インダストリアル・ライト&マジック
種類 | 事業部制 |
---|---|
略称 | ILM |
本社所在地 |
![]() カリフォルニア州サンフランシスコ レターマン・デジタル・アーツセンター |
設立 | 1975年5月 |
業種 |
視覚効果 CGIアニメーション |
代表者 | サム・マーサー |
所有者 | ルーカスフィルム |
主要株主 | ウォルト・ディズニー・スタジオ |
関係する人物 |
ジョージ・ルーカス ジョン・ダイクストラ リチャード・エドランド ジョン・ノール デニス・ミューレン フィル・ティペット ケン・ローストン |
外部リンク | https://www.ilm.com/ |
インダストリアル・ライト&マジック(Industrial Light & Magic)は、米国のSFX及びVFXの制作会社。ILM(アイエルエム)もしくはI.L.M.と略されて呼ばれることも多い。ルーカスフィルム所有の企業であるが、ルーカスフィルム以外の作品にも多く携わっている。
シンガポール、カナダ・バンクーバー、イギリス・ロンドンに支社を置いている。
歴史[編集]
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1975年7月、当時『スター・ウォーズ』を作ろうとしていたジョージ・ルーカスが、今までにない特殊効果を生み出したいと考え、カリフォルニア州、ロサンゼルス郊外のヴァン・ナイスに最初のILMを開設した。 ジョン・ダイクストラを中心としたモーション・コントロール・カメラの開発など一作目の『スター・ウォーズ』のSFX/VFXはここで開発、撮影をした。しかし制作終了後、ギャランティの問題などでダイクストラはルーカスと訣別、同社はそのまま彼のスタジオ「アポジー」に移行した。この社屋は現在はモデル制作、レンタル・スタジオのグラント・マッキューン・デザイン社が使用している。グラント・マッキューンは一作目の『スター・ウォーズ』以来、アポジーを経て、ずっとこの場所で模型を作っている。
1978年、サンフランシスコ郊外のマリンカウンティ、サン・ラファエルにリチャード・エドランド、デニス・ミューレン、フィル・ティペット、ケン・ローストンら残留スタッフを中心に新たなILMを設立。『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』以後、2004年までILMはこのサン・ラファエルのスタジオでSFX/VFXの仕事をした。
ルーカスが1979年に設立したCG/ハードメーカー部門が1986年にピクサーとしてルーカスフィルムから独立した後に、ILMは新たに1987年にCGI部門を設立。以後、CGI、デジタル合成、デジタルリムーバル、モーフィングなどその後のデジタルVFXの研究、開発、発展に大きな貢献した。
1999年にHDRI画像ファイルフォーマット「OpenEXR」を開発し、2003年に公のものとして発表[1]。
2005年にサンフランシスコのレターマン・デジタル・アーツセンターに移転。VFX/CGI専門のスタジオになり、2009年現在1500人の社員が働いている。
現在、サン・ラファエルの巨大なスタジオは元ILMアナログ製作部門のスタッフによって、カーナー・オプチカル(Kerner Optical)社として活動している。同社はミニチュア制作、アニマトロニクス制作、モーション・コントロール撮影、スタジオのレンタル、3D映画の撮影、2D→3D変換サービス等を行なっている。ちなみにこの社名は、ILM時代に所在を隠すために掲げていた偽の看板の社名をそのまま流用している。
2007年までにアカデミー視覚効果賞を15回受賞(2023年時点で受賞は2006年の『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』が最後)。さらにこれとは別に約20のノミネートを受けている。また、22のアカデミー技術賞も受賞している。
所属する(または所属した)主要なメンバーにはジョン・ダイクストラ、デニス・ミューレン、リチャード・エドランド、フィル・ティペット、ケン・ローストン、ジョン・ノール。また、映画監督のデヴィッド・フィンチャーやジョー・ジョンストンも視覚効果マンとしてキャリアを重ねていた。日本人では山口圭二、3DCGモデラーの成田昌隆、コンセプトアーティストの田島光二らが在籍している。また、俳優のマシ・オカ、マットペイントアーティストの上杉裕世などが在籍していたことも有名である。
輝かしい功績の一方、1986年には『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』という迷作に関わってしまったことから、第7回ゴールデンラズベリー賞の最低視覚効果賞を受賞。
『スター・ウォーズ』シリーズの他にも、『インディ・ジョーンズ』シリーズ等のスピルバーグ作品や、その他多くの作品の特殊効果/視覚効果を手がけており、近年では『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『ハリー・ポッター』シリーズ、『トランスフォーマー』等のVFXも制作している。
2011年に同社初のフルCGアニメーション作品『ランゴ』でアカデミー長編アニメ映画賞を受賞。同年、カナダ・バンクーバーに支社を設立[3]。
2012年10月30日、ウォルト・ディズニー・カンパニーがルーカスフィルムを買収したため、ILMもディズニーの傘下となった[4]。
2014年10月、イギリス・ロンドンに支社を設立した[5]。
これまでの軌跡[編集]
- 1975年: ビスタビジョンを復元、モーション・コントロール・カメラを初使用(『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』)
- 1980年: 『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』のクリーチャー、トーントーンのアニメーションにゴー・モーションが初めて使用される。
- 1982年: 『スタートレックII カーンの逆襲』の「ジェネシス計画」において、初めてCGを駆使した映像を製作。 (それ以前の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のCGはILMの外部で行われた)。
- 1985年: 『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』の "ステンドグラスの騎士"が初めてCGのキャラクターである。
- 1988年: モーフィングを使った初めての作品(『ウィロー』)
- 1989年: 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のクライマックスで、デジタルを駆使した実写映像の初の合成を披露。
- 1989年: 『アビス』のクリーチャー 「シュードポッド」(偽足)と名付けられた3Dキャラクターが初めてCGで作られ、感情を表現した。
- 1991年: 『フック』で、従来のマットペインティングを3Dジオメトリに対応させ、カメラの視差を可能にした。
- 1991年: 『ターミネーター2』のT-1000が、初めて一部CG化されたメインキャラクターとなる。
- 1992年: 『永遠に美しく…』で、初めて人間の肌の質感をコンピュータで再現。
- 1993年: 『ジュラシック・パーク』の恐竜が、初めてデジタル技術で完全かつ細部まで再現され、ILMは13回目のオスカーを獲得。
- 1994年: 『フォレスト・ガンプ/一期一会』の登場人物に、歴史的映像やストック映像のデジタル処理を初めて大々的に使用。
- 1995年: 『キャスパー』で、初めて主役となる、明確な個性と感情を持ったCGキャラクターを登場させる。
- 1995年: 『ジュマンジ』で、初めてフォトリアリスティックな毛髪と毛皮をCG化(ライオンとサルに使用)。
- 1996年: 『ドラゴンハート』で、初めて完全にCG化されたメインキャラクター、ドラコが登場。
- 1999年: 『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』のイムホテップがCGキャラクターとして初めて完全な人間の骨格を持つ。
- 1999年: 『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のジャージャービンクスが初めてモーションキャプチャーを使用した実写映画の中で完全にCG化されたキャラクターとなる。
- 2000年: OpenEXR画像フォーマットを作成。
- 2006年: コンピュータ・ビジョン技術を使って撮影現場の実写パフォーマーを追跡するiMocapシステムを開発。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』のデイヴィ・ジョーンズと船員の映像制作に使用される。
- 2011年: ILMが製作した初の長編アニメーション『ランゴ』。
- 2019年: 『マンダロリアン』でリアルタイムレンダリング(Unreal Engineを使用)とデジタルLEDディスプレイをバーチャルセットとして初めて使用した(ステージクラフトまたはThe Volumeとして知られる)。
有名なクリエイターとクライアント[編集]
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ILM 作品一覧[編集]
※インターネット・ムービー・データベース[6]および会社サイトより引用[7][8]。
アニメーション[編集]
- 2000年代
- 2008年
- 2010年代
- 2011年
- ランゴ(アカデミー長編アニメ映画賞を受賞)
VFX[編集]
- 1970年代-1980年代まで
- 1977年
- 1980年
- スター・ウォーズ/帝国の逆襲(アカデミー特別業績賞・視覚効果)
- 1981年
- 1982年
- 1983年
- 1984年
- 1985年
- 1986年
- 1987年
- 1988年
- 1989年
- 1990年代
- 1990年
- 1991年
- 1992年
- 1993年
- 1994年
- 1995年
- 1996年
- 1997年
- 1998年
- 1999年
- 2000年代
- 2000年
- 2001年
- 2002年
- 2003年
- 2004年
- 2005年
- 2006年
- 2007年
- 2008年
- 2009年
- 2010年代
- 2010年
- 2011年
- 2012年
- 2013年
- 2014年
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2019年
- 2020年代
- 2020年
- 2021年
- 2022年
- 2023年
ILMテレビジョン[編集]
- 2014年
- 2018年
- 2019年
- 2020年
- ザ・ボーイズ(シーズン2に参加)
- 2021年
- 2022年
- 2023年
- 時期未定
- Ultraman(原題)
ILMコマーシャル[編集]
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関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ “Industrial Light & Magic Releases Proprietary Extended Dynamic Range Image File Format OpenEXR to Open Source Community” (PDF) (2003年1月). 2016年3月27日閲覧。
- ^ “Interview: Industrial Light & Magic, Singapore”. Art Jobs Connection (2014年7月29日). 2016年8月25日閲覧。
- ^ “Lucasfilm's Industrial Light + Magic Exploring Opening New Facility in Vancouver”. The Hollywood Reporter (2011年8月10日). 2016年3月27日閲覧。
- ^ “Disney would acquire a visual effects firm with Lucasfilm deal”. Los Angeles Times (2012年10月31日). 2016年3月27日閲覧。
- ^ “Lucasfilm's Industrial Light & Magic Opens London Studio”. The Hollywood Reporter (2014年10月6日). 2016年3月27日閲覧。
- ^ With Industrial Light & Magic (ILM) Internet Movie Database
- ^ In Production 会社サイト(英語)
- ^ Recent 会社サイト(英語)
- ^ Krypton 会社サイト(英語)
参考文献[編集]
- 大口孝之著『コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション』ISBN 978-4-8459-0930-8 フィルムアート社。
外部リンク[編集]
- Industrial Light & Magic(英語)
- Industrial Light & Magic (ILM) - IMDb(英語)
- ILMVFX (@ILMVFX) - Twitter(英語)
- Industrial Light & Magic (ILMVFX) - Facebook(英語)
- ILMVFX (@ilmvfx) - Instagram(英語)
- ILMVFX - YouTubeチャンネル(英語)