イフリート (ガンダムシリーズ)

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イフリートは、ゲーム『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』に登場する架空の兵器。

ジオン公国軍の試作型モビルスーツ (MS)。

本項では、各バリエーション機も併せて記述する。

イフリート

諸元
イフリート
EFREET
型式番号 MS-08TX
所属 ジオン公国軍
生産形態 試作機
全高 18.1m
頭頂高 17.2m
重量 50.4t
出力 1,072kw
推力 67,000kg
武装 専用ショットガン
専用ヒートサーベル
スモークディスチャージャー×4
専用ヒートランス(シュナイド機)
3連装35mmガトリング砲(シュナイド機)
ジャイアント・バズ(シュナイド機)
搭乗者 ヘンリー・ブーン
ダグ・シュナイド

陸上での白兵戦を主眼として開発された、グフドムの中間に位置する機体[1]。開発はツィマッド社で[2]、設計の段階から地球侵攻部隊が携わっている。大容量のバーニアを脚部に採用し、高い機動力を持つ。その近接戦闘能力はグフを上回るという。

8機のみの生産で、量産はされなかった。その理由としては、ジオン官僚が宇宙至上主義であったからというものと、カスタムメイドに近く生産性が低かったからというものがある。8機のうち、試作機を改造した004号機がジオン軍のウルフ・ガー隊に配備され、連邦軍アルバトロス隊のピクシーと交戦している。この他、EXAMシステムの試験用に改造された機体(イフリート改)、ステルス機能に特化改修され、一年戦争後に地球連邦軍に接収された機体(イフリート・ナハト)、マルコシアス隊の隊長ダグ・シュナイド専用として配備されたイフリート(シュナイド機)を改修、第三次ネオ・ジオン戦争時にトリントンを襲撃した機体(→イフリート・シュナイド[3]が存在する。

なお、本機以外のグフとドムの中間機としては、『モビルスーツバリエーション』のMS-07C-5 グフ試作実験機がある。また「MS-08」という型式番号を持つ機体にはイフリートとは別に、YMS-08A 高機動型試作機が存在しているが、これらとは直接の関係はない。また、ジオン系MSとしては珍しく、名称に造語ではなく有意単語が使用されている。同様の例としてはMS-18E ケンプファーがある。

主にゲームで登場する本機だが、以下の映像作品への登場も検討されたことがある。OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』ではノリス・パッカードの乗機として登場する予定だった[4]。また『∀ガンダム』企画当初では、本機が発掘され登場する案があったが、結局その案は流れ、別機体ではあるがキャノン・イルフートの名称にこの経緯の名残が見て取れる[5]

武装

ヒートサーベル
本機の専用装備。日本刀のような意匠をしており、左腰にはヒートサーベルを差すためのホルスターが付いている。なお、これはグフ用のヒートサーベルに形状が似ているが、形状記憶式ではない実体剣である。
フィギュア『ZEONOGRAPHY』で立体化された際は右腰にもホルスターが付いており、ヒートサーベルも2本付属している。後のゲームやカードでも二刀流で描かれることが多い。
機動戦士ガンダムオンライン』では「ロング・ヒート・サーベル」という名称で登場し、高速で突進しながら格闘攻撃を行う。見た目以上に範囲が広い。
ショットガン
本機専用の携行武装。ダブルオーバックシェル42mm散弾を発射する。
デザイン画が公表されていないため正確な形状は判明しておらず、『ZEONOGRAPHY』ではケンプファーと同一のデザインのものが付属していた。
バルカン砲
頭部に計2門装備されている[6]。『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』では使用することはない。

デザイン

本機のデザインは大河原邦男によるもので、がモチーフとなっている。また、デザイン画では肩と脚の端が白く塗られているが、『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』の画面では赤い。後のゲームやカードで描かれる際はデザイン画に準拠している。

イフリート改

諸元
イフリート改
EFREET CUSTOM
型式番号 MS-08TX[EXAM]
所属 ジオン公国軍
生産形態 試作実験機
頭頂高 17.2m
本体重量 59.4t
全備重量 96.4t
武装 ヒートサーベル×2
脚部6連装ミサイルポッド×2
腕部2連装グレネードランチャー×2
特殊装備 EXAMシステム
搭乗者 ニムバス・シュターゼン

ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』に登場するMS。MS-08TX イフリートをベースにEXAMシステムを搭載している。

EXAMシステムが開発された時点ではシステムに耐えられそうなMSが、この機体以外に無かったという理由で採用された。最初のEXAMシステムは冷却システムを含めた装置全体が大型で、そのままでは収納できなかったため、頭部が大型化された。本体も手を加えられ、スラスターや冷却能力、火力等を向上させてある。武装は固定装備として両腕にグレネードランチャー、両脚にミサイルポッドがあり、腰部には一対のヒートサーベルを備える。全身の蒼い色は開発者、両肩の赤い色はパイロットの趣味でカラーリングされている(蒼い色については、クルスト博士がマリオンから「宇宙が青く見える」と聞き、迷彩的な意味合いを込めて着色したとする説もある)。

乗りこなすことが難しい機体ではあるが、テストパイロットであるニムバス・シュターゼン大尉の手によって驚異的な性能を発揮した。しかし、機体に多大な負荷をかけるEXAMシステムは起動すると短時間でオーバーヒートしてしまうため、EXAMシステム開発者であるクルスト・モーゼス博士から見れば不満足な機体だった。

ニムバス大尉は当機に搭乗し地球連邦へ亡命したクルスト博士を追撃するが、クルスト博士が地球連邦軍にて開発したEXAMシステム搭載機ブルーディスティニー1号機との死闘の末、擱座する。しかし、ニムバスは隙をついて1号機の頭部をグレネードで破壊、直後に当機も爆散した。小説版では勝負を不利と判断したニムバスが本機を捨てて脱出した直後、自動操縦で1号機を妨害するも頭部をビームサーベルで貫かれて機能停止した。なお、敗因についてニムバスは「(イフリートと陸戦型ガンダムの)マシンの性能差か」とコメントしている。

イフリート・ナハト

諸元
イフリート・ナハト
EFREET NACHT
型式番号 MS-08TX/N
所属 ジオン公国軍→地球連邦軍→ジオン残党軍
生産形態 試作機
全高 17.9m(推定)
重量 54.0t(推定)
出力 1,300kw(推定)
推力 70,000kg(推定)
武装 コールドブレード
コールドクナイ×4~6
左腕部3連装ガトリング砲
搭乗者 エリク・ブランケ、クリスト・デーア

ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』に登場するMS。ナハトとはドイツ語で“夜”を意味する。 本機体はステルス機能に特化し、熱探知対策のために排熱口やスラスターには 開閉可能な可動蓋が設けられている。 直刀やクナイや籠手、夜戦特化仕様、レーダーに映らないなどの特徴からナハトは忍者が元になっている。 (元々はイフリートが侍、ガンダム・ピクシーは忍者と言うコンセプトではあったが)

MS-08TX イフリートをベースに強力なジャミング機能を搭載した機体。夜間戦闘に優れる紫色のカラーリングがされている。忍者刀型の実体剣「コールドブレード(ナハトブレード)」と投擲用小型実体剣「コールドクナイ」、左腕装甲内には3連装ガトリング砲を内蔵し、高い白兵戦能力を持つ。但し、完全に陸戦用に仕上げられており、水中戦と宇宙戦には対応できないという欠点がある。 オデッサ基地司令官だったマ・クベ大佐が所有しており、一年戦争後に地球連邦軍が接収。同基地にて稼動実験が行われていた所をジオン残党軍インビジブルナイツの襲撃を受け、同部隊隊長、エリク・ブランケの手で奪取されている。

以降は「水天の涙作戦」を実行するため、インビジブルナイツ所属機として各地を転戦、地球連邦軍のファントムスイープ隊と数度の戦闘を行っている(なおステルス任務があるにもかかわらず僚機は非ステルス機体である)。 インビジブルナイツの戦場が宇宙に移行する際、不要となった本機はアデン基地に放棄されるが、HLV発進を防衛する殿としてクリスト・デーア整備長が搭乗。ファントムスイープ隊の隊長機に肉薄するも、タチアナ・デーア(シェリー・アリスン)が搭乗したジム・コマンドによる妨害でアデン基地の自爆に巻き込まれ、共に消滅した。コミカライズ版でも同様の展開でHLVの噴射炎に巻き込まれるが、咄嗟にジム・コマンドを突き飛ばしてタチアナの命を救う事に成功している。



イフリート・シュナイド

諸元
イフリート・シュナイド
EFREET SCHNEID
型式番号 MS-08TX/S
所属 ジオン残党軍
生産形態 ワンオフカスタム機
全高 17.2m
本体重量 52.8t
全備重量 84.4t
装甲材質 超硬スチール合金+一部ガンダリウム合金
出力 2,202kw
推力 77,000kg
武装 ヒート・ダート
ヒートサーベル
ビームサーベル
ショットガン
ジャイアント・バズ
搭乗者 フレッド・リーバー[7]

OVA『機動戦士ガンダムUC』に登場するMS。シュナイドとはドイツ語で“気骨”や“勇気”を意味する[8]。その後に発売されたゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』にて、かつて本機に搭乗していた搭乗者ダグ・シュナイドを由来に名付けられたと設定された。

MS-08TX イフリートをU.C.0096年までの間に幾人ものパイロットを経て何度も改修された機体で、機体装備も改修の末によるものである[9]。機体色は明るい紫色で、肩部装甲や左前腕、臀部に、刀身を赤熱化させて投擲、あるいは白兵戦に用いるクナイ状の武器「ヒート・ダート」を装備している。通常のイフリートは両肩のアーマーにスパイクが装備されているが、本機はヒート・ダート用のマウントラッチとなっており、ヒート・ダートがスパイクの様に装備される。ヒート・ダートは両肩と前後を合わせて8本、左手の籠手に4本、臀部に2本の計14本を装備する。

宇宙世紀0096年の第三次ネオ・ジオン戦争時、地球連邦軍トリントン基地を襲撃したジオン軍残党が使用。サブフライトシステムのドダイIIに乗って登場し、トリントン基地防衛に出てきた部隊をジャイアント・バズで砲撃した。その後、ジムII・セミストライカーと交戦し、ツイン・ビーム・スピアによる斬撃を回避しつつ背後に回り込むと、ヒート・ダートをコクピットに突き刺して撃破したが、ジムIIIのミサイルで肩部アーマーを損傷し、ヨンム・カークスが搭乗するザクI・スナイパータイプの援護で撤退を促される。

外伝作品である漫画『「袖付き」の機付長は詩詠う』においてその後の動向が描かれており、ジオン残党の一角である海賊MS部隊の構成機として登場。この際はベースジャバーに乗っており、グフ用のヒートサーベルらしき実体剣及びビームサーベルを追加装備していた。劇中ではカークス隊基地襲撃に参加し、かつて共に戦ったカークス隊と交戦。周辺空域に現れたバイアラン・カスタムを迎撃し、ヒートサーベルを折られながらも互角の空中戦を繰り広げる。しかし、搭乗者はカークス隊の依頼を受けた間者であり、迎撃を買って出たのは海賊の母艦であるガウの砲撃を止めるためだった。バイアラン・カスタムの攻撃でガウが撃墜されると海賊を離反し、ビームサーベルで海賊首領のザクIIIを撃破して撤退した。その後はカークス隊と合流せず、偽装が施された状態で座り込む本機の姿が描かれているものの、以降の動向は不明。

また、『サイドストーリーズ』の新作シナリオ『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』にて、宇宙世紀0096年時のパイロットは一年戦争時に連邦軍特務部隊「スレイヴ・レイス」に所属していたフレッド・リーバーであったという設定が明かされた。「シュナイド」と名付けたのもフレッドである。フレッドは元々近接格闘戦を得意としており、忍者がモチーフのガンダム・ピクシーに搭乗していた経緯から、シュナイドに元々装備されていたヒート・ランスをヒート・ダートへ換装したとされている。


脚注

  1. ^ ゲーム発売当時の雑誌などには「型式番号から察するにグフとドムの中間のようだ」との紹介に止まり、機体設計的に中間だと明言はされていない(『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』の取扱説明書にも記述は無い)。講談社の攻略本には「〜中間のようだがスラスター推力はゲルググより上」とあり、中間というのは開発された順番だとも取れるような記述がある。ただし、ジオン軍内では開発順と形式番号順は必ずしも一致しない。
  2. ^ 『GREAT MECHANICS. DX2』(双葉社)ではイフリートを含む08系列の機体はツィマッド社製と解説。
  3. ^ 『月刊ガンダムエース 2014年7月号』107頁。
  4. ^ 『電撃ホビーマガジン』 1999年6月号 飯田馬之介監督インタビュー 52頁。
  5. ^ LD『∀ガンダム』第4巻ライナーノートより。
  6. ^ 『CROSS DIMENSION 0079』の取扱説明書に掲載されたイラストのみ砲門らしきものが省略されている。
  7. ^ 週刊ファミ通2014年5/22号より。
  8. ^ 『月刊ホビージャパン』2012年2月号20頁より。
  9. ^ 『グレートメカニック DX 19』31頁より。

関連項目