黒海艦隊

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黒海艦隊
Черноморский флот
Great emblem of the Black Sea fleet.svg
創設 1783年5月13日
所属政体 ロシアの旗 ロシア
所属組織 Great emblem of the Russian Navy.svgロシア海軍
兵種/任務/特性 艦隊
人員 25,000名[1]
所在地 セヴァストポリ
主な戦歴 露土戦争 (1787年-1791年)
第二次対仏大同盟
露土戦争 (1806年-1812年)
露土戦争 (1828年-1829年)
クリミア戦争
ロシア第一革命
第一次世界大戦
第二次世界大戦
南オセチア紛争 (2008年)
2014年クリミア危機
ケルチ海峡事件英語版
シリア内戦英語版
ウクライナ侵攻
現司令官  
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黒海艦隊(こっかいかんたい、ロシア語:Черноморский флот チョルナモールスキイ・フロート、略称ЧФ)は、黒海に駐留している艦隊である。ロシア連邦の管轄下にあり、ロシア海軍に所属している。

現在、主要基地であるウクライナ領(2014年3月18日にロシアが連邦への編入を宣言したが国際的には認められていない)セヴァストポリに加え、ロシア領ノヴォロシースクでも拠点の建設作業が行われている。

概要[編集]

かつてはロシア帝国海軍ソ連海軍の一部であり、クリミア戦争独ソ戦などを経験した。その中で、黒海艦隊は戦艦巡洋艦、攻撃型潜水艦が配属されるなど主力艦隊の一翼を担っていた。ロシア帝国時代から黒海艦隊の兵員は多くがウクライナ人で占められており、1917年の時点で構成員の80 %を占めていた。そのため、ロシア革命後には黒海艦隊は長らく反ロシア共産党派についた。しかし、1965年から段階的にその割合は減ぜられ、ロシア人の割合が上昇した。

冷戦期には、黒海から地中海へ艦艇を継続的に進出させて、アメリカ海軍イギリス海軍と対峙していた。米英海軍艦艇との接触事故も何度か発生している。NATO軍との戦争が勃発した場合はブルガリア海軍及びルーマニア海軍と協力してボスポラス海峡からマルマラ海ダーダネルス海峡を制圧して黒海から地中海方面への交通路を確保する事が任務となっていた為、海軍歩兵や戦闘爆撃機を装備した海軍航空隊を保有している。

ソビエト連邦の崩壊の過程で、主要基地であったセヴァストポリ海軍基地の所在地であるクリミア半島ウクライナ領になったことから艦隊の帰属が宙に浮くことになった。長らく二国間で協議が進められた結果、艦隊の分割と基地の使用権に関する協定が結ばれた。この協定により、ロシア海軍は2017年(後の2010年に結ばれたハリコフ合意により2025年まで延長)までセヴァストポリに駐留することが認められた。 なお、ウクライナ海軍が引き取った大型艦艇の多くは、後に天然ガスの代金の未納分で相殺する形でロシア船籍となっている。

2004年にウクライナでオレンジ革命と呼ばれる政変が起こり、ヴィクトル・ユシチェンコ政権が成立した。同政権はNATO加盟を目指すなど親西側路線を掲げる一方、ロシアに対しては2017年までに黒海艦隊を撤退させるよう要求した。 しかし2010年の選挙で親露派と目されるヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権が成立したことにより、黒海艦隊の駐留期限をさらに25年延長する協定が結ばれた。これにより、黒海艦隊は少なくとも2042年まではセヴァストポリを母港とすることが可能となったが、そのヤヌコーヴィチ政権が崩壊した2014年にロシアはクリミア半島全域を支配下に置き、編入を宣言した

2010年頃の黒海艦隊にとって最大の問題は艦艇の老朽化であった。旧式艦が多数在籍しており、約40隻の在籍艦艇中、稼動状態にあるものは20隻程度でしかなかった[2]。しかも、黒海はジョージアに面しており、2008年8月のような武力紛争が再び発生した場合には黒海艦隊が海上優勢の確保や輸送を担わなければならない。

このため、ロシア海軍は2020年ころまでに黒海艦隊の近代化を重点的に進める予定で、6隻の11356M型フリゲート、6隻の636型(キロ級)ディーゼル・エレクトリック潜水艦、2隻のイワン・グレン級大型揚陸艦を含む新艦艇20隻を配備する予定であった。2022年現在準同型艦のタルワー級を取得していたインド海軍が11356M型2隻を取得することになったため同フリゲートの取得予定は4隻に減少した。またイワン・グレン級については北方艦隊配備が優先され実現していない。

歴史[編集]

編制[編集]

艦艇部隊[編集]

艦級は運用側呼称ではなく慣用による。

  • 黒海艦隊旗艦:スラヴァ級ミサイル巡洋艦モスクワ(沈没)
  • 第30水上艦艇師団:セヴァストポリ
  • 第4潜水艦旅団:ノヴォロシスク
  • 第41ミサイル艦旅団:セヴァストポリ
  • 第68水域警備艦旅団:セヴァストポリ
    • 第400対潜艦大隊:セベルナヤ湾/セヴァストポリ
    • 第418掃海艇大隊:ユジナヤ湾/セヴァストポリ
      • ナーチャI型航洋掃海艇:トゥルビニスト、イワン・ゴルヴェツ、コヴロヴェツ、ヴィツェアドミラル・ジューコフ
  • 第184水域警備艦旅団:ノヴォロシスク
    • 第181対潜艦大隊:ノヴォロシスク
    • 第170掃海艇大隊:ノヴォロシスク
      • ゴーリャ型航洋掃海艇:ジェレズニャコフ
      • 改ナーチャI型航洋掃海艇:ヴァレンティン・ピクリ
      • 02668型航洋掃海艇:ヴィツェアドミラル・ザハリン
      • ソーリャ型沿岸掃海艇:ミネラルニー・ヴォデイ、レイテナント・イリイン
  • 第183支援・捜索・救難大隊:セヴァストポリ
    • ヌイリャトII型水中作業母船:VM-86、VM-108
    • ポザールヌイ型消防船:PZHK-58
    • 23370型港内作業艇:SMK-2094
    • オフテンスキー型航洋曳船:SB-4
    • 23040型水中作業母船:RVK-764、RVK-762、RVK-767、RVK-771、RVK-1045
    • サルベージ重量物運搬船:コムーナ
    • ミハイル・ルドニスキー級救難艦:サヤニイ
    • SK-620型交通船:PSK-1321
  • 第519独立偵察艦大隊:セヴァストポリ
  • 第9海洋保障船舶旅団:セヴァストポリ
    • 1606型曳船:BUK-645
    • ボリス・チリキン級補給艦:イワン・ブブノフ
    • ラマ型ミサイル弾薬補給艦:ジェネラル・リャビコフ
    • 貨物船:ドヴィニツァ50、ヴォログダ50
    • 03180型油槽船:VTN-73
    • オビ級病院船:エニセイ
    • シェロンII型通信船:KSV-2155、KSV-67

海軍航空隊[編集]

海軍歩兵・沿岸防衛部隊[編集]

  • 第810独立海軍歩兵連隊:セヴァストポリ
  • 第382独立海軍歩兵大隊:テムリュク
  • 第11沿岸ミサイル・砲兵旅団:アナパ
  • 第219独立電波電子戦連隊:オトラドノエ
  • 第102独立対水中破壊工作大隊:セヴァストポリ
  • 第431海上偵察所(軍部隊51212):トゥアプセ。海軍スペツナズ

主要根拠地[編集]

発足以来、黒海艦隊は長年にわたりセヴァストポリを根拠地としてきたが、ソ連崩壊以降は1997年のロシア-ウクライナ間協定により同地の使用権を期限付きで得ているものの、ウクライナの政治情勢により使用権・協定更新などの扱いが変動し、また艦艇・装備の更新も認められていないなど不安定な状態に置かれてきた。一方、ロシア領内のノヴォロシースクにも海軍基地は設置されていたものの規模が小さく、大規模な部隊の配置には不適であった[10]

このような情勢に対処するため、2000年代以降ロシア海軍はノヴォロシースクの基地を拡張して黒海艦隊の主力をこちらに移すこととし、2005年からノヴォロシースク海軍基地の拡張作業が開始された[10]。この拡張計画により、それまでノヴォロシースク港の海軍埠頭には艦船数隻程度の接岸が可能であるに過ぎなかったところを、2010年までに複数の埠頭を整備し、2020年までに航空基地などの附属施設も整備することとしていた[10]。その後、黒海艦隊への新造艦配備計画に関連して、これら新造艦をロシア-ウクライナ間協定に縛られないノヴォロシースク基地に配備して運用するため、拡張計画の規模は更に拡大され、2014年までに新造艦の配備・運用に必要な施設を整備することとなっていた[11]。しかしながら、2014年のロシアによるクリミア半島編入により、ロシアはセヴァストポリを安定して使用できる状況が生じつつあり、今後のセヴァストポリ・ノヴォロシースク両基地の位置付けも変化することとなる。

国外ではシリアの港湾都市ラタキアタルトゥースを長年補給拠点としており、これらを策源地として2015年にロシア軍がシリア内戦でアサド政権を支援して介入した。黒海艦隊は、トルコの支配下にあるボスポラスダーダネルス両海峡というチョークポイントを抱え、両海峡はモントルー条約により軍艦の通過に制約を課せられていることから、その外側にあるシリアの基地は貴重な存在となっている。

歴代司令官[編集]

黒海艦隊司令官
職名 氏名 階級 在任期間 出身校 前職
司令官 ウラジーミル・コモエドフ 大将 1998.7-2002.10
司令官 ウラジーミル・マソリン 大将 2002.10-2005.2 黒海高等海軍学校 カスピ小艦隊司令官
司令官 アレクサンドル・タタリノフ 大将 2005.2-2007.7 黒海高等海軍学校 黒海艦隊参謀長
司令官 アレクサンドル・クレツェコフ 中将 2007.7-2010.7 バルト艦隊参謀長
司令官 ウラジーミル・コロロフ 中将 2010.7-2011.6
司令官 アレクサンドル・フェドテンコフ 中将 2011.6-2013.4
司令官 イゴール・オシポフ 大将 2019.5-

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Шойгу: действия Минобороны РФ в Крыму были вызваны угрозой жизни мирного населения”. イタルタス通信 (2014年4月4日). 2022年2月12日閲覧。
  2. ^ "Черноморский флот до 2020 года получит 6 фрегатов и 6 ДЭПЛ," ИТАР-ТАСС, 27 октября 2010. ヴィソツキー海軍総司令官の発言
  3. ^ “ウクライナ問題に決着つけるエネルギー価格”. スマートエネルギー情報局. (2014年5月23日). http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40762?page=5 2014年6月18日閲覧。 
  4. ^ “中露軍が地中海演習を終了”. 産経新聞. (2015年5月22日). http://www.sankei.com/world/news/150522/wor1505220005-n1.html 
  5. ^ “General Staff update: Not Orsk but Saratov landing ship destroyed at Berdiansk Port”. UKRINFORM (Ukraine). (2022年3月25日). https://www.ukrinform.net/rubric-ato/3439345-general-staff-update-not-orsk-but-saratov-landing-ship-destroyed-at-berdiansk-port.html 
  6. ^ Russian warship destroyed in occupied port of Berdyansk, says Ukraine”. BBC (2022年3月24日). 2022年4月19日閲覧。
  7. ^ Появилась информация об аресте командира Черноморского флота России”. 2022年4月22日閲覧。
  8. ^ Три фрегата для ЧФ строятся на заводе "Янтарь", следующие контракты запланированы с иностранными заказчиками - заместитель главкома ВМФinterfax 2017年7月1日
  9. ^ Подлодку «Великий Новгород» спустили на воду в Петербурге(ロシア語)
  10. ^ a b c 世界の艦船』2008年7月号(No.692) pp.226-227
  11. ^ 『世界の艦船』2014年5月号(No.797) p.153

外部リンク[編集]