シキミ

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?シキミ

シキミ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: シキミ目 Illiciales
: シキミ科 Illiciaceae
: シキミ属 Illicium
: シキミ I. anisatum
学名
Illicium anisatum L. (1759)
英名
Japanese star anise

シキミ(樒、梻 Illicium anisatum)はシキミ科の常緑高木である。かつてはモクレン科に分類されていた。有毒。仏事に用いるため寺院に植栽される。

地方によりシキビハナノキカエデ科にも別にハナノキがある)、ハナシバなどともいう。 学名にはリンネが命名したIllicium anisatum L.と、シーボルトが命名したI. religiosum Sieb. et Zucc.("religiosum"は「宗教的な」という意味)が存在するが、リンネのものが有効となっている。

目次

[編集] 特徴

常緑樹で、高さは10m程度となる。樹皮は暗い灰褐色になる。は、枝の先端に集まってつき、短い葉柄を持つ楕円形で、深緑色でつやがある。葉の質はやや厚く、何となく波打ったようになることが多い。 は葉の付け根から一つずつ出て春に咲く。花びらは淡黄色で細長く、ややねじれたようになる。果実は扁平で周囲に8本の突起が出ている。上面が裂開し種子が出る。種子は褐色でつやがあり、小さいドングリを押しつぶしたような形をしている。

花や葉、実、さらに根から茎にいたる全てが毒。特に、種子に毒の成分が多い。

日本では本州中部以南に分布し、中国にも分布する。

近縁のトウシキミ Illicium verum は果実を香辛料(スターアニス、八角(はっかく)または大茴香(だいういきょう)という)として用いる。

[編集] 伝承

シキミの語源は、実の形から「敷き実」、あるいは有毒なので「悪しき実」からといわれる。日本特有の香木とされるが、『真俗仏事論』2には供物儀を引いて、「樒の実はもと天竺より来れり。本邦へは鑑真和上の請来なり。その形天竺無熱池の青蓮華に似たり、故に之を取りて仏に供す」とあり、一説に鑑真がもたらしたとも言われる。

古代にはサカキと同様に神事に用いられたといわれるが、その後仏事に用いるようになった。そのため、神式の榊(=サカキ)に対応させる形で梻(木偏に佛、「佛」は仏の旧字体)という国字もある。

浄土真宗では、華瓶(けびょう)という仏具にシキミの枝葉を挿して、本尊前の上卓の上に供える。(小型の仏壇で、上卓が無い場合は、省いても構わないとされる。)また芳香があるため線香抹香の材料に用いられた。一説によれば、毒性のあるこの植物を墓に供えることで、オオカミなどが墓を荒らすのを防いだのではないかという。

また日蓮正宗などでもシキミの枝葉を仏前に供える。これはシキミが常緑樹で特有の香気を持つ日本唯一の香木であることから、常住不滅で清浄無垢である本尊荘厳するに相応しいからとされる。またシキミの実は毒を持っていることから変毒為薬を顕しているという。

[編集] 毒性

植物体全体にアニサチンなどの有毒物質を含み、特に果実に多く、食べれば死亡する可能性がある程度に有毒である。実際、下記のように事故が多いため、シキミの果実は植物としては唯一、劇物(毒物及び劇物取締法を参照)に指定されている

シキミの種子はややシイの実に似ている(なれていれば間違えない程度)ため、誤って食べて死亡した例がある。また、先述のトウシキミの果実(八角)がシキミの果実に非常によく似ているため、シキミの果実を誤って食べ中毒を起こす事故が多い。

また、第二次世界大戦以前はシキミの果実を実際に「日本産スターアニス」として出荷し海外で死亡事故などが発生している。

中毒症状は嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、意識障害等で、最悪は死亡。

[編集] その他の成分

1885年ヨハン・エイクマンによってシキミの果実からシキミ酸 (Shikimic acid) が発見された[1]。この物質は、芳香族アミノ酸の前駆物質であり、タンニンの主要成分である没食子酸の前駆体でもある。

[編集] シキミ属

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[編集] 脚注

[編集] 関連項目