鮮が核開発計画の放棄を謳う60ページもの宣言文書を公表すると、北朝鮮をテロ支援国家から削除すると発表した。その後、北朝鮮政府は核開発のシンボルだと思われていた寧辺核施設の原子炉を爆破する映像を公開した。ブッシュ政権はこれを賞賛したが、政権内部を含む多くの人が問題解決のためにはあまりにも少ないと批判した。公表された書類にはウラン濃縮計画や核拡散については触れられていなかった。

米国海軍の北朝鮮船舶救出 モガディシュ沖の遭遇[編集]

モガディシュ沖の遭遇
対テロ戦争
2007年11月4日
場所 ソマリア
結果 米朝の勝利
衝突した勢力
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮
ソマリアの旗 ソマリア沖の海賊

2007年11月4日、北朝鮮の商船がモガディシュの海岸沖を通らざるを得ず、警備隊のふりをしていたところソマリアの海賊に襲撃された[28]。近海をパトロールしていた米国海軍が現場に赴いたところ、22人の北朝鮮の船員が8人のソマリアの海賊と殴りあっていた[29]ジェームス・E・ウィリアムズの乗組員とヘリコプターの救助により、船は解放された。米国の乗組員に許可が下り、船員と海賊に治療を行った。北朝鮮の通信社は米国の声明に異例の肯定的な反応を示し、[30]北京にいた米国のクリストファー・ヒル特使もこのことに好意的なコメントをした[31]。重要な時期に起きたこの事件は望外の結果をもたらし、北朝鮮はブッシュ政権に黙従して2月13日の合意の実行を開始した[32]2007年大韓民国大統領選挙が好ましくない結果に終わると、北朝鮮はもっと懐柔的な政策をとることを強調せざるを得なくなった。

ニューヨーク・フィルハーモニック訪問[編集]

2008年2月に、ニューヨーク・フィルハーモニックが北朝鮮を訪問した。コンサートは北朝鮮のテレビで放送された。

敵意の復活[編集]

2008年8月下旬、北朝鮮は寧辺核施設の稼動を再開した。見たところ施設は稼動し、燃料の核物質もあるようであった。それから北朝鮮は施設の稼動を本格化させ、寧辺の復活をアピールしている。

北朝鮮は米国が非核化の過程で約束を守らず、テロ支援国家リストからの削除も救援物資も送らなかったと主張してきた。米国は最近、北朝鮮が非核化の作業を進めない限りリストから削除されることはないと述べた。北朝鮮はIAEAの査察官を寧辺から締め出し、韓国は北朝鮮が核兵器の製造を進めていると主張した。北朝鮮は最近、短距離ミサイルの発射実験を行った。米国は六者会合の再開を呼びかけている。

テロ支援国家リストからの削除[編集]

2008年10月11日、米朝両国は北朝鮮が再び核開発計画を放棄し、査察官による核物質の科学的な捜査を受け入れることで合意した。北朝鮮は長きに渡って疑惑を持たれてきたウラン濃縮計画の詳細について明らかにすることにも合意した。これらの進展により、その同日、北朝鮮が待ち望んだテロ支援国家リストからの削除を米国は行った[33]

2009年の核実験[編集]

2009年5月25日、北朝鮮が2006年以来となる核実験を行うと、米朝関係はさらに悪化した。核実験は再び地下で行われ、そのエネルギーは広島長崎を破壊したリトルボーイファットマンにそれぞれ比肩されうるものだった。米国は北朝鮮と未だに深い関係を持つ中国とロシアが北朝鮮の行為を非難したことを歓迎した。米国と中断されている六者会合のメンバー国は核実験を強く非難し、北朝鮮は「その行為の代償を払うだろう」と語った。米国はその後に行われた短距離ミサイルの実験についても強く非難した。

北朝鮮による米国人記者拘束[編集]

2009年3月17日、米国人記者が逮捕されると米朝関係はさらに緊張した。2人の記者はカレントTVのユナ・リーローラ・リンで、中朝国境で北朝鮮女性の人身売買に関するドキュメンタリー番組を撮影中に北朝鮮領内に入ったところ逮捕されたと思われる。北朝鮮はその後2人の記者を裁判にかけ、国際的な抗議が起こる中、有罪判決を下し、12年の「労働強化刑」を言い渡された。米国はこの行為を「似非裁判」であると非難し、2人の記者の解放に向け動き出した。

この試練は8月4日、ビル・クリントン大統領が2人の記者の解放を求め、「非常に個人的な使命」を帯びて平壌に到着したとき解決した。彼は北朝鮮の金正日総書記バラク・オバマ大統領からの手紙を手渡したと伝えられている。しかし、ホワイトハウスロバート・ギブズ報道官はこの主張を否定した。クリントンと金総書記は米朝関係のさまざまな話題について話し合ったと報道されている。8月5日、金総書記は2人の記者の恩赦を公式に表明し、その後2人はクリントンと共にロサンゼルスに帰国した。クリントンの訪朝は米国の高級政治家としては2000年以来であり、関係者の賞賛と理解を得たと報道されている。

天安沈没事件[編集]

2010年5月24日、韓国の軍艦天安が北朝鮮の魚雷によって撃沈されたとされることに対する直接的、軍事的な反応として、米国は韓国とともに新たに軍事演習を実施する計画を立てた。[34]

2010年5月28日、朝鮮中央通信は公式声明として「天安の事件の背後にいるのは米国であり、 調査が当初から米国主導で行われていることも非常に明らかである」と述べた。それはまた、米国による調査の操作と米国のバラク・オバマ政権が「アジア・太平洋地域における不安定さを増幅し、大国と挑戦する意思のない新興国を封じ込めるためにこの事件を利用しようとしている」と名指しして非難した。報告書は米国に対して「それ自身が重大な結果についての思慮に満ちた振る舞い」をするよう示していた。[35]

2010年7月、北朝鮮政府は板門店で行われることが予定されていた沈没事件に関連する対話を無期限延期した。[36]会合は将来行われる政府の高官級レベルでの対話の準備として行われる予定だった。[36]

金正日の死後の関係[編集]

2011年12月17日の金正日の死後、彼の子である金正恩が政権を継いだ。後の2012年2月29日、北朝鮮は核実験、長距離ミサイルの発射と寧辺でのウラン濃縮を凍結すると発表した。さらに、新しい指導者は2009年に拒否した国際的な核査察官を招待した。オバマ政権はビスケットなど24万トンの食糧支援を打診することで応じた。これは食糧支援は穀物でなければならないとした北朝鮮の以前の主張に柔軟に応じたものだった。[37]

2年以上が経った2012年3月16日、北朝鮮は金日成生誕100周年を記念して人工衛星の光明星3号を打ち上げることを発表した。この発表は人工衛星の打ち上げが技術的にミサイル発射に繋がるのではないかとの米国人の不安を掻き立てた。[38] これは金正恩の初期の悪戯の始まりであり、問題に対峙する北朝鮮に戻ってきた新しく若い指導者についての憶測を生んだ。[39]米国もまたミサイル計画への報復として北朝鮮への食糧支援を中止した。[40]

2012年8月、ダニエル・ラッセル大統領特別補佐官とシドニー・サイラーはグアムから平壌入りし、2日間滞在した。[41] 韓国のある外交の情報源は、「明らかに再選を目指していたバラク・オバマ大統領は、 大統領選挙での混乱を最小化するため秘密裏に職員を北朝鮮に派遣していた」と語った。[41]他の分析家は、「そのようなワシントンと平壌の直接対話が将来においても続くことを除外できる者はいなかった」と語っている。[41]

しかしながら、2012年12月11日、北朝鮮は3月に行った失敗とは対照的に、ミサイル発射を成功させた。米国は西海岸に届くかもしれない長距離弾道ミサイルの開発を続けていると広く信じられている北朝鮮のその行為を強く非難した。2013年1月24日、北朝鮮は主に米国の脅威に対抗する目的で3回目の核実験を行う計画があることを表明した。北朝鮮の国防委員会は、「高次元の核実験は朝鮮人民の絶対的な敵である米国が標的である」と表明した。米国のインテリジェンス・コミュニティは、2013年1月時点で、北朝鮮は現在の技術と資源でハワイを攻撃する能力があり、3年以内に米国全土を攻撃する能力を獲得するだろうと信じている。ホワイトハウスは、北朝鮮の声明が「不必要に挑発的」であり、「さらなる挑発は平壌をさらに孤立させるだけだ」と宣言した。[42]ジョン・ホプキンス大学の豊渓里核実験場先進国際研究所の米韓研究室は衛星写真を分析し、北朝鮮は脅迫しているだけでなく、実際に核実験を準備していることがわかった。[43]北朝鮮の後の声明には、韓国が北に対する国連の制裁に参加した場合、北朝鮮は「強力な物理的反撃を行う」とする韓国に対する直接的な脅迫も含まれていた。[44]2013年2月12日、北朝鮮は3回目の核実験を行った。2013年3月29日、金正恩は「ロケットは太平洋の米軍基地を攻撃する準備ができていると宣言する」ことによって米国を恫喝した。[45]その宣言は前日に2機のB2ステルス爆撃機が朝鮮半島上空を航行したことに対するものだった。[46]金正恩による攻撃宣言後、4月3日にペンタゴンは進んだミサイル防衛システムであるTHAADの西太平洋への展開を宣言した。チャック・ヘーゲル国防長官は、北朝鮮が米国だけでなく日本や韓国にとって「本当のそして明らかな脅威」となっていると語った。The deployment of the battery to the US territory of Guam is the biggest demonstration yet that Washington regards the confrontation with North Korea as more worrying than similar crises of the past few years.また、航続距離が長く、スタンドオフの兵器を準備することも提案された。[47]2013年4月12日、韓国のソウルを訪問したジョン・ケリー国務長官は、「北朝鮮を核保有国として受け入れることはない」と語り、[48]北朝鮮によるミサイルの発射は「大きな間違いだった」と述べた。[49]2013年4月18日、北朝鮮はワシントンD.C.またはソウルで開催される場合の対話の条件を提示した。[50]それらの中には国連による制裁の停止と米韓合同軍事演習の終了が含まれていた。[51]

In March 2016, over 315,000 South Korean and U.S. soldiers participated in the largest military drills ever staged on the Korean Peninsula.[52][53]

2013年4月26日、北朝鮮はある不特定の国家反逆罪を犯した米国人を逮捕したと発表した。[54]米国政府はその人物がケネス・べであることを明かした。2013年5月2日、べは「敵対行為」の罪に問われ、15年の労働強化刑を言い渡された。[55]米国は彼の釈放を求めたが北朝鮮は彼の釈放を求める著名な米国人の訪問を許容するいかなる可能性も拒絶した。[56]以前北朝鮮を訪問したことがあり、金正日の友人となったデニス・ロッドマンもべの釈放を求めるツイートをした。[57]ロッドマンは8月に再び北朝鮮を訪問し、べの解放を試みると語った。[58]2014年5月2日、平壌の朝鮮中央通信は北朝鮮国民によって書かれた4つのエッセー記事を配信した。記事の内容はバラク・オバマ大統領に対する激しい批判と人種差別的な批評だった。[59]

2014年6月、北朝鮮で「敵対行為」を行った2人の米国人が拘束された。[60]2014年7月28日、米国議会下院は2013年の北朝鮮制裁施行法を通過させたが、上院を通過することはできなかった。[61]On August 20, 2014, during annual U.S.-South Korea military drills, a spokesman for the North Korean government referred to U.S. Secretary of State John Kerry as a "wolf donning the mask of sheep", the latest in an exchange of taunts between U.S., South Korean and North Korean government officials.2015年1月、バラク・オバマ大統領は北朝鮮政府はそのうちに崩壊すると信じていることを示唆した。[62]2016年7月28日、北朝鮮外務省米国課の幹部は、米国が制裁対象の個人リストに金正恩を加えたことは米国が宣戦を布告したことと同義であり、「レッド・ライン」を越えたと主張した。[63]

トランプ大統領の就任[編集]

2017年、ドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領に就任するとアメリカ合衆国連邦政府は、北朝鮮に対して「最大限の圧力」で厳しく対応する方針を打ち出した[64]レックス・ティラーソン国務長官は、北朝鮮に対して戦略的忍耐は終わり、あらゆる選択肢がテーブルの上にあると警告した[65]。同年4月、トランプ大統領は、政権発足後初の米中首脳会談の最中、シリアバッシャール・アサド政権が一般市民に対し、化学兵器を使用したとみなし、地中海に展開していた、アメリカ海軍の駆逐艦二隻より巡航ミサイルトマホーク59発を発射し、化学兵器使用に関わったとされる空軍基地などを攻撃したと発表した。シリア内戦開戦以来アメリカがアサド政権を直接攻撃したのはこれが初であったが[66]、トランプ政権は北朝鮮に対するメッセージでもあることを明言した[67]。その7日後、アフガニスタンISILの拠点に核兵器に次ぐ最大級の破壊力を持つとされる大規模爆風爆弾兵器(MOAB)を初めて実戦投入したことも地下要塞を複数持つ北朝鮮への牽制とされた[68]。同年5月~6月には、アメリカ海軍日本海原子力空母ロナルド・レーガンカール・ビンソンの2隻を展開[69]して原子力潜水艦も2隻展開[70]する一方、北朝鮮も毎週のように様々なミサイルを発射(北朝鮮によるミサイル発射実験 (2017年))して、軍事的な緊張感が増大した。同年5月30日には実物のICBMを迎撃する史上初の実験に成功したと発表し、北朝鮮やイランに対抗するミサイル防衛を打ち出して北朝鮮は強く反発した。また、戦略爆撃機B-1を度々飛行させて北朝鮮のミサイル発射台に擬した目標の空爆や地下施設への攻撃訓練も行った[71][72][73]

その一方で、5月8日-9日、ノルウェーオスロで、北朝鮮の崔善姫北米局長とアメリカ元政府高官らが非公式の接触を行うなど、硬軟両面の駆け引きが行われた[74]。以前より、北朝鮮に拘留されているアメリカ人が複数存在しており、彼らの解放をきっかけに事態が進展する可能性も見え始めたが、2017年6月6日、アメリカ合衆国国務省ジョセフ・ユン政府特別代表(北朝鮮担当)は、ニューヨークで北朝鮮の国連大使と接触する中で、北朝鮮に拘留中のオットー・ワームビアが昏睡状態であることを把握。急遽、同年6月12日に医療チームとともに訪朝して解放させたが意識がもどらないまま同月19日に死亡した[75]。トランプ大統領は、北朝鮮を残忍と強く非難[76]。北朝鮮側は、貴重な交渉カードを失うこととなった。

2017年5月、北朝鮮国家保衛省と国連代表部[77]や対米外交を担当する韓成烈外務次官[78]などはCIAと韓国国家情報院金正恩朝鮮労働党委員長の暗殺を試みたと主張し[79][80][81]、暗殺に関与したCIA関係者や国家情報院トップの引き渡し[82]と正式な謝罪[83]を要求した。同時期に極秘に韓国訪問したCIA長官のマイク・ポンペオは金正恩体制への反乱煽動などを脱北した北朝鮮の元駐英公使と協議し[84]、特定の国を対象としたものとしては初めてである北朝鮮を専門とした部署を新設しており[85]、これに対して金委員長暗殺を目的とした動きとする見方もある[86]。また、同年7月にはポンペオ長官は金委員長の排除を示唆している[87]

2017年6月2日、国際連合安全保障理事会はトランプ政権では初となる対北朝鮮制裁強化決議を全会一致で可決した[88]。決議はトランプ政権下で初めて米中が協力したものとされ[89][90]、北朝鮮は「米中が裏部屋で勝手にでっち上げた」と決議に反発した[91]。同年8月5日にも米中は石炭や鉄鉱石などを全面禁輸する制裁強化決議を協議し、安保理で全会一致で可決された[92]

2017年8月、トランプ大統領は北朝鮮が挑発を続ければ「世界が見たこともない火力と怒りに遭わせる」と警告し[93]、これに対して北朝鮮はグアム攻撃計画を8月中旬までに策定すると応じた[94]。これを受け、トランプ大統領は再び北朝鮮に「生温い発言だったかもしれない。グアムに何かすれば誰も見たことないことが北朝鮮に起きる」[95]「軍事的な解決をとる準備は整った」[96]と警告し、アメリカ軍はB-1戦略爆撃機を再び派遣して日本航空自衛隊韓国空軍と共同訓練を実施し[97]、米軍幹部は先制攻撃の準備完了を語ったと報じられた[98]

2017年8月、マイク・ペンス副大統領は、北朝鮮への圧力を強化させる一環として、メキシコペルーチリブラジルを名指しして北朝鮮と断交するよう呼びかけた。これを受け、翌月にはメキシコとペルーが北朝鮮の大使をペルソナ・ノン・グラータとして国外追放する措置を採っている[99]

2017年9月、北朝鮮の水爆実験を受けて国連安保理で原油輸出の数量制限や天然ガスと繊維の輸出入と北朝鮮労働者の新規就労許可・更新などを禁止する制裁強化決議が全会一致で可決された[100]。また、トランプ政権は米国民の北朝鮮渡航を原則禁止[101]して米国務省に北朝鮮への渡航を認可する条件に遺言状の作成と葬儀の手配を挙げさせ[102]、北朝鮮人の入国禁止や北朝鮮と取引する個人・企業のアメリカ経済からの締め出しといった独自制裁を実施した[103][104][105]。同年9月の国連総会の一般演説でトランプ大統領が北朝鮮の体制を「向こう見ずで下劣だ」と非難し、米国人大学生オットー・ワームビアの拘束や金正男の暗殺の他、北朝鮮による日本人拉致問題にも触れ、「自国や同盟国が防衛を強いられる時には、北朝鮮を完全に破壊せざるを得ない。」と言及すると、これに北朝鮮の最高指導者の金正恩は「トランプが世界の面前で私と国家の存在自体を否定して侮辱し、我が共和国を滅ぼすという歴代で最も凶暴な宣戦布告をしてきた」として「老いぼれ」「犬」などと罵倒する北朝鮮史上初[106]の最高指導者名義の声明で猛反発し、トランプも「チビのロケットマン」「狂った男」と貶すなど激化する米朝の応酬は国家間を超えて政府首脳同士の個人攻撃にも拡大した[107][108][109][110][111]。また、訪米していた北朝鮮外相、李容浩が私見としつつも太平洋上での水爆実験の可能性をほのめかし、アメリカ軍は軍事境界線を越えてB-1戦略爆撃機を威嚇飛行させるなど非常に冷え切った両国関係が浮き彫りとなった[112][113]。一方、同年9月30日、訪中していたティラーソン国務長官は、アメリカと北朝鮮が直接接触する経路を持っており、対話が可能な状態となっていることを明らかにし[114]、その直後に国務省の報道官も「北に対話の意思はない」としつつトランプ政権で初めて水面下で接触してることを認めた[115]。しかし、これに対してそれまで対話による解決を否定[116][117]してきたトランプ大統領は「チビのロケットマンとの対話、交渉は時間の無駄である。長官はエネルギーを浪費してはならない」とティラーソンに助言したと10月1日に述べ[118][119]、2日にはホワイトハウスは「北朝鮮と交渉すべき時ではない」と発表した[120]

2017年11月8日、トランプ大統領はアジア歴訪で訪問してる韓国国会で空母3隻が朝鮮半島近海に展開してることを挙げて「我々をなめるな、試すな。愚かにも米国の決意を試して滅びた政権は歴史上いくつもある」[121]「北朝鮮は人が住むに値しない地獄だ、あなた(金正恩)の祖父が描いたような地上の楽園ではない」[122]と演説して北朝鮮を孤立化させるよう中国ロシアに名指しで求めた[123]。11日には、10年ぶりとなる空母3隻を投入した演習を日本海で開始した[124]

2017年11月15日、アジア歴訪から帰国したトランプ大統領は、各国と北朝鮮への圧力最大化で一致できたと成果を強調し[125]、中国の習主席と北朝鮮が脅威であることと問題解決の時間が限られてることを確認して協力を引き出し[126][127]、アメリカ軍や韓国軍の幹部と軍事的選択肢も協議[128]したとする声明を発表した。北朝鮮の労働新聞朝鮮中央通信は訪朝する中国の特使受け入れを報じつつトランプと会談した日本の安倍晋三首相を「米国の忠犬」と嘲り、韓国国会で演説したトランプ大統領を「狂った犬」「不倶戴天の敵」[129]「死刑に値する」[130]と非難した。トランプ大統領は中国の特使派遣を「大きな動きだ、何が起こるか見てみよう! 」と述べ[131]日本政府はこれに関連して「北朝鮮の非核化は日中にとって共通の目標であり、連携を強化していくことで一致している」と述べた[132]

2017年11月20日、トランプ大統領はオットー・ワームビアの事件などを例に挙げて「北朝鮮は世界を核で脅してるだけでなく、引き続き国際テロを支援している」「もっと何年も前に再指定されるべきだった」として北朝鮮を9年ぶりにテロ支援国家に再指定することと追加制裁の意向を表明した[133]。本来アジア歴訪からの帰国直後に発表されるはずが遅れたのは特使を派遣した中国の面子を立てたためとされる[134]。ティラーソン国務長官は再指定の根拠に化学兵器による金正男暗殺事件を挙げた[135]

2017年11月29日、トランプ大統領は火星15を発射した北朝鮮の金正恩を「チビのロケットマンは不気味な犬ころ」[136]と批判して追加制裁の意向を表明した[137]。同年11月28日にティラーソン国務長官は声明で海上封鎖や国連軍派遣国の会合を呼びかけるも[138]、どちらも日本政府からは難色を示され[139][140]、北朝鮮は海上封鎖の実施は「戦争行為と看做す」と発表した[141]

2017年12月12日、ティラーソン国務長官は「北朝鮮との最初の対話を無条件にすることも可能だ」と述べつつ朝鮮半島有事を想定した核の確保と難民対策や38度線を越えた米軍の撤退など具体的対応を中国と協議してることを初めて公表した[142][143][144]。ただし、北朝鮮からの核・ミサイル開発の破棄や挑発の中止を前提とする方針の転換とも受け取れるこの発言については国務省とホワイトハウスや国家安全保障問題担当大統領補佐官ハーバート・マクマスターやティラーソン国務長官自身[145][146]も修正した[147][148]

2017年12月18日に発表されたトランプ政権初の国家安全保障戦略で北朝鮮はイランと並ぶ「ならず者国家」と名指しされ、これに対して北朝鮮は「犯罪的な文書」と強く反発した[149]

2017年12月22日、米中の協議[150]により石油精製品輸出の9割削減や24ヶ月以内の北朝鮮労働者の本国送還を盛り込んだ対北朝鮮制裁強化決議が議長国日本やロシアの賛成も得て国連安保理で全会一致で可決され[151]、制裁違反の可能性がある船舶に対する臨検及び拿捕の義務化や新たな核実験やミサイル発射があればさらに北朝鮮への石油供給を制限するとの表現が初めて記載された[150]

2018年1月2日、「米国全土を射程におさめた核のボタンが私の机の上にある」「平昌五輪に向けた南北会談も可能だ」とする新年の辞を述べた金正恩に対して「制裁と圧力が北朝鮮に効いてきた。兵士は危険を冒して韓国に逃げてる。ロケットマンは韓国と交渉したいようだが、朗報かどうか様子を見よう」「食料が枯渇し、飢えた北朝鮮の体制よりも私は巨大で強力な核を持ち、私の核のボタンはちゃんと動くことを誰か彼に教えてやれ」[152]と述べてトランプ大統領は牽制した。

2018年1月16日、カナダバンクーバーでティラーソン国務長官の呼びかけ[153]により国連軍派遣国を中心に日本や韓国なども参加した外相会合が開かれ、平昌五輪に向けた南北対話が非核化対話に進展することを期待しつつ「完全で検証可能かつ不可逆な非核化」まで北朝鮮に圧力を継続する方針を盛り込んだ議長声明が発表され[154][155]、「冷戦への回帰」と会合に反発するロシアと中国を名指しで制裁履行を求めて北朝鮮に対する海上阻止行動の強化や国連安保理の枠を超えた独自制裁の検討でも一致した[154][156][157]。この会合に対して中露だけでなく[158][159]、北朝鮮も「新たな戦争の火種」と反発した[160]。また、この会合に先立つ夕食会でジェームズ・マティス国防長官は情勢次第で外相会合から国防相会合に発展するとして「米国には北朝鮮との戦争計画がある」と言明[161][162]して国連軍の参加国・関係国と軍事面の連携で一致した[163]

2018年1月31日、トランプ大統領は初の一般教書演説で中国とロシアは「我々に挑戦する競争相手」と一言だけ触れる一方[164]、議会に脱北者やオットー・ワームビアの両親を招いて北朝鮮を異例の5分超[165]にわたって非難して「譲歩を繰り返してきた歴代政権の過ちは繰り返さず、最大限の圧力をかけ続ける」と述べた[166]。脱北者と[167]。また、2月2日には8名の脱北者と大統領執務室で会見した[168]。同時期、トランプ政権の北朝鮮への軍事攻撃の検討に反対した次期駐韓国大使のビクター・チャに異例の内定取り消しを行った[169]

2018年2月10日の平昌オリンピック開会式マイク・ペンス米副大統領が出席するも5分で退席し、歓迎行事にも参加せず、同時期に訪韓していた北朝鮮金永南を無視した[170]。ペンスと北朝鮮の金与正が会談する予定も韓国の仲介[171]で秘密裏に組まれていたが、韓国訪問中に招待したオットー・ワームビアの父親[172]脱北者と面会して追加制裁を表明したペンスに不快感を示して直前でキャンセルしたため金与正ら高官との接触機会は生じなかった[173]。帰国後の同月22日、副大統領はメリーランド州で行った演説の中で、金与正を抑圧的な体制の中心人物として非難している[174]。北朝鮮はこれに猛反発してペンスを「人間のクズ」と罵倒して「我々は米国との対話を哀願しない」と述べた声明を発表した[175][176]。同月23日、トランプ大統領は事実上北朝鮮の全船舶対象など「一国に対するものでは史上最も重い制裁を科す」ことを発表し[177]、制裁の効果がなければ「手荒な対応になる」と述べた[178]

2018年3月6日、北朝鮮が非核化に向け米国と対話に意欲を示したことについて「北朝鮮は誠実だと思う。制裁や中国から得た多大な協力を含め我々が北朝鮮に関して行ってきたことが理由だろう」と述べた[179]。9日には訪朝した韓国の特使鄭義溶との面会後に「金正恩は単なる凍結でなく、非核化を韓国の代表に言った。北朝鮮はミサイル実験をこの期間自制する。大きな前進だ。合意するまで制裁は続ける。会談を計画中だ!」と表明し[180]、日本の安倍首相や中国の習主席と相次いで電話協議して完全かつ検証可能で不可逆的な非核化まで圧力と制裁を維持することを確認し[181][182][183]、サンダース報道官も米朝首脳会談は「非核化の具体的な行動が前提」と述べた[184]。10日、ペンシルバニア州での集会でトランプは「何が起こるかは誰も分からない。私は即立ち去るかもしれないし、席に座って世界にとって最高のディールに成功するかもしれない」と演説した[185]

2018年3月25日、最高指導者就任後の初外遊で中国を訪れた朝鮮労働党金正恩委員長と会談した中国共産党習近平総書記から伝言を受け取り、トランプ大統領は「金正恩が北朝鮮の国民と人類のために正しい選択を行うのは今がいい機会だ。我々の会談が楽しみだ。中朝首脳会談を大成功させた習近平から金正恩が私と会うことを楽しみにしてると伝えられた。同時に残念ながらそれまで最大限の制裁と圧力は何があっても保ち続ける!」と述べ[186]、ホワイトハウスも「最大限の圧力が功を奏した」と評価した[187]

2018年3月31日、ポンペオCIA長官が極秘訪朝して2000年に平壌を訪問したマデレーン・オルブライト米国務長官と金正日総書記の直接会談以来の米朝のハイレベル対話を金正恩委員長と行った[188]。非核化や拘束された米国人解放などを議論したとされる[189]

2018年4月8日、金正恩が朝鮮半島の非核化を議論する意思を持つことが初めて北朝鮮から米国に直接伝達され[190][191]、9日には朝鮮労働党政治局会議の席上で金正恩が米朝首脳会談ではないものの展望として米朝対話に公式で初めて言及した[192]

2018年4月18日、日本の安倍晋三首相との日米共同記者会見で北朝鮮の非核化まで最大限の圧力を維持するとして「米朝首脳会談で成果を得る見込みがない場合は出席せず、実現しても途中退席する」と述べた一方[193]、韓国が休戦協定の平和協定への転換や朝鮮戦争の終結宣言を南北首脳会談で議論する意向であることについて歓迎するとした[194]

2018年5月、トランプ大統領は6月12日に予定していた米朝首脳会談を中止するとの書簡を金正恩党委員長に送り、発表した。大統領は北朝鮮当局者が同国を牽制する発言をしたペンス副大統領を「愚かで無知」と述べたコメントを引用し、怒りと敵意に満ちた中での会談は望ましくないとして中止するとの意向を示した[195]

2018年6月1日、トランプ大統領は訪米した金英哲との会談後、予定通りに米朝首脳会談を行うと述べ、非核化後の経済支援を行うのは「韓国がすべきであり、日本もだ。正直、中国が助けると思う」として米国による資金拠出は否定した[196][197]

2018年6月12日、シンガポールセントーサ島で金正恩とトランプ大統領は史上初の米朝首脳会談を行い、米朝国交正常化や朝鮮半島の完全な非核化などを目指すと掲げた米朝共同声明に署名し[198]、トランプ大統領は記者会見で会談実現に努めた韓国文在寅大統領、友人でもあるとして日本の安倍首相や中国の習主席に謝意を表明して非核化の費用は日韓が負担すべきとして対北制裁の当面継続と米韓合同軍事演習の中止や将来的な在韓米軍の撤退も述べた[199][200][201]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]