システイン

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L-システイン
識別情報
CAS登録番号 52-90-4 チェック
52-89-1 (塩酸塩)
PubChem 5862
ChemSpider 574 (ラセミ体) チェック, 5653 (L-体) チェック
UNII K848JZ4886 チェック
EINECS番号 200-158-2
KEGG D00026
ChEMBL CHEMBL54943 チェック
特性[1]
化学式 C3H7NO2S
モル質量 121.16 g mol−1
外観 白色結晶または粉末
融点

240 °C(分解)

への溶解度 可溶
比旋光度 [α]D +9.4º (H2O, c = 1.3)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

システイン (cysteine) はアミノ酸の1つで、2-アミノ-3-スルファニルプロピオン酸のこと。側鎖にチオール基を持つ。チオセリンとも言う。略号は C あるいは Cys。酸性条件下では安定だが、中・アルカリ性条件では微量の重金属イオンにより容易に空気酸化されシスチンとなる。酸化型のシスチンと対比し、還元型であることを明らかにするために CySH と記されることもある。

親水性アミノ酸、中性極性側鎖アミノ酸に分類される。含硫アミノ酸。蛋白質構成アミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸糖原性を持つ。

少量ではあるが大部分の蛋白質にみられる。誘導体である N-アセチル-L-システイン (NAC)(N-acetylcysteine)は一般的なサプリメントであり、抗酸化剤グルタチオンへと代謝される。システインの名はシスチンから付けられたが、これはギリシャ語で膀胱を意味する kustis に由来する。シスチンは腎臓結石から最初に単離された。

赤唐辛子ニンニクタマネギブロッコリー芽キャベツオート麦小麦胚芽に含まれる。体内ではメチオニンから作り出される。

生化学[編集]

求核性が非常に高いチオール基を持つため求核性触媒として働く。システインのチオール基の pKa は約 8 だが、その反応性は環境・条件によって調節される。システインを求核剤として含むタンパク質にユビキチンリガーゼがあり、これはユビキチンを結合するタンパク質に移動させる。カスパーゼアポトーシスの際のタンパク質分解に関与する。インテインはシステイン触媒の補助によって作用することがある。これらの働きは、通常システインが酸化されない細胞内環境に限定される。

システインはタンパク質を分子間で架橋させることができる。これにより、細胞外の厳しい環境での分子の安定性が向上し、タンパク質分解に対する抵抗性が与えられる(タンパク質の排泄にはコストがかかるので、その必要性は最小限に抑える方が有利である)。細胞内において、ポリペプチド中のシステイン間のジスルフィド結合はタンパク質の3次構造を維持する。インスリンはシステイン架橋されたペプチドの代表例であり、2つの独立したペプチド鎖が1組のジスルフィド結合によってつながれている。毛髪においては、システインによるジスルフィド結合の配列が巻き毛の度合いを決める。

ジスルフィド結合の生成はタンパク質ジスルフィド異性化酵素によって触媒される。細胞内でデヒドロアスコルビン酸が小胞体へと輸送され、酸化的な環境を作り出す。ここでシステインはシスチンに酸化され、求核剤としての作用を失う。

利用[編集]

主として自然に存在する L-システインの形で、食物医薬品パーソナルケア製品に用いられる。最も主要な用途は香料の製造である。例えばメイラード反応と反応させると肉の香りを持つ成分が生成する。また、パンを焼くときの添加剤としても使われる。少量(約 10 ppm 程度)を加えることによって生地がやわらかくなり、製造にかかる時間が短縮される。

パーソナルケアの分野では、主にアジアでパーマネントウエーブに用いられる。システインは髪のケラチンのジスルフィド結合を切断する。

生体分子の構造・動態を研究する際に行われる部位特異的標識実験の対象としても一般的である。マレイミドはマイケル付加によって選択的にシステインと結合する。電子スピン共鳴での部位特異的スピン標識にも用いられる。

誘導体の N-アセチルシステイン (NAC) (N-acetylcysteine)はしばしば鎮咳剤として用いられる。これは、粘液中のジスルフィド結合を切断して液状化させ、痰を切れやすくするためである。既に述べたようにサプリメントとしても使われる。

タバコ製造業の上位5社の1994年の報告によると、システインは紙巻タバコへの599の添加物のうちの1つである。他の添加物と同様、添加の目的は明らかにされていない。

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にとって、システインは羊毛を作り出すのに必要だが、体内で作り出せない必須アミノ酸なので食草から摂取しなければならない。このため、羊は乾季には羊毛の生産を止める。しかしながら遺伝子組み換えによってシステインを自ら作り出せる羊が開発されている。

生合成[編集]

生体内では、メチオニンの硫黄原子がセリンヒドロキシ基酸素原子と置き換わることにより、シスタチオニンを経由して合成される。

メチオニンがメチオニンアデノシルトランスフェラーゼ (EC 2.5.1.6)、メチルトランスフェラーゼ (EC 2.1.1.-)、アデノシルホモシステイナーゼ (EC 3.3.1.1) によりホモシステイン (homocysteine) となり、これがシスタチオニン-β-シンターゼ (EC 4.2.1.22) によりセリンと結合してシスタチオニン (cystathionine) を経てシスタチオニン-γ-リアーゼ (EC 4.4.1.1) によりシステインとなる。

Cystaine Biosynthesis.svg

出典[編集]

  1. ^ Weast, Robert C., ed. (1981), CRC Handbook of Chemistry and Physics (62nd ed.), Boca Raton, FL: CRC Press, p. C-259, ISBN 0-8493-0462-8 .

関連項目[編集]

外部リンク[編集]