ズージャ語

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ズージャ語(ズージャご)、ズージャー語(ズージャーご)とは、太平洋戦争終戦後の昭和中期、米軍進駐軍、駐留軍)キャンプキャバレーなどを営業で回るジャズバンドのバンドマンの間で用いられていた隠語を指す。

発生[編集]

ジャズという語をひっくり返して発音した「ズージャ」、「ズージャー」が典型例なので、この名称がついた。この場合クラシック音楽でない音楽(軽音楽ポピュラー音楽)は厳密にはジャズではなくても「ズージャ」と言ったようである。

隠語を作る時に倒語逆さ言葉)にするのは日本語で昔からある手法であり、「ドヤ街」(宿街)、「ダフ屋」(札屋)、「ちくる」(口る)、「ドサ回り」(里回り=濁音にしてよりイメージを悪くしている)などがよく知られる。ジャズ界では人名も逆さにすることが多く、「森田(一義)」が「タモリ」となるのは同じ原理である。

現金払い(即金払い)でギャラをもらうことを取っ払いというが、このとき金額的な生々しさを避けるために、たとえば25万円を「デージューゲー万円」と言った。音名に当てはめたもので、C, D, E, F, G, A, Hが順番に数字の1から7までを意味した。ツェー、デー、ゲーというようにドイツ語読みしたのは、当時の音楽家は音名をドイツ語で呼んでいたからである。Cが1になるのは、この音がハ長調の第1音(主音)であるため。これはクラシック界も同じである。なお8は「オクターブ」(略して「ターブ」)、9は「ナイン」または「ナインス」と言った。

このような調に関して発生した言葉として、「C調」(しーちょう。こちらのCは英語読み)がある。この場合の「C調」は、「調子いい」とハ長調(C調)をかけて、軽く調子のいい事を吹聴する人物を指したものである。ジャズ界出身のクレイジー・キャッツが流行らせ、「無責任一代男」には「人生で大切な事はタイミングにC調に無責任」という歌詞が出てくる。

これ以外の言葉では、「ヤノピー」(ピアノ)などの逆さ言葉が広まり、「トーシロ」(素人 = 一般人)に悟られないようにするために重宝された。「ワーカー ノ レーナガ ニ ズンタッタ」と言うのがあるが、これの原型は「川の流れに佇んだ」である。

ズージャ語の衰退[編集]

一般化した単語(下記参照)を除いて、現在では芸能界でもあまり使われることはない。1980年末から1990年代初頭にとんねるずブラザーコーン中山秀征などがテレビ番組などで盛んに使ったため、一般人の間でも若者を中心に使われるようになり、隠語の意味合いが無くなってしまったからである。彼らは活動時期がバブル時代と重なることから、番組などでは「バブル時代の業界用語」と言われることが良くあるが、バブルとは直接関係はない。

隠語として使われなくなった一方で、現在でもさまぁ〜ずなど、逆さ言葉のズージャ語を即興的ギャグとして使用するタレントもいる。

ズージャ語(芸能業界用語)から一般語になった言葉[編集]

  • ずら、づら(かつらのこと。「かずら」とも言うので省略して「ずら」となった。帽子やヘルメットなど、かぶり物一般にも使われる。)
  • 押す(時間が足りなくなるの意。)
  • クール(単位呼称で3ヶ月の意。月と年の間に来る。)
  • ダメ出し(改善すべき点を指摘する事。)
  • ドタキャン(スケジュールが調整不可な時期(つまり土壇場=ドタンバ)にキャンセルする事。転じて、直前になってキャンセルする事。)
  • ピーカン(快晴、雲一つない晴天の意。)
  • ひな壇(芸人などが座る段差のある椅子の事。)
  • 巻く(予定や進行を急ぐ。転じて、用事を早く終わらせる。「巻きが入る」のように名詞形でも用いられる。)
  • ガチ、ガチンコ(一生懸命の意。転じて、本当のという意としても使用。後者の対義語はガセ。)
  • ガセ(嘘、偽の意。対義語はガチ又はガチンコ。)
  • 被る(時間や人がまったく同じ位置にあること。)

など

関連項目[編集]