桐紋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
桐紋の例(「五七桐」)

桐紋(きりもん)とは、ゴマノハグサ科キリの葉や花を図案化した家紋の総称である。桐花紋(とうかもん)とも呼ばれる。

室町幕府では小判などの貨幣に刻印され、これ以来皇室や室町幕府や豊臣政権など様々な政府が用いており、現在では日本国政府の紋章として用いられている。

図案[編集]

3本の直立する花序と3枚のから構成されているものが基本的図案である。花序につく花の数が3-5-3の五三桐(ごさんのきり・ごさんぎり)が一般的で、花序につく花の数が5-7-5となっているものは五七桐(ごしちのきり・ごしちぎり)という。ほかに、「乱れ桐」・「桐菱」・「光琳桐」・「桐車」など140種以上の図案がある。

古代中国で鳳凰が棲むといういわれのある桐とは、アオギリ(梧桐)である。日本で使用されている桐紋はこの伝承に倣ってのものであるが、桐紋としてデザインされているのは別種のキリ(白桐)である。

  • 2は1の外郭に丸を加えたもので、日本家紋研究会の調べでは使用されている桐紋全体の7割ほどを占めるとある。
  • 3は太閤桐の一例である。豊臣秀吉使用の五七桐、五三桐の総称で、幾つかのデザインが確認されている。
  • 4は土佐山内氏の使用紋。豊臣秀吉が山内一豊に賜与した桐紋を元にデザインされている。
  • 5は五三桐の葉や花の先端を尖らせる。
  • 6.桐の葉や花で「揚羽蝶」に擬態させる。

歴史[編集]

使用の歴史[編集]

紋として使用が確認できる初見では、『蒙古襲来絵詞』に描かれた天草大矢野氏の軍旗である[1]。室町時代の『見聞諸家紋』では、足利将軍家、五七桐の使用が許されていた一門15家のほか、進士氏、安部氏、明石氏、ほか「藤民部」の20家が載り、江戸時代の『寛政重修諸家譜』では473家が載る。

当初は菊紋章とともに皇室専用の家紋であったが、後に皇室以外の戦国大名などの諸侯も用いるようになり、皇室は専ら菊紋章のみを用いるようになった。

徳川幕府(1603年 - 1868年)では、庶民から侍は大名まで、使用層は広かった。侍や武家では、幕府の家臣や大名家含めて473家が使用した。五大紋の一つに数えられ、特に庶民の間では五三桐は多く普及し、紋付き服の貸し借りができた。

近代以降[編集]

近代の日本政府(1868年 - 1945年)では、1869年太政官布告にて一部菊紋章の使用規定が明記されたが、桐紋に関しては1884年官報で特に定めないことを公示されたため自由に使用できた。

筑波大学の校章の意匠に取り入れられているが、これは明治天皇より筑波大学の前身である東京高等師範学校が校章として下賜されたものが起源である。近現代の企業ロゴの意匠にも取り入れられ、桐灰科学株式会社ザ・キャピトルホテル 東急の前身であるキャピトル東急ホテルのロゴなどに使用がある。キャピトル東急ホテルのロゴ意匠の桐紋(中陰五七鬼桐)は創業家である五島家の家紋を取り入れたものである。

政治上の桐紋の歴史[編集]

大礼服姿の原敬首相。大礼服には五七の桐紋章が刺繍されている。

桐が鳳凰の止まる木として古代中国で神聖視されていたことに倣って、日本でも一説には嵯峨天皇の頃から、天皇の衣類の文様に用いられるなど、菊紋章に次ぐ格式のある紋とされた。室町幕府以後は、武家が望んだ家紋とされ、足利尊氏や豊臣秀吉などもこれを天皇から賜っている。このため、五七桐は「政権担当者の紋章」という認識が定着することになった。ただし、征夷大将軍に任命された徳川家康のように、これを断り、紋章として桐を使用しなかった者もいる(ただし、家康個人は大御所時代になってからは桐紋も用いるようになっている)。豊臣政府徳川幕府では、小判などの貨幣に刻印されたため、全国に流通したことにより、それぞれの政府を表す紋章としての地位を確立した。1872年には、明治政府大礼服を定め、勅任官は、その上着に「五七桐」を用いることとされた。

日本政府における桐紋[編集]

内閣総理大臣紋章

政治上においては、皇室朝廷の副紋として五七桐が多用されていることがあり、標準的な図案だけではなく、豊臣秀吉(太閤桐)のようにその変種を使用した例もある。図案は五七桐に限らず、五三桐も使用された。大日本帝国憲法憲政下の政府は皇室の菊紋章を多用した。日本国憲法憲政下の日本政府内閣総理大臣内閣)は桐紋章を用いている。

明治政府以後は、旭日章の意匠に取り入れられたり、皇室を表す紋章である「十六八重菊」に準じるものとして、ビザパスポートなどの書類や硬貨明治政府以後の金貨や、現在の500円硬貨)の装飾に使われたり、菊紋と共に賞杯[1]や、官邸の備品や、総理の演台に取付けられるプレートに使われている。

また、皇宮警察本部法務省では「五三桐」が紋章として使われている。日本国有鉄道の帽章も、桐紋に蒸気機関車の動輪を組み合わせたものだった。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 高澤等著『家紋の事典』東京堂出版 2008年

関連項目[編集]