コンテンツにスキップ

「栄養素 (植物)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
「水」新設、加筆:ナトリウム、塩素、マンガン
タグ: サイズの大幅な増減
2行目: 2行目:


== 概要 ==
== 概要 ==
[ {{lang-en-short|[[:en: Daniel Israel Arnon| Daniel Israel Arnon<small>(英語版)</small>]]}} ]は植物の必須栄養素を、その元素がないことにより植物がその生活環を全うできないもの、と定義した<ref name=Arnon1939 />。後に、E. Epsteinは、植物に必須の成分や代謝物の構成元素も必須元素の定義であると提案した<ref name="Epstein1972" />。
ダニエル・イズラエル・アーノン[ {{lang-en-short|[[:en: Daniel Israel Arnon| Daniel Israel Arnon<small>(英語版)</small>]]}} ]は植物の必須栄養素を、その元素がないことにより植物がその生活環を全うできないもの、と定義した<ref name=Arnon1939 />。後に、E. Epsteinは、植物に必須の成分や代謝物の構成元素も必須元素の定義であると提案した<ref name="Epstein1972" />。


現在、植物一般の必須栄養素として以下の14元素が知られている。これらは、一般に植物の要求量が大きい多量要素(植物組織の乾燥重量の0.2%以上)と、小さい微量要素(同0.02%以下)に大別されている<ref name=aesl />。
現在、植物一般の必須栄養素として以下の14元素が知られている。これらは、一般に植物の要求量が大きい多量要素(植物組織の乾燥重量の0.2%以上)と、小さい微量要素(同0.02%以下)に大別されている<ref name=aesl />。
62行目: 62行目:
=== 水素 ===
=== 水素 ===
水素は[[水]]の構成元素であり、また、糖などの植物を構成するすべての有機物を構成する。植物はほぼ水から水素を得ている。水素イオン(プロトン)の濃度勾配は[[光合成]]や[[呼吸]]のための電子の運搬に必要である<ref name="HunerHopkins2009"/>。
水素は[[水]]の構成元素であり、また、[[]]といった、植物を構成するすべての有機物を構成する。水素イオン(プロトン)の濃度勾配は[[光合成]]や[[呼吸]]のための電子の運搬に必要である<ref name="HunerHopkins2009"/>。植物はほぼ水から水素を得ている

==== 水 ====
細胞が外界から、あるいは隣り合った他の細胞から水が移動(吸収)する単位時間当たりの量は、(水ポテンシャル差)と([[透過性]])の積である<ref name=PNlogyWater />。[[水ポテンシャル]]の差とは、水を吸収する力と理解されている。実際の取り扱いでは、水ポテンシャルは[[浸透ポテンシャル]]と[[圧ポテンシャル]]と[[マトリックスポテンシャル]]の和である。透水性の膜を通して水ポテンシャルに差があるとき、喩えるなら細胞内外で水ポテンシャルに差があるとき、水ポテンシャルが高いほうから低いほうへと水は移動する。


=== 酸素 ===
=== 酸素 ===
153行目: 156行目:
== 微量要素 ==
== 微量要素 ==
=== 塩素 ===
=== 塩素 ===
塩素は環境中に普遍的に存在する元素である。土壌中には約100mg/kg含まれ、水溶性の塩化物イオンとして存在する。土壌粒子には吸着されにくく、水とともに移動する。日本では、塩化物イオンが豊富な海からの潮風で運ばれてくるため、作物の塩素欠乏はまずない。一方、海から遠く離れた大陸内部では欠乏が生じることがある。アメリカの[[グレートプレーンズ]]には塩化物イオンを含む肥料によって小麦の収量が増加する地域がある<ref name=Engel2001 />。
[[塩素]]は[[浸透圧]]や[[イオン平衡]]の調節に必要とされ、[[光合成]]にも関わる。

塩素不足の植物の葉には異常が生じる;面積の減少、萎凋、縁部の巻き上がり、黄化、[[ブロンジング]]([[青銅色]]への変色を伴う壊死)。また、根の生育は低下する。下表に各植物の塩素欠乏の症状および発症濃度を示す<ref name=PNlogyCl>{{cite book |author=間藤徹 |title=植物栄養学 第2版 |chapter=第三章 植物の必須元素,栄養元素 4)塩素 |publisher=文永堂出版 |pages=181-5 |year=2010}}</ref>。
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 各植物の塩素欠乏
|-
! 植物 !! 生育ステージや部位 !! 症状が現れる濃度
|-
! [[サトウダイコン]] || 地上部 || 700
|-
! 〃 || 葉身 || 880~1,800
|-
! 〃 || 葉柄 || 3,500~7,000
|-
! ジャガイモ || 地上部 || 1,310
|-
! [[デュラム小麦]] || 地上部 || 1,000
|-
! [[春小麦]] || 出穂期の地上部 || 1,500
|-
! 小麦、大麦 || 出穂期の地上部 || 1,200~1,400
|-
! [[パームヤシ]] || 第14葉身 || 2,500
|-
! [[ココヤシ]] || 葉身 || 6,000未満
|-
! 〃 || 第14葉身 || 2,500
|-
! [[オイルヤシ]] || 葉身 || 6,000未満
|}

[[塩素]]は[[硝酸]]イオンや[[硫酸]]イオンや[[リン酸]]イオンなどとは異なりほとんど代謝されない。塩化物イオンとして体内に存在し、遊離の無機[[アニオン]]としての[[浸透圧]]調節や[[カチオン]]との[[イオン平衡]]、[[膜電位]]の安定に必要とされる。

特に重要なのは、[[気孔]]の開閉である。気孔はカリウムイオンの移動に伴う浸透圧変化によって開閉するが、カリウムイオンの対イオンとして利用されるのが塩化物イオンと[[リンゴ酸]]イオンである。塩化物イオンが多く利用できるほど、リンゴ酸イオンの必要量は減る。タマネギではこのことが重要であり、[[孔辺細胞]]葉緑体に[[デンプン]]が蓄積されないためリンゴ酸が不足し、このため塩化物イオンがないと気孔は開くことができない。また、閉じるときにも塩化物イオンは重要である。開口した孔辺細胞では、[[アブシジン酸]]などの気孔閉鎖シグナルが[[アニオンチャネル]]を活性化し、塩化物イオンとリンゴ酸を排出させる。これによって膜は[[脱分極]]してカリウムイオンを孔辺細胞から排出し、気孔は膨圧を失って閉鎖する。

細胞の伸長成長や[[細胞分裂|分裂]]のきっかけは、細胞に塩化物イオンが流入することである。塩化物イオンが増加すると、先述の理由により[[有機酸]]イオンを植物成長に振り向けられる。

[[光合成]]にも関わる。塩化物イオンは光化学系IIの必須因子であると考えられている。[[ラン藻]]の光化学系II複合体を構成するマンガン・カルシウムクラスターの近傍2か所に塩化物イオンが結合することが明らかとなっている<ref name=Guskov2009>{{cite journal |author=Albert Guskov |author2=Jan Kern |author3=Azat Gabdulkhakov |author4=Matthias Broser |author5=Athina Zouni |author6=Wolfram Saenger |title=Cyanobacterial photosystem II at 2.9-Å resolution and the role of quinones, lipids, channels and chloride |journal=Nature Structural & Molecular Biology |volume=16 |pages=334-42 |date=2009 |url=http://www.nature.com/nsmb/journal/v16/n3/full/nsmb.1559.html |doi=10.1038/nsmb.1559}}</ref>。さらに、[[V型ATPase]]や[[アスパラギン合成酵素]]の活性調整に必要なことが示されている。

植物には、塩素と共有結合した有機化合物が存在する。エンドウやソラマメは[[オーキシン]]の一種[[4-クロロインドール-3-酢酸]]を持つ。4-クロロインドール-3-酢酸は、塩素を持たないクロロインドール-3-酢酸と比べて10倍以上の成長促進活性を持つが、この強力さは、塩素を含有することで分解されにくくなったためと考えられている。他にも[[ポリアセチレン]]や[[チオフェン]]などが塩素を含有する。


=== 鉄 ===
=== 鉄 ===
184行目: 226行目:
吸収後の鉄の挙動についてもいくつか明らかとなっている。吸収直後、根端分裂組織に使われるもの以外は速やかに地上部の[[分裂組織]]([[単子葉植物]]の場合は茎葉の基部、[[双子葉植物]]の場合は頂芽)と新葉に移行する。クロロフィルの合成が活発で、特に鉄の需要が大きいためである。双子葉植物では体内での運搬中、鉄イオンは[[導管]]で[[クエン酸]]と、[[師管]]で[[ニコチアナミン]]と会合していると考えられている<ref name=Hong-Qing1999 />。イネ科植物では導管と師管にもシデロホアの[[ムギネ酸]]類が検出されている。ムギネ酸類は鉄の転流にも関与していることが示唆されている。
吸収後の鉄の挙動についてもいくつか明らかとなっている。吸収直後、根端分裂組織に使われるもの以外は速やかに地上部の[[分裂組織]]([[単子葉植物]]の場合は茎葉の基部、[[双子葉植物]]の場合は頂芽)と新葉に移行する。クロロフィルの合成が活発で、特に鉄の需要が大きいためである。双子葉植物では体内での運搬中、鉄イオンは[[導管]]で[[クエン酸]]と、[[師管]]で[[ニコチアナミン]]と会合していると考えられている<ref name=Hong-Qing1999 />。イネ科植物では導管と師管にもシデロホアの[[ムギネ酸]]類が検出されている。ムギネ酸類は鉄の転流にも関与していることが示唆されている。


鉄不足は[[クロロシス]](黄化)や[[ネクロシス]](壊死)の原因となる。銅不足により鉄不足が引き起こされることがある<ref name=Ruhr2012 />。
石灰質土壌で栽培した果樹では、鉄不足が最も大きな問題となる<ref name=Rombola2006 /><ref name=Fernandez2006 />。鉄不足は[[クロロシス]](黄化)や[[ネクロシス]](壊死)の原因となる。銅不足により鉄不足が引き起こされることがある<ref name=Ruhr2012 />。


鉄不足は植物の生育を著しく阻害するため、鉄不足に応答する遺伝学的機構が存在する。鉄不足になるとまず、クロロフィルやヘムの生合成に関わる遺伝子の発現が抑制され、鉄の消費量が減少する。さらに、鉄の獲得にかかわる酵素や膜輸送体の遺伝子の発現量が大きく増加する。発現が促進させられる遺伝子は、ストラテジーI植物では三価鉄還元酵素や二価鉄輸送体など、ストラテジーII植物ではシデロホアの生合成系の酵素および鉄-シデロホア錯体輸送体である。鉄欠乏時の遺伝子発現に重要な[[転写因子]]としてストラテジーI植物の[[シロイヌナズナ]]からFIT、bHLH38、bHLH39が、ストラテジーII植物の稲からIDFE1、IDFE2<ref name=Kobayashi2003 />、IRO2が同定されている。
鉄不足は植物の生育を著しく阻害するため、鉄不足に応答する遺伝学的機構が存在する。鉄不足になるとまず、クロロフィルやヘムの生合成に関わる遺伝子の発現が抑制され、鉄の消費量が減少する。さらに、鉄の獲得にかかわる酵素や膜輸送体の遺伝子の発現量が大きく増加する。発現が促進させられる遺伝子は、ストラテジーI植物では三価鉄還元酵素や二価鉄輸送体など、ストラテジーII植物ではシデロホアの生合成系の酵素および鉄-シデロホア錯体輸送体である。鉄欠乏時の遺伝子発現に重要な[[転写因子]]としてストラテジーI植物の[[シロイヌナズナ]]からFIT、bHLH38、bHLH39が、ストラテジーII植物の稲からIDFE1、IDFE2<ref name=Kobayashi2003 />、IRO2が同定されている。
198行目: 240行目:


=== マンガン ===
=== マンガン ===
マンガンは、[[葉緑体]]の合成など光合成に必要である<ref name=new-light />。

健全な葉における含有率は乾物当たり数十~数百mg/kgであり、これが10~20mg/kg以下になると欠乏症が生じる。マンガン不足の原因となる土壌は、pHが高いか、堆肥を大量に連用されたものである。後者の原因として、有機物が多い土壌でpHが6.5になると、マンガン酸化細菌が活発になりマンガンイオンを不溶性の[[二酸化マンガン]]にする。このような土壌では、マンガン濃度が高くとも欠乏症を引き起こす。
健全な葉における含有率は乾物当たり数十~数百mg/kgであり、これが10~20mg/kg以下になると欠乏症が生じる。マンガン不足の原因となる土壌は、pHが高いか、堆肥を大量に連用されたものである。後者の原因として、有機物が多い土壌でpHが6.5になると、マンガン酸化細菌が活発になりマンガンイオンを不溶性の[[二酸化マンガン]]にする。このような土壌では、マンガン濃度が高くとも欠乏症を引き起こす。


マンガン不足は、葉上の変色斑点の発生といった着色異常を生じさせる。野菜類では上位葉に、麦類では下位葉に葉脈間クロロシスや褐色斑点、線状のネクロシスが生じる。マンガン不足に対しては[[硫酸マンガン]]の葉面散布が有効である。
マンガン不足は、葉上の変色斑点の発生といった着色異常を生じさせる。野菜類では上位葉に、麦類では下位葉に葉脈間クロロシスや褐色斑点、線状のネクロシスが生じる。マンガン不足に対しては[[硫酸マンガン]]の葉面散布が有効である。


過剰症は、酸性、鉱山跡地、排水不良の土壌などで発生する。また、[[蒸気消毒]]や熱水消毒を施した後でも生じる。これは、消毒によって分解生成する易分解性有機物によってマンガン酸化物が還元されてイオンとなり、さらに微生物の死滅によってマンガンの酸化が進行しにくくなるためである。過剰症となるマンガン濃度は植物種や品種の間で大きく異なる。例えば、トウモロコシでは乾物当たり200mg/kgであるが、大豆で600mg/kg、ヒマワリで5,300mg/kgである。
過剰症は、酸性、鉱山跡地、排水不良の土壌などで発生する。また、[[蒸気消毒]]や[[熱水消毒]]を施した後でも生じる。これは、消毒によって分解生成する易分解性有機物によってマンガン酸化物が還元されてイオンとなり、さらに微生物の死滅によってマンガンの酸化が進行しにくくなるためである。過剰症となるマンガン濃度は植物種や品種の間で大きく異なる。例えば、トウモロコシでは乾物当たり200mg/kgであるが、大豆で600mg/kg、ヒマワリで5,300mg/kgである。


過剰害の症状は、葉脈・葉柄・毛茸基部の褐変・黒変、葉身での小さく不規則な褐色斑点、葉縁部でのクロロシスなどである。斑点の原因は酸化された[[フェノール]]性化合物の蓄積であり、これは過剰な吸収で[[アポプラスト]]と[[シンプラスト]]で[[ペルオキシダーゼ]]が異常に活性化するためである。
過剰害の症状は、葉脈・葉柄・毛茸基部の褐変・黒変、葉身での小さく不規則な褐色斑点、葉縁部でのクロロシスなどである。斑点の原因は酸化された[[フェノール]]性化合物の蓄積であり、これは過剰な吸収で[[アポプラスト]]と[[シンプラスト]]で[[ペルオキシダーゼ]]が異常に活性化するためである。過剰症の対策は土壌pHの増大、もしくは[[ケイ酸|ケイ酸塩]]の施用である。稲の場合、ケイ酸は根表面へのマンガン酸化物の沈着を促進し、地上部へのマンガン輸送を抑制する。一方、[[ササゲ]]、カボチャ、キュウリでは葉のマンガン含有率は低下しないが、症状は軽減される。このとき、ケイ酸は細胞壁へのマンガンの沈着を増やす


マンガンは光合成に必要である<ref name=new-light />。マンガンを含む植物酵素には、[[光化学系II]](PSII)複合体の構成員<ref name=Yachandra1986>{{cite journal |author=Vittal K. Yachandra |author2=R.D. Guiles |author3=Ann McDermott |author4=R.David Britt |author5=S.L. Dexheimer et. al. |title=The state of manganese in the photosynthetic apparatus: 4. Structure of the manganese complex in Photosystem II studied using EXAFS spectroscopy. The S<sub>1</sub> state of the O<sub>2</sub>-evolving Photosystem II complex from spinach |journal=Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Bioenergetics |volume=850 |issue=2 |pages=324–32 |date=2 July 1986 |url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/000527288690188X |doi=10.1016/0005-2728(86)90188-X}}</ref>と、光化学系から発生する[[活性酸素種]]の除去をする[[スーパーオキシドジスムターゼ]](SOD)<ref name=Bowler1991>{{cite journal |author=C. Bowler |author2=L. Slooten |author3=S. Vandenbranden |author4=R. De Rycke |author5=J. Botterman et. al. |title=Manganese superoxide dismutase can reduce cellular damage mediated by oxygen radicals in transgenic plants |journal=The EMBO Journal |volume=10 |issue=7 |pages=1723–32 |date=Jul 1991 |url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC452843/ |pmid=PMC452843 }}</ref>が含まれる。[[クロロプラスト]]中のマンガンはほぼすべて、[[チラコイド|チラコイド膜]]に結合しているPSIIのマンガン酵素である。葉に存在するSODの90%以上はクロロプラストで、4~5%だけがミトコンドリアに分布している。Mn-SODはこの微量の分布先であるミトコンドリアと[[ペルオキシソーム]]にある。マンガンが不足するとミトコンドリアの呼吸機能が損なわれる。
過剰症の対策は土壌pHの増大、もしくは[[ケイ酸|ケイ酸塩]]の施用である。稲の場合、ケイ酸は根表面へのマンガン酸化物の沈着を促進し、地上部へのマンガン輸送を抑制する。一方、[[ササゲ]]、カボチャ、キュウリでは葉のマンガン含有率は低下しないが、症状は軽減される。このとき、ケイ酸は細胞壁へのマンガンの沈着を増やす。

マンガン酵素は光合成のほか、様々な生理反応に関与している;[[TCA回路]]の[[リンゴ酸デヒドロゲナーゼ|リンゴ酸脱水素酵素]]や[[イソクエン酸デヒドロゲナーゼ|イソクエン酸脱水素酵素]]、窒素代謝の[[アルギナーゼ]]、[[リグニン]]などの[[フェノール]]化合物の代謝および[[シキミ酸経路]]の[[フェニルアラニンアンモニアリアーゼ|フェニルアラニンアンモニア分解酵素]]や[[ぺルオキシダーゼ]]。また、[[インドール酢酸]](IAA)の代謝に関与する[[インドール酢酸オキシダーゼ|IAA酸化酵素]]の活性にもマンガンが関わっている<ref name=Morgan1966>{{cite journal |author=Page W. Morgan |author2=Howard E. Joham |author3=J. V. Amin |title=Effect of Manganese Toxicity on the Indoleacetic Acid Oxidase System of Cotton |journal=American Society of Plant Biologists |volume=41 |issue=4 |pages=718-24 |date=April 1966 |url=http://www.plantphysiol.org/content/41/4/718.short |doi=​10.​1104/​pp.​41.​4.​718}}</ref>。マンガンによる酵素の活性化はマグネシウムで代替できる場合が多い。しかし、PEK型[[C4植物|C<sub>4</sub>植物]]の[[維管束鞘細胞]]クロロプラストでの脱炭酸を行う[[ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ|PEPカルボキシラーゼ]]の活性化はマグネシウムで代替できない。

植物や微生物は土壌中の不溶性マンガンを可溶化させ、マンガンを細胞内へと取り込む。可溶化は、[[プロトン]]や低分子有機化合物([[有機酸]]、[[アミノ酸]]、フェノール性化合物)を分泌により行う。これらの化合物は、好気的な土壌環境でマンガンの形態として高い割合で存在する[[酸化物]]を還元して溶出させる。可溶化したマンガンの取り込みは、[[ZRT/IRT関連タンパク質]][ ZRT/IRT-related protein: ZIP ]ファミリー、[[自然抵抗性関連マクロファージタンパク質]][ natural resistance-associated macrophage protein: Nramp ]ファミリー、[[カチオン交換輸送体]][ cation exchanger: CAX ]ファミリー、[[カチオン拡散促進タンパク質]][ [[:en:Cation diffusion facilitator|cation diffusion facilitator protein]]: CDF ]ファミリーなどが属する[[膜輸送体]]が担う。この中で、根での取り込みに重要なのはZIPファミリーのIRT1である。IRT1は基質特異性が広く、マンガンイオン以外にも鉄(II)イオン、亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、カドミウムイオンの輸送に関わる<ref name=Korshunova1999>{{cite journal |author=Yulia O. Korshunova |author2=David Eide |author3=W. Gregg Clark |author4=Mary Lou Guerinot |author5=Himadri B. Pakrasi |title=The IRT1 protein from Arabidopsis thaliana is a metal transporter with a broad substrate range |journal=Plant Molecular Biology |volume=40 |issue=1 |pages=37-44 |date=May 1999 |url=http://link.springer.com/article/10.1023/A:1026438615520 |doi=10.1023/A:1026438615520}}</ref>。シロイヌナズナを用いた試験では、可溶性Mn濃度が低い土壌からのマンガンの取り込みにおいてNrampファミリーのNramp1が必須であることが示された<ref name=Cailliatte2010>{{cite journal |author=Rémy Cailliatte |author2=Adam Schikora |author3=Jean-François Briat |author4=Stéphane Mari |author5=Catherine Curie |title=High-Affinity Manganese Uptake by the Metal Transporter NRAMP1 Is Essential for Arabidopsis Growth in Low Manganese Conditions |journal=American Society of Plant Biologists |volume=22 |issue=3 |pages=904-17 |date=March 2010 |url=http://www.plantcell.org/content/22/3/904.short |doi=10.​1105/​tpc.​109.​073023}}</ref>。

余剰のマンガンは[[液胞]]へと輸送され、貯蔵される。貯蔵マンガンはNrampファミリーのAtNramp3および4により液胞から放出され、光合成に利用されるために[[葉肉細胞]]の葉緑体へと運搬される<ref name=Lanquar2010>{{cite journal |author=Viviane Lanquar |author2=Magali Schnell Ramos |author3=Françoise Lelièvre |author4=Hélène Barbier-Brygoo |author5=Anja Krieger-Liszkay |title=Export of Vacuolar Manganese by AtNRAMP3 and AtNRAMP4 Is Required for Optimal Photosynthesis and Growth under Manganese Deficiency |journal=American Society of Plant Biologists |volume=152 |issue=4 |pages=1986-99 |date=February 24, 2010 |url=http://www.plantphysiol.org/content/152/4/1986.short |doi=10.​1104/​pp.​109.​150946}}</ref>。液胞への区画化は、細胞質内のマンガン濃度が過剰にならないようにする意味もある。液胞への輸入を担うCAX2やCAX様輸送体は、マンガン過剰な環境における過剰害に対する耐性に重要である<ref name=Hirschi2000>{{cite journal |author=Kendal D. Hirschi |author2=Victor D. Korenkov |author3=Nathaniel L. Wilganowski |author4=George J. Wagner |title=Expression of Arabidopsis CAX2 in Tobacco. Altered Metal Accumulation and Increased Manganese Tolerance |journal=American Society of Plant Physiologists |volume=124 |issue=1 |pages=125-34 |date=1 Sep 2000 |url=http://www.plantphysiol.org/content/124/1/125.short |doi=​10.​1104/​pp.​124.​1.​125}}</ref>。熱帯性の[[マメ科]]植物''Stylosanthes hamata''では液胞への輸送は、CDFファミリーのShMTP1が関与している。シロイヌナズナから、ShMTP1と近似の膜輸送体AtMTP11が発見されており、同様の役割を持つと考えられている<ref name=Yang2013>{{cite journal |author=Meng Yang |author2=Wan Zhang |author3=Yuanyuan Zhang |author4=Kai Lv |author5=Dujun Wang |author6=Huaxia Dong et. al. |title=OsNRAMP3 Is a Vascular Bundles-Specific Manganese Transporter That Is Responsible for Manganese Distribution in Rice |journal=PLoS One |volume=8 |issue=12 |date=31 Des 2013 |url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3877151/ |doi=10.1371/journal.pone.0083990 |pmcid=PMC3877151}}</ref>。

[[シアノバクテリア]]の葉緑体や[[酵母]]の[[ミトコンドリア]]での輸送体は発見されているが、植物において葉緑体、ミトコンドリア、[[ゴルジ体]]へのマンガン輸送機構は明らかになっていない。

マンガン超集積植物は現在のところ12種類しか知られていない。マンガン超集積植物とは、地上部乾燥重量1kg当たり10,000mg以上のマンガンを蓄積することができる植物と定義されている。この中でも、[[コシアブラ]]は(マンガン濃度が)普通の土壌からでもマンガンのみを特異的に集積する。この植物は根からプロトンを放出し、体内では[[シュウ酸]]と結合させたマンガンを細胞壁や液胞に蓄えている。以下に、マンガン超集積植物とそのMn含有率(mg/kg)を示す。
* [[キョウチクトウ科]]
** ''Alyxia rubricaulis'' 14,000mg/kg<ref name=Reeves2000>{{cite book |author=R. D. Reeves |author2=J. M. Baker |title=Phytoremediation of Toxic Metals : Using Plants to Clean Up the Environment |chapter=Metal Accumulating Plants |editor1=I. Raskin |editor2=B. D. Ensley |pages=193-229 |publisher=John Wiley & Sons, Inc., NJ |date=2000 |location=USA}}</ref>
* [[ウコギ科]]
** ''Eleutherococcus sciadophylloides'' (コシアブラ) 7,900mg/kg<ref name=Memon1982>{{cite journal |author=Abdul Razaque Memon |author2=Michihiko Yatazawa |title=Chemical nature of manganese in the leaves of manganese accumulator plants |journal=Soil Science and Plant Nutrition |volume=28 |pages=401-12 |date=1982 |url=http://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/00380768.1982.10433655 |doi=10.1080/00380768.1982.10433655 }}</ref>
* [[ニシキギ科]]
** ''Maytenus bureaviana'' 33,750mg/kg<ref name=Reeves2000 />
** ''M. pancheriana'' 16,370mg/kg<ref name=Reeves2000 />
** ''M. sebertiana'' 22,500mg/kg<ref name=Reeves2000 />
* [[オトギリソウ科]]
** ''Garcinia amplexicaulis'' 10,500mg/kg<ref name=Reeves2000 />
* [[フトモモ科]]
** ''Eugenia clusioides'' 10,880mg/kg<ref name=Reeves2000 />
** ''Eugenia'' spp. 13,700mg/kg<ref name=Proctor1989>{{cite journal |author=J. Proctor et. al. |title=Ecological Studies on Gunung Silam, a Small Ultrabasic Mountain in Sabah, Malaysia. II. Some Forest Processes |journal=Journal of Ecology |volume=77 |issue=2 |pages=317-31 |date=1989 |url=http://www.jstor.org/stable/2260752 |doi=10.2307/2260752}}</ref>
** ''Austromyrtus bidwillii'' 19,200mg/kg<ref name=Bidwell2002>{{cite journal |author=Sjaan D. Bidwell |author2=Ian E. Woodrow |author3=George N. Batianoff |author4=Jens Sommer-Knudsen |title=Hyperaccumulation of manganese in the rainforest tree ''Austromyrtus bidwillii'' (Myrtaceae) from Queensland, Australia |journal=Functional Plant Biology |volume=29 |issue=7 |pages=899-905 |date=29 July 2002 |url=http://www.publish.csiro.au/paper/PP01192 |doi=10.1071/PP01192}}</ref>
* [[ヤマゴボウ科]]
** ''Phytolacca acinosa'' Roxb. 19,300mg/kg<ref name=Xue2004>{{cite journal |author=S. G. Xue |author2=Y. X. Chen |author3=Roger D. Reeves |author4=Alan J. M. Baker |author5=Q. Lin |author6=Denise R. Fernando |title=Manganese uptake and accumulation by the hyperaccumulator plant ''Phytolacca acinosa'' Roxb. (Phytolaccaceae) |journal=Environmental Pollution |volume=131 |issue=3 |pages=393–9 |date=Oct 2004 |url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749104001186 |doi=10.1016/j.envpol.2004.03.011}}</ref>
* [[ヤマモガシ科]]
** Beaupreopsis paniculata'' 12,000mg/kg<ref name=Reeves2000 />
** ''Macadamia angustifolia'' 11,590mg/kg<ref name=Reeves2000 />
** ''M. neurophylla'' 55,200mg/kg<ref name=Reeves2000 />


=== 亜鉛 ===
=== 亜鉛 ===
植物の亜鉛摂取量(乾燥重量当たり)の目安は欠乏:15mg/kg以下、適正:25~100mg/kg、過剰:200mg/kg以上である<ref name=PNlogyZn />。しかしながら、亜鉛濃度は種によって異なり、[[ゴマノハグサ科]]や[[シソ科]]で多く、マメ科や[[ナス科]]で少ない。[[アブラナ科]][[グンバイナズナ|グンバイナズナ属]]''Thlaspi caerulescens''は亜鉛と[[カドミウム]]の超集積植物であり<ref name=Pence1999 />、地上部乾燥重量当たり約30,000mg/kgの亜鉛、1,500mg/kgのカドミウムを蓄積する<ref name=Ye-Tao2009 />。水稲では部位の間で違いがあり、根>茎>葉鞘>葉身>玄米と分布する。
植物の亜鉛摂取量(乾燥重量当たり)の目安は欠乏:15mg/kg以下、適正:25~100mg/kg、過剰:200mg/kg以上である<ref name=PNlogyZn />。しかしながら、亜鉛濃度は種によって異なり、[[ゴマノハグサ科]]や[[シソ科]]で多く、マメ科や[[ナス科]]で少ない。[[アブラナ科]][[グンバイナズナ|グンバイナズナ属]]''Thlaspi caerulescens''は亜鉛と[[カドミウム]]の超集積植物であり<ref name=Pence1999 />、地上部乾燥重量当たり約30,000mg/kgの亜鉛、1,500mg/kgのカドミウムを蓄積する<ref name=Ye-Tao2009 />。水稲では部位の間で違いがあり、根>茎>葉鞘>葉身>玄米と分布する。下表に、亜鉛50µMで水耕栽培した幼植物の体内亜鉛濃度を示す
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 各種植物の亜鉛濃度<ref name=Yoshihara2008 />
|-
! 植物 !! 地上部(mg/kg(乾物)) !! 地下部(mg/kg(乾物))
|-
! [[ゴマノハグサ科]] || 1.73 || 7.98
|-
! [[シソ科]] || 0.69 || 2.39
|-
! [[セリ科]] || 0.35 || 3.35
|-
! [[アブラナ科]] || 0.28 || 1.04
|-
! [[イネ科]] || 0.50 || 2.02
|-
! [[ヒユ科]] || 0.75 || 1.17
|-
! [[マメ科]] || 0.05 || 0.37
|-
! [[ナス科]] || 0.18 || 0.50
|}


亜鉛不足の症状には以下に示す3つの特徴がある<ref name=PNlogyZn />。いずれの症状も、まず上位葉(新葉)に現れたのちに下位葉に及ぶ。第一に、葉身や節間の伸長が抑制されて葉が横に広がり([[ロゼット|ロゼット化]])し、特に上位葉が小さくなる。亜鉛不足になると植物体内で植物成長ホルモンの[[オーキシン]]と[[ジベレリン]]が分解されることと関連すると考えられている<ref name=American1940 />。第二に、褐色の小さな斑点が葉柄や葉脈間に発生する。この症状はトマトやキュウリなどの野菜類に特に多い。ときに、褐色斑点は顕著に現れずに下位葉にクロロシスが生じる場合もある。また、稲では上位葉の葉身基部から中肋にかけてクロロシスが現れ、その後、下位葉に褐色斑点が現れる。第三に、葉脈間に顕著なクロロシスが生じる。柑橘類ではこれをトラ斑と呼ぶ。
亜鉛不足の症状には以下に示す3つの特徴がある<ref name=PNlogyZn />。いずれの症状も、まず上位葉(新葉)に現れたのちに下位葉に及ぶ。第一に、葉身や節間の伸長が抑制されて葉が横に広がり([[ロゼット|ロゼット化]])し、特に上位葉が小さくなる。亜鉛不足になると植物体内で植物成長ホルモンの[[オーキシン]]と[[ジベレリン]]が分解されることと関連すると考えられている<ref name=American1940 />。第二に、褐色の小さな斑点が葉柄や葉脈間に発生する。この症状はトマトやキュウリなどの野菜類に特に多い。ときに、褐色斑点は顕著に現れずに下位葉にクロロシスが生じる場合もある。また、稲では上位葉の葉身基部から中肋にかけてクロロシスが現れ、その後、下位葉に褐色斑点が現れる。第三に、葉脈間に顕著なクロロシスが生じる。柑橘類ではこれをトラ斑と呼ぶ。
229行目: 320行目:
* [[DNAポリメラーゼ|DNA重合酵素]]
* [[DNAポリメラーゼ|DNA重合酵素]]


亜鉛[[膜輸送体|輸送体]]は外界から亜鉛を二価イオンとして吸収する。輸送体はZRT-IRTタンパク質[ {{lang-en-short|ZRT-IRT protein: ZIP}} ]、YS1様[ {{lang-en-short|YS1-like: YSL}} ]、重金属ATPアーゼ[ {{lang-en-short|heavy metal ATPase: HMA}} ]、[[カチオン]]拡散促進タンパク質[ {{lang-en-short|cation diffusion facilitator protein: CDF}} ]の4つのファミリーに大別される<ref name=PNlogyZn />。ZIPファミリーは細胞内に亜鉛イオンを取り込む輸送体であり、亜鉛制御的輸送体[ {{lang-en-short|zinc regulated transporter: ZRT}} ]と鉄制御的輸送体[ {{lang-en-short|iron regulated transporter: IRT}} ]とに分かれる。シロイヌナズナの二価鉄イオン輸送体であるIRT1は亜鉛イオンも輸送する。YSLファミリーはYS1輸送体と相同性が高いタンパク質群である。YS1輸送体とは亜鉛-および鉄-ムギネ酸複合体の輸送体である。HMAファミリーは重金属の輸送体である。ZIPやYSLが細胞内への流入を司るのに対し、HMAは細胞外への排出を担う。CDFファミリーは、[[細胞小器官]]から[[細胞質]]へと排出、あるいは液胞膜で[[液胞]]へと輸送する。
亜鉛[[膜輸送体|輸送体]]は外界から亜鉛を二価イオンとして吸収する。輸送体はZRT-IRTタンパク質[ {{lang-en-short|ZRT-IRT protein: ZIP}} ]、YS1様[ {{lang-en-short|YS1-like: YSL}} ]、重金属ATPアーゼ[ {{lang-en-short|heavy metal ATPase: HMA}} ]、[[カチオン]]拡散促進タンパク質[ {{lang-en-short|[[:en:Cation diffusion facilitator|cation diffusion facilitator protein]]: CDF}} ]の4つのファミリーに大別される<ref name=PNlogyZn />。ZIPファミリーは細胞内に亜鉛イオンを取り込む輸送体であり、亜鉛制御的輸送体[ {{lang-en-short|zinc regulated transporter: ZRT}} ]と鉄制御的輸送体[ {{lang-en-short|iron regulated transporter: IRT}} ]とに分かれる。シロイヌナズナの二価鉄イオン輸送体であるIRT1は亜鉛イオンも輸送する。YSLファミリーはYS1輸送体と相同性が高いタンパク質群である。YS1輸送体とは亜鉛-および鉄-ムギネ酸複合体の輸送体である。HMAファミリーは重金属の輸送体である。ZIPやYSLが細胞内への流入を司るのに対し、HMAは細胞外への排出を担う。CDFファミリーは、[[細胞小器官]]から[[細胞質]]へと排出、あるいは液胞膜で[[液胞]]へと輸送する。


=== 銅 ===
=== 銅 ===
293行目: 384行目:


=== ナトリウム ===
=== ナトリウム ===
[[ナトリウム]]は一部の植物にとっての必須または有用要素であり、植物一般の必須栄養素ではない。要求性の植物は、[[CAM型光合成]]や[[C4型光合成]]を行うものの中の、[[C4型光合成#NAD-ME型|NAD-ME型]]と[[C4型光合成#PEP-CK型|PEP-CK型]]である。例として[[ヒエ]]''Echinochloa utilis''、[[ギョウギシバ]]''Cynodon dactylon''、''Kyllinga brevifolia''、[[ハゲイトウ]]''Amaranthus tricolor'' L.、''Kochia childsii''、[[マツバボタン]]''Portulaca grandiflora''<ref name=Brownell1972 />、[[アフリカヒゲシバ]]''Chloris gayana''、[[キビ]]''Panicum miliaceum''、[[ギニアグラス]]''Panicum maximum''、''Panicum coloratum''、[[オオクサキビ]]''Panicum dichotomiflorum''<ref name=Ohta1988 />があり、培養液からナトリウムが除かれると枯死する。これらの植物においてナトリウムは、[[ピルビン酸]]を[[葉肉]]細胞の葉緑体へと供給する際に必要とされる。すなわち、NAD-ME型とPCK型ではピルビン酸はナトリウムとの[[共輸送]]により運搬される。一方で、[[C4型光合成#NADP-ME型|NADP-ME型]]C4植物ではピルビン酸輸送にナトリウムを必須としない。葉緑体でピルビン酸は[[ホスホエノールピルビン酸]]合成の基質になる。このほか、要求性植物ではナトリウムは[[光化学系II]]の活性および、葉肉葉緑体の超微細構造変化の抑制に用いられる。
[[ナトリウム]]は植物一般の必須栄養素ではなく、[[CAM型光合成]]や[[C4型光合成]]を行う植物にとっての有用要素である。これらの植物においてナトリウムは[[ピルビン酸]]の[[ホスホエノールピルビン酸]]への変換、[[光化学系II]]の活性及び葉肉の葉緑体の超微細構造変化の減少に用いられる。ナトリウムは一部の作物の品質を向上させることが実証されており、例えば[[ニンジン]]の[[スクロース]]濃度が増加する。

ナトリウムは一部の作物の生育と品質を向上させることが実証されている。例えば、[[ニンジン]]の[[スクロース]]濃度が増加する。理由はよくわかっていないが、[[アカザ科]]にはナトリウムを好む植物が多い。アカザ科の[[テンサイ]]では、カリウムが十分に施用されている場合においてもナトリウムにより生育は促進される。ドイツや北海道では[[チリ硝石]]([[硝酸ナトリウム]])がよく施用される。


ナトリウムは、浸透圧調節、気孔の開閉の調節、光合成、長距離輸送における中和作用、酵素活性について[[カリウム]]の代替となることができるが<ref name="HunerHopkins2009"/>。その性質の強さによって植物は次の4つのグループに分類される。
ナトリウムは、浸透圧調節、気孔の開閉の調節、光合成、長距離輸送における中和作用、酵素活性について[[カリウム]]の代替となることができるが<ref name="HunerHopkins2009"/>。その性質の強さによって植物は次の4つのグループに分類される。
414行目: 507行目:
<ref name=Crooke1956>{{cite journal |author=W. M. Crooke |title=EFFECT OF SOIL REACTION ON UPTAKE OF NICKEL FROM A SERPENTINE SOIL |journal=Soil Science |volume=81 |issue=4 |pages=269-76 |date=Apr 1956 |url=http://journals.lww.com/soilsci/Citation/1956/04000/EFFECT_OF_SOIL_REACTION_ON_UPTAKE_OF_NICKEL_FROM_A.3.aspx }}</ref>
<ref name=Crooke1956>{{cite journal |author=W. M. Crooke |title=EFFECT OF SOIL REACTION ON UPTAKE OF NICKEL FROM A SERPENTINE SOIL |journal=Soil Science |volume=81 |issue=4 |pages=269-76 |date=Apr 1956 |url=http://journals.lww.com/soilsci/Citation/1956/04000/EFFECT_OF_SOIL_REACTION_ON_UPTAKE_OF_NICKEL_FROM_A.3.aspx }}</ref>
<ref name=Gajewska2008>{{cite journal |author=E. Gajewska |author2=M. Skłodowska |title=Differential biochemical responses of wheat shoots and roots to nickel stress: antioxidative reactions and proline accumulation |journal=Plant Growth Regulation |volume=54 |issue=2 |pages=179–88 |date=March 2008 |url=http://link.springer.com/article/10.1007/s10725-007-9240-9 |doi=10.1007/s10725-007-9240-9}}</ref>
<ref name=Gajewska2008>{{cite journal |author=E. Gajewska |author2=M. Skłodowska |title=Differential biochemical responses of wheat shoots and roots to nickel stress: antioxidative reactions and proline accumulation |journal=Plant Growth Regulation |volume=54 |issue=2 |pages=179–88 |date=March 2008 |url=http://link.springer.com/article/10.1007/s10725-007-9240-9 |doi=10.1007/s10725-007-9240-9}}</ref>
<ref name=Engel2001>{{cite journal |author=R. E. Engel |author2=L. Bruebaker |author3=T. J. Emborg |title=A Chloride Deficient Leaf Spot of Durum Wheat |journal=Soil Science Society |volume=65 |issue=5 |pages=1448-54 |date=2001 |url=https://dl.sciencesocieties.org/publications/sssaj/abstracts/65/5/1448 |doi=10.2136/sssaj2001.6551448x }}</ref>
<ref name=Rombola2006>{{cite book |author=A. Rombolá |author2=M. Tagliavini |title=Iron Nutrition in Plants and Rhizospheric Microorganisms |editor1=L. L. Barton |editor2=J. Abadia |chapter=Iron nutrition of fruit tree crops |nation=Netherlands |pages=61-83 |date=2006 |isbn=978-1-4020-4743-5 }}</ref>
<ref name=Fernandez2006>{{cite journal |author=A. Álvarez-Fernández |author2=J. Abadía |author3=A. Abadía |editor1=L. L. Barton |editor2=J. Abadia |chapter=Iron deficiency, fruit yield and quality |nation=Netherlands |pages=85-101 |date=2006 |isbn=978-1-4020-4743-5 }}</ref>
<ref name=Yoshihara2008>{{cite journal |author=吉原利一 |date=2008 }}</ref>
<ref name=Brownell1972>{{cite journal |author=P. F. Brownell |author2=C. J. Crossland |title=The Requirement for Sodium as a Micronutrient by Species Having the C<sub>4</sub> Dicarboxylic Photosynthetic Pathway |journal=Plant Physiology |volume=49 |issue=5 |pages=794-7 |date=May 1972 |url=http://www.plantphysiol.org/content/49/5/794.short |doi=10.​1104/​pp.​49.​5.​794}}</ref>
<ref name=Ohta1988>{{cite journal |author=Daisaku Ohta |author2=Junji Matsui |author3=Töru Matoh |author4=Eiichi Takahashi |title=Sodium Requirement of Monocotyledonous C<sub>4</sub> Plants for Growth and Nitrate Reductase Activity |journal=Plant & Cell Physiology |volume=29 |issue=8 |pages=1429-32 |date=1988 |url=http://pcp.oxfordjournals.org/content/29/8/1429.short}}</ref>
<ref name=PNlogyWater>{{cite book |author=間藤徹 |title=植物栄養学 第2版 |chapter=第2章 植物栄養学を理解するために 4. 水の吸収と輸送 |publisher=文永堂出版 |pages=50-6 |year=2010}}</ref>
|2}}
|2}}



2016年1月29日 (金) 16:44時点における版

植物生理学における栄養素には、必須栄養素(ひっすえいようそ、: essential nutrient)と有用栄養素(ゆうようえいようそ、: beneficial nutrient)の2種類が存在する。必須栄養素とは、植物が生長するために、外部から与えられて内部で代謝する必要がある元素である。対して有用栄養素とは、植物の正常な生長に必ずしも必要ではないが、施用することで生長を促進したり収量を増加させたりする栄養素である。

概要

ダニエル・イズラエル・アーノン[ : Daniel Israel Arnon(英語版) ]は植物の必須栄養素を、その元素がないことにより植物がその生活環を全うできないもの、と定義した[1]。後に、E. Epsteinは、植物に必須の成分や代謝物の構成元素も必須元素の定義であると提案した[2]

現在、植物一般の必須栄養素として以下の14元素が知られている。これらは、一般に植物の要求量が大きい多量要素(植物組織の乾燥重量の0.2%以上)と、小さい微量要素(同0.02%以下)に大別されている[3]

多量一次要素のうち、大気中の二酸化炭素及び分子から炭素と酸素と水素は吸収するため、これら栄養素は土壌や培地へと供給する肥料に含有されている必要がない。必須栄養素のうち、炭素と酸素と水素を除いたものを無機栄養素[ : mineral nutrition ]と呼ぶ。無機栄養素はほとんどの場合、支持体(土壌や栽培用の培地など)からによって植物体へと吸収される[4]

また、寄生植物食虫植物といった他の生物から栄養素を取り込む場合も存在する。

肥料成分として窒素とリンとカリウムの3元素が最も大量に必要であり、この3要素を肥料の三要素: three major nutrients)という。

必須栄養素は植物や、さらには同種のクローンの個体間でさえ異なる。必須栄養素の存在量が不足でも過剰でも植物に障害が現れる。また、ある必須栄養素量が低水準であるとき、他の必須栄養素の存在量が相対的に大きくなり、その必須栄養素の過剰障害が現れることがある。例えば、硫酸イオンSO42−が不足しているとき、硝酸イオンNO3などの他の要素の取り込みは影響を受ける。また、カリウムイオンK+の取り込みはアンモニウムイオンNH4+の存在量に左右される[5]

分布

普通、世界中の土壌は、人為的に肥料を与えずとも植物に十分な量のすべての必須栄養素を供給する。が、一般的に肥料の供給(施肥)は植物の更なる生長と収量の増大をもたらす。また、大部分の作物において収量はその作物が吸収した肥料成分の量に比例して増加する[6]。一方で、ほとんどの場合、作物は、与えられた肥料から栄養を半分ほどしか利用できない[6]

生物の死骸やその他環境中に放出された有機物微生物分解作用を受けて難生分解性物質の土壌中の堆積物となった腐植土は、必須栄養素を長期間にわたって持続的に植物へ供給し続ける[5]

必須栄養素の取り込み

植物は栄養素を蓄積し、利用することができる。

一部の植物は特定の物質を全くあるいは限定的にしか取り込まないバリア機構を持っている。例えば、ハンノキの枝は一般的にモリブデンを蓄積するが、砒素は取り込まない[7]。一方で、トウヒの樹皮はこれと逆の性質を持つ[7]

いくつかの植物は、生育している環境に対して敏感であるため、その化学的状態の客観的で定量的な指標である[7]

葉からの取り込み

植物の葉には気孔が存在し、これが大気中から二酸化炭素を取り込み、炭素および酸素の供給源とする。取り込まれた二酸化炭素の主に光合成基質となる。機構は、光合成の結果生ずる酸素を排出する働きも持つ。また、植物の葉は硫酸イオンを取り込むことができる。

根からの取り込み

植物は、土壌や水耕栽培用養液、あるいは水生植物であれば水、特殊な例では気耕栽培システム [注釈 1]により霧状の養液が充満した空気中において、根から栄養を吸収する。ほとんどの必須栄養素の取り込みを根毛細胞のプロトンポンプで行っている。すなわち、根毛のプロトンポンプは、水素イオン (H+) を負に荷電した土壌粒子へ供給し、その際に生じるエネルギーにより無機体カチオンである栄養素を植物体へと送り込むカチオン交換を行う。

根は各栄養素の取り込み比率を調節することができる。栄養素は、根の中心を通る中心柱へと運ばれる[5]。根内部の中心柱の外側の細胞壁に存在するカスパリー線は 、中心柱への水と水に溶けた栄養素の流入を防ぎ、それらの取り込みの調節を助ける[5]。中心柱は木部師部で構成されているが、木部には水と水に溶けた無機化合物が、師部には有機化合物が流れる。また、植物内部の水ポテンシャルが土壌中のそれより負のとき、無機塩の濃度が植物内部でよりも土壌で高いことになり、植物への栄養素の流入につながる。

根を通じた植物の栄養素の取り込みの機構は主に次の3つある。

単純拡散
O2、CO2、NH3といった非極性分子の濃度勾配にしたがって起こる、輸送タンパク質を介さず細胞膜上の脂質二重膜を貫通する拡散運動。
促進拡散
輸送タンパク質による、高い濃度側から低い濃度側への溶質または溶質中のイオンの速い移動。
能動輸送
エネルギー分子、普通はアデノシン三リン酸、を消費して輸送タンパク質が行う低い濃度側から高い濃度側へのイオンや分子の移動[5]

取り込まれた植物内部の栄養素は、その植物で最もその栄養素を必要とする場所へと運搬される。例えば、栄養素の供給は下葉(古葉)へよりも若い葉へと優先的に行われる。そのため、あらゆる必須栄養素の不足障害は、不足している栄養素の植物体内の移動が容易であるとき、最も古い葉から顕著に現れる。しかし、すべての栄養素の可動性は等しくなく、窒素、リン、カリウムは可動性であるが、他の要素に関しては可動性の程度がさまざまである。可動性が低い栄養素の不足障害は、不足栄養素が古い葉から移動せずに留まるため、古い葉ではなく若い葉で先に現れる。この障害症状の違いは、不足している栄養素の特定に重要である。

微生物との共生による取り込み

多くの植物は微生物と共生している。特に、以下の2つの共生微生物が植物の必須栄養素の取り込みに大きく寄与する。

窒素固定細菌
大気中の窒素分子 (N2) を、植物が窒素源として利用できるアンモニウム (NH4) に変換する生物学的窒素固定を行う細菌。マメ科植物と共生する根粒菌など。
菌根菌
植物の表面で菌根を形成する糸状菌。菌根はリン酸や窒素塩などを吸収すると植物へと供給し、菌根菌はその見返りとして植物から炭素化合物を受け取る。植物にとって、自身の根がカバーする以上の範囲から栄養素を取り込むことができるため、菌根菌との共生は植物生長を促進する効果がある[5]

窒素は地球の大気中の最も豊富な気体成分であるが、窒素固定細菌と共生している植物種は少なく、大部分の植物は窒素の供給源を土壌中の窒素化合物に依存している。土壌中の窒素の無機塩は土壌有機物の無機化や肥料の施用などにより放出される。

空気や水分子から獲得される多量一次要素

炭素

炭素は、タンパク質糖質脂質などの生物一般を構成する有機物に必須の構成元素であり、植物の場合、重要で植物体中に豊富な有機物としてでんぷんセルロースも含められる。植物とって主要な炭素源は大気中の二酸化炭素であり、取り込まれた二酸化炭素は炭化水素に変換された後、様々な有機物になる。

水素

水素はの構成元素であり、また、といった、植物を構成するすべての有機物を構成する。水素イオン(プロトン)の濃度勾配は光合成呼吸のための電子の運搬に必要である[5]。植物はほぼ水から水素を得ている。

細胞が外界から、あるいは隣り合った他の細胞から水が移動(吸収)する単位時間当たりの量は、(水ポテンシャル差)と(透過性)の積である[8]水ポテンシャルの差とは、水を吸収する力と理解されている。実際の取り扱いでは、水ポテンシャルは浸透ポテンシャル圧ポテンシャルマトリックスポテンシャルの和である。透水性の膜を通して水ポテンシャルに差があるとき、喩えるなら細胞内外で水ポテンシャルに差があるとき、水ポテンシャルが高いほうから低いほうへと水は移動する。

酸素

酸素源として、酸素分子や水H2Oもしくは二酸化炭素CO2は植物の細胞呼吸に必要である。細胞呼吸は、糖を消費して、生物のエネルギー通貨であるアデノシン三リン酸 (ATP) を合成する生化学反応である。ATP合成の基質である糖は光合成により合成され、光合成により副産物として酸素分子が植物体外に排出されるが、ATP合成のために糖を分解する際に酸素が要求される。

根の支持体から獲得される多量一次要素(肥料の三要素)

窒素

窒素は主に植物を大きく生長させる作用があり、特に特に葉や茎を大きくすることから葉肥(はごえ)とも呼ばれる。根から吸収される必須栄養素の中で最も多量に要求される元素であり、植物が利用できる窒素の土壌中含量が植物の生産性を決める主要な因子であるとされる。植物の原形質の乾燥重量の40〜50%は、酵素クロロフィルといったタンパク質アミノ酸核酸といった窒素化合物である[9]。特に植物の中でも葉や茎を食用とするものは窒素を多量に必要とする。

植物はほとんどの場合、窒素を硝酸NO3として土壌から吸収する。亜寒帯の森林のような酸性土壌では窒素固定(土壌微生物による大気中の窒素分子の硝酸への変換作用)活性は低く、主要な窒素源はアンモニアNH4+である[10]

窒素の不足は植物の生育を著しく妨げ、クロロフィル(葉緑体の緑色色素)の合成阻害による葉の黄化(クロロシス)や、ある種の植物(トマトトウモロコシなど)では紫色色素のアントシアニンの蓄積による葉柄、下葉、茎の紫化を招く[5]を招く。窒素不足がひどくなると、最終的に葉は緑みを失って完全に黄色となり、落葉する。

窒素はアミンアミドとして植物細胞内に溶解しており、植物体内で移動性の栄養素である[5]。移動性のために、窒素の不足障害は若い葉よりも先に古い葉で現れる。このため、窒素不足に曝された植物は典型的には、上位葉が明緑色、下位葉が黄色もしくは黄褐色となる。

ある種の植物では、窒素不足がゆっくりと進行した場合、茎が顕著に細く、かつ木質化する。この木質化は、窒素化合物の合成に炭水化物が使われなくなって余剰となった結果であると考えられている[11]。また、窒素不足により蓄積されるアントシアニンも、余剰な炭水化物から合成されると考えられている。

窒素を吸収する根には水溶性窒素化合物を貯蔵する働きもある。貯蔵する窒素化合物の構成はさまざまな要因、時間帯や日照時間、夜間の気温、摂取が不足または偏向している要素により変化する。日照時間が短いときはアスパラギン酸が、長いときはグルタミン酸が蓄積される。暗い環境でのアスパラギン酸の蓄積はタンパク質の分解を促進する。日照時間の効果は夜間の気温により変化し、タンパク質の合成阻害と分解促進により水溶性窒素化合物が蓄積する。夜間の気温が低いときはグルタミン酸の、高いときはアスパラギン酸の蓄積が促進される。

窒素およびリンが不足すると、タンパク質合成に対して、硝酸態窒素の取り込みと還元および有機体への変換が追いつかなくなるため、植物が貯蔵した水溶性窒素化合物は消費される。カルシウムやカリウムや硫黄の不足は、窒素の取り込みや還元に対して、取り込んだ窒素の有機物への変換を亢進させる。このように植物の水溶性窒素の貯蔵量は環境により変化するため本来の生長度合いを示さないが、全窒素量との相対的な貯蔵量は有用な指標となる。カナダトウヒPicea glauca(英語版)、シロトウヒ)において、側根に形成された仮道管の大きさと構造は根の支持体(土壌など)中の窒素の利用率に影響される[12]

いくつかの細菌は窒素ガスN2生物学的窒素固定作用によりアンモニアに変換する。これらの細菌は窒素固定細菌: nitrogen fixing bacteria)と呼ばれ、植物や他の生物(シロアリ原生生物)と共生する共生型と非共生型が存在する。また、アンモニアを硝酸に変換する硝酸菌や、硝酸を窒素ガスに変換する脱窒菌もいる。多くの細菌や真菌は有機物を分解し、アンモニアを放出する。これらの微生物の働きは窒素循環に関わる。

一方窒素が過剰となると病気や害虫の影響を受けやすくなったり、キュウリトマトなどの果菜類では葉や茎ばかりが成長して結実しなかったり出来が悪くなったりする[13]

リン

主に開花結実に影響し、花肥(はなごえ)または実肥(みごえ)と呼ばれる。このため果実を食用とする果菜類の栽培では特に重要視される[13]。植物中のリンのほとんどは、核酸(デオキシリボ核酸 (DNA) やリボ核酸 (RNA))、細胞膜を形成するリン脂質の成分である。また、生体のエネルギー通貨であるアデノシン三リン酸 (ATP) の成分でもある。酵素のリン酸化はその活性化または不活性化を引き起こし、多くの酵素の活性調節やシグナル伝達の機構の一部に組み込まれている。これらの生体内での重要な働きを担うため、リンは植物の生長、種の発芽、開花に重要である。

土壌中におけるリンの最も一般的な形態は多価リン酸 (H3PO4) であるが、植物が最も容易に吸収する形態はH2PO4である。リンは土壌中で有機体リン酸と無機体リン酸の両方の形態で存在し、リン酸の形態変化は容易に起こる。鉱物と結合した不溶性リン酸は非常に遅く溶出されるため、通常、植物が最大限生育する量に対して土壌中のリン量は限定されている。植物は菌根菌との共生によりリンの取り込み量を増加させる[5]

植物におけるリン不足は葉の黄化症状(クロロシス)および枯死(ネクロシス)を引き起こす。また、茎が細くなる。若い植物では、生長阻害のほか、葉が濃緑色となり、異常形態や壊死班[ : necrotic spot ]がみられる[11]。一部の植物では、紫色色素のアントシアニンの蓄積により葉がやや紫色になる。リン不足によるアントシアニンの蓄積では葉はクロロシスとならず、紫がかった暗緑色となる場合が多い。

リンは植物体内を容易に移動するため、リン不足の症状は最初に古い葉に現れる。

毬果植物トウヒなど)は土壌からのリンの取り込みを菌根菌活性に依存している。温室で、リン酸のない砂に植えて生育させたカナダトウヒの苗は、菌根菌の菌根の形成まで植物体は小さく葉緑体の形成が阻害され紫色であり、菌根の存在は茎の伸長と葉の緑化に必要である。

リン不足の症状は窒素不足のそれと同様である[14]が、リンの飢餓化においても植物は症状を呈しないことがあるためリン不足を診断することは極めて難しい[15]。特に針葉植物の樹木でその性質が確認されており、イングランドの、シトカ・スプルースSitka spruce)などの林木の種苗場で実際に観察された[16]。この種苗場は酸性土壌でありリン過剰の反応は顕著であったのに対して、不足症状は、樹皮の光沢がわずかに減少したこと以外に外観上の変化は見られなかった。

一方で、苗において外見上のリン不足症状が観測できる。リンが存在しない (0 ppm) 砂の培地でカナダトウヒの苗は非常に小さく、濃い紫に変色する。0.62 ppmで苗は最も小さく、紫色が最も濃くなる。一般的に低水準とされる6.2 ppmで苗の大きさと色は適正となる[17][18]

リンの含有率が高い肥料(骨粉肥料など)の施用は根の形成を助ける[5]

カリウム

カリウムは窒素、リンとともに肥料の三要素といわれる。他の多量要素と異なり、植物体内において、代謝に関わる生体分子の構成元素にならず、植物体液に溶解した無機塩として機能する[9]。このため、カリウムは必須栄養素の中でも植物組織内での移動性が高い。

カリウムは主に根の発育と細胞内の浸透圧調節に必須であるため根肥(ねごえ)といわれ、根菜類では他の植物以上に必要とされる[13]。また、葉や生長点においても重要である。縮合などの酵素反応の触媒であり、炭水化物タンパク質の合成、植物体内の水分量の調節、光合成に必要なクロロフィル前駆体の合成(特に低光強度条件において)に関わる[5]。カリウムイオンポンプは気孔の開閉を制御する。気孔は植物体内の水分量を調節する働きがあるため、葉からの水分の減少量を抑制し、旱魃への耐性を高める。カリウムは果実の色や形状の決定にも関わり、また、ブリックス糖度を増加させる。したがって、カリウム豊富な土壌で高品質な果物が生産される。

土壌のカリウム濃度が高いと、健全に生長するのに適正な量以上のカリウムを植物は吸収(過剰消費(: luxury consumption)し、過剰症状が現れる。カリウムの不足症状は一般的に葉脈のクロロシス(黄化)及び葉のネクロシス(壊死)である。また、病原生物の感染、凋萎、クロロシス、褐色斑点、及びや熱による損傷のリスクを高める。軽度の不足による症状は最初に古い葉で現れ、生長点に向かうように症状の範囲は拡大する。重度の不足は生長点に深刻な症状を引き起こし、枝枯病: die-back)の原因となる。

カリウムの不足症状の例として、カナダトウヒの場合、褐変: browing)及び葉のクロロシスや枯死、樹木の高さと直径及び葉長の減少などがある[19]トウヒ2種を含むいくつかの樹木種において、カリウムの取り込みと耐寒性に関係がある[20]

高い水溶性のため、雨や灌漑により、特に岩や砂質土壌から容易に流亡する。このことが一部の土壌でカリウム不足の原因となっている。また、流亡したカリウムが湖沼や河川に流入すると富栄養化を引き起こし、赤潮アオコといった水質汚染の原因となる。

多量二次要素

カルシウム

被子植物は乾燥重量当たり1.8%程度のカルシウムを含む[21]アカザ科アブラナ科ナス科などの双子葉植物で高く、イネ科植物で低い。石灰岩母材としてカルシウム含有率とpHが高い土壌では、好石灰植物: calcicole<英語版>[注釈 2]と呼ばれる特徴的な植生が発達する。一方、低カルシウムと低pHを好む植物は嫌石灰植物: calcifuge<英語版>[注釈 3]という。

植物のカルシウム吸収は特徴的である。根端および側根の着床部位など限られた部位で行われる[21]。吸収速度は外部のカルシウム濃度に依存し、外部の濃度が低いとき吸収速度も小さい。これは、カルシウムの吸収は、植物体内での拡散や外気への蒸散に依存した受動的なものだからである。したがって、蒸散が抑制される条件下(暗所、高湿度)で吸収速度は抑制される。また、カルシウムイオンは導管を通って植物体内を移動し、末端部分へは根圧と拡散によってのみ分配が行われている。このため、葉に分配されたカルシウムイオンは最上位葉や地下部にほとんど再分配されない。また、登熟中の子実や結球部分など、蒸散が少なくかつ細胞が急速に発展している部分で、カルシウムは不足しやすくなる。

カルシウムイオンは農業上重要である。その効果の一つは、ナトリウムイオンの過剰害および、酸性土壌でのプロトンやアルミニウムイオンの過剰害の緩和である。例えば、水耕液のカルシウム濃度が0.1mMの時、50mMのナトリウム塩はインゲンの生育を大きく阻害するが、カルシウム濃度を10mMとすると阻害は軽微となる[22]。カルシウムの効果はナトリウム濃度やpHやアルミニウム濃度などの環境条件に左右されるため、植物にとって最適なカルシウム濃度もそれらによって変動する。

生理学的なカルシウムイオンの主な機能は細胞壁の成分である。細胞壁を構成するペクチンカルボキシル基に結合している。細胞壁での役割はペクチン質多糖同士を架橋し、ゲル化させて細胞壁に固定することである[21]。架橋するときに、ペクチンの特定の酸性化合物と結合し、カルシウムは不溶性の塩となる。このため、何らかの処理(低pH、高濃度NaClキレート剤など)で細胞壁からカルシウムイオンを離脱させるとペクチン質多糖が可溶化する。ペクチンとの密接な関係から、カルシウムの含有率はペクチン質多糖の含有率と正の相関を持つ[21]。例えば、細胞壁の含有率が高い双子葉植物でカルシウム含有率も高く、低いイネ科植物でカルシウム含有率も低い。また、カルシウム含有率が細胞壁の強度と相関するため、作物において細胞壁中含有率が高いときに病害や虫害への耐性は強くなる。例えば、大豆での茎疫病、ナスでの青枯れ病への耐性、また、タバコでのアブラムシへの忌避作用に有効である。

細胞質において、カルシウムは他の栄養素の運搬の制御、特定の酵素の活性化、光合成に関わる[23][24]。主に、セカンドメッセンジャーとしての細胞内での情報伝達が重要な役割である。また、植物分裂組織にも密接に関わる。特に、細胞分裂、細胞伸長、および水素イオン解毒における役割で根の発達に重要である。そのほかの機能は、有機酸の中和、カリウムにより活性化するいくつかのイオンの阻害、窒素の取り込みへの関与などである。

細胞質中のカルシウムイオン濃度は0.1μM程度に保たれている[21]。この濃度は、細胞壁中濃度に比べて低い。これは、カルシウムイオンが、ATPDNAなどのリン酸基やリン酸イオンと結合して不溶性の塩を形成するためである。細胞膜にはカルシウムを能動的に細胞内へ取り込む機構はないが、排出機構は発達している。さらに、このカルシウムイオン排出ポンプは、カルシウムを集積する細胞内小器官(ミトコンドリア小胞体など)と協調して細胞質内濃度を調節している。

通常時に細胞質内濃度が低いことを利用し、この濃度を一時的に上昇させることで細胞の生理活性を制御する仕組みが植物には存在する[21]。実は、カルシウムの細胞質内における役割で最も重要なのはこの情報伝達である。一部のタンパク質(カルモジュリンカルシニューリンなど)にカルシウムが結合するとその立体構造が変化する。酵素の場合、活性化する。カルシウムイオン濃度が低下するとカルシウムイオンはタンパク質から素早く解離し、このタンパク質の構造は不活性なものに戻る。アブシジン酸による信号や特定の養分の欠乏なども、細胞にはカルシウム濃度の変化を通じて伝達される。

カルシウム不足の特徴的な症状として、根系の未発達と葉のクロロシス(黄化)があげられる[15]。カルシウム不足症状は普通、地上部よりも根系で先に現れる[25]。カルシウム不足は尻腐れ: Blossom-end rot)の原因となる[23]。地上部では、生育が速い上位葉で症状がまず現れる。カルシウム(またはホウ素)がない培養液にトマト幼植物を移すと根の伸長は直ちに停止する[26]花粉管の伸長にもカルシウムとホウ素が必須である。また、根でも花粉管でも、カルシウムイオンは培地から常に供給されていなければならず、移植前に吸収していてもカルシウム飢餓条件に移ると植物は阻害症状を呈する。生産現場でよくみられる症状は、トマトの尻腐れ、白菜やキャベツの芯腐れ、大根のす入り、ニンジンの空洞果である。

マグネシウム

マグネシウムは植物に乾燥重量当たり0.3~1.0%含まれている[21]。他の必須元素と比べて、種や品種間での植物体内含量の違いは小さい。緑葉中のマグネシウムの10~20%は、クロロフィルポルフィリン環の中心金属である[21]。その他は葉緑体ストロマ細胞内小器官で、イオンあるいは、有機酸やATPと結合した塩として存在する。アリューロン顆粒中においてはフィチン酸塩として蓄積されている。

根の細胞によるマグネシウムの吸収は能動的に行われており、細胞内濃度は0.4mM程度に維持されている。この吸収には膜輸送体Magnesium transporter<英語版>)が関与している。シロイヌナズナでは10種類、稲では9種類のマグネシウム輸送体が存在する。これらの輸送体は、細菌で発見されたCorA<英語版>と相同性がある。

アサガオを用いた研究で、植物体内のマグネシウムの分布について興味深い事実が発見されている。第一に、マグネシウム濃度は根から地上部の頂芽にかけて次第に高くなり、頂芽での濃度は根での2倍以上に達する[21]。第二に、アサガオの若い組織での濃度は、根のそれとは異なり一日を通して変化し、日中に高くなる。第三に、栄養成長期には茎頂先端部の中央帯にマグネシウムは集積する。この時期に幹細胞での活発な細胞発生に要求されることが示唆されている。最後に、花芽が誘導されるとき、中央帯は周りの組織から隔離されてマグネシウム濃度は減少する。この濃度低下により、花成に関連する遺伝子や酵素が働き始めると予想されている。

マグネシウムはリン酸化合物と結合することにより多数の酵素反応に関与する。リン酸基の酸素に対して親和性を持ち、配位結合の性格を持ったイオン結合で会合するのである。例えば、補因子としてATPのリン酸化、細胞膜やリボソーム表層のリン酸基に結合して立体構造の維持を行う。また、タンパク質合成、解糖系TCA回路窒素代謝系を含む生化学反応にも重要である。

ストロマ内の酵素ルビスコで行われている、カルビン回路での炭酸固定反応にも関与する。Ru-5-PキナーゼやPEPカルボキシラーゼといった、炭酸固定に関与する多くの酵素がATPとともに補因子としてマグネシウムを要求する。また、ストロマでのマグネシウム濃度は、ストロマでのpHは光により制御されているが、pHの変動はストロマ内のマグネシウム濃度を調節する[21]。ストロマがアルカリ化するとチラコイドは酸性化してここからマグネシウムイオンがストロマに流出する。炭酸固定反応はpH8.5で最も促進される。

マグネシウムの不足症状はクロロシスとして最初に古い下位葉で現れる。マグネシウムは植物体内(下位葉から上位葉へ)を容易に移動するため、症状の範囲は生長点に向かうように拡大する。マグネシウム不足によるクロロシスの特徴は、葉全体が黄色となるが葉脈部分の緑色が残るというものである。この症状は鉄欠乏と似ているが、移動性のない鉄の欠乏では症状は新葉から現れる。また、不足は果実を小さく硬くする。

硫黄

硫黄は2種類のアミノ酸メチオニンシステイン)及び、葉緑体の合成に必須なビタミンの構成要素である。また、光合成における電子運搬体タンパク質の構成成分でもある。

硫黄不足の症状はクロロシス、生長抑制、アントシアニンの蓄積による紫化である[11]。これらの症状は、硫黄同様にタンパク質の構成成分である窒素不足のそれと類似している。ただし、硫黄は窒素と異なり、植物体内での移動性が低く、不足症状は成熟もしくは若い葉から現れる。その症状は葉の黄化や生長の阻害などである。

微量要素

塩素

塩素は環境中に普遍的に存在する元素である。土壌中には約100mg/kg含まれ、水溶性の塩化物イオンとして存在する。土壌粒子には吸着されにくく、水とともに移動する。日本では、塩化物イオンが豊富な海からの潮風で運ばれてくるため、作物の塩素欠乏はまずない。一方、海から遠く離れた大陸内部では欠乏が生じることがある。アメリカのグレートプレーンズには塩化物イオンを含む肥料によって小麦の収量が増加する地域がある[27]

塩素不足の植物の葉には異常が生じる;面積の減少、萎凋、縁部の巻き上がり、黄化、ブロンジング(青銅色への変色を伴う壊死)。また、根の生育は低下する。下表に各植物の塩素欠乏の症状および発症濃度を示す[28]

各植物の塩素欠乏
植物 生育ステージや部位 症状が現れる濃度
サトウダイコン 地上部 700
葉身 880~1,800
葉柄 3,500~7,000
ジャガイモ 地上部 1,310
デュラム小麦 地上部 1,000
春小麦 出穂期の地上部 1,500
小麦、大麦 出穂期の地上部 1,200~1,400
パームヤシ 第14葉身 2,500
ココヤシ 葉身 6,000未満
第14葉身 2,500
オイルヤシ 葉身 6,000未満

塩素硝酸イオンや硫酸イオンやリン酸イオンなどとは異なりほとんど代謝されない。塩化物イオンとして体内に存在し、遊離の無機アニオンとしての浸透圧調節やカチオンとのイオン平衡膜電位の安定に必要とされる。

特に重要なのは、気孔の開閉である。気孔はカリウムイオンの移動に伴う浸透圧変化によって開閉するが、カリウムイオンの対イオンとして利用されるのが塩化物イオンとリンゴ酸イオンである。塩化物イオンが多く利用できるほど、リンゴ酸イオンの必要量は減る。タマネギではこのことが重要であり、孔辺細胞葉緑体にデンプンが蓄積されないためリンゴ酸が不足し、このため塩化物イオンがないと気孔は開くことができない。また、閉じるときにも塩化物イオンは重要である。開口した孔辺細胞では、アブシジン酸などの気孔閉鎖シグナルがアニオンチャネルを活性化し、塩化物イオンとリンゴ酸を排出させる。これによって膜は脱分極してカリウムイオンを孔辺細胞から排出し、気孔は膨圧を失って閉鎖する。

細胞の伸長成長や分裂のきっかけは、細胞に塩化物イオンが流入することである。塩化物イオンが増加すると、先述の理由により有機酸イオンを植物成長に振り向けられる。

光合成にも関わる。塩化物イオンは光化学系IIの必須因子であると考えられている。ラン藻の光化学系II複合体を構成するマンガン・カルシウムクラスターの近傍2か所に塩化物イオンが結合することが明らかとなっている[29]。さらに、V型ATPaseアスパラギン合成酵素の活性調整に必要なことが示されている。

植物には、塩素と共有結合した有機化合物が存在する。エンドウやソラマメはオーキシンの一種4-クロロインドール-3-酢酸を持つ。4-クロロインドール-3-酢酸は、塩素を持たないクロロインドール-3-酢酸と比べて10倍以上の成長促進活性を持つが、この強力さは、塩素を含有することで分解されにくくなったためと考えられている。他にもポリアセチレンチオフェンなどが塩素を含有する。

鉄イオンは下記の反応により生体での酸化還元にかかわる。この反応は、鉄イオンが窒素、酸素、硫黄原子と配位結合したときに電子の受け渡しをするというものである。

Fe2+ ⇔ Fe3+ + e-1

鉄は多くの酵素の補因子として必要である。すなわち、酸素呼吸、光合成、活性酸素種の解毒、窒素固定硝酸還元に要求される。光合成において、第一に、鉄は電子伝達系を構成する。第二に、クロロフィルの生合成に必須である。高等植物の場合、第三に、葉緑体内でグルタミン酸からポルフィリンが合成されるが、この生合成経路の2つの反応で鉄が要求される。鉄欠乏で葉脈間黄白化症(クロロシス)が発生する原因である。呼吸においては、シトクロームの活性中心であり、またATPの合成にかかわる。この合成では、解糖系クエン酸回路で発生した電子を鉄は最終的に酸素に渡して水にするが、このときのエネルギーを利用してATPが作り出される。なお、細菌や哺乳類では遺伝子の発現を制御するタンパク質に鉄を利用するものがあるが、植物ではこの種のタンパク質は発見されていない。以下に、鉄原子を含むタンパク質を列挙する。

高等植物が土壌から鉄を獲得する機構にはストラテジーIストラテジーIIがある[30]。イネ科以外の植物はストラテジーI、イネ科植物はストラテジーIIを利用している。鉄獲得機構が存在する背景には、土壌中に鉄は豊富に存在するが、大部分は水酸化第二鉄三二酸化鉄といった難溶性の三価鉄として存在する問題がある。土壌水に溶出させ、かつ、第二鉄に変換しなければ、植物は鉄を吸収することができない。また、土壌中のpHの問題もある。pH7では三価鉄イオンは10-17Mしか溶けない[31]。アルカリ性となると可溶性鉄はさらに減少し植物は鉄欠乏となりやすい。アルカリ性土壌は全陸地の30%を占める。

ストラテジーIでは、pH低下とキレート化合物により可溶化させた三価鉄を細胞膜で二価鉄に変換し吸収する。pH低下は、根の細胞膜プロトンポンプからのプロトンの放出により行われる。キレート化合物は、根毛から分泌されるフェノール化合物である。この根毛の細胞膜上では、三価鉄を二価鉄に還元する鉄還元酵素と二価鉄イオン輸送体が分布する。プロトンポンプ、三価鉄還元酵素、二価鉄イオン輸送体の活性と発現量は、鉄欠乏になると数倍から数十倍に上昇する。

ストラテジーIIでは、鉄溶解性物質シデロホアが利用される。シデロホアは細菌や菌類も利用しており、植物のシデロホアは特にファイトシデロホアと呼ばれる。

吸収後の鉄の挙動についてもいくつか明らかとなっている。吸収直後、根端分裂組織に使われるもの以外は速やかに地上部の分裂組織(単子葉植物の場合は茎葉の基部、双子葉植物の場合は頂芽)と新葉に移行する。クロロフィルの合成が活発で、特に鉄の需要が大きいためである。双子葉植物では体内での運搬中、鉄イオンは導管クエン酸と、師管ニコチアナミンと会合していると考えられている[32]。イネ科植物では導管と師管にもシデロホアのムギネ酸類が検出されている。ムギネ酸類は鉄の転流にも関与していることが示唆されている。

石灰質土壌で栽培した果樹では、鉄不足が最も大きな問題となる[33][34]。鉄不足はクロロシス(黄化)やネクロシス(壊死)の原因となる。銅不足により鉄不足が引き起こされることがある[35]

鉄不足は植物の生育を著しく阻害するため、鉄不足に応答する遺伝学的機構が存在する。鉄不足になるとまず、クロロフィルやヘムの生合成に関わる遺伝子の発現が抑制され、鉄の消費量が減少する。さらに、鉄の獲得にかかわる酵素や膜輸送体の遺伝子の発現量が大きく増加する。発現が促進させられる遺伝子は、ストラテジーI植物では三価鉄還元酵素や二価鉄輸送体など、ストラテジーII植物ではシデロホアの生合成系の酵素および鉄-シデロホア錯体輸送体である。鉄欠乏時の遺伝子発現に重要な転写因子としてストラテジーI植物のシロイヌナズナからFIT、bHLH38、bHLH39が、ストラテジーII植物の稲からIDFE1、IDFE2[36]、IRO2が同定されている。

ホウ素

植物はホウ素を、電荷を持たない状態のホウ酸分子として吸収する。ホウ素は普通、土壌中でホウ酸として存在するが、中性の形態は弱酸性で現れる。ホウ酸の酸解離定数pKaが9.25と高いためである。

ホウ素が必須栄養素であることはキャサリン・ワーリントン[ : Katherine Warington<英語版> ][注釈 4]により1923年に始めて報告された[37]。1996年にホウ素は細胞壁の構成要素であることが明らかとなった[38]。植物中には細胞壁を構成しないホウ素も存在し、こちらはホウ酸として体内に蓄積されている。両者は実験上、水で抽出されないものとされるものとで識別されている。実際に植物に利用されているのは不溶性ホウ素だけで、水抽出性のホウ素は余分に吸収されて貯蔵されたものと考えられている。

細胞壁中のホウ素を微視的にみると、1分子のホウ酸は2分子のラムノガラクツロナンII (RG-II) の側鎖Aのアピオースの各2つの水酸基エステル結合している。これにより、隣接するペクチン分子は結合させられている[39][40][41]。また、ウキクサLemnaには更なるホウ酸結合性分子としてアピオガラクツロナンも存在する[42]。ペクチンは架橋するとゲル状となり、細胞壁に沈着する。このゲルは、細胞壁の骨格であるセルロースの間隙を埋め、細胞壁孔径の調節による物質透過の制御、pH・イオンの緩衝作用、細胞接着、細胞の強度維持など多様な機能を果たす。ホウ酸はアピオース以外のジオール化合物と結合できるが、アポプラスト内は弱酸性であるためそこではアピオースとしか安定に結合できない。エステルの安定性はpHやアピオースの構造に依存し、pHが高いほど安定するためである。

ホウ素は、細胞分裂において糖の輸送や特定の酵素の合成に関わる。また、カルシウムの取り込み及びその利用(膜機能、花粉発芽、細胞伸長、細胞分化、炭水化物代謝)に必要とされる。

マンガン

健全な葉における含有率は乾物当たり数十~数百mg/kgであり、これが10~20mg/kg以下になると欠乏症が生じる。マンガン不足の原因となる土壌は、pHが高いか、堆肥を大量に連用されたものである。後者の原因として、有機物が多い土壌でpHが6.5になると、マンガン酸化細菌が活発になりマンガンイオンを不溶性の二酸化マンガンにする。このような土壌では、マンガン濃度が高くとも欠乏症を引き起こす。

マンガン不足は、葉上の変色斑点の発生といった着色異常を生じさせる。野菜類では上位葉に、麦類では下位葉に葉脈間クロロシスや褐色斑点、線状のネクロシスが生じる。マンガン不足に対しては硫酸マンガンの葉面散布が有効である。

過剰症は、酸性、鉱山跡地、排水不良の土壌などで発生する。また、蒸気消毒熱水消毒を施した後でも生じる。これは、消毒によって分解生成する易分解性有機物によってマンガン酸化物が還元されてイオンとなり、さらに微生物の死滅によってマンガンの酸化が進行しにくくなるためである。過剰症となるマンガン濃度は植物種や品種の間で大きく異なる。例えば、トウモロコシでは乾物当たり200mg/kgであるが、大豆で600mg/kg、ヒマワリで5,300mg/kgである。

過剰害の症状は、葉脈・葉柄・毛茸基部の褐変・黒変、葉身での小さく不規則な褐色斑点、葉縁部でのクロロシスなどである。斑点の原因は酸化されたフェノール性化合物の蓄積であり、これは過剰な吸収でアポプラストシンプラストペルオキシダーゼが異常に活性化するためである。過剰症の対策は土壌pHの増大、もしくはケイ酸塩の施用である。稲の場合、ケイ酸は根表面へのマンガン酸化物の沈着を促進し、地上部へのマンガン輸送を抑制する。一方、ササゲ、カボチャ、キュウリでは葉のマンガン含有率は低下しないが、症状は軽減される。このとき、ケイ酸は細胞壁へのマンガンの沈着を増やす。

マンガンは光合成に必要である[24]。マンガンを含む植物酵素には、光化学系II(PSII)複合体の構成員[43]と、光化学系から発生する活性酸素種の除去をするスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)[44]が含まれる。クロロプラスト中のマンガンはほぼすべて、チラコイド膜に結合しているPSIIのマンガン酵素である。葉に存在するSODの90%以上はクロロプラストで、4~5%だけがミトコンドリアに分布している。Mn-SODはこの微量の分布先であるミトコンドリアとペルオキシソームにある。マンガンが不足するとミトコンドリアの呼吸機能が損なわれる。

マンガン酵素は光合成のほか、様々な生理反応に関与している;TCA回路リンゴ酸脱水素酵素イソクエン酸脱水素酵素、窒素代謝のアルギナーゼリグニンなどのフェノール化合物の代謝およびシキミ酸経路フェニルアラニンアンモニア分解酵素ぺルオキシダーゼ。また、インドール酢酸(IAA)の代謝に関与するIAA酸化酵素の活性にもマンガンが関わっている[45]。マンガンによる酵素の活性化はマグネシウムで代替できる場合が多い。しかし、PEK型C4植物維管束鞘細胞クロロプラストでの脱炭酸を行うPEPカルボキシラーゼの活性化はマグネシウムで代替できない。

植物や微生物は土壌中の不溶性マンガンを可溶化させ、マンガンを細胞内へと取り込む。可溶化は、プロトンや低分子有機化合物(有機酸アミノ酸、フェノール性化合物)を分泌により行う。これらの化合物は、好気的な土壌環境でマンガンの形態として高い割合で存在する酸化物を還元して溶出させる。可溶化したマンガンの取り込みは、ZRT/IRT関連タンパク質[ ZRT/IRT-related protein: ZIP ]ファミリー、自然抵抗性関連マクロファージタンパク質[ natural resistance-associated macrophage protein: Nramp ]ファミリー、カチオン交換輸送体[ cation exchanger: CAX ]ファミリー、カチオン拡散促進タンパク質[ cation diffusion facilitator protein: CDF ]ファミリーなどが属する膜輸送体が担う。この中で、根での取り込みに重要なのはZIPファミリーのIRT1である。IRT1は基質特異性が広く、マンガンイオン以外にも鉄(II)イオン、亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、カドミウムイオンの輸送に関わる[46]。シロイヌナズナを用いた試験では、可溶性Mn濃度が低い土壌からのマンガンの取り込みにおいてNrampファミリーのNramp1が必須であることが示された[47]

余剰のマンガンは液胞へと輸送され、貯蔵される。貯蔵マンガンはNrampファミリーのAtNramp3および4により液胞から放出され、光合成に利用されるために葉肉細胞の葉緑体へと運搬される[48]。液胞への区画化は、細胞質内のマンガン濃度が過剰にならないようにする意味もある。液胞への輸入を担うCAX2やCAX様輸送体は、マンガン過剰な環境における過剰害に対する耐性に重要である[49]。熱帯性のマメ科植物Stylosanthes hamataでは液胞への輸送は、CDFファミリーのShMTP1が関与している。シロイヌナズナから、ShMTP1と近似の膜輸送体AtMTP11が発見されており、同様の役割を持つと考えられている[50]

シアノバクテリアの葉緑体や酵母ミトコンドリアでの輸送体は発見されているが、植物において葉緑体、ミトコンドリア、ゴルジ体へのマンガン輸送機構は明らかになっていない。

マンガン超集積植物は現在のところ12種類しか知られていない。マンガン超集積植物とは、地上部乾燥重量1kg当たり10,000mg以上のマンガンを蓄積することができる植物と定義されている。この中でも、コシアブラは(マンガン濃度が)普通の土壌からでもマンガンのみを特異的に集積する。この植物は根からプロトンを放出し、体内ではシュウ酸と結合させたマンガンを細胞壁や液胞に蓄えている。以下に、マンガン超集積植物とそのMn含有率(mg/kg)を示す。

亜鉛

植物の亜鉛摂取量(乾燥重量当たり)の目安は欠乏:15mg/kg以下、適正:25~100mg/kg、過剰:200mg/kg以上である[56]。しかしながら、亜鉛濃度は種によって異なり、ゴマノハグサ科シソ科で多く、マメ科やナス科で少ない。アブラナ科グンバイナズナ属Thlaspi caerulescensは亜鉛とカドミウムの超集積植物であり[57]、地上部乾燥重量当たり約30,000mg/kgの亜鉛、1,500mg/kgのカドミウムを蓄積する[58]。水稲では部位の間で違いがあり、根>茎>葉鞘>葉身>玄米と分布する。下表に、亜鉛50µMで水耕栽培した幼植物の体内亜鉛濃度を示す。

各種植物の亜鉛濃度[59]
植物 地上部(mg/kg(乾物)) 地下部(mg/kg(乾物))
ゴマノハグサ科 1.73 7.98
シソ科 0.69 2.39
セリ科 0.35 3.35
アブラナ科 0.28 1.04
イネ科 0.50 2.02
ヒユ科 0.75 1.17
マメ科 0.05 0.37
ナス科 0.18 0.50

亜鉛不足の症状には以下に示す3つの特徴がある[56]。いずれの症状も、まず上位葉(新葉)に現れたのちに下位葉に及ぶ。第一に、葉身や節間の伸長が抑制されて葉が横に広がり(ロゼット化)し、特に上位葉が小さくなる。亜鉛不足になると植物体内で植物成長ホルモンのオーキシンジベレリンが分解されることと関連すると考えられている[60]。第二に、褐色の小さな斑点が葉柄や葉脈間に発生する。この症状はトマトやキュウリなどの野菜類に特に多い。ときに、褐色斑点は顕著に現れずに下位葉にクロロシスが生じる場合もある。また、稲では上位葉の葉身基部から中肋にかけてクロロシスが現れ、その後、下位葉に褐色斑点が現れる。第三に、葉脈間に顕著なクロロシスが生じる。柑橘類ではこれをトラ斑と呼ぶ。

亜鉛不足の原因には亜鉛の絶対量の不足のほか、第一に土壌pHが高いことが挙げられる。亜鉛はpH7.7以下で二価イオンとして存在するが、それ以上では植物にとって不可給態の水酸化亜鉛となる。第二にリン酸の過剰施用、第三に土壌還元によって硫酸イオンから生成する硫化水素による硫化亜鉛への固定、第四にニッケルによる植物の吸収の拮抗阻害である。ニッケルは、蛇紋岩橄欖岩母材とする土壌に多く含まれる。亜鉛不足の対策には、土壌pHの管理や硫酸亜鉛の施用がある。例えば、フィリピンミャンマー内陸部の亜鉛欠乏地帯では、田植え前の一昼夜、水稲苗を0.1%硫酸亜鉛水溶液に漬ける。

亜鉛は80以上の植物酵素の補因子であり、ジンクフィンガーというモジュールを形成する。多くの必須遷移金属元素と異なり、電子の受け渡し(酸化還元)よりも、基質との結合や立体構造の維持への役割が大きい。亜鉛酵素は植物成長ホルモンオーキシンの代謝、光合成、DNA複製で働く。亜鉛依存性の炭酸脱水酵素は、葉緑体ストロマにおいて植物体内の炭酸から、光合成の基質である二酸化炭素を供給する。以下に亜鉛酵素の例を挙げる。

亜鉛輸送体は外界から亜鉛を二価イオンとして吸収する。輸送体はZRT-IRTタンパク質[ : ZRT-IRT protein: ZIP ]、YS1様[ : YS1-like: YSL ]、重金属ATPアーゼ[ : heavy metal ATPase: HMA ]、カチオン拡散促進タンパク質[ : cation diffusion facilitator protein: CDF ]の4つのファミリーに大別される[56]。ZIPファミリーは細胞内に亜鉛イオンを取り込む輸送体であり、亜鉛制御的輸送体[ : zinc regulated transporter: ZRT ]と鉄制御的輸送体[ : iron regulated transporter: IRT ]とに分かれる。シロイヌナズナの二価鉄イオン輸送体であるIRT1は亜鉛イオンも輸送する。YSLファミリーはYS1輸送体と相同性が高いタンパク質群である。YS1輸送体とは亜鉛-および鉄-ムギネ酸複合体の輸送体である。HMAファミリーは重金属の輸送体である。ZIPやYSLが細胞内への流入を司るのに対し、HMAは細胞外への排出を担う。CDFファミリーは、細胞小器官から細胞質へと排出、あるいは液胞膜で液胞へと輸送する。

植物体内の銅は乾燥重量1kg当たり1~5㎎と非常に少ない。土壌中の銅濃度が要求量を下回ることは稀有であるが、銅は有機物に吸着すると植物に吸収されなくなる。このため、有機物を多く含む土壌では銅の不足症状が現れる場合がある。銅の不足症状には果樹の枝枯れ開墾病がある。枝枯れでは、若枝の樹皮にゴム様物質が蓄積して斑点が発生する。開墾病では、作物の葉の先端が黄化して展開しなくなる。対策として硫酸銅が用いられる。

銅イオンは下記の反応により生体での酸化還元にかかわる。

Cu2+ + e- ⇔ Cu+
Cu2+ + e- → Cu+ + 0.159V

銅は光合成に重要であり、多くの酵素反応、細胞壁成分のリグニンの合成、穀物の生産に関わる。以下に、銅を含むタンパク質を列挙する。

銅は、遊離イオンの状態で毒性を持つため、細胞内で低濃度に制御されている。そのための仕組みとして、植物を含む生物は銅輸送体や銅シャペロンを有する。銅過剰の条件では植物は銅シャペロン、COX、Cu-Zn SODなどの遺伝子の発現を増加させ、遊離状態の銅濃度を制御しようとする。一方、銅不足ではこれらの遺伝子の発現を抑制する。

銅輸送体は、細胞内外への銅の吸収と排出を司り、銅濃度の維持を担う。銅輸送体[ copper transporter: COPT ]は、シロイヌナズナで細胞や葉緑体の膜に局在していることが確認されている。現在までに同定された6つのCOPT遺伝子のうち、COPT1が根細胞膜の主要な銅輸送体である。また、シロイヌナズナのP1B型ATPアーゼ(重金属ATPアーゼ)[ heavy-metal transporting P-type ATPase: HMA ]のうち、HMA1、5、6(PAA2)、7(RAN1)および8(PAA1)が銅イオンの輸送に関与する。HMA1とPAA1は葉緑体外膜に、PAA2はチラコイド膜内部に、RAN1はゴルジ体内に銅を輸送する。また、トウモロコシなどで鉄-ニコチアナミン錯体の吸収に関与するイエローストライプ様[ yellow stripe like: YSL ]タンパク質は銅-ニコチアナミン複合体も輸送する[61]

銅シャペロン[ copper chaperon ]とは、一群の銅結合性かつ依存性タンパク質である[62][63]。このタンパク質は、有毒な遊離イオンの銅と結合する。そうすることにより無毒化させるとともに、銅を必要とする酵素やタンパク質へと運搬する。植物特有の銅シャペロン遺伝子としてCCHがある。

タンパク質である銅シャペロン以外にも、銅と錯体を形成する低分子化合物を植物は有する。これらの低分子化合物の中には、銅シャペロンと同様の機能を果たすものが存在する考えられている。代表的なものはメタロチオネインであり、これの遺伝子は多くの生物種で保存されている。ナデシコ属植物はメタロチオネイン遺伝子を持つため銅耐性と集積性を持つ。銅結合性低分子化合物にはほかにファイトケラチンやニコチアナミンなどがある。

ニッケル

植物のニッケル要求量は乾燥重量当たり0.1mg/kg以下と小さく、また、圃場で欠乏することは滅多にないため、ニッケル欠乏が起こることはほとんどない。ペカンCarya illinoinensisがニッケル不足に陥ると、「ネズミの耳」[ mouse ear ]と称される葉の萎縮を患う[64]ことが知られるだけである。この症状は、ニッケルを必要とするウレイドの分解が阻害されることにより、窒素代謝およびアミノ酸有機酸の代謝が障害を受けることによる。

蛇紋岩母材とする超塩基性土壌(蛇紋岩質土壌[ : serpentine soil<英語版> ])では、ニッケルが高濃度で存在するため、ニッケル過剰が発生する[65]。稲ではP型ATPaseの活性が低下して細胞膜の機能障害が起こる。小麦では体内で過酸化水素が発生し、根の伸長が阻害される[66]。また、一般にニッケル過剰は鉄の欠乏を誘導する。植物体内の鉄:ニッケルの重量比が10~5以下になると鉄欠乏症のクロロシスやネクロシスが発生する。鉄の取り込みに利用されるニコチアナミンがニッケルの解毒に流用されるためであると考えられている。

ニッケル過剰の耐性には種間差があり、燕麦では土壌の交換性ニッケルが10mg/kgで過剰害が発生するが、バレイショやカボチャなどでは50mg/kgまで問題はない。耐性の種間差は植物のニッケル吸収の性質と関係がある。脆弱な植物では土壌中の交換性ニッケル濃度が増加すると比例して体内濃度も増加するが、耐性植物では体内濃度が上昇しにくい。

地上に乾燥重量当たり0.1mg/kg以上のニッケルを蓄積しても障害を受けないニッケル超集積植物や、蛇紋岩質土壌に特異的に生育する蛇紋岩植物[ : serpentine endemics ]もある。これらの植物では葉中のニッケルはクエン酸との結合で無毒化させられている。タバコの耐性種ではクエン酸ニッケルが液胞に隔離されていることが観察されている。ニッケル超集積植物のAlyssum lesbiacumではヒスチジンがニッケルの地上部への輸送と無毒化に関与している。

高等植物(維管束植物)においてニッケルはNi2+イオンの形態で吸収される。吸収されたニッケルは、窒素代謝において尿素を分解するウレアーゼ賦活剤として要求される。ニッケルが不足すると有毒な尿素が蓄積し、ネクロシスを引き起こす。下等植物においては、さまざまな酵素の賦活剤であり、また、一部の酵素の補因子として亜鉛や鉄の代替となる[67]

モリブデン

モリブデンは植物の要求量が最も小さい必須元素である。植物はモリブデンを必要量以上に吸収しても過剰害を受けない。一方で、モリブデンを多く吸収した牧草を食べた牛が過剰害を受けることがある。

土壌中の形態は、他の必須金属は陽イオンをとるのに対し、陰イオンであるモリブデン酸MoO42-である。このため、他の金属元素とは性質が異なる。その溶解度と土壌pHの関係においても、他がpH増大時に沈殿して減少時に溶出するのに対してモリブデン酸は逆の応答を示す。これは、モリブデン酸は鉄やアルミニウムと不溶性の塩をつくるが、土壌のpHが低下して鉄やアルミニウムが溶出するとより多くのモリブデン酸と会合するためである。逆に、土壌pHが上昇するとモリブデン酸の溶解度が増大して植物への生物学的利用能が増す。鉄やアルミニウムと塩形成することは、モリブデン酸イオンがリン酸イオンや硫酸イオンと同じく正四面体構造であることにもよる。同様の理由から、リン酸イオンと同じく土壌中で粘土鉱物や土壌有機物に強く吸着する。

モリブデンは硝酸レダクターゼアルデヒドオキシダーゼ亜硫酸オキシダーゼキサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ補因子である。これら酵素の中でモリブデンコファクター[ : molybdenum cofactor<英語版> ]と結合しており、電子伝達を担う。また、根粒菌ニトロゲナーゼもモリブデンを含む。以上のことから、モリブデンはアミノ酸の合成や窒素代謝に重要である。

モリブデンの欠乏症の症状は一般に窒素欠乏と似ており、新しい葉よりも古い葉に現れる。なおかつ、植物種によってその形態は様々である。アブラナ科は、鞭状葉[ whiptail ]と呼ばれる葉の萎縮症状を呈する[68]。発症すると葉はその面積を小さくし、左右非対称の異常な形となる。欠乏症の程度が大きい場合は、主脈だけの葉が形成されることがある。植物体内でモリブデンは再転流しやすいため、モリブデン欠乏の対策として葉面散布が有効である。

有用栄要素

ケイ素

ケイ素サトウキビトクサ科植物といった特定の植物の生長や発生に必須である[69]。植物一般の必須栄養素ではないが、多くの植物種で適正な量を与えると植物体内に蓄積し、その生長と粘性を促進する[70]

ケイ素は小胞体細胞壁、細胞間隙に不定形のケイ酸として沈着する。その後、ポリフェノールと複合体を形成し、細胞壁構成糖のリグニンの代替物として細胞壁を強化する。これにより、植物体の強度(旱魃霜害、病原体の感染、病気に対する耐性[71])や健康、生産性が向上する[72]。また、根の重量や密度を高め、植物の生長や生理活性を向上させ、作物のバイオマスと収量を改善させる[72]。さらに、ケイ素は多くの重金属毒性を緩和する[11]。ケイ素が不足すると植物は倒伏しやすくなり、カビの感染を受けやすくなる。

このため、多くの国で肥料の有用栄養素として重要視されている[73][74]。例えば、米国飼料検査官協会(: Association of American Plant Food Control Officials)(AAPFCO)は2006年にケイ素の植物有用物質としての等級を高めた[75][76]

植物体内のケイ素の輸送範囲はキシレン木部に限定されている。茎部の分布は蒸散の量により決定される。表皮の細胞壁にはケイ素が分布しており、クチクラ層からの蒸散による水分の損失を防ぐ。また、細胞壁での分布は葉を立てたり(直立葉、: leaf erectness)、マンガンの毒性やそれらの蓄積に対する感受性を低下させたりといった効果もある。

高等植物の間でケイ素の取り込み能力の特性は異なり、ケイ酸SiO2含量に基づき、植物は以下の3つのグループに分類される。

  • ケイ酸含量10-15% ― 湿地イネ科水稲スギナ
  • ケイ酸含量1-3% ― 乾燥地イネ科(サトウキビ、穀物のほとんど、双子葉植物のいくつか)
  • ケイ酸含量0.5%以下 ― 双子葉植物のほとんど、特にマメ科植物

ナトリウム

ナトリウムは一部の植物にとっての必須または有用要素であり、植物一般の必須栄養素ではない。要求性の植物は、CAM型光合成C4型光合成を行うものの中の、NAD-ME型PEP-CK型である。例としてヒエEchinochloa utilisギョウギシバCynodon dactylonKyllinga brevifoliaハゲイトウAmaranthus tricolor L.、Kochia childsiiマツバボタンPortulaca grandiflora[77]アフリカヒゲシバChloris gayanaキビPanicum miliaceumギニアグラスPanicum maximumPanicum coloratumオオクサキビPanicum dichotomiflorum[78]があり、培養液からナトリウムが除かれると枯死する。これらの植物においてナトリウムは、ピルビン酸葉肉細胞の葉緑体へと供給する際に必要とされる。すなわち、NAD-ME型とPCK型ではピルビン酸はナトリウムとの共輸送により運搬される。一方で、NADP-ME型C4植物ではピルビン酸輸送にナトリウムを必須としない。葉緑体でピルビン酸はホスホエノールピルビン酸合成の基質になる。このほか、要求性植物ではナトリウムは光化学系IIの活性および、葉肉葉緑体の超微細構造変化の抑制に用いられる。

ナトリウムは一部の作物の生育と品質を向上させることが実証されている。例えば、ニンジンスクロース濃度が増加する。理由はよくわかっていないが、アカザ科にはナトリウムを好む植物が多い。アカザ科のテンサイでは、カリウムが十分に施用されている場合においてもナトリウムにより生育は促進される。ドイツや北海道ではチリ硝石(硝酸ナトリウム)がよく施用される。

ナトリウムは、浸透圧調節、気孔の開閉の調節、光合成、長距離輸送における中和作用、酵素活性についてカリウムの代替となることができるが[5]。その性質の強さによって植物は次の4つのグループに分類される。

  • グループA
  1. ナトリウムが大部分のカリウムの代替となることができ、ナトリウムも施用するとカリウムだけの場合と比べて生長が促進される。
  • グループB
  1. ナトリウムに対して特異的な反応を示すが大きな効果はない。
  • グループC
  1. わずかな量のカリウムの代替しかできず、カリウムだけの場合と比べてナトリウムとの施用に効果は見られない。
  • グループD
  1. ナトリウムはカリウムの代替とならない。

ナトリウムは葉面積の増大や水分調節を促進する。

コバルト

コバルトは一部の植物において有用である。マメ科植物において、根粒菌(窒素固定細菌)との共生による窒素固定に要求される。コバルトが不足すると根粒菌のタンパク質合成が阻害される。コバルト要求性の非マメ科植物がコバルトを何に利用しているかは判明していない。

アルミニウム

アルミニウムは一般に植物に対して毒性を持つが、一部の植物にとって必須な微量元素でもある[79]。いくつかの水生植物はアルミニウムがないと枯死する。例えば、Stoklasaはアルミニウム非存在下で栽培を行った結果、Glyceria aquatica(ヒロハノドジョウツナギ)は22日目に、Juncus effusus(イグサ)は56~69日目に枯死した[80]。Sommerは、アルミニウム供給はエンドウに影響しないが、キビの種実の収量が大幅に増加したことを報告した[81]。シダ類はアルミニウムを要求することが示唆されており、いくつかの種は胞子の正常な配偶体の形成に必須とする[82]。少なくとも、3種類のシダ:Alsophila australis(マルハチ類)、Aspidiumu filis-masPolypodium proliferum(ウラボシ類)はアルミニウムなしで正常に生育できない[83]

はアルミニウムの毒性に耐性を持ち、むしろアルミニウムの施用で成長が促進される。アルカリ性土壌で茶の樹は激しいクロロシスを示すが、これはアルミニウムの注射により消失し、また、鉄の注射では改善しない[84]。これは、マンガンあるいはリンの毒性を防ぐためである。加えて、根腐れを引き起こす真菌を殺菌する働きがあることが報告されている。

必須性は証明されていないが、アルミニウムの添加で一部の植物の生育がよくなる。小麦、大麦、燕麦[80]、あるいはDeschampsia flexuosa(コメススキ)といった若干の草本類がそうである。Znamenskijは、種名が同じ小麦の2変種でアルミニウムに対する反応が異なることを発見し、このことが水分の要求度の違いによるものである可能性を報告した[85]。低濃度の硫酸アルミニウムは、要求度が低い乾生Triticum vulgare var. ferrugineum 81/4の生育は抑制されるが、要求度がより高い中生var. pceudohostianum 330/16の生育は逆に促進される。このときのアルミニウム濃度は中生小麦の呼吸を刺激し、乾生小麦の呼吸を阻害する。なお、硫酸アルミニウムが高濃度の場合、両方の生育は悪化する。

バナジウム

バナジウムはいくつかの植物において、モリブデンの代替として非常に低濃度で必要であることが示唆されている。農業上は、アゾトバクターの生育を促進することで植物成長に貢献する。

セレン

セレンは有用要素の一つと考えられている。

歴史

フランドルの化学者ヤン・ファン・ヘルモント[ J. B. van Helmont ]は17世紀初めに科学的な実験を行い、植物の成長は水だけの吸収によると結論付けた(水説)[86]。この時の実験では、正確に秤量した土を入れた植木鉢でが生育させられ、5年後に柳と土の重量が秤量された。その結果、植物体重量は倍増したのに対し、土壌重量は変化しなかった。ヘルモントの実験の後、18世紀前半の1731年にイギリスのジェスロ・タル[ : Jethro Tull ]が、植物は水だけでなく土壌粒子も吸収するとする土粒子説を提唱した。著書『中耕農業』(1731年)においてタルは「作物の根は植物の口であり土壌の微粒子を水と一緒に吸収する。葉は植物の肺であり呼吸や水分の排出を行う。植物の栄養物は土であり、だから植物が土を食べやすいように根と土の接触面を増やすべく土壌を細分化することが重要だ」と書いた。タルの農業理論と方法論は、ジャーナリストのアーサー・ヤング[ : Arthur Young ]の紹介により普及した。

17世紀後半にジョゼフ・プリーストリー[ Joseph Priestley ]は植物が酸素を発生させること、ヤン・インゲンホウス[ Jan Ingen-Hausz ]はこの酸素発生に光が要求されることを示した。スイスのニコラス・テオドール・ド・ソシュール[ Nicolas-Théodore de Saussure ]は、植物が明所で二酸化炭素を吸収し酸素を放出することを定量的研究で証明した。光合成による大気中炭素の吸収の発見である。ただし、ド・ソシュールもまた、植物体を構成する炭素のすべてが光合成で賄われているとは考えず、後述の腐植説を支持した。

18世紀後半にスウェーデンの化学者ウォレリウスは原初的な腐植説を唱え、当時、土壌の肥沃性の実体と考えられていた地脂が腐植(フムス)であるとした。また、ドイツ人アルブレヒト・テーア[ : Albrecht Thaer ]は『合理的農業の原理』(1812年)を著したが、この著作中により腐植説を流布した。ただし、ここでいう腐植とは、現在定義されているものとは異なる、土壌中の有機物とミネラル分を合わせた物質群のことであった。当時、植物は土壌有機物を根から吸収し、植物体はすべからく土壌有機物由来の成分によって構成されると考えられていた。カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルは、土壌有機物の吸収を促進する働きがあると信じられていた。

19世紀前半に入って、植物の栄養は土壌中の無機栄養であるとする無機栄養説が現れる。1834年、アルザスジャン・バティスト・ブサンゴー[ Jean-Baptiste Boussingault ]は、植物の構成炭素はすべて光合成による二酸化炭素の固定に由来することを証明した。彼は、ド・ソシュールの定量分析を取り入れた圃場試験を行い、収穫物と施用した堆肥の構成元素をすべて分析して栄養元素の収支表を作成した。この結果、前述の二酸化炭素の同化、マメ科作物が大気中の窒素を利用すること(窒素固定)、輪作が(使用した作物において)必要なことを示した。同時代のカール・スプレンゲル[ : Carl Sprengel ]は、植物は土壌中の無機元素すべてをスポンジのように吸収するのではなく、必要な元素のみを選択的に摂取すると主張した。また、作物の生育は、最も不足している必須栄養元素の吸収量によって決定するという「最少養分律」[ : Law of minimum ]を提唱した。さらに、ドイツの化学者ユストゥス・フォン・リービッヒ[ J. von Liebig ]は『農業と生理学への化学の応用』を著し、無機栄養説を主張した。植物栄養の正体は土壌中の無機栄養と大気中の二酸化炭素で決着し、リービッヒは植物栄養学の開祖と呼ばれるようになった[87]。ただし、リービッヒの学説がすべて正しかったわけではない。この著作で「窒素は空中からアンモニアの形態で供給されるので作物に施肥する必要はない」と主張し、さらに、家畜尿から生成する硝酸イオンが腐植(当時は、植物に吸収される土壌中栄養素の総称)の窒素栄養素の正体であるとするグラウバー[ J. R. Glauber ]の考えを否定した。

リービッヒの、窒素栄養素は大気中から供給されるとする(誤った)理論に対し、イギリス人ロウズ[ : John Bennet Lawes ]は小麦の生育は窒素施肥に反応すると信じていた。彼は反証のためにギルバート[ : Joseph Henry Gilbert ]とともに栽培実験(ローザムステッドの長期圃場試験[ : Rothamsted Research ])を開始した。この結果に基づき、大気中のアンモニア供給量はごくわずかであり到底作物の生育に足りない、ゆえに「窒素肥料こそが穀物の収穫を規定する」と主張した。しかし、両者ともに互いの理論を証明する確かな証拠を持っていなかったため、両者の論争は10年に及んだ。ローズとギルバートは、リービッヒを「現場の農業を知らない理論ばかりの学者」と非難した。これに対しリービッヒは「生涯にただの一度も化学の教科書を手にしたこともなく、ぶっ掛け試験ばかりを繰り返している連中に、科学的な思考などできるはずがない」 と軽蔑した[88]

ユリウス・フォン・ザックス[ J. von Sacks ]とウィルヘルム・クノップ[ : Wilhelm Knop ]らは水耕栽培を開発した。この成果は、植物が無機栄養を土壌溶液から吸収すること、土壌の固相は養分の吸収に必要ではないことを示している。1860年、10元素(炭素、酸素、水素、窒素、リン、カリウム、硫黄、カルシウム、マグネシウム、鉄)が植物の生育に必須であるとする必須十元素説が確立した。

リービッヒおよびロウズとギルバートの論争の後、微生物が土壌の物質循環の主役であることが知られるようになった。土壌微生物によって堆肥からアンモニウムイオンが生成することが示され、土壌中の有機物が窒素の供給源であることが明らかとなったのである。1886年、ヘルリゲル[ : Hermann Hellriegel ]とウィルハース[ : Hermann Wilfarth ]はマメ科植物の根粒に微生物が共生し、この微生物が窒素固定を行っていることを発見した。1877年、現在では硝化作用として知られる、アンモニア硝化細菌と亜硝酸酸化細菌によるアンモニアから硝酸イオンまでの2段階の酸化反応をシュレシングとムンツが見つけた。ローザムステッドの研究員ワーリントン[ R. Warigthon ]は二人の発見を追試験し、さらに、土壌中の有機物が無機化されることを突き止めた。

注釈

  1. ^ 気耕栽培システム[ : aeroponic growth system(英語版) ]とは、Richard W. Zobelm、Peter Del Tredici、John G. Torreyらが1976年に提唱した植物栽培システムの一つである。植物の根を密閉容器内の空気中に固定し、その容器内に養液を噴霧することにより植物を栽培する。根の周りの環境(気相)の調節が容易である利点がある。
  2. ^ 好石灰植物には、ビートセンニンソウ属サラダバーネット<英語版>、ヨーロッパのラン科植物、いくつかの多肉植物(チトセラン属など)がある。
  3. ^ 嫌石灰植物には、アザレアビルベリーブルーベリーカルーナ属ツバキ属エリカ属メコノプシス属ツツジエンバクオークイワヒゲハナミズキヒュウガミズキサラサドウダンシキミなどがある。
  4. ^ Katherine Warington (1897-1993) はイングランドの植物学者。ホウ素が植物の必須栄養素であることを、世界で初めて、ロンドン大学へのM. Sc.論文で報告した。1921年にRothamsted試験場(イングランドの農学研究所。170年余りという世界最長の歴史を持つ)のWinifred Elsie Brenchley (1883-1953) の植物学研究室に入室した。

参考文献

  1. ^ Daniel Israel Arnon; P. R. Stout (1939). “The essentiality of certain elements in minute quantity for plants with special reference to copper.”. Plant Physiology 14 (2): 371-5. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC437744/. 
  2. ^ Emanuel Epstein. Mineral Nutrition of Plants: Principles and Perspectives 
  3. ^ http://aesl.ces.uga.edu/publications/plant/Nutrient.htm Retrieved Jan. 2010
  4. ^ Allen V. Barker; D. J. Pilbeam (2007). Handbook of plant nutrition. CRC Press. ISBN 978-0-8247-5904-9 pages=4–{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。. http://books.google.com/books?id=5k0afN5UZ4IC&pg=PA4 2010年8月17日閲覧。 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m Norman P. A. Huner; William Hopkins. “3 & 4”. Introduction to Plant Physiology 4th Edition. John Wiley & Sons, Inc.. ISBN 978-0-470-24766-2 
  6. ^ a b R. S. Loomis; D. J. Connor (1939). Crop Ecology: Productivity and Management in Agricultural Systems 
  7. ^ a b c Dunn, C.E. 1991. Assessment of biogeochemical mapping at low sample density. Trans. Instit. Mining Metall., Vol. 100:B130–B133.
  8. ^ 間藤徹 (2010). “第2章 植物栄養学を理解するために 4. 水の吸収と輸送”. 植物栄養学 第2版. 文永堂出版. pp. 50-6 
  9. ^ a b Swan, H.S.D. 1971a. Relationships between nutrient supply, growth and nutrient concentrations in the foliage of white and red spruce. Pulp Pap. Res. Inst. Can., Woodlands Pap. WR/34. 27 p.
  10. ^ Lowenfels, Lewis, Jeff, Wayne (2011). Teaming with microbes. pp. 49, 110. ISBN 978-1-60469-113-9 
  11. ^ a b c d Lincoln Taiz; Eduardo Zeiger (2004). “5. 無機栄養”. テイツ/ザイガー 植物生理学 第3版. 培風館 
  12. ^ Krasowski, M.J.; Owens, J.N. 1999. Tracheids in white spruce seedling’s long lateral roots in response to nitrogen availability. Plant and Soil 217(1/2):215–228.
  13. ^ a b c 吉川翠風 「家庭菜園入門」 丸井図書出版、1986年
  14. ^ Black, C.A. 1957. Soil-plant relationships. New York, Wiley and Sons. 332 p.
  15. ^ a b Russell, E.W. 1961. Soil Conditions and Plant Growth, 9th ed. Longmans Green, London, U.K.. 688 p.
  16. ^ Benzian, B. 1965. Experiments on nutrition problems in forest nurseries. U.K. Forestry Commission, London, U.K., Bull. 37. 251 p. (Vol. I) and 265 p. (Vol II).
  17. ^ Swan, H.S.D. 1960b. The mineral nutrition of Canadian pulpwood species. Phase II. Fertilizer pellet field trials. Progress Rep. 1. Pulp Pap. Res. Instit. Can., Montreal QC, Woodlands Res. Index No. 115, Inst. Project IR-W133, Res. Note No. 10. 6 p.
  18. ^ Swan, H.S.D. 1962. The scientific use of fertilizers in forestry. p. 13-24 in La Fertilisation Forestière au Canada. Fonds de Recherches Forestières, Laval Univ., Quebec QC, Bull. 5
  19. ^ Heiberg, S.O.; White, D.P. 1951. Potassium deficiency of reforested pine and spruce stands in northern New York. Soil Sci. Soc. Amer. Proc. 15:369–376.
  20. ^ Sato, Y.; Muto, K. 1951. (Factors affecting cold resistance of tree seedlings. II. On the effect of potassium salts.) Hokkaido Univ., Coll. Agric., Coll. Exp. Forests, Res. Bull. 15:81–96.
  21. ^ a b c d e f g h i j 間藤徹 (2010). “第3章 植物の必須元素, 栄養元素 4. カルシウムとマグネシウム”. 植物栄養学 第2版. 文永堂出版. pp. 123-33 
  22. ^ P. A. Lahaye; Emanuel Epstein (1969). “Salt toleration by plants: enhancement with calcium”. Science 166 (3903): 395-6. PMID 17796555. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17796555. 
  23. ^ a b University of Zurich (2011). Blossom end rot: Transport protein identified. http://phys.org/news/2011-11-blossom-protein.html
  24. ^ a b (2012). New Light Shined on Photosynthesis. http://www.newswise.com/articles/new-light-shined-on-photosynthesis University of Arizona
  25. ^ Chapman, H.D. (Ed.) 1966. Diagnostic Criteria for Plants and Soils. Univ. California, Office of Agric. Publ. 794 p.
  26. ^ Hiroshi Kouchi; Kikuo Kumazawa (1975). “Anatomical responses of root tips to boron deficiency. I. Effects of boron deficiency on elongation of root tips and their morphological characteristics”. Soil Sci. Plant Nutr. 21 (1): 21-8. doi:10.1080/00380768.1975.10432617. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00380768.1975.10432617. 
  27. ^ R. E. Engel; L. Bruebaker; T. J. Emborg (2001). “A Chloride Deficient Leaf Spot of Durum Wheat”. Soil Science Society 65 (5): 1448-54. doi:10.2136/sssaj2001.6551448x. https://dl.sciencesocieties.org/publications/sssaj/abstracts/65/5/1448. 
  28. ^ 間藤徹 (2010). “第三章 植物の必須元素,栄養元素 4)塩素”. 植物栄養学 第2版. 文永堂出版. pp. 181-5 
  29. ^ Albert Guskov; Jan Kern; Azat Gabdulkhakov; Matthias Broser; Athina Zouni; Wolfram Saenger (2009). “Cyanobacterial photosystem II at 2.9-Å resolution and the role of quinones, lipids, channels and chloride”. Nature Structural & Molecular Biology 16: 334-42. doi:10.1038/nsmb.1559. http://www.nature.com/nsmb/journal/v16/n3/full/nsmb.1559.html. 
  30. ^ H. Marschne; V. Römheld; M. Kissel (1986). “Different strategies in higher plants in mobilization and uptake of iron”. Plant journal Nutr. 9: 695–713. 
  31. ^ 間藤徹 (2010). “第3章 植物の必須元素, 栄養元素 5. 鉄, 銅, マンガン, モリブデン 1) 鉄”. 植物栄養学 第2版. 文永堂出版. pp. 123-133 
  32. ^ Hong-Qing Ling; Gudrun Koch; Helmut Bäumlein; Martin W. Ganal (1999). “Map-based cloning of chloronerva, a gene involved in iron uptake of higher plants encoding nicotianamine synthase”. PNAS 96 (12): 7098–7103. doi:10.1073/pnas.96.12.7098. http://www.pnas.org/content/96/12/7098.short. 
  33. ^ A. Rombolá; M. Tagliavini (2006). “Iron nutrition of fruit tree crops”. In L. L. Barton; J. Abadia. Iron Nutrition in Plants and Rhizospheric Microorganisms. pp. 61-83. ISBN 978-1-4020-4743-5 
  34. ^ A. Álvarez-Fernández; J. Abadía; A. Abadía (2006). “Iron deficiency, fruit yield and quality”. pp. 85-101. ISBN 978-1-4020-4743-5. 
  35. ^ (2012). "Nutrient and toxin all at once: How plants absorb the perfect quantity of minerals". http://esciencenews.com/articles/2012/04/13/nutrient.and.toxin.all.once.how.plants.absorb.perfect.quantity.minerals Ruhr-Universität
  36. ^ T. Kobayashi; Y. Nakayama; R. N. Itai; H. Nakanishi et. al. (2003). “Identification of novel cis-acting elements, IDE1 and IDE2, of the barley IDS2 gene promoter conferring iron deficiency-inducible, root-specific expression in heterogeneous tobacco plants”. Plant journal 36: 780–793. http://link.springer.com/article/10.1007/s12284-010-9042-y#/page-1. 
  37. ^ Katherine Warington (1923). “The effect of boric acid and borax on the broad bean and certain other plants”. Annals of Botany 37: 629-72. http://aob.oxfordjournals.org/content/os-37/4/629.full.pdf. 
  38. ^ Hening Hu; Patrick H. Brown; John M. Labavitch (1996). “Species variability in boron requirement is correlated with cell wall pectin”. Journal of Experimental Botany 47 (2): 227-32. doi:10.1093/jxb/47.2.227. http://jxb.oxfordjournals.org/content/47/2/227.short. 
  39. ^ Toru Matoh; Masaru Kobayashi (March 1998). “Boron and calcium, essential inorganic constituents of pectic polysaccharides in higher plant cell walls”. Journal of Plant Research 111 (1): 179-90. doi:10.1007/BF02507164. http://link.springer.com/article/10.1007/BF02507164. 
  40. ^ 石井忠; 松永俊朗 (2003). “植物細胞壁多糖ラムノガラクツロナンIIの化学構造と機能”. 木材学会誌 49 (3): 153-60. 
  41. ^ Malcolm A. O'Neill; Tadashi Ishii; Peter Albersheim; Alan G. Darvill (2004). “RHAMNOGALACTURONAN II: Structure and Function of a Borate Cross-Linked Cell Wall Pectic Polysaccharide”. Annual Review of Plant Biology 55: 109-39. http://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev.arplant.55.031903.141750?url_ver=Z39.88-2003&rfr_dat=cr_pub%3Dpubmed&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&journalCode=arplant. 
  42. ^ D. A. Hart; P. Kindel (1970). “Isolation and partial characterization of Apiogalacturonans from the cell wall of Lemna minor”. Biochem J. 116: 569–79. 
  43. ^ Vittal K. Yachandra; R.D. Guiles; Ann McDermott; R.David Britt; S.L. Dexheimer et. al. (2 July 1986). “The state of manganese in the photosynthetic apparatus: 4. Structure of the manganese complex in Photosystem II studied using EXAFS spectroscopy. The S1 state of the O2-evolving Photosystem II complex from spinach”. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Bioenergetics 850 (2): 324–32. doi:10.1016/0005-2728(86)90188-X. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/000527288690188X. 
  44. ^ C. Bowler; L. Slooten; S. Vandenbranden; R. De Rycke; J. Botterman et. al. (Jul 1991). “Manganese superoxide dismutase can reduce cellular damage mediated by oxygen radicals in transgenic plants”. The EMBO Journal 10 (7): 1723–32. PMID 構文エラー:「pmc」を認識できません。. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC452843/. 
  45. ^ Page W. Morgan; Howard E. Joham; J. V. Amin (April 1966). “Effect of Manganese Toxicity on the Indoleacetic Acid Oxidase System of Cotton”. American Society of Plant Biologists 41 (4): 718-24. エラー: 不正なDOI指定です. http://www.plantphysiol.org/content/41/4/718.short. 
  46. ^ Yulia O. Korshunova; David Eide; W. Gregg Clark; Mary Lou Guerinot; Himadri B. Pakrasi (May 1999). “The IRT1 protein from Arabidopsis thaliana is a metal transporter with a broad substrate range”. Plant Molecular Biology 40 (1): 37-44. doi:10.1023/A:1026438615520. http://link.springer.com/article/10.1023/A:1026438615520. 
  47. ^ Rémy Cailliatte; Adam Schikora; Jean-François Briat; Stéphane Mari; Catherine Curie (March 2010). “High-Affinity Manganese Uptake by the Metal Transporter NRAMP1 Is Essential for Arabidopsis Growth in Low Manganese Conditions”. American Society of Plant Biologists 22 (3): 904-17. doi:10.​1105/​tpc.​109.​073023. http://www.plantcell.org/content/22/3/904.short. 
  48. ^ Viviane Lanquar; Magali Schnell Ramos; Françoise Lelièvre; Hélène Barbier-Brygoo; Anja Krieger-Liszkay (February 24, 2010). “Export of Vacuolar Manganese by AtNRAMP3 and AtNRAMP4 Is Required for Optimal Photosynthesis and Growth under Manganese Deficiency”. American Society of Plant Biologists 152 (4): 1986-99. doi:10.​1104/​pp.​109.​150946. http://www.plantphysiol.org/content/152/4/1986.short. 
  49. ^ Kendal D. Hirschi; Victor D. Korenkov; Nathaniel L. Wilganowski; George J. Wagner (1 Sep 2000). “Expression of Arabidopsis CAX2 in Tobacco. Altered Metal Accumulation and Increased Manganese Tolerance”. American Society of Plant Physiologists 124 (1): 125-34. エラー: 不正なDOI指定です. http://www.plantphysiol.org/content/124/1/125.short. 
  50. ^ Meng Yang; Wan Zhang; Yuanyuan Zhang; Kai Lv; Dujun Wang; Huaxia Dong et. al. (31 Des 2013). “OsNRAMP3 Is a Vascular Bundles-Specific Manganese Transporter That Is Responsible for Manganese Distribution in Rice”. PLoS One 8 (12). doi:10.1371/journal.pone.0083990. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3877151/. 
  51. ^ a b c d e f g h i R. D. Reeves; J. M. Baker (2000). “Metal Accumulating Plants”. In I. Raskin; B. D. Ensley. Phytoremediation of Toxic Metals : Using Plants to Clean Up the Environment. USA: John Wiley & Sons, Inc., NJ. pp. 193-229 
  52. ^ Abdul Razaque Memon; Michihiko Yatazawa (1982). “Chemical nature of manganese in the leaves of manganese accumulator plants”. Soil Science and Plant Nutrition 28: 401-12. doi:10.1080/00380768.1982.10433655. http://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/00380768.1982.10433655. 
  53. ^ J. Proctor et. al. (1989). “Ecological Studies on Gunung Silam, a Small Ultrabasic Mountain in Sabah, Malaysia. II. Some Forest Processes”. Journal of Ecology 77 (2): 317-31. doi:10.2307/2260752. http://www.jstor.org/stable/2260752. 
  54. ^ Sjaan D. Bidwell; Ian E. Woodrow; George N. Batianoff; Jens Sommer-Knudsen (29 July 2002). “Hyperaccumulation of manganese in the rainforest tree Austromyrtus bidwillii (Myrtaceae) from Queensland, Australia”. Functional Plant Biology 29 (7): 899-905. doi:10.1071/PP01192. http://www.publish.csiro.au/paper/PP01192. 
  55. ^ S. G. Xue; Y. X. Chen; Roger D. Reeves; Alan J. M. Baker; Q. Lin; Denise R. Fernando (Oct 2004). “Manganese uptake and accumulation by the hyperaccumulator plant Phytolacca acinosa Roxb. (Phytolaccaceae)”. Environmental Pollution 131 (3): 393–9. doi:10.1016/j.envpol.2004.03.011. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749104001186. 
  56. ^ a b c 間藤徹 (2010). “第3章 植物の必須元素, 栄養元素 6. 亜鉛、ホウ素、ニッケル、塩素 1)亜鉛”. 植物栄養学 第2版. 文永堂出版. pp. 160-164 
  57. ^ Nicole S. Pence; Paul B. Larsen; Stephen D. Ebbs; Mitch M. Lasat; Deborah L. D. Letham et. al. (November 29, 1999). “The molecular physiology of heavy metal transport in the Zn/Cd hyperaccumulator Thlaspi caerulescens. PNAS 97 (9): 4956–60. doi:10.1073/pnas.97.9.4956. http://www.pnas.org/content/97/9/4956.short. 
  58. ^ Ye-Tao Tang; Rong-Liang Qiu; Xiao-Wen Zeng; Rong-Rong Ying; Fang-Ming Yu; Xiao-Yong Zhou (April 2009). “Lead, zinc, cadmium hyperaccumulation and growth stimulation in Arabis paniculata Franch”. Environmental and Experimental Botany 66 (1): 126–34. doi:10.1016/j.envexpbot.2008.12.016. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0098847209000070. 
  59. ^ 吉原利一 (2008). 
  60. ^ Relationships Between Zinc and Auxin in the Growth of Higher Plants. 27. Botanical Society of America, Inc.. (1940). 939-951. http://www.jstor.org/stable/2436564 
  61. ^ R. J. DiDonato Jr.; L. A. Roberts; T. Sanderson; R. B. Eisley; E. L. Walker (2004). “Arabidopsis Yellow Stripe-Like2 (YSL2): a metal-regulated gene encoding a plasma membrane transporter of nicotianamine-metal complexes”. The Plant journal 39 (3): 403-14. PMID 15255869. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15255869. 
  62. ^ M. D. Harrison; C. E. Jones; C. T. Dameron (1999). “Copper chaperones: function, structure and copper-binding properties”. Journal of biological inorganic chemistry 4 (2): 145-53. PMID 10499084. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10499084. 
  63. ^ K. A. Markossian; B. I. Kurganov (2003). “Copper chaperones, intracellular copper trafficking proteins. Function, structure, and mechanism of action”. Biochemistry (Mosc) 68 (8): 827-37. PMID 12948382. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12948382. 
  64. ^ Bruce W. Wood; Charles C. Reilly; Andrew P. Nyczepir (Oct 2004). “Mouse-ear of Pecan: A Nickel Deficiency”. HortScience 39 (6): 1238–42. http://hortsci.ashspublications.org/content/39/6/1238.full.pdf. 
  65. ^ W. M. Crooke (Apr 1956). “EFFECT OF SOIL REACTION ON UPTAKE OF NICKEL FROM A SERPENTINE SOIL”. Soil Science 81 (4): 269-76. http://journals.lww.com/soilsci/Citation/1956/04000/EFFECT_OF_SOIL_REACTION_ON_UPTAKE_OF_NICKEL_FROM_A.3.aspx. 
  66. ^ E. Gajewska; M. Skłodowska (March 2008). “Differential biochemical responses of wheat shoots and roots to nickel stress: antioxidative reactions and proline accumulation”. Plant Growth Regulation 54 (2): 179–88. doi:10.1007/s10725-007-9240-9. http://link.springer.com/article/10.1007/s10725-007-9240-9. 
  67. ^ Allen V. Barker; D. J. Pilbeam (2007). Handbook of plant nutrition. CRC Press. pp. 399–. ISBN 978-0-8247-5904-9. http://books.google.com/books?id=5k0afN5UZ4IC&pg=PA399 2010年8月17日閲覧。 
  68. ^ R. J. Fido; C. S. Gundry; E. J. Hewitt; B. A. Notton (1977). “Ultrastructural Features of Molybdenum Deficiency and Whiptail of Cauliflower Leaves: Effects of Nitrogen Source and Tungsten Substitution for Molybdenum”. Australian Journal of Plant Physiology 4 (4): 675-89. doi:10.1071/PP9770675. http://www.publish.csiro.au/?paper=PP9770675. 
  69. ^ AgriPower. A Review of Silicon and Its Benefits for Plants. pp. 38–41. http://agripower.com.au/doc/A_review_of_Silicon_and_its_benefits_for_plants.pdf 2011年7月19日閲覧。. 
  70. ^ E. Epstein (1999). “Silicon”. Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 50: 641-64. 
  71. ^ Prakash, Dr. N. B. (2007). Evaluation of the calcium silicate as a source of silicon in aerobic and wet rice. University of Agricultural Science Bangalore. pp. 1. 
  72. ^ a b “Silicon nutrition in plants”. Plant Health Care,Inc.: 1. (12 December 2000). http://excellerator.files.wordpress.com/2011/02/phc_silicon.pdf 2011年7月1日閲覧。. 
  73. ^ Feng Ma, Jian; Yamaji, Naoki (12 July 2006). “Silicon uptake and accumulation in higher plants”. Trend in Plant Science. Abiotic stress series 11 (8): 1. http://www.aseanbiotechnology.info/Abstract/21019928.pdf 2011年7月1日閲覧。. 
  74. ^ Feng Ma, Jian; Yamaji, Naoki (12 July 2006). “Silicon uptake and accumulation in higher plants”. Trend in Plant Science. Abiotic stress series 11 (8): 4–5. http://www.aseanbiotechnology.info/Abstract/21019928.pdf 2011年7月1日閲覧。. 
  75. ^ AAPFCO Board of Directors 2006 Mid-Year Meeting”. Association of American Plant Food Control Officials. 2011年7月18日閲覧。
  76. ^ Miranda, Stephen R. (2009年8月4日). “Silicon: Summary of Extraction Methods”. Harsco Minerals. 2011年7月18日閲覧。
  77. ^ P. F. Brownell; C. J. Crossland (May 1972). “The Requirement for Sodium as a Micronutrient by Species Having the C4 Dicarboxylic Photosynthetic Pathway”. Plant Physiology 49 (5): 794-7. doi:10.​1104/​pp.​49.​5.​794. http://www.plantphysiol.org/content/49/5/794.short. 
  78. ^ Daisaku Ohta; Junji Matsui; Töru Matoh; Eiichi Takahashi (1988). “Sodium Requirement of Monocotyledonous C4 Plants for Growth and Nitrate Reductase Activity”. Plant & Cell Physiology 29 (8): 1429-32. http://pcp.oxfordjournals.org/content/29/8/1429.short. 
  79. ^ マルク・ヤーコヴレヴィチ・シュコーリニク; 監修:藤原彰夫 (1982年4月10日). “第8章 アルミニウム (Al) §1.Alの若干の植物に対する必須性”. 植物の生命と微量元素. 農山漁村文化協会. pp. 346-9 
  80. ^ a b Dr. Julius Stocklasa; Verlag von Gustav Fischer (1922). “Über die Verbreitung des Aluminiums in der Natur und seine Bedeutung beim Bau- und Betriebsstoffwechsel der Pflanzen”. Angewandte chemie 35 (53): 352. doi:10.1002/ange.19220355309. 
  81. ^ Anna Louise Sommer (1926). “Studies concerning the essential nature of aluminium and silicon for plant growth”. University of California publications in agricultural sciences 5 (2). doi:10.5962/bhl.title.61309. 
  82. ^ Ernst Kretzmann (1913). “Der Mikrochemische Nachweis und die Verbreitung des Aluminiums im Pflanzenreich”. Sitzber. K. Akad. Wiss. (Vienna) Nath-Naturwiss K1. 122 (2): 311. http://sammlungen.ub.uni-frankfurt.de/botanik/periodical/pageview/4436021. 
  83. ^ K. Taubock (1942). “Über die Lebensnotwendigkeit des Aluminiums für Pterido-phyten”. Bot. Arch. 43: 291-295. 
  84. ^ E. M. Chenery (1948). “Aluminum in plants and its relation to plant pigments”. Ann. Bot. 12 (2): 121-136. http://aob.oxfordjournals.org/content/12/2/121.extract. 
  85. ^ I. E. Znamenskij (1927). “コムギの乾生種と中生種に及ぼすAlの影響”. 大植物園会報 26 (6): 631. 
  86. ^ 久馬一剛 (2010). “3. 土はどうやってできたのだろう”. 土の科学: いのちを育むパワーの秘密. PHP研究所 
  87. ^ 間藤徹 (2010). “5. 無機栄養”. 植物栄養学 第2版. 文永堂出版. pp. 3 
  88. ^ 小野信一 (2008). “リービッヒの無機栄養説と土壌肥料学”. 情報:農業と環境 No.102. http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/102/mgzn10211.html.