合略仮名

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合略仮名(ごうりゃくがな)は、仮名合字である。

概要[編集]

(コト)」「𬼀(シテ)」などは合字ではないが、合略仮名とともに紹介されることがある。

明治33年の「仮名は1音につき1文字とする」という明治政府政令[1]により、公では使われなくなった[2]

電子機器上での扱い[編集]

2000年まで、コンピュータ上では外字の利用などでしか合略仮名を扱えなかった。

2000年JIS X 0213が定められた。これによって「(コト)」と「(より)」が使えるようになった。

2002年Unicode 3.2に「(コト)」と「(より)」が採用された。

2009年、Unicode 5.2に「𪜈(トモ)」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Cとして登録されてしまった。

2017年、Unicode 10.0に「𬼀 (シテ)」「𬼂 (なり)」「𬻿 (ナリ)」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Fとして登録されてしまった。

一覧[編集]

平仮名[編集]

以下は、合字である。

読み 画像 文字 Unicode 字源
かしこ Hiragana kashiko.svg - - 𛀚しこ」の合字
こと Ligature hiragana koto.gif - - 「こと」の合字[3][4]
ごと Ligature hiragana koto.gif - - 「ごと」の合字[3][4]
さま Hiragana sama 2.svg - - 「さ𛃅」の合字[5][6]
まいらせさうらふ Hiragana mairasesoro 1.svg - - 「まいらせ候」の合字
Hiragana mairasesoro 2.svg - -
より Hiragana digraph Yori.svg U+309F 「より」の合字[5][6][4]

以下は、合字ではない。

読み 画像 文字 Unicode 字源
なり Hiragana nari.svg 𬼂 U+2CF02 「也」の草体[5][4][7][8]

片仮名[編集]

以下は、合字である。

読み 画像 文字 Unicode 字源
トイフ Katakana-toiu.svg - - 「ト云」の合字[5][9][10][11]
トキ Katakana toki 1.svg - - 「トキ」の合字[5][9][10][3][4][11]
トテ Katakana-tote.svg - - 「トテ」の合字[5]
トモ Katakana tomo.svg 𪜈 U+2A708 「トモ」の合字[5][9][10][3][4]
ドモ Katakana tomo.svg 𪜈゙ - 「ドモ」の合字
ヨリ Katakana-yori.svg - - 「ヨリ」の合字[9][10][11]

以下は、合字ではない。

読み 画像 文字 Unicode 字源
イフ Katakana ifu.svg - - 「云」の草体
コト Katakana digraph Koto.svg U+30fF 「事」の略体[5][9][10]
シテ Katakana shite.svg 𬼀 U+2CF00 「為」の略体[9][10]
トキ Katakana toki 2.svg - - 「時」の略体[9][10][11]
ナリ Katakana nari.svg 𬻿 U+2CEFF 「也」の草体[9][10][11]

類似の文字[編集]

  • 「ます」と読む文字」は、計量に使用する記号化したものであり、合略仮名ではない。
  • 漢字一部を仮名に置き換えた字(略字)があるが、これらも合略仮名ではない。
    • 例:「機」RYAKUJI ki 01.png、「議」Ryakuji GI.png、「摩」または「魔」RYAKUJI ma.png →「略字」を参照。
  • インターネットスラングで、既存の文字のが他の文字として解読できる場合、当該文字1字を他の文字2字の代わりとして用いる場合がある。
    • 例:「托い」(キモい)「モルール」(モノレール)など。

脚注[編集]

  1. ^ Wikisource reference 文部省 (1900). 小学校令施行規則第十六条. - ウィキソース. 
  2. ^ 文部省調査局 (1957年). “国語改善に関する略年表” (pdf). 文科省. 国語シリーズ 33 国語問題問答 第五集. 文部省. p. 66. 2020年9月25日閲覧。
  3. ^ a b c d 普通日本文典 落合直文ほか 1893年
  4. ^ a b c d e f 和漢の文典 : 雅俗対照
  5. ^ a b c d e f g h 日本大文典. 第1編 P.42-45 落合直文 1894年
  6. ^ a b ことばの泉 : 日本大辞典 (21版) P.3 落合直文 1904年
  7. ^ 児玉幸多『くずし字解読辞典〔普及版〕』東京堂出版 1993年 ほか
  8. ^ 田島毓堂「法華経為字和訓考—資料編(三)—」名古屋大学文学部研究論集 1990年
  9. ^ a b c d e f g h 國語學大系 第七巻 文字(一) P.302-303 福井久蔵 1939年
  10. ^ a b c d e f g h 仮字本末 伴信友 1850年
  11. ^ a b c d e 操觚便覧藤井乙男編 1899年

参考文献[編集]

  • 蛇蔵海野凪子日本人の知らない日本語 なるほど〜×爆笑!の日本語"再発見"コミックエッセイ』メディアファクトリー、2009年2月18日。ISBN 978-4-8401-2673-1  - 「まいらせそうろう」について言及。
  • 益田多米彦『日本文典初歩』益田多米彦、1902年6月30日https://iss.ndl.go.jp/api/openurl?ndl_jpno=40078885  - 合略仮名ついての説明。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]