成長ホルモン

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成長ホルモン

成長ホルモン: growth hormone、GH)は脳下垂体前葉GH分泌細胞から分泌されるホルモンである。ヒト成長ホルモンは特に hGH(: human GH)と呼ぶ。

基本的特徴[編集]

主要な成長ホルモンは191個のアミノ酸からなり、分子量は22kDaである。プロラクチンと遺伝子構成・アミノ酸配列が近く、一つの祖先となる遺伝子が重複し、機能が分化したと考えられている。ヒト成長ホルモン遺伝子は17番染色体に位置する。

標的器官に直接働く場合と間接的に働く場合がある。間接的に働く場合、成長ホルモンが肝臓などにはたらきかけ、IGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)を分泌させ、それらが標的器官に働きかける。

生理作用[編集]

成長ホルモンには成長に関する作用と代謝をコントロールする作用がある。

成長に関する作用[編集]

主にIGF-1を介して起こり、標的器官の細胞分裂を盛んにさせる。

  • の伸長 -- 幼児期に骨端の軟骨細胞の分裂・増殖を促し、骨を伸張させる。
  • 筋肉の成長 -- 特定のアミノ酸の取り込みを促し、タンパク質合成を促進する。

代謝に関する作用[編集]

成長ホルモンが直接作用する場合、IGF-1を介す場合の両方がある。

  • 代謝促進 -- 炭水化物、タンパク質、脂質の代謝を促進する。
  • 血糖値上昇 -- 肝臓でのグリコーゲン分解を促し、また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、血糖値を一定に保つ。
  • 恒常性の維持 -- カルシウム濃度などを一定に保ち、体内の恒常性を維持する。
  • 体脂肪動員の促進 -- エネルギー不足の状態の時、脂肪組織から遊離脂肪酸の形で放出させる。

分泌調節[編集]

成長ホルモンはあらゆる因子によって分泌調節を受け、パルス状分泌をする。

視床下部から分泌される成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)の作用を受けてGH産生細胞から分泌される。また視床下部からのソマトスタチンにより分泌が抑制される。

成長ホルモン自身によりネガティブフィードバックで分泌が抑制される。また、IGF-1も下垂体に作用してネガティブフィードバック機構により成長ホルモンの分泌を抑制する。

関連疾患[編集]

  • 分泌不足 -- 成長ホルモンの分泌が小児期に少ないと、成長ホルモン分泌不全性低身長症(以前下垂体性小人症と呼ばれていたが、差別的であるとして使用されなくなった)をおこす。
  • 分泌過剰 -- 成長ホルモンの分泌が亢進することにより、骨の成長が完成前であると巨人症をひきおこし、完成後であると末端肥大症をひきおこす。

出典・脚注[編集]


関連項目[編集]