第36独立海軍歩兵旅団 (ウクライナ海軍)
第36独立海軍歩兵旅団 36-та окрема бригада морської піхоти | |
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創設 | 2003年12月 |
再編成 | 2015年7月20日 |
所属政体 |
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所属組織 |
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部隊編制単位 | 旅団 |
兵科 | 海軍歩兵 |
兵種/任務/特性 | 水陸両用戦 |
人員 | 2,605人 |
所在地 |
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愛称 | ミハイル・ビリンスキー |
上級単位 | 海軍歩兵司令部 |
担当地域 |
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主な戦歴 |
ロシアのクリミア侵攻 ドンバス戦争 ロシアのウクライナ侵攻 |
現司令官 | ヴィクトル・シコーザ大佐 |
第36独立海軍歩兵旅団(だい36どくりつかいぐんほへいりょだん、ウクライナ語: 36-та окрема бригада морської піхоти)は、ウクライナ海軍の旅団のひとつ。海軍歩兵司令部隷下。
概要[編集]
2003年12月、第32軍団隷下の第73独立機械化大隊、第501独立機械化大隊、第406独立旅団砲兵群、第22対空ミサイル大隊を基幹に、第36独立沿岸防衛旅団として、クリミア自治共和国シンフェロポリで創設された。
2004年3月、クリミア自治共和国駐屯の第4独立海軍歩兵旅団隷下から第1独立海軍歩兵大隊が配属された。
ロシアのクリミア侵攻[編集]
2014年2月27日、ロシアのクリミア侵攻では、旅団長のセルゲイ・ストロジェンコ大佐がロシア連邦軍に寝返り、部隊は戦わずに降伏して、クリミア半島は陥落した。裏切らずにウクライナ本土に退却した団員達がウクライナ国民への忠誠を宣誓して、2015年7月に、第36独立海軍歩兵旅団として、ムィコラーイウ州ムィコラーイウで再編された。また裏切者を中心にロシア海軍黒海艦隊隷下に第126独立沿岸防衛旅団が再編された[1]。
2017年6月14日、第1大隊を基幹に、第503独立海軍歩兵大隊をドネツィク州マリウポリに新編した[2]。
2019年7月7日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領から、「ミハイル・ビリンスキー」の名誉称号を授与された[3]。
ロシアのウクライナ侵攻[編集]
南部ムィコラーイウの戦い[編集]
2022年2月24日から、旅団司令部、旅団砲兵群、対空ミサイル大隊、後方部隊が南部ムィコラーイウ州ムィコラーイウの守備隊として配備され、4月上旬にロシア軍はムィコラーイウから撤退した[4][5]。
東部ヴォルノヴァーハの戦い[編集]
2022年2月24日から、第53独立機械化旅団の援軍で第503独立海軍歩兵大隊が東部ドネツィク州ヴォルノヴァーハに配備され、司令官のパベル・スビトフ大尉が戦死し、3月中旬にヴォルノヴァーハは陥落した[6]。
東部マリウポリの戦い[編集]
2022年2月24日から、ロシアのウクライナ侵攻では、旅団の大部分が南東部の要衝とされるドネツィク州マリウポリ地区に配備され、26日には第1独立海軍歩兵大隊が配備されていたフヌートヴェの防衛線を突破され、マリウポリ郊外に撤退した。ロシア軍の攻勢を数週間食い止めるも、戦車大隊が壊滅するなど大損害を出し、3月にはマリウポリ市内まで撤退してイリイチ製鉄所を陣地とした[7]。
2022年4月4日、イリイチ製鉄所の北部に配備されていた第503独立海軍歩兵大隊が壊滅し、兵士267名が降伏し捕虜になったとロシア側が発表した[8]。しかし、部隊はこれを否定し、証拠として公開された映像が検証された結果、降伏したのは第501独立海軍歩兵大隊だったことが判明した[9]。
2022年4月10日、部隊に撤退命令が出され、76人の兵士がマリウポリから脱出したが、前線のウクライナ軍陣地まで無事に辿り着けたのは7人だけで、多くが道中に殺されるか捕虜となった[10]。
2022年4月11日-12日、市内中心部のイリイチ製鉄所から市内南東部のアゾフスタリ製鉄所を陣地にしていたアゾフ連隊と合流する際に、司令官のウォロディミル・バラニュク大佐を含む、50名が戦死、兵士42名が降伏し捕虜になったとロシア側が発表した[11]。
2022年4月13日、イリイチ製鉄所に留まっていた旅団の100名以上の負傷兵を含む、兵士1,026名が降伏し捕虜になったとロシア側が発表し、イリイチ製鉄所の陣地を失った[12]。
2022年4月14日、合流したアゾフ連隊と合同でアゾフスタリ製鉄所を陣地に、マリウポリの防衛任務を継続すると宣言した[13]。
2022年4月20日、市内南西部の港湾地区で戦闘していた第12特務旅団、国境警備隊、警察官など500名と合流したが、港湾地区の陣地を失った[14]。
2022年5月16日、ロシア国防省がアゾフスタリ製鉄所の負傷兵を避難に合意したと発表し、ウクライナ軍参謀本部も「マリウポリの守備隊は司令部が命じた全ての任務を完遂した」と発表し、マリウポリの守備隊に撤退を命令した[15]。ウクライナ国防省は人道回廊が設置され、53名の負傷兵を含む、260名以上のウクライナ兵が製鉄所から避難したと発表した。ただし、投降した捕虜扱いでロシア軍の支配地域に移送された[16][17]。
最終的にはマリウポリの戦いで死傷者1,000人以上の大損害を出して部隊が壊滅したため、駐屯地のムィコラーイウで再編成され、新兵訓練にはNATO加盟国の退役軍人や退役警官が協力した[18]。
2022年6月下旬、旅団砲兵群を南部ヘルソン州の前線に配置した[19]。
ウクライナの南部反攻[編集]
2022年8月下旬、南部ヘルソン州の前線に配置され、11月中旬にロシア軍はヘルソンから撤退した[20]。
東部アウディーイウカの戦い[編集]
2022年11月、東部ドネツィク州アウディーイウカの前線に配置されている[21][22]。
編制[編集]
旅団司令部(ムィコラーイウ)
第1独立海軍歩兵大隊(ムィコラーイウ)
第501独立海軍歩兵大隊(ベルジャーンシク)
第2海軍歩兵大隊
戦車大隊
旅団砲兵群
- 指揮情報中隊
- 自走砲大隊
- 対戦車砲大隊
- ロケット砲大隊
対空ミサイル大隊
工兵中隊
整備中隊
補給中隊
偵察中隊
狙撃中隊
電子戦中隊
化学防護中隊
衛生中隊
ギャラリー[編集]
脚注[編集]
- ^ ハリネズミのように要塞化されるクリミア半島 Yahoo!ニュース
- ^ 海兵隊の第503大隊に関するTOP-10の事実 アーミーFM
- ^ УКАЗ ПРЕЗИДЕНТА УКРАЇНИ №495/2019 ウクライナ大統領府
- ^ Proud Band of Ukrainian Troops Holds Russian Assault at Bay — for Now ニューヨーク・タイムズ
- ^ UNITREP – 36th Marine Brigade ミリタリー・ランド
- ^ “Ukrainian marine commander killed fighting Russian invaders” (英語). Newsweek (2022年3月12日). 2022年3月14日閲覧。
- ^ Russian invasion update: Ukraine repels tank attack, captures six Russians in Mariupol ウクルインフォルム
- ^ Кадыров сообщил, что в Мариуполе сдались более 250 украинских морпехов RIAノーボスチ
- ^ В РФ заявляют о взятии в плен украинских морпехов в Мариуполе: что известно (фото) フォーカス
- ^ Пішки з оточеного міста. Невідома історія виходу морпіхів із Маріуполя ウクライナ・プラウダ
- ^ マリウポリでウクライナ第36海兵旅団の司令官を殲滅=ドネツク人民共和国民警 スプートニク
- ^ ウクライナ兵1000人超、マリウポリで投降 ロシア国防省 フランス通信社
- ^ マリウポリ防衛に参加する部隊指揮官2名、共同で呼びかけ動画公開 ウクルインフォルム
- ^ Морпехи и "Азов" спасли полтысячи бойцов из порта Мариуполя – СМИ ウクライナ・プラウダ
- ^ “ウクライナ軍、全任務を達成したマリウポリ部隊に「兵士の命を救え」と命令”. grandfleet.info (2022年5月17日). 2022年5月17日閲覧。
- ^ マリウポリの製鉄所、負傷兵の退避始まる ロシア国防省発表 CNN
- ^ マリウポリ製鉄所からウクライナ兵退避開始、捕虜交換へ ロイター
- ^ U.S. Veterans Race to Train Ukrainians as Marines; ‘Time Is Not on Their Side’ ウォール・ストリート・ジャーナル
- ^ 伝えられるところによると、ウクライナの砲兵隊はヘルソン地域でロシア軍を攻撃します ニューズウィーク
- ^ Ukraine Is Attacking Everywhere フォーブス
- ^ 侵略370日目 – まとめ ミリタリー・ランド
- ^ Морпіхи 501 батальйону знищили позицію окупантів на Донеччині (ВІДЕО) ShoTam