2023年ドニプロの集合住宅へのミサイル攻撃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2023年ドニプロの集合住宅へのミサイル攻撃
2022年ロシアのウクライナ侵攻における民間人への攻撃英語版
Dnipro after Russian missile attack, 2023-01-14 (02-01).jpg
ミサイルが着弾した後の集合住宅の様子
場所  ウクライナドニプロ
日付 2023年1月14日
攻撃手段 ミサイルの発射
武器 巡航ミサイル
死亡者 少なくとも40人
負傷者 75人
犯人 ロシアの旗 ロシア
テンプレートを表示

2023年ドニプロの集合住宅へのミサイル攻撃(2023ねんドニプロのしゅうごうじゅうたくへのミサイルこうげき)は、ロシアのウクライナ侵攻下にある2023年1月14日に、ウクライナドニプロにある集合住宅に対して行われたロシアによるミサイル攻撃。同日はウクライナ各地に攻撃が行われ、多くの死者や被害が出ており、『BBC』はドニプロへの攻撃について「ここ数カ月で最悪規模の被害となる」だろうと評した[1]

攻撃[編集]

ロシア軍が発射したミサイルは、2023年1月14日、ウクライナ東部ドニプロペトロウシク州ドニプロの9階建て集合住宅に着弾した[2][3]ウクライナ国家非常事態庁の発表によれば、このミサイル攻撃により、子供3人を含む40人以上が死亡した[3]。負傷者も75人に上る[4]。また同国報道官は、攻撃に使われたミサイルが、長距離爆撃機から発射された巡航ミサイル「Kh-22」だと述べている[5]

反応[編集]

ウクライナの大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは、15日夜の演説の中で「ドニプロでの攻撃を前に、あなた方は臆病風に吹かれて沈黙している」とロシア国民に向けて語った[6]。ウクライナの隣国であるポーランドの現行首相マテウシュ・モラヴィエツキは、「非人道的」であり「ロシアは民間人に対する戦争犯罪を意図的に犯し続けている」と非難した[7]。エストニアの首相カジャ・カラスも「ロシアはテロ国家であることを改めて示した」と述べた[6]。当のロシアは、今回の攻撃がウクライナによるものであるとし、自国軍の関与を否定した[2]。ロシア国内では、モスクワのレーシャ・ウクライーンカ像に花やぬいぐるみを供え、今回の攻撃による犠牲者を追悼していた市民4人が拘束された。一方、ウクライナ大統領府顧問のオレクシイ・アレストビッチは攻撃同日に「ロシアのミサイルを迎撃したが、集合住宅に落下した」と述べ、ウクライナに責任があるというロシア側の主張に肩入れしてしまうことになった[8]。この発言はロシア側のプロパガンダに利用され、ウクライナ国民から怒りの抗議が上がり、17日には辞任を表明した[9]

また、国際連合安全保障理事会はこの攻撃を受けて17日、公開会合を開催した[10]

会合内でのこれらの批判に対しロシアは「ミサイルはウクライナ側が住宅地に配備した防空網によって迎撃され、集合住宅に落下したものだ」と反論した[10]

脚注[編集]

  1. ^ ロシア軍、ウクライナ各地に新たなミサイル攻撃 集合住宅やエネルギー施設に着弾」『BBC NEWS JAPAN』、2023年1月15日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月17日時点におけるアーカイブ。
  2. ^ a b 露軍集合住宅攻撃、死者40人に 30人が下敷きか ウクライナ」『毎日新聞』、2023年1月16日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月18日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ a b 露のウクライナ集合住宅攻撃、子供含む死者40人に(1月17日)」『毎日新聞』、2023年1月17日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月17日時点におけるアーカイブ。
  4. ^ 集合住宅攻撃、死者40人 破壊力大きいミサイルか ウクライナ」『朝日新聞デジタル』、2023年1月17日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月18日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ ロシア軍が各地にミサイル攻撃 ドニプロで子ども含む21人死亡」『毎日新聞』、2023年1月15日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月17日時点におけるアーカイブ。
  6. ^ a b ロシア軍が住宅地を無差別攻撃か、子ども含む35人死亡 ウクライナ東部・ドニプロ」『東京新聞』、2023年1月16日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月16日時点におけるアーカイブ。
  7. ^ ロシアの攻撃受けた集合住宅、死亡・行方不明74人 ウクライナ東部ドニプロ」『BBC NEWS JAPAN』、2023年1月16日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月17日時点におけるアーカイブ。
  8. ^ 集合住宅攻撃で責任逃れ 「軍事施設」「ウクライナ原因」―ロシア」『時事通信』、2023年1月17日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月17日時点におけるアーカイブ。
  9. ^ ウクライナ大統領顧問が辞任 集合住宅へのミサイル攻撃めぐる発言で」『BBC NEWS JAPAN』、2023年1月18日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月18日時点におけるアーカイブ。
  10. ^ a b c d e 集合住宅へのミサイル攻撃、安保理で非難相次ぐ…ロシアは反論「ウクライナ側の迎撃で落下」」『読売新聞オンライン』、2023年1月18日。2023年1月18日閲覧。オリジナルの2023年1月18日時点におけるアーカイブ。

関連項目[編集]