踊り字
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踊り字、躍り字(おどりじ)は、主に日本語の表記で使用される約物(特殊記号)の一群で、々、ヽ、ゝなどがある。おどり、繰り返し符号(くりかえしふごう)、重ね字(かさねじ)、送り字(おくりじ)、揺すり字(ゆすりじ)、重字(じゅうじ)、重点(じゅうてん)、畳字(じょうじ)などとも呼ぶ。
| かな | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 仮名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 合略仮名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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歴史[編集]
早くも殷の時代から、同じ字が続くときに一字だけ書き、繰り返しを表す記号を付け足すことが行われていた。これを重文号という[1][2]。殷の金文では、小さい「=」を用いて「子子孫孫」を「子=孫=」と書いた。右図の史頌鼎(紀元前900年頃)の金文の文末に、「子子孫孫寶用」(子々孫々まで宝として用いよ)とある。
漢字文化圏ではその後も重文号が使われ続けたが、現在公式に用いているのは日本語だけである。
各字の用法[編集]
々(同の字点)[編集]
| 記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
|---|---|---|---|---|
| 々 | U+3005 |
1-1-25 | 々々 |
同上記号 |
由来は、「同」の別字体である「仝」が変化したというものや、二の字点が変化したというものなど、諸説ある。漢字のように見えるが、あくまで反復記号の一種であって漢字ではなく、固有の読みはない。
同じ漢字を重ねるときに、2文字目以降の文字の代用として用いられる。
- 時時 → 時々(ときどき)
- 明明白白 → 明々白々(めいめいはくはく)
- 赤裸裸 → 赤裸々(せきらら)
- 代代木 → 代々木(よよぎ)
- 複複複線 → 複々々線(ふくふくふくせん)
- 小小小支川 → 小々々支川(しょうしょうしょうしせん)
「会社-社長」「民主-主義」のように意味が区切れる場合は使用しないことが原則だが、「公演会々場」のように使われることもある。特に、結婚や葬式に関しては、同じ漢字を直接繰り返すことは、再婚や不幸の繰り返しを連想させ縁起が悪いため、「結婚式々場」、「告別式々場」と表記することが多い。
二字以上の熟語を重ねるときにも使うこともある。
- 部分部分 → 部分々々
- 後手後手 → 後手々々
- 一歩一歩 → 一歩々々
- 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏 → 南無阿弥陀仏々々々々々々
ただし古く(奈良時代)は記法が異なり、上の例なら
- 部分部分 → 部々分々
- 後手後手 → 後々手々
のようにも書かれた[3]。
原稿用紙などで語の途中で改行するときは用いない。例えば「散々」が2行に分かれるなら「散散」と書く。従って、行の先頭に「々」が来ることはない。禁則処理に対応したアプリケーションソフトウェアでは、行の最後と次行の最初に分かれる場合、行頭に「々」が来ないよう処理される。但し、例外として、人名の「佐々」が2行に分かれるなら「佐々」というように、固有名詞の場合は「々」のままにしなければならない。また、新聞など禁則処理ができないような場合は別。
また、「湯湯婆」(ゆたんぽ)のように同じ漢字を重ねても読みが異なる場合には普通用いない。
「々」の字形を分解すると「ノ」+「マ」のように見えることから俗にノマとも呼ばれる。ユーザーが辞書登録していない状態では、JapanistやAnthy、過去のATOKなどのかな漢字変換システムでは「のま」で変換できる。これは、元々はJapanistの前身である富士通OAKが便宜上用いたことに由来するとされ、同社のOASYSでも同じ動作である。現在のATOKやMicrosoft IMEでは「おなじ」で変換すると候補にでるが、「のま」からは変換できない。ATOK 2011では変換できる。
「々」は漢字ではないが、大修館書店発行の漢和辞典には読者の便宜上、収録されている[4]。
ゝとヽ(一の字点)[編集]
| 記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
|---|---|---|---|---|
| ゝ | U+309D |
1-1-21 | ゝゝ |
平仮名繰返し記号 |
| ヽ | U+30FD |
1-1-19 | ヽヽ |
片仮名繰返し記号 |
| ゞ | U+309E |
1-1-22 | ゞゞ |
平仮名繰返し記号(濁点) |
| ヾ | U+30FE |
1-1-20 | ヾヾ |
片仮名繰返し記号(濁点) |
平仮名を2字重ねるとき「ゝ・ゞ」を、片仮名を2字重ねるとき「ヽ・ヾ」を使用する。昨今の文章ではあまり用いられない。
- ここ → こゝ
- バナナ → バナヽ
- くっつける → くつゝける(促音を大書きした場合)
ただし固有名詞では使われることがある。
1字目に濁点がつく場合は、「ゝ」は濁点のない仮名を重ね、「ゞ」は濁点のつく仮名をそのまま重ねる。
〻(二の字点)[編集]
| 記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
|---|---|---|---|---|
| 〻 | U+303B |
1-2-22 | 〻〻 |
二の字点、ゆすり点 |
殷から使われている小さい「二」の字を崩した記号である。揺すり点(ゆすりてん)とも呼ばれ、主に縦書きの文章に用いる。
漢字の後に書かれ、現在は「々」で代用されることもあるが、上字を繰り返すのではなく、上字の訓が繰り返し語であることを意味する。
| 各(おのおの) | → | 各 〻 |
| 屡(しばしば) | → | 屡 〻 |
この例で、「各」「屡」はそれぞれ1字で「おのおの」「しばしば」と読むのであって、「おの」「しば」などという訓はない。これらは「各各」「屡屡」の略記ではなく、二の字点を使わない表記は「各」「屡」である。
書くときは、行の中央ではなく前の字の右下に添えるように書く。なお横書きにおける一般的な表記法はまだ確立していない。
文章を繰り返す際に使う「〃」は、「ノノ点」・「ノノ字点」と呼ばれ、二の字点とは別のものである。
〱(くの字点)[編集]
| 記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
|---|---|---|---|---|
| 〳 | U+3033 |
1-2-19 | 〳〳 |
くの字点上 |
| 〴 | U+3034 |
1-2-20 | 〴〴 |
くの字点上(濁点) |
| 〵 | U+3035 |
1-2-21 | 〵〵 |
くの字点下 |
| 〱 | U+3031 |
- | 〱〱 |
くの字点 |
| 〲 | U+3032 |
- | 〲〲 |
くの字点(濁点) |
平仮名の「く」の字を延ばしたように書く。縦書きの文章のみに用いる。横書き時に同様の表記を行う場合には、二倍ダッシュやその上に濁点を付けた約物が使用されることが多いが、「へ」の字を横に伸ばした字形や、くの字点を左90度回転させた形で使用することもある。
2字以上の仮名、もしくは漢字と仮名を繰り返す場合に用いる。
| ま あ ま あ |
→ | ま あ 〳 〵 |
ど う し て ど う し て |
→ | ど う し て 〳 〵 |
見 る 見 る |
→ | 見 る 〳 〵 |
た び た び |
→ | た び 〳 〵 |
古くは、仮名で2音で読む漢字1字の繰り返し(たとえば「人々」)にも使われた。この場合、初期は上字(この例では「人」)に重ねて書かれたものが、時代と共に位置が下に移動してきた[5]。
繰り返し部分が連濁する場合は、濁点付きの「くの字点」を用いる。
| し か じ か |
→ | し か 〴 〵 |
離 れ 離 れ |
→ | 離 れ 〴 〵 |
く れ ぐ れ |
→ | く れ 〴 〵 |
濁点の付く文字を繰り返す場合は、濁点の付いていない「くの字点」を用いる場合と、濁点の付いている「くの字点」を用いる場合がある。
| ボ ヤ ボ ヤ |
→ | ボ ヤ 〳 〵 |
ボ ヤ 〴 〵 |
ブ ラ ン ブ ラ ン |
→ | ブ ラ ン 〳 〵 |
ブ ラ ン 〴 〵 |
濁点の付く文字を繰り返すが、繰り返し箇所は濁点がつかない場合は、濁点の付いていない「くの字点」を用いる(擬音などでは少ないが児童向け文学などで漢字を仮名表記する場合に用いられる)。
3回の繰り返しの場合は「くの字点」を2回繰り返すが、4回繰り返す場合は2回目の繰り返しと4回目の繰り返しにのみ「くの字点」を用いる[6]。
| ト ン ト ン ト ン |
→ | ト ン 〳 〵 〳 〵 |
ぐ ん ぐ ん ぐ ん ぐ ん |
→ | ぐ ん 〴 〵 ぐ ん 〴 〵 |
日本以外の用例[編集]
台湾でも日本統治時代の遺風の「々」が使われることがある。例えば中国語の「謝謝」を「謝々」と書く。ただし正書法ではないので、公式の文書では用いない。なお、若者を中心に「〃」あるいは「2」が使われることもある。例えば「謝〃」「謝2」で、このような用例は日本においても見られる。
脚注[編集]
- ^ 戦国楚簡研究会, ed., 書誌情報用語解説 2008年6月13日閲覧。
- ^ Richter, Matthias (2006), Database of Selected Characters from Guodian and Mawangdui Manuscripts — Introduction 2008年6月13日閲覧。
- ^ 今野真二 2014『日本語の考古学』岩波新書 p.153。テキストは出雲国風土記。
- ^ 漢字Q&A〈旧版〉Q0009 「々」はなんと読むのですか?、漢字文化資料館(大修館書店)。(2015/5/13閲覧)
- ^ 今野真二 2014『日本語の考古学』岩波新書 p.78。テキストは竹取物語の写本。
- ^ このような形で区別して繰り返している用例が『赤い鳥』第一巻第一号などに見られる。
参考文献[編集]
- 文部省、1946年『くりかへし符号の使ひ方 をどり字法 案』全国書誌番号:46024272
関連項目[編集]
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