月見

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
十五夜から転送)
移動: 案内, 検索
望月

月見(つきみ)とは、、主に満月を眺めて楽しむこと。観月(かんげつ)とも称する。

形から、鶏卵の黄身を満月に例えた料理も月見という。

目次

[編集] 概要

月見は、主に旧暦8月15日から16日の夜(八月十五夜)と、日本では旧暦9月13日から14日の夜(九月十三夜)にも行われる。そのため、月見に関する話題で単に「十五夜(じゅうごや)」「十三夜(じゅうさんや)」と言うと、これらの夜を意味する。

中国や日本では、単に月を愛でる慣習であれば古くからあり、日本では縄文時代頃からあると言われる。ただ、『竹取物語』には、月を眺めるかぐや姫を嫗が注意する場面があり、月見を忌む思想も同時にあったと推察される。

[編集] 八月十五夜

月見の飾り

[編集] 呼称

この夜の月を「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」と呼ぶ。

「仲秋の名月」という表現もあるが、これだと「陰暦8月の月」を指し、十五夜の月に限定されなくなる。「仲秋」とは、秋を初秋(旧暦7月)、仲秋(同8月)、晩秋(同9月)の3つに区分した場合、旧暦8月全体を指す。対して「中秋」とは「秋の中日」=陰暦8月15日のみを指す。

加えて、中秋の夜に雲などで月が隠れて見えないことを「無月(むげつ)」、中秋の晩に雨が降ることを「雨月(うげつ)」と呼び、月が見えないながらもなんとなくほの明るい風情を賞するものとされる。また、俳諧では8月14日~15日、16日17日の夜をそれぞれ「待宵(まつよい)」「十六夜(いざよい)」と称して、名月の前後の月を愛でる。

[編集] 日付

秋分北半球では、太陽と月の角度により、月の(地球から見た)位置が観月に最も適している。秋分は旧暦では旧暦8月にあたる。実際の新暦での日付は、秋分(9月23日ごろ)の前後半月の1ヶ月の期間の中で変動する(具体的には8月15日 (旧暦)#対照表を参照)。

しかし、日本の関東以西では、この時期、晴天に恵まれる確率は低い。

南米日系人社会でも、日本と同様に十五夜の月を中秋の名月として観月する。ただし、南半球では春であり、月の位置も観月に適してはいない[要出典]

十五夜の日は満月の日に近い日ではあるが、必ずしも両者は一致するものではなく、むしろ異なる場合の方が多い。その差は最大で2日である。

[編集] 各地の風習

[編集] 日本の旗 日本

中国から仲秋の十五夜に月見の祭事が伝わると、平安時代頃から貴族などの間で観月の宴や、舟遊び(直接月を見るのではなくなどに乗り、水面に揺れる月を楽しむ)でを詠み、宴を催した。また、平安貴族らは月を直接見ることをせず、杯や池にそれを映して楽しんだという。

現代では、月が見える場所などに、(すすき)を飾って月見団子里芋枝豆などを盛り、御酒を供えて月を眺める(お月見料理)。この時期収穫されたばかりの里芋を供えることから、十五夜の月を特に芋名月(いもめいげつ)と言う地方もある[1]

仏教寺院では、豊作を祈る満月法会を催すところもある。

また戦前から昭和中期にかけて(ところにより今日でも)は、各家に供えてある月見団子や栗、柿、枝豆、芋、菓子類を近所の子どもたちがそこの家人に見つからないように(見つけても見ない素振り)捕って回りその年の収穫を皆で祈る(祝う)風習がある[2]

[編集] 中華人民共和国の旗 中国

十五夜の月を鑑賞する慣習は中国に由来する。

中国韓国台湾では中秋節zh:中秋节)として盛大に祝う。中秋節は祝日となっている。中国では当日、月餅を食べながら月を観る慣習があったが、近年は月餅はひと月以上前から知人に配るようになったため、中秋当日までに月餅は食べ飽きてしまい、中秋当日には売れ残りを恐れて安売りされるという現象も起きている。

[編集] 台湾の旗 台湾

台湾では月見をして月餅や柚子を食べる習慣があり、当日屋外でバーベキューをするなどの別の楽しみ方が増えている。また、台湾南部ではおもちを食べる風習もある。

[編集] 韓国の旗 韓国

韓国では秋夕とその前日と翌日が公休日となるため、多くの企業、施設も休みとなり、帰省する者も多い[3]

[編集] 八月十五夜以外の月見

[編集] 九月十三夜

八月十五夜の月に対して「後(のち)の月」と呼ばれる。十三夜は日本独自の風習と言われている。ちょうど食べ頃の大豆などを供えることから、このの月を豆名月(まめめいげつ)または栗名月(くりめいげつ)と呼ばれる。

江戸時代の遊里では、十五夜と十三夜の両方を祝い、どちらか片方の月見しかしない客は「片月見」または「片見月」で縁起が悪いと遊女らに嫌われた。二度目の通いを確実に行なうために、十五夜に有力な客を誘う(相手はどうしても十三夜にも来なければならないため)風習があった。

[編集] その他の夜

天候次第で月を見られない場合もあるので地方によっては月待ちという風習があり、十七夜以降を立待月(たちまちづき)、居待月(いまちづき)、寝待月(ねまちづき)、更待月(ふけまちづき)、という。二十三夜待ちまでを行う地域が多くを占めたが、二十六夜待ちまで行う地域があり、月光に阿弥陀仏観音勢至の三尊が現れる[4]、という口実を付けて月が昇る(深夜2時頃)まで遊興に耽った。この風習は明治時代に入ると急速に廃れていったようだ。

[編集] 月見の名所

[編集] 日本の旗 日本

[編集] 台湾の旗 台湾

[編集] 中華人民共和国の旗 中国

[編集] 月見に関連した作品

  • 古典文学
  • 漢詩
    • 上杉謙信『十三夜』「霜滿軍營秋氣淸 数行過雁月三更 越山併得能州景 遮莫家郷憶遠征」
  • 小説
  • 俳句
    • 松尾芭蕉
      • 名月はふたつ過ぎても瀬田の月
      • 名月や池をめぐりて夜もすがら
      • 名月や座にうつくしき顔もなし
      • 名月や児立ち並ぶ堂の縁
      • 名月や門にさしくる潮がしら
      • 名月や北国日和定めなき
    • 種田山頭火「ほつと月がある東京に来てゐる」
  • 短歌
    • 詠み人知らず「月月に月見る月は多けれど 月見る月はこの月の月」(「月」が8回あり、「この月」が8月であることを示している)
  • 絵本
    • いわむらかずお『14ひきのおつきみ』童心社 1998年
    • イオクベ『ソリちゃんのチュソク』セーラー出版 2000年
    • 「井筒」(いづつ)
    • 「融」(とおる)
    • 「姨捨」(おばすて)
    • 「三井寺」(みいでら)

[編集] 月見の料理

月見うどん(京都市)

茹でた蕎麦うどんを丼に入れ、場合によって群雲(むらくも)に見立てた海苔を敷いてから、生卵を割り入れて、薬味を添えたものを「月見うどん」、「月見そば」と呼ぶ。月見の風情をどんぶりの中に見立てたものである。本来、月見に海苔は必須であり、海苔なしの場合は「玉(ぎょく)」といったが(「玉(ぎょく)落とし」「玉(ぎょく)入り」「玉(ぎょく)落ち」等)、現代では海苔なしでも卵さえ入っていれば月見と言ってしまうことも多い。

鍋焼きうどん味噌煮込みうどんにも鶏卵を割り入れる場合も多いが、火が通って黄身が見えにくくなるためか、月見とは呼ばれない。

北九州市では、焼きうどんなどにくぼみを作り、中に卵を落として、ひっくり返して焼いたものを天窓と称している。これは天窓から月が見える様子を言っており、月見の変型である。

マクドナルドでは1991年以来、秋限定メニューとして、9月から10月にかけて目玉焼きの入った「月見バーガー」を発売している(ただしこれ以前からファーストキッチンで同種のハンバーガーが売られており、オリジナルではない)。

台湾では、かき氷のメニューのひとつとして「月見冰、ユエチエンピン」(月見氷)がある。かき氷の上に黒糖蜜、練乳ドライフルーツなどのトッピングを乗せた後、真ん中にくぼみを作って、生卵の黄身を割り入れたものである[5]中国語で月見は「賞月」という言い方が普通であり、「月見」は日本語からの借用と考えられる(中国語は動詞 - 名詞語順であり、「月見」のような名詞 - 動詞の語順は本来は用いない)。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 「年中行事事典」p65 1958年(昭和33年)5月23日初版発行 西角井正慶編 東京堂出版
  2. ^ 「年中行事事典」p65 1958年(昭和33年)5月23日初版発行 西角井正慶編 東京堂出版
  3. ^ 秋夕の帰省ラッシュ 中央日報 2009年9月19日
  4. ^広辞苑
  5. ^ 懐かしの台湾デザート 月見カキ氷(旅々台北、2005年7月6日)

[編集] 外部リンク

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語