アノニマス (集団)

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アノニマス: Anonymous)は、インターネット上のハクティビズム活動家が緩やかにつながりをもった国際的なネットワークである。 名目上、グループと関連しているWebサイトにおいては「命令というよりもアイデアに基づいて運用されている非常に緩やかで、分散化された指揮系統をもったインターネット上の集まり」と評されている[1]

アノニマスのロゴマーク

概要[編集]

2008年2月、ロサンゼルスにて。アノニマスとして公の場に現れた人々。コミックおよび映画Vフォー・ヴェンデッタで有名になったガイ・フォークスの仮面を被っている。
ROFLConに現れたアノニマス。2008年4月26日。

アノニマスはいくつかの掲示板やYoutubeの利用者から発生したともされている。掲示板では投稿する際に名前を入力しないと名無しを意味するAnonymousと表示される。後述の映画「We Are Legion」に出演したアノニマスメンバー(プロジェクト・チャノロジー メンバー)は「アノニマスというのは最初冗談で始まりました。」「サイト全体をアノニマスというたった一人の人間が作っているとしたらどうだろう?と誰かが言い出したんです。」と証言している。日本の雑誌取材によると、ホームページをアノニマスとして作成する段階から徐々に集団意識として芽生えてくる様がレポートされている。

初期の抗議活動もIRCではない掲示板で話し合われる事が多かった。この取材によればYouTubeにアップされた動画の削除に対し集団アノニマスとして抗議行動をとり、この攻撃を残念に思った人物が攻撃中止のビデオメッセージを投稿すると、それに感銘を受けた参加者「アノニマス」達が平和的な抗議デモに切り替えて、世界100都市7000人を超える平和的なデモが行われたという[2]。この様に、必ずしもアノニマスの参加者がハッカーやクラッカーのみではなく、中にはクラッキング攻撃に否定的な集団もいる。対してオペレーション(Operation)と呼ばれるハッキング・クラッキング行動が2010年ごろから開始され、彼らは徐々に活動拠点を移していった。

行動を肯定するAnonOpsと、それを否定するAnonNetと呼ばれる「流行」に分かれたと見る向きもある。特定のリーダーは存在していないが、その時々のブームメントの牽引者が自然発生的に存在する。2013年には全てのインターネットを停止させるオペレーショングローバルブラックアウト(OpGlobalBlackout)が予告されたが賛同が集まらず自然立ち消えになった事もある[3]。この様に、参加・不参加は各人の自由であり、意識として必ずしも全体として統一したものとも限らない。「ラルズセック」のような分派が存在し、中にはホワイトハッカーに転身する者もいる[4]

活動拠点を一つをIRCやそれ以外の掲示板などの様々なプラットフォームに広がった為、全体の総数は測定不能だが、IRC接続者が常時数百人程度はおり、これらのことから彼らがコアメンバーとみなされる事もある。アノニマスに人数を質問すると9000人以上と答えるジョークが存在する。ただしこれはパロディとされている。実際の全体総数では、数千人規模ともとも言われ、様々な人種・国境に広がっている。そのためお互いに異なる意見も内包しているとみられ、自然発生的に小さな無数のグループが存在しているとIIJは推測している。また、誰もが名乗れるために、アノニマスを自称しているハッカーやクラッカーも相当数いると言える。そういう意味では、定義困難なグループともいえるが、主に抗議行動・DDoS攻撃クラッキングといったハクティビズム (Hacktivismを行う集団、またはそうした一連の活動を指すインターネットミームとも言える。広義に分類すれば、1つの集団とも言える。「anonymous」という単語は「匿名の」という意味の形容詞である。

P2P規制といったものやウィキリークスアラブ騒乱を抑圧する各国政府への攻撃や自由など脅威と彼らがみなしたものに対して大規模な攻撃を突発的に行っていた。2008年に行われた、サイエントロジー公式ウェブサイトへのDDoS攻撃で有名になった。関連ウィキサイトや、Encyclopædia Dramatica、その他の多数のインターネットフォーラムが、アノニマスに関係しているという説も存在している。

We are Anonymous. We are Legion. We do not forgive. We do not forget. Expect us. (我らはアノニマス。我らはレギオン。我らは許さない。我らは忘れない。待っていろ。) 」を標語として掲げる。

起源[編集]

アノニマスのメンバー

アノニマス(Anonymous)とは「匿名の」という意味を持つ形容詞。語源は、ギリシャ語 ἀνώνυμος anṓnumos アノーヌモス:an-, “without”+ ónoma, “name” つまり、 “without name”「名前のない」からきている。 インターネットにおいては掲示板に画像やコメントを投稿する時の名前の無いというところから使用されている。この共有人格的な意味での使われ方のアノニマスは匿名画像掲示板が発祥である。この掲示板では、名を名乗らずコンテンツを投稿する人(名無しさん等のように)に対して「アノニマス」というタグがつけられる。掲示板においてアノニマスという言葉は、本物の人間を表すようになっていった。4chanが流行するにしたがって、アノニマス=名もなき個人の集団という考え方は一種のインターネットミームとして定着していった[5]。つまり、概念的な話となるが、アノニマスは広く、名付けられていない集団を示している。その定義では、簡単に一括りに出来ないと言うことが強調され、その量の大きさを示す警句で示される。

インターネットを基礎にした最初の集合的無意識である。アノニマスは、烏合の衆が集団であるという意味で集団である。その集団をどう認識するかって? 彼らが同じ方向を向いて動いてるからだ。いつでも参加し、離れ、どっかへ行ってしまう。

クリス・ランダース、ボルチモアシティペーパー, April 2, 2008.[6]

活動[編集]

オーストラリア政府への攻撃[編集]

インターネット規制に抗議する形でオーストラリア政府にサイバー攻撃とデモなどの合法的な抗議活動を行っている。アノニマスは、これをOperation Titstormと呼んでいる。詳細は2010年2月オーストラリアサイバー攻撃の項目参照。

アラブの春[編集]

2010年から2011年にかけて起こっているアラブ世界での反政府デモや騒乱(アラブの春)に関連して、アノニマスも活動を行っていることを示す報道が見受けられる。

チュニジアでのウィキリークス情報の検閲と、2010年から2011年にかけてチュニジアで起こった「ジャスミン革命」における情報統制に関連して、8つの政府のウェブサイトがアノニマスのDoS攻撃のターゲットとなった[7]。アノニマスは自らの作戦を「チュニジア作戦Operation Tunisia)」とし、政府の規制に対する非難声明を記した公開書簡の形のウェブページで、チュニジア政府のサイトを書き換えた[8]

2011年1月26日「Operation Egypt」(エジプト作戦)と名付けられたプレスリリースが公開され、エジプト政府は検閲を行い人々の言論宗教の自由が抑圧されていると非難した。そしてエジプトの人々に対して、発言の自由や情報発信の権利を守るために現実世界とインターネットの両方の世界に置いて、共に立ち上がろうと呼びかけた[9][10]。2月初頭、アノニマスは反政府活動を行なう人々の支援を受け、エジプト情報省とムバーラク大統領のウェブサイトを攻撃しオフライン化させた[11]

麻薬組織への対抗[編集]

2011年10月6日、アノニマスのメンバーを名乗る者が、メキシコの麻薬組織セタスにさらわれた仲間を助けるため、セタスに協力している人物の情報を公開するとYouTube上にアップロードした動画で脅した[12]。これにより、同年11月4日に仲間は解放された[13]

違法ダウンロード刑事罰化への対抗[編集]

2012年、6月20日に日本で可決された違法ダウンロード刑事罰化に対する抗議活動を行うことを6月23日に宣言[14](米東部標準時25日(日本時間26日午前2時ごろ)にツイッターでも宣言されたため、一部25日との報道あるが、実際は23日)[15]。26日に財務省自民党民主党などの公式ウェブサイトを[16]、翌27日夜には日本音楽著作権協会(JASRAC)[17]公式ウェブサイトをサーバダウンさせている。今後、日本政府と日本レコード協会に対する攻撃をほのめかしており、日本の警視庁は不正アクセス禁止法違反の容疑で本格的な捜査に乗り出すことを発表した[18]

その一方、「国土交通省霞ヶ浦河川事務所」を攻撃(「大飯原発再稼働反対」を訴える画像などを掲載)したものの日本のネットユーザーから「『霞ヶ関(かすみがせき)』を『霞ヶ浦(かすみがうら)』と間違えているのでは?」と指摘され、アノニマス側は「やっぱり日本語は難しい」とTwitterで述べている[19][20]

北朝鮮への対抗[編集]

2013年、朝鮮民主主義人民共和国当局に対し人工衛星「光明星3号2号機」打ち上げを「弾道ミサイル発射実験」であるとして、また2012年の米国の核実験や米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」に対抗する一連の措置を採ったことについて「核実験を行った」として一方的な抗議活動を行い、関係の複数サイトを攻撃。サイト「わが民族同士」をハッキングした問題で、サイトに関する情報などを公開した。  

過激派組織ISILへ宣戦布告 [編集]

2015年2月8日、中国メディア・澎湃新聞網は、アノニマスが過激派組織ISIL宣戦布告したと伝えた。ISILはフェイスブックツイッターなどあらゆるSNSインターネットを巧妙に利用し、世界中から参加者や賛同者を募っており、プロパガンダの重要なツールとしている。アノニマスはこうしたISILの態度に対し、「われわれはお前たちを追いかけ、アカウント、メール個人情報のすべてを暴く。お前らはウイルスで、われわれは治療者だ」と宣言し、数日間でISILに関するフェイスブックやツイッターのアカウント数100件を削除したとした上で、世界中のハッカーに対し、ネット上のISILのプロパガンダに対抗するよう呼びかけた[21]。一方でISILのアカウントを削除することで彼らの動きがつかみにくくなるマイナス面を指摘する声もある[22][23]

ネットいじめの犯人探し[編集]

カナダの15歳の少女がネットいじめによって自殺したことを受け、アノニマスはいじめの主犯格とされる男の名前と住所をネット上に公開した[24]

映画[編集]

We Are Legion: The Story of the Hacktivists[編集]

アノニマスを映画化したものに、『We Are Legion: The Story of the Hacktivists』(en:We_Are_Legion)が存在する。米Luminant Media社2012年制作。93分続くドキュメンタリー映画作品で、関連ニュース番組、元アノニマス(逮捕者およびその家族含む)、現アノニマス、アノニマスを研究している大学教授、関係が深いマスコミ記者などの専門家やアノニマスに攻撃されたセキュリティ会社元社長など複数のインタビュー取材を集積したものでアノニマスの真相に迫る作品として日本ではNHKが2013年3月5日に邦題「アノニマス~“ハッカー”たちの生態~」として放送した[25]。現在、日本語字幕を付け短く編集された編集版がYoutubeにアップロードされ公開されている[26]。LAダウンタウン映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞ほか複数の受賞が公式HP上にて確認できる。公式サイトには「私たちは多数あるハクティビストの物語」つまり続編の制作を発表している[27]

プランBエンターテインメントによる映画化[編集]

2014年4月ブラッド・ピットが所有する映画制作会社プランBエンターテインメントはアノニマスの逮捕者 Deric Lostutter(デリク・ロスタッター)および彼が暴いた事件の映画化権利を獲得した、とハリウッド系メディア[28][29]とイタリアメディア[30]は報じている。実際の制作スケジュールやキャストあるいは題名・公開予定日などは不明。

関連[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ Kelly 2012, p. 1678.
  2. ^ atmarkit「アノニマスの本当の姿が知りたい」(アノニマスへの取材)
  3. ^ IIJレポート
  4. ^ Bloomberg ソニー攻撃した元犯罪者ハッカー、会社員として再起目指す 2014/12/01 10:58 JST
  5. ^ Whipple, Tom (2008年6月20日). “Scientology: the Anonymous protestors.”. タイムズ (London). http://women.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/women/the_way_we_live/article4173635.ece 
  6. ^ Landers, Chris (2008年4月2日). “Serious Business: Anonymous Takes On Scientology (and Doesn't Afraid of Anything)”. ボルチモアシティペーパー. 2008年7月3日閲覧。
  7. ^ Anonymous activists target Tunisian government sites BBC NEWS 2011年1月4日(英語)
  8. ^ Payback is a bitch, isn't it? - An open letter to the government of Tunisia(実際に書き換えられた画面のスクリーンショット)
  9. ^ OPERATION EGYPT - ANONYMOUS PRESS RELEASE anonnews.org 2011年1月26日
  10. ^ OPERATION EGYPT anonnews.orgによるYouTube上の映像
  11. ^ Hackers Shut Down Government Sites The New York Times 2011年2月2日(英語)
  12. ^ “Online hackers threaten to expose cartel's secrets” (英語). ヒューストン・クロニクル. (2011年10月31日). http://www.chron.com/news/houston-texas/article/Online-hackers-threaten-to-expose-cartel-s-secrets-2242068.php 2012年6月25日閲覧。 
  13. ^ “アノニマス「仲間解放された」 麻薬組織から脅迫つきで” (日本語). 朝日新聞. (2011年11月5日). http://www.asahi.com/international/update/1105/TKY201111050352.html 2011年11月5日閲覧。 
  14. ^ Anonymous #OpJapan(対日本作戦)を開始(日立システムズ)
  15. ^ Anonymousが日本政府とレコード協会に“宣戦布告” 違法ダウンロード刑事罰化に抗議 IT media 2012年6月26日閲覧
  16. ^ アノニマス 民主HPも攻撃か 「ダウンロード犯罪にしたから」 東京新聞 2012年6月27日
  17. ^ JASRACのサイトがアクセス集中で一時停止、Anonymousの攻撃との関連性は調査中 INTERNET Watch 2012年6月28日
  18. ^ ハッカー集団「アノニマス」、警視庁本格捜査へ 政府機関など攻撃 SankeiBiz 2012年6月28日
  19. ^ 国際的ハッカー集団アノニマスの日本語ツイートがカワイイと話題に「でもちょっとミスしました。誤爆ごめんな(笑) やっぱり日本語は難しい。」 ロケットニュース24 2012年6月28日
  20. ^ OpJapan Official 2012年6月27日のツイートより
  21. ^ ISIS cyber attack by Anonymous Hacker - YouTube
  22. ^ ““伊斯兰国”引中东众怒,黑客组织宣布对其发动“全球网战”” (中国語). 澎湃新聞網. (2015年2月8日). http://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1301905 
  23. ^ ISISの横暴に国際ハッカー集団「アノニマス」が宣戦布告=「お前らはウイルスで、我々は治療する者だ」―中国メディア Record China 2月9日(月)13時43分配信, Yahoo!ニュース
  24. ^ 【海外:いじめ:アノニマス】あの国際的ハッカー集団「アノニマス」がカナダのネットいじめ自殺事件の主犯格の身元を特定、晒しで公開処刑か!? エキサイトニュース、2015年3月14日閲覧。
  25. ^ アノニマス~“ハッカー”たちの生態~(NHK)
  26. ^ ドキュメンタリー アノニマス~"ハッカー"たちの生態~(youtube)
  27. ^ 映画We Are Legion公式サイト
  28. ^ Brad Pitt's Plan B Acquires Hacker Story 'Anonymous vs. Steubenville'
  29. ^ Brad Pitt's Plan B Allegedly Buys Rights To 'Anonymous vs. Steubenville' Story
  30. ^ Brad Pitt farà un film su Anonymous

参考文献[編集]

外部リンク[編集]