ヘルメット (野球)

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打撃用ヘルメット(フランシスコ・セルベーリ

打撃用ヘルメット(だげきようヘルメット、:Batting helmet)は、野球ソフトボールにおいて攻撃側では打席に立つ打者や走者、守備側では捕手が頭部保護の目的に装着するヘルメット

概要

投手や他のポジションが投げたボールや打者が打った打球が、打者や走者の頭部に当たった際、素材の硬さや形状及び内装の緩衝材、ヘルメット自体がはじき飛ばされることによりダメージが軽減される。

安全ヘルメットなどにあるあご紐は、衝撃をまともに受けて逆に危険になるためつけられておらず前方にに当たる部分に耳あて(フラップ)がある。頭頂部には通気孔、頭部正面側にチームロゴ、頭部背面側には背番号が入れられることが多い。この耳あてはプロ野球においては左打者用では右耳に、右打者用には左耳についており耳の保護を行う。スイッチヒッターでは両耳付きヘルメットを使う選手もいる。なお高校生以下は事故防止の為、両耳付きの使用を義務付けている場合がほとんどである。

耳あて付きヘルメットは田淵幸一(当時阪神タイガース)が1970年の広島カープ戦で外木場義郎の投球が側頭部への死球により耳から出血したことをきっかけに、以後広く使用されるようになった[1]

日本のプロ野球では、1984年以降に在籍した選手、および1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用した選手は耳あて付きヘルメットが義務、1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用しなかった選手は選択可能となっていた。この基準は1996年シーズンから適用され、それ以前は1984年以降に入団した選手も耳あての無いヘルメットを着用することができた。この基準制定以降、落合博満平野謙金森栄治田村藤夫ら14人の選手が耳あての無いヘルメットを着用していたが2000年限りで引退した愛甲猛が最後の着用選手となった。

ヘルメットの形状には規則がなく、どんな形のヘルメットでも基本的には認められる。チャーリー・マニエル1979年のロッテ戦で八木沢荘六の投球をに受け骨折したが、欠場明けの復帰試合にはアメリカンフットボールのガードが顎についた特注ヘルメットを着用した[2]秋山幸二は、1999年に西武戦で松坂大輔から死球を顔面に受け頬骨を骨折してしまうが、契約メーカーにフェイスガードつきのヘルメットを特注し、数試合後にはスタメン復帰した。

走者

走者に関しても打撃用のヘルメットをかぶってプレーする。2011年の規則改正により着用が義務づけられた。

守備

守備につく際にヘルメットを着用するポジションは捕手で、通常の打撃用ヘルメットとは違い鍔と耳あて部分が省略された捕手専用ヘルメットが多く使用されている。アメリカンフットボールのヘルメットのような顔全体を覆うヘルメットやアイスホッケーのGKのマスクを改良した物、二輪用の如くにマスクがヘルメットと一体でありシールド風に押し上げて除ける物も存在し、メジャーリーグでは普及している。日本プロ野球でも横浜ベイスターズ所属当時の相川亮二や、現役晩年当時の日高剛、また読売ジャイアンツ阿部慎之助などに着用例が見られたが、相川は東京ヤクルトスワローズへの移籍後にヘルメットを通常の捕手用の物に戻し、日高は2014年シーズンを以て引退、阿部も持病である頸椎椎間板ヘルニアへの負担軽減のため2014年シーズン中に通常のマスクに戻すなど、着用の中止が相次いだため、2015年現在、福岡ソフトバンクホークス山下斐紹が唯一となっている。

他のポジションの選手も使用する場合があり、過去にレロン・リージョン・シピン駒田徳広メル・ホールといった選手は守備の時も打撃用ヘルメットを着用した。ジョン・オルルドは大学時代の1988年に脳腫瘍の手術を受けており、強い衝撃は危険なため、頭部保護の目的で守備でもヘルメットを着用した。

ベースコーチ

ラリー・ボーワ

2007年マイナーリーグのベースコーチだったマイク・クールボーが試合中に打球を頭に受け死亡した事故が起きたことから、翌2008年からアメリカにおいてはメジャーリーグも含めてベースコーチにもヘルメット着用が義務付けられた。日本ではアマチュア野球が2009年に、プロ野球では2010年からそれぞれヘルメット着用が義務化された。ワールドベースボールクラシックでは第2回大会からベースコーチのヘルメット着用が義務化された。高校野球では2001年より打撃投手のヘルメット(ヘッドギア)着用が義務化された。

選手以外ではボールパーソンもヘルメットを着用する。

脚注

関連項目