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この項目では、ひらがなのしについて説明しています。グルジア文字 のႱについては「ს 」をご覧ください。
し 、シ は、日本語 の音節 のひとつであり、仮名 のひとつである。1モーラ を形成する。五十音図 において第3行第2段(さ行 い段 )に位置する。清音 の他、濁音 (じ、ジ)を持つ。
「し」の筆順
「シ」の筆順
現代標準語の音韻 : 1子音 と1母音 「い 」から成る音。子音は、次の通り。
清音 「し」: 上歯茎 の後ろから硬口蓋近くの範囲に舌 の前部を近づけて、隙間から息を摩擦させて通すときに出る無声音 である。国際音声記号 では無声歯茎硬口蓋摩擦音 [ɕ] または無声後部歯茎摩擦音 [ʃ] で表される。どちらかといえば、[ɕ] が近く、[ʃ] で表される場合でも英語 の sh よりも調音部位 の範囲が広い。
濁音 「じ」: 舌の前部を上歯茎 の後ろから硬口蓋近くの範囲に近づけて、隙間から声を摩擦させて通すときに出る有声摩擦音 、すなわち「し」の有声音。または、いったん舌の前部を上歯茎 の後ろから硬口蓋近くの範囲に付けて、離すときに、狭い隙間を作って摩擦した音を出す有声破擦音 、すなわち「ち 」の子音の有声音である。これら二つの「じ」の発音は、一般に現代日本語の話者には違いをほとんど聞き分けられず、意味上の差異はない。だいたいにおいて破擦音は語頭、撥音のあとで現れ、摩擦音は語中で現れる。「じ」は「ぢ 」と同じ発音であり、現代標準語では「じ」と「ぢ」を音の上で区別しない。現代仮名遣い では、例外を除いて「ぢ」で書かれてきたものをすべて「じ」で書く。国際音声記号 では有声歯茎硬口蓋摩擦音 [ʑ] ・有声歯茎硬口蓋破擦音 [d͡ʑ] または有声後部歯茎摩擦音 [ʒ] ・有声後部歯茎破擦音 [d͡ʒ] で記述される。どちらかといえば[ʑ, d͡ʑ] が近く、[ʒ, d͡ʒ] で表される場合でも英語 のvisionなどの s や j よりも調音部位の範囲が広い。
五十音順 : 第12位。
いろは順 : 第42位。「み 」の次。「ゑ 」の前。
平仮名 「し」の字形: 「之」の草体
片仮名 「シ」の字形: 「之」の草体 の変形
変体仮名 (志)
ローマ字
点字 :
通話表 : 「新聞のシ」
モールス信号 : --・-・
手旗信号 :5→7
上代 の「し」は [t͡si̞] 、[t͡ʃi̞] 、[ʃi̞] いずれとも論じられているが、確定しがたい。室町時代 末には [ʃi̞] と発音された[ 1] 。
や行 の文字を後続させて、開拗音 を構成及び表記する。「しや」「しゆ」「しよ」などの字音表記は平安時代 中期以前にも見られるが、「シアク」などの表記もあり、一音節の拗音 であるかは定かでない。鎌倉時代 には「しゆう」と「しう」「しふ」、「しよう」と「せう」「せふ」の間の混同が見られ、この頃には「しゅう」「しょう」の拗長音が成立していたと考えられる。「しゃう」は室町時代末には「しゅう」「せう・せふ」の類に近づき、江戸時代 には発音上区別が無くなった[ 1] 。
現在の拗音表記では、後続するや行の文字は一般に小さく書く。
さ行の中で唯一調音点 が異なっている。「さ、す、せ、そ」と同じ調音点で発音すると[si̞] となるが、これは日本語にはない音であり、対応する文字もない。外来語などに用いる際は「スィ」と表記される。訓令式ローマ字表記の「si」も、「すぃ」と発音される事がある。
「し」の調音点 は、拗音 の「しゃ、しゅ、しょ」と同じであり、音声学に即するなら「しゃ行に属する」と言える。「しゃ、し、しゅ、シェ、しょ」は国際音声記号 では、[ʃä/ɕä] , [ʃi̞/ɕi̞] , [ʃɯ̹˕/ɕɯ̹˕] , [ʃe̞/ɕe̞] , [ʃo̜ ̞/ɕo̜ ̞] と表せる。ヘボン式ローマ字表記の「shi」も、この発音に従った物である。
点のある「し」が使われている例。東三日市駅 の駅名票
平仮名の「し」は、一般に のようであるが、 のように上に点を打ったり、それをさらに のように続けて書いたりする字体がある。[要出典 ]
「死 」に通じるため、自動車用ナンバープレート には用いられない(→お ・へ ・ん )。しかし、一部の市町村の原付ナンバーには用いられている。
ボードゲームのごいた の駒の一種に「し」と書いてある駒があり、これは将棋の歩兵 に相当する駒である。
片仮名の「シ」は「氵 」(さんずい)に似ているが、両者とも全くの無関係である。「シ」は「之」の草体の変形が元になっている。ただ、インターネットでは、「波」を「シ皮」(半角のシ + 皮)と倍角文字代わりに表記するように、「シ」がさんずいに代用されることがある。
片仮名の「シ」は片仮名の「ツ 」と形が似ているため、2ちゃんねるなどインターネットでは、「ツ」の置き換えで「シ」が使われることがある。例として、奴→ヤツ →ヤシ →香具師のように変化する。
同様の理由により、輸入品に表示されている表記が間違っていることがある(カジュアル→カヅュアル、シャンデリア→ツャソデリア)。(誤植#外国人による日本語の誤植 も参照)
同様の理由により、大人になっても片仮名の「シ」が書けない人は少なくない。「ツ」の3画目払い下げを払い上げにしただけと勘違いしている人がいるが、「シ」の始筆は縦に並び「ツ」のそれは横に並ぶ。両字を草書風に画を連続して書くと、「シ」は「し」に、「ツ」は「つ」になる。これは平仮名、片仮名共に(「シ」と「し」、「ツ」と「つ」)それぞれ元となった漢字が同じためで、その筆順 及び払い上げ・下げの違いは明らかである。
音階 に片仮名の「シ」が用いられる。
鉄道車両 の記号「シ」は、食堂車 を表す。
漢字「志」から派生したひらがなの一種である𛁈 (し )は、1900年 (明治33年)の小学校令 施行規則改正以降の学校教育 で用いられていない変体仮名 に分類されるものである。
現代日本では、変体仮名は看板 や書道 など限定的な場面でしか使われていない[ 2] 。しかし、それ以後でも例えば1932年に刊行された『大言海 』には1891年に刊行された『言海 』に引き続き、「し」で始まる見出しに「𛁈 」が使用されている。
𛁈 はまた、しるこ の表記に使用されることもある。特に、三重県 桑名市 や大分県 中津市 の銘菓である[ 3] [ 4] 蛤志るこ や、同じく桑名市の名物しぐれ蛤 には𛁈 が用いられる場合がある。武蔵屋総本店[ 5] 玉川軒老舗[ 6] は「蛤𛁈る𛀸 」(𛀸 は「古」の変体仮名 )、伊勢志ぐれ[ 7] (桑名市)は「𛁈 ぐれ」など。ただし、亀良菓子舗[ 8] のように、漢字で「蛤志るこ」などと表記する場合もある。
拡大図
𛁈 ぐれ蛤(時雨蛤)販売店の
暖簾 と下げ札(江戸時代)
鯰絵 、しんよし原大なまづゆらひ(
𛁈 んよし原大
𛂁 ま
𛁫゙ ゆらひ)
^ a b 『日本国語大辞典 』(第2版)小学館 、2001年。
^ #築島1981 、pp.352-353。
^ “桑名の食品 ”. 桑名の特産品 . 桑名市物産振興協会. 2010年5月13日閲覧。
^ “武蔵屋総本店 ”. (社)ツーリズムおおいた. 2010年5月14日閲覧。
^ “商品情報 ”. 武蔵屋総本店. 2015年11月21日閲覧。 (中津市)
^ “桑名の食品 ”. 桑名物産振興協会. 2015年11月21日閲覧。 (桑名市)
^ “桑名の食品 ”. 桑名物産振興協会. 2015年11月21日閲覧。
^ “商品一覧 ”. 御菓子司 亀良菓子舗. 2012年7月10日時点のオリジナル よりアーカイブ。2010年5月15日閲覧。