早春物語

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早春物語』(そうしゅんものがたり)は、赤川次郎の小説。これを原作として1985年に映画が、1986年にTBSでテレビドラマが制作された。

書誌情報[編集]

映画[編集]

早春物語
監督 澤井信一郎
脚本 那須真知子
原作 赤川次郎
製作 角川春樹
市村一三
出演者 原田知世
林隆三
田中邦衛
音楽 久石譲
石川光
主題歌 原田知世
早春物語
撮影 仙元誠三
編集 西東清明
製作会社 角川春樹事務所
配給 東宝
角川春樹事務所
公開 日本の旗 1985年9月14日
上映時間 96分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 12億5000万円[1]
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同時上映『二代目はクリスチャン』とともに角川映画10周年記念映画[2]原田知世主演、澤井信一郎監督。製作・角川春樹事務所、配給・東宝/角川春樹事務所。

ストーリー[編集]

17歳の高校生・沖野瞳は「あの夢見ることない」というと麻子が「何か上から押さえつけられているようで、息苦しくなって、ああって感じで目が覚めるんだけどちょっと濡れてるんだよね」などと会話。春休みに写真部の撮影で、ひとり地元の鎌倉を巡るうち、梶川という中年男と出会う。自分は大学生と偽る。数日後、瞳は東京で、別れ際に教えられた梶川の会社を訪ねる。そして、誘われるままパーティに同伴し、梶川の大人の魅力にほのかな恋心を抱く。しかし、亡き母の命日に、母のアルバムから梶川の写真を発見してしまう。瞳の母はかつて、梶川に捨てられたのだった。瞳の中で、梶川への疑念と恋心が交錯する。瞳は梶川と箱根へドライブをし、かつて母と梶川が写真を撮った同じ場所へ行く。誰と来たのと聞かれて忘れたと答える梶川。その夜、ワインを飲んですねる瞳にキスをする。瞳はかつて母と梶川がデートした喫茶店に呼び、梶川は20年前の真相を語る。出会いも箱根で写真を撮ってくれ、というものだった。母の友人も彼に恋していて、二人の仲を知ると絶望して自殺。そのため二人は結婚をあきらめたという。瞳はお母さんと同じように抱いて、といいながら、ためらい、帰途に事故を起こす。

梶川はお見合いして返事がなかったが急に結婚したいと言われて結婚したという瞳の父に会う。瞳に愛していると伝えたい、そうすれば彼女の自分に対する恋心もなくなるから会いたいと話す。不倫相手の教師・横谷と心中死した、同級生の真佐子の葬式の後、梶川は会社をやめ、別の会社でやり直すと語る。

成田空港の梶川の前に瞳が現われる。梶川は君を本心から愛してると言う。

新学期が始まり、経験したという麻子に、瞳はそれだけじゃ女になれないのよと答える。

キャスト[編集]

沖野瞳
演 - 原田知世
17歳。高校では写真部に所属しており冒頭で鎌倉の春を写真に撮るためいくつかの場所を巡る途中で梶川と知り合う。率直な性格で普段誰かとの会話でも、やや突っかかるような話し方をしている。恋愛に関しては、キスもまだしたことがない。修三の敬子との再婚話には一応賛成しているが、本心ではまだ納得しきれておらず彼女に素っ気ない態度を取っている。初めて会った梶川には、“20歳になったばかりの大学2年生”と自己紹介し大人っぽく振る舞い始め、次第に彼に惹かれていく。
梶川真二
演 - 林隆三
42歳で未婚の独身男性。銀座にある商社「にっこう物産」のニューヨーク支店駐在員として働いてきたが、アメリカでの鉄鋼販売の事業でミスをして日本に呼び戻された。鎌倉のとある寺社で瞳と出会い、その帰りに東京への近道を教えてもらい一緒に食事をしたことから親しくなる。渋い大人の雰囲気を漂わせており、クラブのホステスらしき2人の女性からも言い寄られている。
沖野修三
演 - 田中邦衛
瞳の父。父子家庭で瞳と2人暮らし。妻に先立たれ現在は独身で、再婚を前提に敬子と交際している。さかえとは見合い結婚だが自身にとっては一目惚れ。春休み期間中に約1週間長野に出張する。
沖野さかえ
瞳の母。故人。4年前に亡くなっており作中で3月31日の命日を迎えている。若い頃に東京の看護学校に通っていて、作中の喫茶店でバイトをしていた。大学生時代の梶谷と付き合っていたが破局した過去がある。
大宅敬子(おおや)
演 - 由紀さおり
修三の恋人で瞳にとって継母となる予定。瞳からはやや距離を置かれていて、「大宅さん」と呼ばれている。修三の出張で家を空ける間、瞳を心配する彼に頼まれて沖野家で寝起きする。自身に対して反発気味な瞳に、さらっと大人の対応をする。
牧麻子(あさこ)
演 - 仙道敦子
瞳の親友。17歳。1ヶ月前からふみおという青学の3年生の彼氏と付き合い始めたばかり。子供から大人へ成長していく年頃で、瞳とは性や恋愛について一歩踏み込んだ会話をしている。梶川に惹かれ始めた瞳に遊ばれないように忠告する。
沢田真佐子
演 - 早瀬優香子
瞳と同じ高校に通う生徒。妻子ある教師の横谷と付き合っている。教師との不倫発覚でゴタゴタしていることもあり、作中では登場シーンでは感情的な言動をしている。横谷との不倫が学校にバレて、数日後瞳に自身の気持ちを語る。
松浦純子
演 - 宮下順子
看護師。さかえの看護学校時代の友達。瞳が持ってきた若い頃のさかえと梶川の写真を見ながら、2人が出会って恋に落ちその後破局した当時のことを彼女に伝える。
小野
演 - 津村鷹志
梶川の同僚で親友。職場では梶川と同じ派閥に所属していて気心の知れた関係。冒頭で支持していた常務が自宅療養することになり梶川に今後の会社員生活について不安を漏らす。
武藤
演 - 戸浦六宏
にっこう物産の部長。梶川の上司。部下である梶川たち数人でスナックに飲みに行くが、酔った彼に絡まれる。
会社員
演 - 伊藤克信
にっこう物産の会社員。梶川の後輩社員。社屋ビル前でたまたま会った瞳に「にっこう物産はどこですか?」と尋ねられる。
こいずみ
演 - 大林丈史
梶川の仕事関係の友人。立食パーティーで梶川に連れられて来た瞳と知り合う。
竹中常務
演 - 平幹二朗
にっこう物産の常務。梶川の上司で派閥の長。ガンにかかっており自宅療養している。
竹中夫人
演 - 岩崎加根子
夫の見舞いに自宅に訪れた梶川と小野を見送りの挨拶をする。
喫茶店マスター
演 - 小林稔侍
神田の「ランタン」で働く。ある時瞳と梶川が店で待ち合わせする。さかえがバイトしていたのは、自身の父がマスターをしていた頃で自身は彼女と面識はない。
水江
演 - 一色彩子
クラブのホステス。客の梶川とは男女の関係があるらしき人。
石原貴子
演 - 秋川リサ
梶川の知人女性。立食パーティーに梶川と一緒に来た瞳に嫉妬する。
ナンパする男
演 - 倉崎青児
1人で飲食店のカウンターに座る真佐子に一緒に飲もうと声をかける。
その他
演 - 有川博大場順井上博一加藤和夫有栖川淑子寺杣昌紀海一生ほか

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

製作[編集]

赤川次郎は原田知世の主演映画を念頭において本作を執筆したが[3][4]、原作にあったミステリー要素は消え、小説とは別の物語となった[4][5]。小説は当時、角川書店の発行する「野性時代」に連載中だった[3]

原田知世がそれまでの清純派のイメージを一新、中年男性をたぶらかず悪女を演じる[5][6]。製作発表会見で澤井信一郎監督は「知世ちゃんには私生活でも良い子でなくなって欲しいくらいだ」、角川春樹プロデューサーは「(原田の)この次の作品もハードボイルドで、北方謙三さんに書いてもらっている(『黒いドレスの女』)」と、原田の"悪女路線"を続けると宣言[6]。原田は「お父さんみたいな人をたぶらかすなんて。主人公の気持ちが理解できません」と話した[6]

演出[編集]

監督の澤井は『Wの悲劇』成功の後であったが、尊敬する三人、岡田茂東映社長、師匠・マキノ雅弘、本作プロデューサーの黒澤満から、「大振りするな、次は力を抜いて小さく行け」と同じ内容のアドバイスを受けたことから、今度は小品を撮ろうと決めた[7][8]。また、当時の映画が二時間とか、長尺化していたため、自身の子どもの頃に多かった一時間半程度に収めるように決めた[7]。『Wの悲劇』はどうしても説明が必要で短く出来なかったが『早春物語』は短くまとめることが可能と考えた[7]

脚本[編集]

『Wの悲劇』同様に難航[3]。澤井は、川端康成短編小説母の初恋』のイメージを脚本の那須真知子に伝えたが[4]、那須はハコ書きが書けず[9]。監督の澤井と毎日、ドライブインで打ち合わせ。冬の寒い中をバイクで行って、行くたびに怒られ1ヵ月の間これが続いた[9]。「澤井さんにはいじめられました」と述べている[9]。那須はこれ以降、原作があれば企画書なら書けるが、オリジナルの脚本は、最初から「ハコは出来ませんから」と言って、東映に確認を取って仕事を受けるという[9]

撮影[編集]

ヒロインの原田知世はまだ17歳。薬師丸ひろ子ならタタけば反応することができても、澤井映画の本格的なヒロインとしては早すぎないかと不安視された[10]。1985年3月~4月の原田の春休みに撮影したが、公開は夏ではなく秋になった。これは角川映画が自社配給を始めたためで、夏休みは洋画系上映館のブッキングは洋画各社の大作で占められているため、ブッキングできなかった[3]

配給[編集]

1984年夏、角川春樹が東映の岡田茂社長を訪ね、「来年から自社配給を手掛けてみたい」と伝えた[11][12]。しかし岡田から「やるのは勝手だが配給の仕事はわれわれの生命線だから、これまでのように協力は出来ない」[11]、「配給の機能、ノウハウ、宣伝を含めて人も機能も貸さない。一切あなたの方でやりなさい。これは当たり前のことです」と冷たく返答された[12]。1985年早々に行われた本作の製作発表会見で、角川春樹が自社配給業に乗り出すことを発表した[13]。このため、それまで角川映画の宣伝を一手に引き受けていた東映洋画部が縮小された[14]。東映洋画と角川春樹事務所とは一体のように考えられていて[13][15]、薬師丸ひろ子の独立も東映洋画の関与が噂された[15]。薬師丸は1985年3月末に角川春樹事務所から独立して個人事務所を設立し、4月に「励ます会」が開催されたが、アンチ角川の結集以外の出席者は角川に遠慮して僅か[15]。役者仲間は皆無で、監督も澤井と相米慎二だけだった[15]

1985年3月に、角川春樹が岡田社長と会談した際には[16]、岡田から「もうアイドル路線はやめなさい。もう一度ブレインを組み直した方がいい。しかしカリスマ的生き方は捨てては駄目だ」などと説教された[16]。角川はこの意地から岡田に「前売り200万を売って見せる」と豪語した[14]。結局、角川映画として初めて配給も手掛けることを決めたが[17]、自社配給といっても東宝が劇場チェーンをタダで貸すわけではないため、同時上映の『二代目はクリスチャン』と共に角川と東宝洋画系の共同配給という形である[10]。角川の自主配給は難航し[16]東宝に話を持ち掛けるが角川サイドが望んだ配給歩率9対1を拒否され、東宝の主張する7対3を飲まざるを得なかった[16][17]。また公開も秋に延ばされ、1986年の正月映画も同時に配給を希望したがこれも断られ、全面的に東宝に押し切られた[16]。これらが決まるまで年明けから春までかかった[16]。ゴタゴタした要因は角川作品のパワーが一歩一歩、落ちてきていると評された[16]

本作も『二代目はクリスチャン』も角川の製作とはいえ、実際はどちらも東映系のスタッフによる製作である[18]。前述のように角川の自社配給を面白く思わない東映本体とはここで決別することになった[17]。角川と岡田はケンカ別れしたと業界の一部で認識されたことが、1990年の『天と地と』の配給変更に影響した[14]。実はケンカ別れはしていなかった[14][19]。東映洋画は角川と縁が切れ、開店休業となったため、自社製作第一弾として『それから』の映画化を決めた[20]

受賞歴[編集]

同時上映[編集]

二代目はクリスチャン

テレビドラマ[編集]

早春物語〜私、大人になります〜』(そうしゅんものがたり わたし、おとなになります)のタイトルで、TBS系列で1986年5月23日 - 7月18日に放送された。

17歳の高校生・沖野瞳は、高校の部活を終えて帰宅した際に、とある男性よりかかってきた電話に出たことからストーリーが始まる。その男性こそ、梶川真二であった。実は梶川は瞳の姉・光子と交際していたのだが、梶川から光子への電話を、母・栄枝への電話と勘違いしたのである。沖野家の平和を守るため、母との交際を辞めさせるべく、梶川と光子とのデートの待ち合わせ現場へと向かう。そこで梶川に出会った瞳は、光子の妹であることを隠してしまう。梶川は大手建設会社のエリートサラリーマン。専務の覚えめでたく敏腕ぶりを随所に発揮していた。多忙を極めていた梶川にとって瞳との出会いは新鮮なものであった。そして瞳に魅かれ始めた梶川は、東京近郊のドライブや沖縄・札幌への仕事に瞳を誘い、瞳も梶川の大人の魅力にいつしかあこがれや恋心を抱くようになる。梶川が瞳に魅かれるようになったことを知った、梶川の前妻・美沙子は瞳の前に現れ、恋路の邪魔を図る。そんな折、瞳は同級生・真知子が、駅伝部の顧問・横谷と不倫の関係にあることを知る。また、梶川も恋人である瞳の姉・光子との交際に区切りをつけようとしていた。瞳は自分の恋心を確認するため、梶川の自分への思いが愛なのかどうかを確認するため、梶川のマンションへと向かう……。

キャスト[編集]

主題歌[編集]

  • Dance Beatは夜明けまで」荻野目洋子
  • 挿入歌 - 「ベルベットの悪戯」荻野目洋子、「愛をそえて」柏木由紀子

スタッフ[編集]

サブタイトル[編集]

  1. ときめいて17歳
  2. このドアを開ければ…
  3. ファースト・キッス!
  4. あの人に逢いたい!
  5. 抱きしめられて…
  6. わたしを愛して!
  7. あのひとに愛人が!
  8. 私を連れて逃げて!
  9. 愛と青春の旅立ち
TBS 金曜21時枠連続ドラマ
前番組 番組名 次番組
大人になるまでガマンする
(1986.4.11 - 1986.5.16)
早春物語
(1986.5.23 - 1986.7.18)
男女7人夏物語
(1986.7.25 - 1986.9.26)

脚注[編集]

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  1. ^ 1985年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ 中川 2014, p. 235.
  3. ^ a b c d 「雑談えいが情報 新作映画ニュース」、『映画情報』、国際情報社、1985年5月号、 72頁。
  4. ^ a b c 中川 2014, pp. 244-245.
  5. ^ a b 早春物語 | WOWOWオンライン
  6. ^ a b c 京塚伊都子「日本映画わっくわくシアター 知世の悪女ぶりはいかが? 『早春物語』」、『ロードショー』1985年3月号、集英社、 181頁。
  7. ^ a b c 松田政男「『早春物語』特集1 澤井信一郎インタビュー」、『キネマ旬報』、キネマ旬報社、1985年8月下旬号、 78-79頁。
  8. ^ 昭和40年男 (8月号 2016年). “巻頭特集:俺たちの角川映画 〈アイドル編〉証言者 澤井信一郎”. クレタパブリッシング: 32-33. 
  9. ^ a b c d 桂千穂 「クローズアップ・トーク 普通のOLから『ビー・バップ・ハイスクール』などの売れっ子シナリオライターへ アメリカ映画に負けない娯楽映画を! <ゲスト>那須真知子」『シナリオ日本シナリオ作家協会、1990年1月、8-9頁。
  10. ^ a b 「雑談えいが情報」、『映画情報』、国際情報社、1985年6月号、 73頁。
  11. ^ a b 中川 2014, pp. 240-241.
  12. ^ a b 『映画界のドン 岡田茂の活動屋人生』 文化通信社2012年、197 - 198頁。ISBN 978-4-636-88519-4
  13. ^ a b 「興行価値」、『キネマ旬報』、キネマ旬報社、1985年3月下旬号、 172頁。
  14. ^ a b c d 「雑談えいが情報 長女ひろ子は独立しても次女・知世がいます、角川映画...」、『映画情報』、国際情報社、1985年5月号、 73頁。
  15. ^ a b c d 「雑談えいが情報 新作映画ニュース」、『映画情報』、国際情報社、1985年6月号、 72頁。
  16. ^ a b c d e f g 「映画・トピック・ジャーナル」、『キネマ旬報』、キネマ旬報社、1985年5月上旬号、 177頁。
  17. ^ a b c 中川 & 2014honto, 89%.
  18. ^ 中川 2014, p. 241.
  19. ^ 「映画・トピック・ジャーナル」、『キネマ旬報』、キネマ旬報社、1985年10月上旬号、 174頁。
  20. ^ 「雑談えいが情報 新作映画ニュース」、『映画情報』、国際情報社、1985年6月号、 72頁。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]