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『アズカバンの囚人』は、発行後3日間でイギリス国内で68,000部以上を売り上げ、当時最も早く売れたイギリスの書籍となった<ref name="Telegraph">{{cite news | url=https://www.telegraph.co.uk/culture/donotmigrate/3593769/Longing-for-the-clock-to-strike-12.html | title=Longing for the clock to strike 12 | work=The Telegraph | date=2 May 2003 | access-date=20 July 2013 | location=London | url-status=live | archive-url=https://web.archive.org/web/20160229061857/http://www.telegraph.co.uk/culture/donotmigrate/3593769/Longing-for-the-clock-to-strike-12.html | archive-date=29 February 2016 | df=dmy-all }}</ref>。[[ガーディアン]]によると、2012年までの累計販売部数は3,377,906部と言われている<ref name="Guardian">{{cite news | url=https://www.theguardian.com/news/datablog/2012/aug/09/best-selling-books-all-time-fifty-shades-grey-compare | title=The top 100 bestselling books of all time: how does Fifty Shades of Grey compare? | work=The Guardian | date=9 August 2012 | access-date=19 July 2013 | location=London | first=Simon | last=Rogers | url-status=live | archive-url=http://archive.wikiwix.com/cache/20170407222104/https://www.theguardian.com/news/datablog/2012/aug/09/best-selling-books-all-time-fifty-shades-grey-compare | archive-date=7 April 2017 | df=dmy-all }}</ref>。 |
『アズカバンの囚人』は、発行後3日間でイギリス国内で68,000部以上を売り上げ、当時最も早く売れたイギリスの書籍となった<ref name="Telegraph">{{cite news | url=https://www.telegraph.co.uk/culture/donotmigrate/3593769/Longing-for-the-clock-to-strike-12.html | title=Longing for the clock to strike 12 | work=The Telegraph | date=2 May 2003 | access-date=20 July 2013 | location=London | url-status=live | archive-url=https://web.archive.org/web/20160229061857/http://www.telegraph.co.uk/culture/donotmigrate/3593769/Longing-for-the-clock-to-strike-12.html | archive-date=29 February 2016 | df=dmy-all }}</ref>。[[ガーディアン]]によると、2012年までの累計販売部数は3,377,906部と言われている<ref name="Guardian">{{cite news | url=https://www.theguardian.com/news/datablog/2012/aug/09/best-selling-books-all-time-fifty-shades-grey-compare | title=The top 100 bestselling books of all time: how does Fifty Shades of Grey compare? | work=The Guardian | date=9 August 2012 | access-date=19 July 2013 | location=London | first=Simon | last=Rogers | url-status=live | archive-url=http://archive.wikiwix.com/cache/20170407222104/https://www.theguardian.com/news/datablog/2012/aug/09/best-selling-books-all-time-fifty-shades-grey-compare | archive-date=7 April 2017 | df=dmy-all }}</ref>。 |
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『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は、イギリスでは1999年7月8日に<ref name=Tomfolio>{{cite web | title = Publishers Info: The Phenomenon of Harry Potter | publisher = Tomfolio.com | url = http://www.tomfolio.com/PublisherInfo/HarryPotter.asp | first = Lester | last = Elisco | url-status = live | archive-url = https://web.archive.org/web/20090412015849/http://www.tomfolio.com/PublisherInfo/HarryPotter.asp | archive-date = 12 April 2009 | df = dmy-all }}</ref>、アメリカでは9月8日に<ref name = Tomfolio />ハードカバー版で発売された。イギリスのペーパーバック版は2000年4月1日に<ref>{{cite book|title=Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (Book 3) paperback|year=1999|publisher=Amazon.com|isbn=0747546290|url=https://archive.org/details/isbn_9780747546290|url-access=registration}}</ref>、アメリカのペーパーバック版は2001年10月1日に発売された<ref>{{cite web|url=http://www.bargainbookstores.com/Harry-Potter-and-the-Prisoner-of/M/0439136369.htm|title=Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (Book 3) Paperback|publisher=BargainBookStores.com|access-date=3 March 2011|url-status=dead|archive-url=https://web.archive.org/web/20110720081840/http://www.bargainbookstores.com/Harry-Potter-and-the-Prisoner-of/M/0439136369.htm|archive-date=20 July 2011|df=dmy-all}}</ref>。 |
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さらにブルームズベリー社は、2004年7月10日にペーパーバックで<ref>{{cite book|title=Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (Book 3): Adult Edition (Paperback)|isbn=0747574499|last1=Rowling|first1=J. K.|year=2004}}</ref>、また2004年10月にハードカバーで<ref>{{cite web|url=http://www.bloomsbury.com/Harry-Potter-and-the-Prisoner-of-Azkaban/J.K.-Rowling/books/details/9780747573623|title=Harry Potter and the Prisoner of Azkaban: Adult Edition|publisher=Bloomsbury.com|access-date=3 March 2011|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20110629014913/http://www.bloomsbury.com/Harry-Potter-and-the-Prisoner-of-Azkaban/J.K.-Rowling/books/details/9780747573623|archive-date=29 June 2011|df=dmy-all}}</ref>、最初のものとは異なる表紙デザインで成人版を発売した。1999年7月8日には、緑色の縁取りと署名の入ったハードカバーの特装版(Special Edition)が発売された<ref name=Tomfolio/>。2004年5月、ブルームズベリー社は青色と紫色の縁取りをした記念版(Celebratory Edition)を発売した<ref>{{cite web|url=http://www.bloomsbury.com/Harry-Potter-and-the-Prisoner-of-Azkaban/J.K.-Rowling/books/details/9780747573760|title=Harry Potter and the Prisoner of Azkaban Celebratory edition|publisher=Bloomsbury|access-date=3 March 2011|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20110629015129/http://www.bloomsbury.com/Harry-Potter-and-the-Prisoner-of-Azkaban/J.K.-Rowling/books/details/9780747573760|archive-date=29 June 2011|df=dmy-all}}</ref>。2010年11月1日には、クレア・メリンスキーがイラストを担当した10周年記念署名版(Signature edition)、2013年7月にはアンドリュー・デビッドソンがイラストを担当した新しい表紙の成人版が発売され、これらの版はいずれもWebb & Webb Design Limitedがデザインを担当した<ref>{{cite book|title=Harry Potter and the Prisoner of Azkaban Signature edition|isbn=978-1408810569|last1=Rowling|first1=J. K.|year=2010}}</ref>。 |
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2013年8月27日から、スカラスティック社は米国版「ハリー・ポッター」のシリーズ15周年を記念して、新しい表紙のペーパーバック版を発売した<ref>{{cite press release|url=http://www.prnewswire.com/news-releases/scholastic-and-award-winning-illustrator-kazu-kibuishi-unveil-new-cover-for-harry-potter-and-the-deathly-hallows-in-celebration-of-harry-potter-15th-anniversary-217771841.html|title=Scholastic and Award-Winning Illustrator Kazu Kibuishi Unveil New Cover for Harry Potter and the Deathly Hallows in Celebration of Harry Potter 15th Anniversary|publisher=Scholastic|date=31 July 2013|access-date=31 July 2013|url-status=live|archive-url=https://web.archive.org/web/20130803073735/http://www.prnewswire.com/news-releases/scholastic-and-award-winning-illustrator-kazu-kibuishi-unveil-new-cover-for-harry-potter-and-the-deathly-hallows-in-celebration-of-harry-potter-15th-anniversary-217771841.html|archive-date=3 August 2013|df=dmy-all}}</ref>。表紙は、作家でありイラストレーターでもある{{仮リンク|カズ・キブイシ|en|Kazu Kibuishi}}がデザインした<ref name="USA Today">{{cite news | url=https://www.usatoday.com/story/life/books/2013/06/28/book-buzz/2472085/ | title=Book Buzz: 'Harry Potter' gets a cover makeover | work=USA Today | date=28 June 2013 | access-date=20 July 2013 | first1=Yohana | last1=Desta | url-status=live | archive-url=https://web.archive.org/web/20130709113321/http://www.usatoday.com/story/life/books/2013/06/28/book-buzz/2472085/ | archive-date=9 July 2013 | df=dmy-all }}</ref>。 |
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<!-- (「要出典」扱いのため以下は翻訳保留)An illustrated version of ''Harry Potter and the Prisoner of Azkaban'' was released on 3 October 2017, and was illustrated by [[Jim Kay]] who illustrates the previous two instalments. This includes over 115 new illustrations and will be followed by Illustrated editions of the following 4 novels in the future.{{citation needed|date=September 2020}} --> |
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== 映画 == |
2021年11月30日 (火) 23:39時点における版
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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 Harry Potter and the Prisoner of Azkaban | ||
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著者 | J・K・ローリング | |
訳者 | 松岡佑子 | |
イラスト |
クリフ・ライト ダン・シュレシンジャー | |
発行日 |
1999年7月8日 2001年7月18日 | |
発行元 |
Bloomsbury Publishing 静山社 | |
ジャンル | ファンタジー | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 317 | |
前作 | ハリー・ポッターと秘密の部屋 | |
次作 | ハリー・ポッターと炎のゴブレット | |
コード |
ISBN 0-7475-4215-5 ISBN 4-915512-45-2 | |
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『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(ハリー・ポッターとアズカバンのしゅうじん、原題: Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)は、J・K・ローリングが1999年に発表した、小説『ハリー・ポッター』シリーズの第3巻である。
2004年に映画化されている。
概要
ホグワーツ魔法魔術学校の3年生となったハリー・ポッターが、魔法牢獄アズカバンから脱走した囚人の騒動を通じて、両親の死にまつわる真相を知らされる1年間を描く。
あらすじ
夏休み、ダーズリー家に意地悪な親戚のマージョリー・ダーズリー(マージ)がやって来る。ホグワーツ魔法魔術学校から帰省していたハリーは、マージの嫌がらせに耐え切れなくなり、マージに魔法を使ってダーズリー家を飛び出す。その直後、ハリーは暗闇の中に大きな黒い犬を目撃する。
どこにも行くあてのないハリーは、偶然現れた「夜の騎士バス」に乗り込み、ダイアゴン横丁へ向かう。そしてパブ「漏れ鍋」に到着したハリーのまえに、魔法大臣コーネリウス・ファッジが姿を現す。未成年の魔法使いは、休暇中の魔法の使用を禁じられているため、退学を覚悟したハリーだったが、ファッジはその件には触れず、新学期が始まるまで「漏れ鍋」に泊まること、外出はダイアゴン横丁のみにすることをハリーに約束させる。
夏休み最終日、ハリーはロンをはじめとしたウィーズリー一家やハーマイオニー・グレンジャーと再会する。その夜、「漏れ鍋」でウィーズリー夫妻の会話を聞いたハリーは、アズカバンを脱獄したシリウス・ブラックが、自分の命を狙っていることを知る。シリウスはヴォルデモートの部下で、ハリーの両親を裏切ってその居場所を主君に教え、ふたりを死に追いやったとされる人物である。
新学期が始まり、「闇の魔術に対する防衛術」教授にリーマス・ルーピン、「魔法生物飼育学」教授にルビウス・ハグリッドが就任する。ハグリッドは誇り高いヒッポグリフのバックビークに触れさせる授業を行なうが、ドラコ・マルフォイがバックビークを侮辱して傷を負わされる。一方、ルーピンの授業は生徒のあいだで人気となる。またハリーは新しく「占い学」を受講するが、授業を担当するシビル・トレローニーに不吉な予言をたびたびされ、辟易する。
クィディッチのシーカーとして3シーズン目を迎えたハリーは、今年度で卒業するキャプテン、オリバー・ウッドのために今年こそ優勝すると誓う。しかし初戦の対ハッフルパフ戦で、ハリーは吸魂鬼の影響で箒(ほうき)から落ち、愛用していたニンバス2000も壊れる。そこでハリーは吸魂鬼と戦うため、ルーピンから「守護霊の呪文」を教わる。のちに謎の人物からハリーに贈られた最高級のクィディッチ用箒、ファイアボルトの力もあり、グリフィンドールは残る2試合に勝利し、優勝を果たす。
生徒たちは3年生になるとホグズミード村へ行くことが許されるが、保護者にあたるダーズリー夫妻から許可証をもらいそこねたハリーは村へ行けなかった。そこへロンの兄であるフレッドとジョージが現れ、ハリーに「忍びの地図」を贈る。この地図はホグワーツ城の詳細な地図で、村へ通じる秘密の抜け道も記されていた。
「忍びの地図」を利用して村を訪れたハリーは、ロンやハーマイオニーとともにパブ「三本の箒」へ入る。そこで、シリウスと自分の父ジェームズが親友であること、シリウスがハリーの名付け親であること、そしてシリウスが両親を裏切って死に追いやったという話を聞き、怒りを抱く。その後、ふたたび村へ外出したハリーは、セブルス・スネイプに無断外出を疑われて詰問されるが、ルーピンの助けもあって処罰を免れる。しかし「忍びの地図」はルーピンに没収される。
一方、バックビークがドラコを傷つけた一件に関する裁判が行なわれ、バックビークの処刑が決定される。刑執行の直前、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人はひそかにハグリッドの小屋を訪ねるが、そこにはハーマイオニーの飼い猫クルックシャンクスに食べられたと思われていた、ロンの飼いネズミであるスキャバーズがいた。
3人はハグリッドと一緒にいようとするが、ハグリッドはそれを拒み、処刑人たちが来るまえに3人を小屋から出す。3人はスキャバーズを連れて城へ帰ろうとするが、そこに突然黒い犬が現れ、スキャバーズとロンが連れ去られる。ハリーとハーマイオニーはロンを追い、叫びの屋敷に到着するが、そこで黒い犬の正体がシリウスであることを知る。
ハリーたちはシリウスと乱闘になるが、「忍びの地図」を見て3人を追って来たルーピンの登場により中断される。この後、ルーピンやシリウスの話を聞かされたハリーたちは、ハリーの両親の居場所をヴォルデモートに教えた裏切り者はシリウスではなくピーター・ペティグリューであること、そしてスキャバーズはペティグリューが変身した姿であり、シリウスに殺されたことにして今まで生き長らえてきたことを知る。
このあと、ペティグリューを真犯人として魔法省に引き渡そうということになるが、この日が満月だったため、狼人間であったルーピンが狼に変身し、その混乱に乗じてペティグリューは逃亡する。シリウスは犬に変身してルーピンを抑え込もうとするが、今度は無数の吸魂鬼が現れ、襲いかかる。ハリーは「守護霊の呪文」を使うが歯が立たず、倒れる。しかし力尽きる直前、別の方向から動物が現れて一度にたくさんの吸魂鬼を追い払う。ハリーはその動物を迎える人影を見て父だと思うが、直後に気を失ったため真相は分からなくなる。
ハリーとハーマイオニーが目を覚ましたとき、シリウスは監禁され、死刑より酷い「吸魂鬼の接吻」を施される危機にあった。校長のアルバス・ダンブルドアからその事実を聞かされたふたりは、逆転時計を使って時間を遡り、まずバックビークを救出し、そしてシリウスをバックビークに乗せて逃亡させる。その過程でハリーは、シリウスたちに襲いかかった吸魂鬼に守護霊を出して追い払う。ハリーが見た「父親のような人影」とはハリー自身だった。
ペティグリューを逃がしたためシリウスの無実を証明できず、加えてルーピンも狼人間であることをスネイプに暴露されて辞職し、暗い気持ちのハリーだったが、ホグワーツ特急でシリウスからの手紙を受け取り、ファイアボルトを贈ったのはシリウスであることを知る。そしてペットがいなくなったロンには、シリウスから新たなふくろうが贈られる。
出版と評判
発売までの経緯
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は、「ハリー・ポッター」シリーズの第3作である。第1作の『ハリー・ポッターと賢者の石』は1997年6月26日にブルームズベリー社から出版され、第2作の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』は1998年7月2日に出版された[1]。ローリングは『秘密の部屋』を書き終えた翌日に『アズカバンの囚人』を書き始めた[2]。
ローリングがこの本で気に入っている点は、リーマス・ルーピンを登場させたことである[3]、さらにローリングは2004年に『アズカバンの囚人』について次のように述べている。「私がこれまでに経験した中で最高の執筆活動でした。(中略)3作目を書いたときは、私はとても快適でした。当面の経済的な心配は終わっていましたし、マスコミの注目もまだ高くはありませんでした。」[4]。
批評家の評価
グレゴリー・マグワイアはニューヨーク・タイムズに『アズカバンの囚人』の批評を書いた。その中で彼は「これまでのところ、話の筋に関しては目新しいことは何もしていないが、見事に成功している。(中略)これまでのところ、とても良い」と述べている[5]。ニューヨーク・タイムズの批評欄では、「『アズカバンの囚人』はこれまでで最高の『ハリー・ポッター』作品かもしれない」と言われている[6]。KidsReadsの批評者は、「この歯切れよく進むファンタジーは、J.K.ローリングが執筆中の4冊の続編への期待を膨らませてくれるだろう。ハリーの3年目は魅力的だ。お見逃しなく。」と述べている[7]。カーカス・レビューは星付きの批評をつけていないが、「ハラハラさせられるヤマ場(中略)主人公たちと物語の続きがとてもスマートに描かれているので(中略)この本はページ数よりも短く感じられる。ファンの方は予定を空けてほしい。そうでないなら邪魔をしないでほしい」と述べている[8]。またMartha V. Parravanoも『ホーン・ブック・マガジン』で「なかなかの良書」と好意的な評価をしている[9]。さらに、パブリッシャーズ・ウィークリーの批評では、「ローリングの才覚は決して衰えない。魔法の世界の仕組みを構築する際も(中略)ちょっとしたジョークを飛ばす際にも(中略)。ポッターの魔法は健在だ。」と書かれている[10]。
しかし、ホイットブレッド賞の『アズカバンの囚人』に対する審査員の一人であったアンソニー・ホールデンは、登場人物が「すべて両極端」であり、また「話の筋はありきたり、サスペンスはわずか、すべてのページが感傷的すぎる」と述べ、この本に否定的だった[11]。
受賞歴
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は、1999年ブックリスト・エディターズ・チョイス賞[12]、1999年ブラム・ストーカー賞(Best Work for Young Readers)[13]、1999年FCBG児童書賞[14]、1999年ホイットブレッド賞(児童書部門)[15]、2000年ローカス賞(ファンタジイ長編部門)[16]など、数々の賞を受賞した。また、2000年ヒューゴー賞 長編小説部門にもノミネート(シリーズ初)されたが、『最果ての銀河船団』に敗れた[17]。さらに『アズカバンの囚人』は、2004年Indian Paintbrush Book Award[18]と2004年Colorado Blue Spruce Young Adult Book Award[19]を受賞した。その上、2000年にはアメリカ図書館協会の注目すべき児童書[20]、およびヤングアダルト向けのベストブック[21]の一つに選ばれている。シリーズの前2作と同様に、『アズカバンの囚人』は、9~11歳の子どもを対象としたネスレ・スマーティーズ賞の金賞を受賞し、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストのトップになった[22]。どちらもシリーズの中で最後のものとなった[23]。ただし後者については、2000年7月に『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』が発売される直前に、元のリストに空きを作るために児童書部門が作られた[24]。2003年、この小説はBBCの調査「ザ・ビッグ・リード」で24位に選ばれた[25]。
販売
『アズカバンの囚人』は、発行後3日間でイギリス国内で68,000部以上を売り上げ、当時最も早く売れたイギリスの書籍となった[26]。ガーディアンによると、2012年までの累計販売部数は3,377,906部と言われている[27]。
改版
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は、イギリスでは1999年7月8日に[28]、アメリカでは9月8日に[28]ハードカバー版で発売された。イギリスのペーパーバック版は2000年4月1日に[29]、アメリカのペーパーバック版は2001年10月1日に発売された[30]。
さらにブルームズベリー社は、2004年7月10日にペーパーバックで[31]、また2004年10月にハードカバーで[32]、最初のものとは異なる表紙デザインで成人版を発売した。1999年7月8日には、緑色の縁取りと署名の入ったハードカバーの特装版(Special Edition)が発売された[28]。2004年5月、ブルームズベリー社は青色と紫色の縁取りをした記念版(Celebratory Edition)を発売した[33]。2010年11月1日には、クレア・メリンスキーがイラストを担当した10周年記念署名版(Signature edition)、2013年7月にはアンドリュー・デビッドソンがイラストを担当した新しい表紙の成人版が発売され、これらの版はいずれもWebb & Webb Design Limitedがデザインを担当した[34]。
2013年8月27日から、スカラスティック社は米国版「ハリー・ポッター」のシリーズ15周年を記念して、新しい表紙のペーパーバック版を発売した[35]。表紙は、作家でありイラストレーターでもあるカズ・キブイシがデザインした[36]。
映画
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ハリー・ポッターと アズカバンの囚人 | |
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Harry Potter And The Prisoner Of Azkaban | |
監督 | アルフォンソ・キュアロン |
脚本 | スティーヴ・クローヴス |
原作 | J・K・ローリング |
製作 |
デヴィッド・ハイマン クリス・コロンバス マーク・ラドクリフ |
製作総指揮 |
マイケル・バーナサン カラム・マクドゥガル ターニャ・セガーチェン |
出演者 |
ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン ジュリー・クリスティ ロビー・コルトレーン マイケル・ガンボン リチャード・グリフィス ゲイリー・オールドマン アラン・リックマン フィオナ・ショウ マギー・スミス ティモシー・スポール デヴィッド・シューリス エマ・トンプソン デイビッド・ブラッドリー トム・フェルトン パム・フェリス ドーン・フレンチ ロバート・ハーディー ジュリー・ウォルターズ マーク・ウィリアムズ |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
撮影 | マイケル・セレシン |
編集 | スティーヴン・ワイズバーグ |
製作会社 | |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
2004年5月31日 2004年6月4日 2004年6月26日 |
上映時間 | 142分 |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $130,000,000[37] |
興行収入 |
$795,634,069[37] 135億円[38] |
前作 | ハリー・ポッターと秘密の部屋 |
次作 |
ハリー・ポッターと 炎のゴブレット |
前2作を監督したクリス・コロンバスの降板により新たな監督候補として、1作目の候補にも挙がっていたスティーヴン・スピルバーグ、ホラー・ファンタジー映画に実績のあるメキシコ人監督ギレルモ・デル・トロらの名が挙がるが[要出典]、最終的にメキシコ人監督アルフォンソ・キュアロンが監督を務めた。前作よりシャープで大人向けな演出になったと評価されたが[要出典]、キュアロンは人気監督となったため、本作限りで降板する。なお、キュアロンは後にアカデミー監督賞を2度受賞しており、シリーズで唯一のオスカー受賞経験を持つ監督である。
またキュアロンは完成版にも登場する「干し首」など多くのオリジナルアイディアを提案したが、その大部分を原作者ローリングによって却下されたと語っている[要出典]。
アカデミー視覚効果賞にノミネートされた。本作ではステディカムによる撮影が多く行なわれている。なお本作以降、音声仕様がドルビーデジタルサラウンドEXではなく通常のドルビーデジタルになった。
2002年にリチャード・ハリスが急死したことにより、クリストファー・リー[39]、イアン・マッケラン[40]、ピーター・オトゥール[41]、リチャード・アッテンボロー[42]ら多数の英国人俳優がアルバス・ダンブルドア役の代役候補に挙がり、最終的に本作以降マイケル・ガンボンが演じることとなった。
また本作はシリーズ中、ジョン・ウィリアムズがスコアを担当した最後の作品となったが、ウィリアムズの作曲によるメインテーマはその後も別の作曲家の手でアレンジが加えられて使用されている。
スタッフ
- プロデューサー:デイビッド・ヘイマン、クリス・コロンバス、マーク・ラドクリフ
- 監督:アルフォンソ・キュアロン
- 脚本:スティーブ・クローブス
- 視覚効果:ILM、ムービング・ピクチャー・カンパニー、フレームストアCFC、シネサイト、ダブルネガティブ
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
キャスト
- その他声の出演:田中英樹、鶴博幸、高城元気
- 日本語版制作スタッフ
- 演出:木村絵理子、翻訳:岸田恵子、翻訳監修:松岡佑子、プロデューサー:尾谷アイコ/小出春美(ワーナー・ホーム・ビデオ)
- 編集:オムニバス・ジャパン、録音:高久孝雄/田中和成/金谷和美/池田裕貴
- 日本語版制作:ワーナー・ホーム・ビデオ/東北新社
制作
進展
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の映画化と同時に、ハリー・ポッター映画の制作は18ヶ月周期に切り替えられた。プロデューサーのデヴィッド・ハイマンは、「それぞれ(の作品)に必要な時間を与えるため」と説明した[43]。『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)と『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002年)の監督であるクリス・コロンバスは、「もう2年半くらい1週間子供たちの夕食を見ていない」[44]ことを理由に、3作目の舵取りに戻らないことを決めた。それでも、コロンバスはハイマンとともにプロデューサーとして残った[45]。コロンバスは、そのような地位は彼により良いワーク・ライフ・バランスを提供し、彼が常に撮影現場にいる必要がなく、子供たちと過ごすことができると感じたためである[46]。ギレルモ・デル・トロは監督を打診されたが、彼はよりディケンズ風の物語を思い描いており、前2作があまりにも「明るく幸せで光に満ちている」と感じていたので、監督就任を見合わせた[47]。マーク・フォースターは、『ネバーランド』(2004年)を製作しており、子役の監督を繰り返したくなかったため、この作品を断った[48]。M・ナイト・シャマランが監督になることも検討されたが、自身が監督の『ヴィレッジ』(2004年)を制作中だったため監督を辞退した[49]。その後ワーナー・ブラザースは、カーリー・クーリ、ケネス・ブラナー(『秘密の部屋』のギルデロイ・ロックハート役)、そして2002年7月に最終的に選ばれるアルフォンソ・キュアロンから成るコロンバスの後任の3名の最終候補者名簿を作成した[50]。キュアロンは当初、原作を読んだことも映画を見たこともなかったため、監督になることに気がすすまなかった。デル・トロは彼の傲慢さを非難し、原作を読むように言った[51]。シリーズを読んだ後、彼は考えを改め、ストーリーにすぐに共感したため[45]、監督になる契約に署名した[52]。
キュアロンの起用は、彼の映画『天国の口、終りの楽園。』(2001年)が大好きで、『リトル・プリンセス』(1995年)の脚色に感銘を受けたJ・K・ローリングを喜ばせた[53]。ハイマンは、「雰囲気もスタイルも、(キュアロンは)完璧に一致する」と考えた[43]。中心となる3人を演じる俳優たちとの最初の練習として、キュアロン監督はダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンに、それぞれの役についての、生まれてから魔法の世界を発見に至るまでの感情的な経験を含めた、一人称で書かれた自伝的作文を書くことを課した。キュアロンは「エマの作文は10ページもありました。ダニエルのものはちょうど2ページでした。ルパートは作文を提出しませんでした。なぜ提出しなかったのかと尋ねたところ、彼は『僕はロンだから。ロンはしないだろう』と言いました。だから私は言いました。『OK、君は自分の性格を理解しているな。』と。あれは私たちが『アズカバンの囚人』で行った演出作業で最も重要な要素でした。彼らが作文に込めたものすべてがその後の作業で彼らが持ち続ける柱になることが、明白だったからです。」と思い起こした[54][55]。
衣装デザインおよび美術デザイン
キュアロンは、登場人物の衣装やセットで、より大人向けの雰囲気を確立したいと考えていた。彼は「私が本当にやりたかったのは、ホグワーツをもっと現代的で、もう少し写実的なものにすることでした。」 と説明している。彼はイギリスの学校を研究し、「ティーンエイジャーそれぞれの個性が、制服の着方に反映されていた。だから映画に出てくる子供たちには、両親がいないときと同じように制服を着てもらいました。」と述べた[56]。コロンバスはこの衣装の変化を「本の中での彼ら自身の個性の成長を反映したもの」と考え、彼らがティーンエイジャーになっていくことを考慮した[56]。最初の2作品では登場人物は常に制服を着ていたが、『アズカバンの囚人』では登場人物はしばしば現代的なストリートウェアを着ている[57]。この変更について相談を受けたローリングは、「私にとってマントなどは学業の時間には当然ですが、個人的な時間には彼らは自分の服を着ているでしょう」と述べた[57]。衣装デザイナーとして本作に参加したジャニー・ティマイムは、その後のシリーズ全作品にも携わっている[58]。
リーマス・ルーピンに対して、ティマイムは「イギリスの典型的なツイード」を選んだ。キュアロンが「週末にパーティーで大騒ぎする叔父さん」のような人にしたいと言っていたため、ティマイムはルーピンのガウンを「他の教師のローブよりも手入れされていない、使い古されたもの」にした[56]。シビル・トレローニーに対しては、エマ・トンプソンが衣装の草案を作り、ティマイムとキュアロンに送った。トンプソンはこの人物を「長い間、鏡を見ていない人」と想像していた。トレローニーの近視を強調するために、ティマイムは目のような柄の反射する生地や、拡大鏡のついた特大の眼鏡を使用した[56]。キュアロンは、アルバス・ダンブルドアを「年老いたヒッピーのようだが、とても上品で気品のある」ように見せたかった。ティマイムは、リチャード・ハリスが演じたダンブルドアのためにデザインされた「重く威厳のある」衣装とは対照的に、登場人物にエネルギーを与える「ずっと軽く見える」ものだと考え、歩くときに後ろに浮かぶ絞り染めの絹を使った[56]。
キュアロンの主な関心事は、ホグワーツがより広い領域を有し、現実世界に根ざしたものになることだった[59]。第1作のために設計されたホグワーツの外観の縮尺模型は、『アズカバンの囚人』のために約40%拡大された。プロダクション・デザイナーのスチュアート・クレイグとアート・ディレクターのゲイリー・トムキンズは、時計台や中庭などの建造物を追加し[60]、病院棟も再設計して作り直した[59]。その他にこの映画のために建てられたセットには、ホグズミード村や三本の箒のパブが含まれる[56]。
実在の場所を使うことで、ハグリッドの小屋の外観が大きく変わった。『アズカバンの囚人』では、セット周辺の風景が完全な平地から丘の脇へと変わった[61]。小屋は2倍の大きさになり、裏には独立した寝室が作られ、大きなカボチャの畑と煙突が追加された[61][62]。クレイグは、特に作るのが難しかったセットとして「叫びの屋敷」を挙げた。それは、特殊効果部門の協力で油圧式の大きな台の上に建てられ、まるで生きているように見えるように、「絶えず風にさらされているようにギシギシときしんで動く」ものだった[56]。
一部のセットは、以前の作品から再利用されたり複数の場所で使われたりした。「闇の魔術に対する防衛術」と「占い学」の教室は、同じセットで撮影された[56]。「ハニーデュークス」のセットは、『秘密の部屋』で使われたフローリシュ・アンド・ブロッツ書店のセットを作り直したもので、また同様にこれは第1作目のオリバンダー杖店のセットから作り直したものであった[63]。
撮影
主要撮影は2003年2月24日にリーブスデン・スタジオで開始し[64]、2003年11月下旬に終了した[65]。
前2作では多くの撮影がスタジオで行われたが、第3作では初めて実在の場所を大々的に使った。スコットランドのグレンコーにあるクラチェイグ・インの近くに本作の3つのセットが作られた[66]。ハリーがバックビークに乗ってホグワーツの湖を越える場面は、サリー州のバージニア・ウォーター湖で撮影された[67]。「黒い湖」は、スコットランドのハイランドにあるシエイ湖、エイルト湖、モラー湖からも撮影された[68]。ちなみに、『秘密の部屋』にも登場したグレンフィナン高架橋鉄道は、シエイ湖の反対側にあり、ディメンター(吸魂鬼)が列車に乗り込んだ場面の撮影に使われた[62]。「夜の騎士バス」の場面では、車の間を縫って走る小さな部分が、北ロンドンのパルマーズ・グリーンで撮影された[69]。また一部は、ロンドンのバラ・マーケットとランベス橋周辺でも撮影された[70]。
撮影監督のマイケル・セレシンは、前2作に比べて話ががかなり暗いと考えたため、「影を増やした物悲しい」照明を採用した。また、物語の中でホグワーツを際立たせるために様々な広角レンズを使い、クローズアップはわずかにとどめた。キュアロンは、「ボディランゲージがとても面白いので、遠くから子供たちを見守る方がいい」と説明している[56]。
ローリングは、キュアロンが原作の精神に忠実であることを条件に、原作から細かな変更を加えることを許した[52]。ローリングはホグワーツの敷地内に日時計を置くことは認めたが、当時未発表だった6作目で重要な役割を果たすことになる墓地を設置することは認めなかった[52]。 ローリングはこの映画のいくつかの場面を見たときに、最後の2冊の本の出来事に不注意に触れていたために「鳥肌が立ちました」、「この映画を見返したとき、あれはヒントとしてわざと入れられたものと思われるだろうと思いました」と述べた[53]。撮影終了後、キュアロンは「私の人生で最も甘い2年間でした」と語り、続編を監督することに興味を示した[52]。
「夜の騎士バス」の場面は、数週間かけてロンドン市内のさまざまな場所で撮影された。バスが100マイル毎時 (161 km/h)で動いているような印象を与えるため、スタント・コーディネーターのグレッグ・パウエルは「私たちはバスを30マイル毎時 [48 km/h]くらいで走らせ、他の車は8 [13]くらいでしか走っていませんでした。スタント・ドライバーたちとの計画は数週間かかり、通りで見かける人々もバスを速く見せるために信じられないくらいゆっくり歩くスタントマンとスタントウーマンです。」と説明している"[56]。
特殊効果・視覚効果
インダストリアル・ライト&マジック (ILM) とフレームストアが本作の主要な視覚効果を担当し、ムービング・ピクチャー・カンパニー、シネサイトおよびダブル・ネガティブが追加のVFX素材を制作した[56]。
キュアロンは当初、コンピュータ・グラフィックスから操り人形に変えたいと考えていた。彼は人形遣いの名手バジル・ツイストを雇い、ディメンターの動きを考え出すために水中人形を使って試してみた[43][56]。このテストはスローモーションで撮影されたが、最終的にはこの方法は実用的ではなかった。この水中テスト映像は、視覚効果チームに独創的な方向性を与え、キュアロンが求めていた漠然とした現世と異なる性質を加味した。ディメンターの制作には、視覚効果スーパーバイザーのティム・バークとロジャー・ガイエット、インダストリアル・ライト&マジックの視覚効果チーム、そしてティマイムが協力した[56]。
キュアロンは、バックビークの制作の難しさについて、その骨格のデザインから始めて数ヶ月間の研究と準備を要したと説明した。「バックビークの骨が実際にどのように動くかという生理学を解決したら、私たちは彼の性格、特に空を飛んでいるときの威厳のある優雅さと、地面に戻ったときの不器用でガツガツした動物とが入り混じったものを表現しなければなりませんでした。」とキュアロンは言った。クリーチャー・エフェクト・スーパーバイザーのニック・ダッドマンは、この作品のために実際にヒッポグリフを何体か制作し、バークとガイエットはCG版の制作を監督した。ガイエットは、羽の複雑な動きを「これまで行われたことのない」成果として挙げている[56]。
マージおばさんが風船のように膨らむ場面は実際に膨らませる方法で実現した。マージおばさんを演じたパム・フェリスは、「私は色々な人工装具を身につけて、それぞれ違う速さで膨らませて、一番大きいときには4.5フィート位の幅になった。」と語っている。50ポンド (23 kg)の衣装のため、フェリスは歩くことも食べることもできなかった。この場面のため、サイズの異なる38着のツイードの衣装一式が使用された[56]。
シネサイトは、本作に登場する1分を超えるタイム・トラベルのショット[注 1]を担当した。主な動きはブルー・スクリーンを背景にステディカムで撮影され、4分間の背景映像が別撮りされた。その背景をスピードアップして、ブルー・スクリーンで撮影された動きの後ろに合成された。またカメラの向きに合わせて、2枚の背景映像がタイル状につなぎ合わせられた[60]。
音楽
キュアロンが『アズカバンの囚人』を監督することが発表されたとき、当初は次作の音楽を担当し彼に協力的な作曲家であるパトリック・ドイルが本作の音楽を担当するという憶測が有った。しかし監督はジョン・ウィリアムズを引き続き起用し、本作はシリーズで彼が音楽を担当した3作目にして最後のものとなった。このサウンドトラックは、キュアロンが楽譜に異なる取り組みを求めたため、前2作とは大きく異なるものとなった[71]。新しいテーマの一つである「Double Trouble」(ダブル・トラブル)は、映画の序盤の場面でホグワーツの大広間で歌う児童合唱団のために制作中に作成された[72]。その歌詞は、ウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』から引用された[72]。このサウンドトラック・アルバムは、2004年5月25日にアトランティック・レコードから発売された[71]。
ソフト化
日本ではワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントよりブルーレイ、DVDが発売。
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 特別版(DVD2枚組、2004年12月17日発売)
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 1枚組版(DVD1枚組)
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 ブルーレイ(1枚組)
- 【数量限定生産】ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 アルティメット・コレクターズ・エディション(3枚組、ブルーレイとDVDでリリース、2011年4月21日発売)
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 コレクターズ・エディション(Blu-ray版、DVD版共に3枚組、2016年3月23日発売)
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 〈4K ULTRA HD&ブルーレイセット〉(3枚組、2017年12月20日発売)
テレビ放送
回数 | テレビ局 | 番組名 | 放送日 | 放送時間 | 視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
初回 | フジテレビ | 土曜プレミアム | 2007年3月31日 | 21:00 - 23:54 | 18.1% | 地上波初放送 44分拡大 |
2回目 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 2009年7月12日 | 21:00 - 23:44 | 14.9% | 50分拡大 |
3回目 | フジテレビ | 土曜プレミアム | 2011年7月16日 | 21:00 - 23:45 | 11.4% | 35分拡大 |
4回目 | 日本テレビ | 金曜ロードSHOW! | 2013年8月9日 | 21:00 - 23:29 | 13.8% | |
5回目 | 2015年6月5日 | 21:00 - 23:24 | 15.4% | 30分拡大 | ||
6回目 | 2017年10月20日 | 8.4% | ||||
7回目 | 2020年11月6日 | 11.0% |
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
エピソード
エマ・ワトソン演じるハーマイオニーがトム・フェルトン演じるマルフォイを思い切りパンチで殴るシーンがあるが、実は当初の予定では平手打ちで、しかもあくまでもする振りだった。しかし、実際には先述の通り、思い切りパンチで殴ったことでトムもびっくりしたという[73]。
本作には、ある魔法使いがスティーヴン・ホーキングの著書「ホーキング、宇宙を語る」を読んでいるシーンがある[74]。
ゲーム
あらすじがほとんど同じ内容で、同タイトルのゲームが2004年より発売されており、Windows、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドーゲームキューブ、PlayStation 2でそれぞれリリース。メーカーはエレクトロニック・アーツ。8cm光ディスクを扱う機種では世界が3Dで再現されている。
ほかに、劇場用映画を題材にしたトレーディングカードが作成されている。
- 日本語版キャスト(声の出演)
脚注
注釈
- ^ 切れ目のない連続した場面
出典
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