合略仮名

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Camera-photo Upload.svg 画像提供依頼:合略仮名の画像提供をお願いします。2009年12月
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合略仮名(ごうりゃくがな)は、二字以上の仮名を1字に収めた合字である。仮名合字合字つづきかなとも呼ばれる。

概要[編集]

合略仮名とは二字以上の仮名を組み合わせて一字にしたものである。

平仮名の合略仮名の多くは書簡に使われており、書簡体文字の一部となっている[1][2]

歴史[編集]

ウィーン王立印刷局ドイツ語版1876年出版した文字活字の総合見本帳『Alfabete des gesammten Erdkreises』には平仮名の合略仮名79文字、片仮名の合略仮名14文字が収録されている[3][4]

明治33年の「仮名は1音につき1文字とする」という明治政府政令[5]により、公では使われなくなった[6]

電子機器上での扱い[編集]

2000年まで、コンピュータ上では外字利用などでしか合略仮名を扱えなかった。

2000年JIS X 0213が定められた。これによって「(コト)」と「(より)」が使えるようになった。

2002年Unicode 3.2に「(コト)」と「(より)」が採用された。

2009年、Unicode 5.2に「𪜈(トモ)」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Cとして登録されてしまった。

𬼀(シテ)」は、Unicode には文字情報基盤[7]を典拠に漢字として登録されている[8]

合略仮名の一覧[編集]

片仮名[編集]

以下は、合字である。

文字 読み 画像 字源
ツツ [+] 「ツ」と「ヽ」の合字
ヅツ [+] 「ヅ」と「ヽ」の合字
トイフ Katakana-toiu.svg、[丨+云]、[丿+云] 「ト」と「云」の合字[1][9][10][11]
トキ Gōryaku 004.svg、[丿+キ] 「ト」と「キ」の合字[1][9][10][12][13][11]
トテ Katakana-tote.svg、[丨+テ] 「ト」と「テ」の合字[1]
トナリ となり.png、[+] 「ト」と「Morohashi Daikanwa 00117.svg」の合字[11]
𪜈 トモ ToMo.png、[丿+モ] 「ト」と「モ」の合字[1][9][10][12][13]
𪜈゙ ドモ [ ToMo.png゛]、[丿+モ゛] 「ド」と「モ」の合字
ニシテ にして.png、[+Gōryaku 002.svg] 「ニ」と「Gōryaku 002.svg」の合字
ヨリ Katakana-yori.svg、[ヨ+リ] 「ヨ」と「リ」の合字[9][10][11]

以下は、合字ではない。

文字 読み 画像 字源
トキ [时] 「時」の略字[9][10][11]
トキ [寸] 「時」の略字[9][10][11]
𬼂 ナリ Morohashi Daikanwa 00117.svg 「也」の草体[9][10][11]
モノ [牜] 「物」の略字[9][10][11]

以下は、合字であるとすると合字でないとする説がある。

文字 読み 画像 字源
コト Gōryaku 001.svg 「事」の略字[1][9][10]あるいは「コ」と「ト」の合字[12][13][11]
𬼀 シテ Gōryaku 002.svg 「為」の略字[9][10]あるいは「シ」と「テ」の合字[1][14][15][13][11]

平仮名[編集]

以下は、合字である。

文字 読み 画像 字源
かしこ かしこ.png 𛀚」と「し」と「こ」の合字
かしこ 𛀙」と「し」と「こ」の合字
こと Ligature hiragana koto.gif[16] 「こ」と「と」の合字[12][13]
ごと [ Ligature hiragana koto.gif゛] 「ご」と「と」の合字[12][13]
さま 「さ」と「𛃅」の合字[1][2]
つつ [𛁪+] 𛁪」と「」の合字
には [𛂌+𛂞][16] 𛂌」と「𛂞」の合字
はば [𛂞+] 𛂞」と「ゝ」の合字
まゐらせさふらふ[17]、まゐらせさうらふ Ligature mairasesoro.gif 「奉」の略字と「候」の略字の合字
より Gōryaku 005.svg 「よ」と「り」の合字[1][2][13]

以下は、合字ではない。

文字 読み 画像 字源
さふらふ、さうらふ [ゝ] 「候」の略字[1][2]
さふらふ、さうらふ Hiragana-soro.svg 「候」の草体[1][2]
𬼂 なり Morohashi Daikanwa 00117.svg 「也」の草体[1][13][18][19]
ます 「升」の草体
まゐらせ 「奉」の略字[1][2]
られ 「被」の略字[1][2]

類似の文字[編集]

  • 四角スラッシュ(/)を入れた「ます」と読む文字」は、計量に使用する記号化した記号であり、合略仮名ではない。
  • 漢字一部を仮名に置き換えた字(略字)があるが、これらも合略仮名ではない。
    • 例:「機」RYAKUJI ki 01.png、「議」Ryakuji GI.png、「摩」または「魔」RYAKUJI ma.png →「略字」を参照。
  • インターネットスラングで、既存の文字のが他の文字として解読できる場合、当該文字1字を他の文字2字の代わりとして用いる場合がある。
    • 例:「托い」(キモい)「モルール」(モノレール)など。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 日本大文典. 第1編 P.42-45 落合直文 1894年
  2. ^ a b c d e f g ことばの泉 : 日本大辞典 (21版) P.3 落合直文 1904年
  3. ^ アロイス・アウアー (1876) (ドイツ語). Alfabete des gesammten Erdkreises (2 ed.). ウィーン: K. K. HOF- UND STAATSDRUCKEREI(皇室・宮廷および国家印刷局). https://books.google.com/books?id=R3BoAAAAcAAJ&pg=PA35 2020年9月23日閲覧。 
  4. ^ whym (2008年10月1日). “1876年ウイーン王立印刷局総合見本帳 Alfabete des gesammten...” (日本語). ɯhɥm. 2020年9月23日閲覧。
  5. ^ Wikisource reference 文部省 (1900). 小学校令施行規則第十六条. - ウィキソース. 
  6. ^ 文部省調査局 (1957年). “国語改善に関する略年表 (pdf)”. 文科省. 国語シリーズ 33 国語問題問答 第五集. 文部省. p. 66. 2020年9月25日閲覧。
  7. ^ "MJ文字情報検索システム (MJ056854)"”. 2016年6月21日閲覧。
  8. ^ Draft additional repertoire for ISO/IEC 10646:2016 (5th edition) CD.2 (pdf)” (2015年12月14日). 2016年6月29日閲覧。 “2CF00 Ligature shite.gif JMJ-056854”
  9. ^ a b c d e f g h i j 國語學大系 第七巻 文字(一) P.302-303 福井久蔵 1939年
  10. ^ a b c d e f g h i j 仮字本末 伴信友 1850年
  11. ^ a b c d e f g h i j 操觚便覧藤井乙男編 1899年
  12. ^ a b c d e 普通日本文典 落合直文ほか 1893年
  13. ^ a b c d e f g h 和漢の文典 : 雅俗対照
  14. ^ 伊木壽一『古文書学』新装版 慶應義塾大学出版会 1981年
  15. ^ 大石学『古文書解読辞典』改訂新版 東京堂出版 2000年
  16. ^ a b 山口県聚珍堂版 培養秘録巻二
  17. ^ 国語学文典 : 普通教育
  18. ^ 児玉幸多『くずし字解読辞典〔普及版〕』東京堂出版 1993年 ほか
  19. ^ 田島毓堂「法華経為字和訓考—資料編(三)—」名古屋大学文学部研究論集 1990年

参考文献[編集]

  • 蛇蔵海野凪子日本人の知らない日本語 なるほど〜×爆笑!の日本語"再発見"コミックエッセイ』メディアファクトリー、2009年2月18日。ISBN 978-4-8401-2673-1 - 「まいらせそうろう」について言及。
  • 日本文典初歩益田多米彦編、益田多米彦、1902年6月30日。 - 合略仮名ついての説明。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]