「車体傾斜式車両」の版間の差分

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空気を短時間で膨縮することから大容量の[[圧縮機|コンプレッサー]]および空気タンクが必要となり、特に山間部のカーブが多い区間を走行する場合その容量が膨大になる。[[四国旅客鉄道]](JR四国)が開発した[[JR四国2600系気動車|2600系]]は空気ばね車体傾斜方式が採用されたが、カーブの多い[[土讃線]]にて試験を行ったところ空気ばね制御に用いる空気容量の確保に課題があることから量産を断念。量産化は制御付き自然振子式の2700系が採用された<ref>{{Cite web|url=http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2017%2009%2025%2001.pdf|title=新型特急気動車「2600 系」の営業運転開始について|accessdate=2017-09-26|date=2017-09-25|format=PDF|publisher=四国旅客鉄道}}</ref>。
空気を短時間で膨縮することから大容量の[[圧縮機|コンプレッサー]]および空気タンクが必要となり、特に山間部のカーブが多い区間を走行する場合その容量が膨大になる。[[四国旅客鉄道]](JR四国)が開発した[[JR四国2600系気動車|2600系]]は空気ばね車体傾斜方式が採用されたが、カーブの多い[[土讃線]]にて試験を行ったところ空気ばね制御に用いる空気容量の確保に課題があることから量産を断念。量産化は制御付き自然振子式の2700系が採用された<ref>{{Cite web|url=http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2017%2009%2025%2001.pdf|title=新型特急気動車「2600 系」の営業運転開始について|accessdate=2017-09-26|date=2017-09-25|format=PDF|publisher=四国旅客鉄道}}</ref>。


空気バネ式'''車体傾斜'''装置は「電化区間の」散発するR400〜1000のカーブを可能な限り低コストかつ高い速度で抜けていくことがメリットであり、 R300以下が連続する区間や非電化区間、あるいはその複合には'''まるで向かない'''ということが判明した。
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=== ハイブリッド車体傾斜システム ===
=== ハイブリッド車体傾斜システム ===

2019年7月21日 (日) 23:07時点における版

曲線区間でのJR北海道キハ283系気動車。制御付き自然振り子式車体傾斜を採用している。

車体傾斜式車両(しゃたいけいしゃしきしゃりょう、tilting rail car)とは、曲線通過時に車体を傾斜させることで、通過速度の向上と乗り心地の改善を図った鉄道車両である[1]車体傾斜車両とも呼ばれる。

車体傾斜の方法としては、自然振り子式、強制車体傾斜式、空気ばねによる車体傾斜など、複数のシステムが存在している[2]

概要

 
JR四国2000系気動車の車体傾斜時の前方風景。上は車体基準、下は前方風景基準での視点

曲線部分の軌道は、通過時に車両にかかる遠心力を打ち消すため、傾斜(カント)が設けられている[3]。それでも速度が高すぎると乗客が遠心力を感じるために乗り心地を悪化させたり、さらには車両の転覆につながる。そこで、曲線通過時に車両の水平方向にかかる加速度が規定量[注 1]を超過しないよう、曲率半径とカント量に応じて制限速度が設けられている。

列車の最高速度が低かった時代はあまり問題とされなかった曲線区間の制限速度であるが、最高速度が向上するとスピードアップのための障害となった。平坦な場所を走行する幹線では元々曲率半径は大きめに取られているが、山岳路線ローカル線では敷設条件から半径の小さい曲線が小刻みに連続する。根本的な解決には、長大なトンネルを掘って迂回していた区間を直線化するなど大規模な土木工事により軌道の線形を改良することになるが、これは莫大な工事費と時間を要する。

そこで、既設軌道の改良による設備投資を抑制しつつ列車の高速化を廉価に実現するため、より高速で曲線を走行しようとする場合、増加する遠心力への対策が必要になる。転覆の危険については、カントの傾斜角を増やすことにより遠心力を車両の垂直方向に振り向け、水平方向にかかる加速度を減らすことで低減できる。同時に車両の内装や屋根上を軽くするなどして車重を減らし、重心を下げることでも転倒の危険は低減される。しかし、列車が曲線で停止した時に車体が傾きすぎないようカント量には限度が設けられている。特に曲率半径が小さい場合、カント不足となりやすい。

従って、車両(十分に重心が低い車両)によっては「転覆の危険なく通過できる」が「乗り心地の問題」によって曲線通過速度が制限されると言う事態が想定されうる。この時適当な方法で乗客にかかる横方向の加速度を減じることができれば、その分曲線通過速度を向上できる。その答えの一つが、何らかの機構により、曲線区間のカントの不足分を車体自体を傾斜させることで補う、車体傾斜車両である。

なお、車体傾斜機構は乗り心地を維持したままスピードを上げるための仕組みであり、軌道や車両にかかる荷重を減らすためのものではないため、曲線部での速度超過による脱線を防ぐことはできない[注 2]。そもそも車体にかかる遠心力は、その速度・質量・曲線半径により一意に定まる。遠心力を減ずることは不可能(車体の水平方向、垂直方向成分の振り分けをカントにより変えられるだけである)である。そのため車体傾斜車両を用いて高速化を行う場合は、曲線区間で増す遠心力による側圧増大対策などのために、軌道強化が必要となる[注 3]。軌道強化が実施されていない区間では速度を高められないためカント不足とはならず、車体を傾斜させる必要がなくなり傾斜機構を停止させて運用されることもある[注 4]。すなわち車体傾斜システムだけでは曲線区間の高速化はできず、車両の低重心化と軌道の強化も行うことで初めて高速化が成される。

また、全員着席していること等を前提に乗り心地の悪化を妥協し、車体傾斜機構を備えない、あるいは車体傾斜装置を従来より簡素なものする、という選択もありうる[注 5]

分類と機構

自然振子式

自然振子式は、車体傾斜の回転中心を重心より高い位置に設定し、曲線通過時にかかる超過遠心力を利用して受動的に車体傾斜を行わせる。車体と台車枠を繋ぐ形で取付られたリンク機構や、台車枠上に取付けられたコロまたはベアリングにより、転動板で傾斜できるようにした振子ばり[注 6]で車体を支持・傾斜させることを利用して車体傾斜の仮想的な回転中心を設定し、傾斜動作を円滑に行えるように設計する例が多いが、自然振り子式にこれらの機構部品が必須なわけではない。後述するスペインタルゴ・ペンデュラーのようにこうした機構を一切備えず、空気ばねによる枕ばねを車体の天井付近に置き、車体傾斜の回転中心を天井よりも高い位置に設定することで簡潔に自然振子を実現した例も存在する[4]。また、日本で最初に車体傾斜式車両を試験した小田急電鉄の車両も、左右の高い位置の空気ばねを連通して遠心力で受動的に内傾するものだった[注 7]

自然振子式は比較的シンプルな機構ながら大きな効果が得られ、かつての日本国有鉄道(国鉄)で実用化され、1973年国鉄381系電車で営業運転を開始した[5]。しかし曲線(特に緩和曲線)を通過する際に、「振り遅れ」や「揺り戻し」と呼ばれる振動が発生して乗り心地を悪化させるため、乗客に不快感を与えたり乗り物酔いを起こしたりすることがある。これは傾斜装置の摩擦等の要因により、一定以上の遠心力がかからないと車体が動かず、あるいは遠心力が一定以下にならないと戻らないために生じるものである[6]。また振り子の動作により車体の重心が曲線の外側に移動するため、車体の重心を下げることで高速走行に悪影響が出ないように設計されている。

日本の振子車両では最大傾斜角は5 - 6度となっている[7]

制御付き自然振子式

上述の自然振子式の問題は、曲線の外側に向けて傾斜装置の摩擦を打ち消す程度の力を加えておけば解消される。制御付き自然振子式は、自然振子式の機構に空気圧などによる能動的な傾斜制御を追加したものであり、強制車体傾斜方式と同様に、曲線を検知して車体の傾斜角度を制御する装置が必要となる。従って制御を切れば自然振子式としての動作も可能であるが、その場合は自然振子式の問題もそのまま発生する。

日本国鉄では自然振り子式での「振り遅れ」「揺り戻し」などの問題の解決を目指し、1981年から1982年にかけてTR906・TR907・TR908と3種の台車が設計され、アクティブ車体振動制御装置や横圧低減対策などと共に、自然振子式を改良した制御付き自然振子式が開発・搭載された。さらに、これらの開発で得られたデータを元に、1985年にはDT51X・TR236Xと本格量産を念頭に置いた改良型台車が設計されたものの国鉄時代には量産には至らず、国鉄分割民営化後、1989年設計の四国旅客鉄道(JR四国)2000系気動車で初めて実用化の機会を得た[8]。同系の成功により、以後この方式は全てのJRが採用している。

実用化された制御付き自然振り子式では、車体の傾斜制御は以下のようにフィードフォワード的に制御される[9]。まず、予め線路上の曲線部ごとのカント等のすべての情報をあらかじめ車上装置へ組み込まれたマイコンに記録しておき、そこで記録された曲線情報は、速度発電機と地上にあるATS地上子を使用して得られる絶対位置情報と速度発電機の検出で得られる速度情報を基に、緩和曲線区間での適切な車体傾斜角度を計算する。そこで得られた傾斜角情報に従い、曲線進入前の緩和曲線区間において空気シリンダーを用いたアクチュエーターにより、あらかじめ能動的に車体を徐々に傾斜させていく。曲線区間通過後の緩和曲線区間においても、同様の手法で車体傾斜を能動的に復元させる。このような制御により、緩和曲線区間で発生する過渡的な振動を抑制するというものである。曲線区間への進入・脱出時にアクチュエーターによって半ば強制的に車体の傾きが制御されるが、補助的な傾斜制御であるため、万が一、この制御装置が正しく作動しない場合でも本来の超過遠心力によって車体は傾き安全性が確保される[10]

日本での制御付き自然振り子式の車体傾斜機構にはコロ式とベアリングガイド式がある[10]。最初に実用化された自然振子式の381系ではコロ式を採用していたが、振子中心を必要に応じて低くできない・装置の小型化が困難・コロを覆う防塵装置が複雑などの欠点があったため、ベアリングガイド式の開発が進められた[11]。開発されたベアリングガイド式は、振子時の摺動抵抗の低減、振子装置の小型化、防塵装置の簡素化などを達成し、JR四国8000系やJR北海道281系の試作車から採用された[11]

JR四国以外の各社において制御付き自然振り子式の車両は、現状では2001年に投入開始されたキハ187系気動車が営業用の最新の形式、また883系電車の中間車モハ883-1000、サハ883-1000が営業用の最新製造車両、キハ285系が最新の開発車両となっており、以降の形式では自然振子式より構造が簡易でそこそこの効果が得られる、後述の「空気ばね車体傾斜方式」に移行している。

しかしながらJR四国においては、老朽化が進む2000系の後継車両として「空気ばね車体傾斜方式」を採用した2600系気動車を試作し自社の各線で走行試験を実施したが、曲線区間が特に多い土讃線では空気ばねの制御に多くの空気を消費するため空気容量の確保に課題があるとし量産は見送られ、新型車両は2600系をベースにした、制御付き自然振り子式の2700系気動車の量産に方針を転換した[12]

強制車体傾斜式

強制車体傾斜式は曲線通過時にリンクなどで構成された車体傾斜機構を油圧などによって能動的に傾斜させるものである。強制振り子式と呼ばれることもある[13]。曲線通過時に車体に懸かる超過遠心力を車体傾斜に利用するものではないため、必ずしも車体傾斜の回転中心は重心より高くする必要はないが、実用化された強制車体傾斜式車両の多くは、超過遠心力が車体の傾斜に悪影響を与えないよう回転中心を重心と同じか重心より高い位置としている。また強制車体傾斜式の車体傾斜機構を曲線通過時に正しく動作させるためには何らかの方法で曲線進入を検知し、車体傾斜を制御する装置も必要であり、そうした装置の必要がない自然振り子式と比較して構造は複雑になる。

強制車体傾斜式は、主に欧米で普及している[13]。初期の強制車体傾斜式では曲線進入を各車に搭載したジャイロスコープ加速度センサーなどで検知し、車体を傾斜させる車両単位のフィードバック制御が多かった。この方法ではいずれの車両も曲線進入後に車体を傾斜させることになるため、必ず振り遅れが発生するという問題があった。またセンサー類の誤作動によって曲線進入を正しく検知できない場合も多く、実用化の障害となっていた。その後電子工学の発達によって最適な傾斜角度の計算や編成単位で車体の傾斜を制御することが可能になり、曲線進入検知の正確性も向上した。振り遅れについては曲線進入を先頭車に搭載したセンサー類で検知し、先頭車からの指令で後続の車両も順次車体を傾けることで先頭車以外の振り遅れを防ぐ制御方法も開発され、現在では編成単位でのフィードバック制御が主流となっている。なお、一部ではフィードフォワード制御も行われており、車上コンピュータに入力した線形データと既に通過した曲線の情報から車輪回転数で現在走行位置を割り出し、次の曲線の位置を予測しセンサー類が曲線を検知する前から車体を傾斜できるものが実用化されている[14][15]

一般的に最大傾斜角は自然振り子式よりも大きく、イタリアペンドリーノが8 - 10度、スウェーデンX2000が6.5度である[7]

空気ばね車体傾斜方式

特別な車体傾斜機構を用いず、台車上の左右の空気バネの伸縮差によって車体を傾斜させるものである。空気ばねストローク式車体傾斜空気ばね式車体傾斜簡易振り子式、あるいは簡易車体傾斜など、様々な呼び方がある[注 8]。自然振子式、強制振子式の分類では、強制振子式に属する[13]

本格的な振子式車両は、導入に当たって軌道の強化や架線の張り替え工事などの地上設備の改修が必要となる上、車両重量やイニシャルコストの増加という点で不利であった。このため、例えば日本の私鉄での採用例は速達化が至上命令とされる、あるいはJRと乗り入れを行う必要からそれらで採用されているのと準同型の車両を導入する必要がある、といった特殊な事情のある第三セクター鉄道にほぼ限られた。しかし、車体傾斜制御技術そのものはそれ以外の鉄道においても乗り心地を維持しながらの列車の高速化に有用な技術であり、そこで特殊な機構のため保守も含めて高価となる振り子式の代替技術として曲線部での走行時に左右の空気ばねの内圧を制御して適切な角度まで車体を内傾させる、車体傾斜制御装置とよばれるものを装備した強制車体傾斜方式が開発された[16]

空気ばねによる車体傾斜システムは1960年代から構想されていた(小田急電鉄の鉄道車両#車体傾斜制御も参照)が、実現化に先鞭をつけたのは西ドイツ(当時)であった。西ドイツ国鉄1973年に12両を試作した403型と呼ばれる動力分散方式の高速車両においては、ボルスタレス台車に最大傾斜角2度の車体傾斜機構が搭載された。この車体傾斜システムは試験のみに終わり、403型も量産されることはなかったが、本方式の基本的な機構はほぼ確立されており、低コストで車体傾斜車両を実現する手段として注目を集めた。

台車左右の枕ばねに用いられる空気ばねの伸縮差に依存することと、車体傾斜の回転中心が枕ばねと同じ高さであり車体傾斜時に車両限界を支障しやすいため、日本での営業車両による最大傾斜角は2度程度に抑えられており、試験車両では、在来線で傾斜角5.5度(1970年の小田急のフィードバック制御の試験車両)、新幹線では3度 (300X) を実現している[17][18][注 9]。傾斜角は他の方式に比べると小さい。しかし特別な車体傾斜機構を必要とせず、既存の空気ばね台車を若干設計変更してフィードバック制御[注 10]またはフィードフォワード制御[注 11]による制御装置を追加するだけで済むため[注 12]、低コストである上に傾斜角度2度の場合でも基本速度+25 km/h程度(261系気動車R600 m以上)で曲線通過速度向上が実現できる。日本での営業車両としては、コストパフォーマンスを重視する私鉄や各JR旅客会社の在来線用新型特急車両などに採用されているほか、新幹線N700系E5系E6系にも採用されている。床面の左右(枕木)方向の移動はなく、垂直方向に発生する荷重変化も少ないため、乗り心地に違和感が無い。

空気を短時間で膨縮することから大容量のコンプレッサーおよび空気タンクが必要となり、特に山間部のカーブが多い区間を走行する場合その容量が膨大になる。四国旅客鉄道(JR四国)が開発した2600系は空気ばね車体傾斜方式が採用されたが、カーブの多い土讃線にて試験を行ったところ空気ばね制御に用いる空気容量の確保に課題があることから量産を断念。量産化は制御付き自然振子式の2700系が採用された[19]

空気バネ式車体傾斜装置は「電化区間の」散発するR400〜1000のカーブを可能な限り低コストかつ高い速度で抜けていくことがメリットであり、 R300以下が連続する区間や非電化区間、あるいはその複合にはまるで向かないということが判明した。[要出典]

ハイブリッド車体傾斜システム

傾斜の模式を線で表した図。線はすべて同じ長さである。下が水平状態、中が制御付き自然振り子式による傾斜だけのとき、上が空気ばねによる車体傾斜も用いたとき。
解体中のキハ285系(2017年3月)

2006年3月に北海道旅客鉄道(JR北海道)が発表した[20]。鉄道総合技術研究所、川崎重工業との共同開発。制御付き自然振り子式と、空気ばねによる車体傾斜とを組み合わせた世界初の技術で、従来の振り子式を上回る8度(制御付き自然振り子式6度+空気ばねによる車体傾斜2度)の傾斜角を実現させるもの。単なる制御付き自然振り子式に比べ、乗り心地の向上も図られると言われるが、これは、振り子式による床面の左右移動量を空気ばねによる車体傾斜によってある程度抑えることができるためである(JR北海道のプレスリリースの図も参照)。

今後、試作台車をキハ283系気動車1両に取り付け、走行試験(札幌、函館近郊を予定)が2009年を目処に行われるとされていたが、車両限界の関係から、既存のキハ281系・キハ283系へ搭載しての実用化は難しいという[注 13]。なお、2016年3月の北海道新幹線新青森 - 新函館北斗間開業後には函館 - 札幌間にこのシステムを搭載した車両を投入する予定とされていた。実用化されれば曲線を含む全線での140km/h運転が可能となり函館 - 札幌間で約20分の短縮が見込まれていたが、2011年以降、JR北海道で重大事故や不祥事が相次いだほか、北海道新幹線の開業を控えスピードより安全性を優先する方針に変わったことから、2014年9月10日に搭載車両であるキハ285系気動車の開発中止が量産先行車の落成を目前にして発表された[21][22]。その後、2014年9月26日に落成したキハ285系量産先行車は営業運転に就く事はおろか試験すら行う事無く翌年3月31日付で廃車となり[23]、2017年3月に解体された[24]

実用化への工夫

車体傾斜システムを搭載した車両は、一般的に車体断面積が小さい。これは傾斜時に線路周辺の構造物と干渉しないよう、幅を狭める必要があるためである。他にも下記の通り電車における集電の問題や、気動車における駆動トルク反力の問題やプロペラシャフト継手の伸縮摺動性など、車体傾斜に伴う問題を克服する工夫をしている。

架線から取り込んだ電気によって回転する主電動機から発生した運動エネルギーにより走行する電車方式の振り子式車両は、そのままでは車体の傾斜によって架線に接触するパンタグラフの位置が変化する。これを防ぐためには、当該路線を走る電車がすべて振り子式車両であるとの前提で架線の位置を傾斜した車体でのパンタグラフの位置に最適化して架設するか、あるいは振り子式車両側で車体が傾斜してもパンタグラフの位置は変わらないようにする必要がある。車両側でパンタグラフの位置変化を防ぐためには車体の傾きに関わらずレールに近い台車枠と、パンタグラフとの位置関係を固定する必要があり、そのための機構が開発された。日本で実用化されている方式には、ワイヤー式と台車直結式がある[25]。ワイヤー式では傾斜する車体の外周部を迂回させたワイヤーで台車枠と可動式のパンタグラフ基部とを結び、台車直結式では傾斜する車体内部を貫通された支持枠が台車枠とパンタグラフ基部とを結ぶことで、それぞれ車体の傾斜に関係なく軌道面に対するパンタグラフの位置が固定されるようになっている。海外では台車直結式が多いが、スイスのICNなど一部ではパンタグラフを電動で能動傾斜させる方式も実用化されている[26]

また、ディーゼルエンジンの出力を変速の上で駆動に用いるディーゼル方式の振り子式車両でも、単純にディーゼルエンジンを持つ車両に振り子による車体の傾斜機構を加えただけでは、車体の長軸方向に走る推進軸の回転トルクによって車体の傾きが偏るという問題が生じる。これを避けるために、ディーゼルエンジンを2基備えて、推進軸の回転方向が互いに逆向きになるようにして、その相互の反作用によって偏向をキャンセルするといったことが行われる[27][28]。 また、通常の気動車に比べ遙かに大きな変位を吸収しなくてはならなくなる伝達系ジョイントは極めて大きな問題となる。

採用車両

ヨーロッパでは1940年代から開発が行われ、イタリアフィアット社(鉄道部門はアルストム社に吸収)やスウェーデンアセア社(鉄道部門はABBアドトランツを経て現在はボンバルディア・トランスポーテーション社に吸収)が油圧シリンダーによる強制車体傾斜式を開発し、欧州各国に普及した。

車体傾斜が動作すると天井付近を回転軸にして床が動く日本の自然振り子とは異なり、床付近を軸に車体上部が振れるため、座っていると頭を持っていかれるような感覚がある。また車体を正面から見ると裾がすぼまっている(極端に言うと上辺が長い台形に見える)のが特徴的。

イタリア

ETR450

山岳国ゆえ線形の悪い線区が多く、古くから車体傾斜式車両の開発に熱心だった国である[29]。1957年と1967年には車体傾斜式車両の試作車2種類が製作され、さらに1971年には、後のペンドリーノの原型となる試作車Y-0160がフィアット社により完成された[30]。1975年には、初めて営業投入されるETR401が完成した[31]

フィアットの元からの技術に加え、英国鉄道 (BR) が1970年代に開発したAPTの技術も購入して発展した。ペンドリーノの項目も参照。高速新線ディレッティシマ)の走行も考慮されているが、高速新線でない在来線でも、安価に高速化を実現できるため、イタリア以外にも多くの国(高速新線を建設するほどの需要や経済的余裕がない国)に輸出されている。現在はかつてAPTが試験走行した英国西海岸線にも導入されている。

ETR401電車
1975年に完成され、1976年に営業運転に供された、第一世代のペンドリーノ[31]。量産はされず、1編成の試作に留まったが、技術的には成功し、次のETR450の量産に繋がった[31]
ETR450電車
第二世代のペンドリーノで、初めての量産車となった[30]。現在は主力の座を後継車に渡している。直流専用で、最高速度250km/h。
ETR460電車
ETR450の成功を受けて登場した、第三世代のペンドリーノ。直流専用で、最高速度は250km/h。
ETR470電車
ETR460電車をベースに、スイス国鉄ドイツ連邦鉄道への直通を考慮した交直流電車(交流は15kV対応)。チザルピーノ社が保有・運営する。高速新線での走行を考慮していないため、最高速度は200km/h。
ETR480電車
ETR460電車をベースに、フランス国鉄への直通を考慮した交直流電車(交流は25kV対応)。最高速度は250km/h。
ETR600電車
ETR460の後継となる第四世代のペンドリーノ。下記のETR610とほぼ共通設計。中国へ輸出されたCRH5型電車のモデル。
ETR610電車
チザルピーノ社向けに投入された車体傾斜式電車"Cisalpino 2"。2008年12月より営業運転。

スペイン

タルゴ250

スペインは当初イタリアに倣った車体傾斜式車両を開発していたが、1980年にタルゴ社が自然振り子式のタルゴ客車を開発して以降は長らく自然振り子式が主流となっていた。現在では強制車体傾斜式も増えている。

タルゴ・ペンデュラー (TALGO Pendular)
自国技術である低床・連接式客車タルゴのうち、開発され空気ばねによる自然振り子機能を備えた客車。軌間可変機能も備える。最高速度200km/h対応の"TALGO Pendular 200"もある。
タルゴ250(レンフェ130系)
最高速度250km/hの自然振り子式タルゴ客車。電気機関車2両と11両のタルゴ客車で一体の編成を組む。軌間可変機能も備える。
タルゴ250ハイブリッド(レンフェ730系)
タルゴ250をベースに、ディーゼル電源車を2両連結してタルゴ客車を9両へと減らし、非電化区間では電気式ディーゼル車として電化区間・非電化区間双方を走行できるようにしたもの。最高速度は240km/h。
アラリス(Aralis・ETR490型電車)
イタリアのETR460型電車がベースだが、軌間は1668mmの広軌。主にマドリードバレンシアを結ぶ。
TRD(レンフェ594系気動車)
デンマークIC3をベースとする2両編成の気動車だが、2001年に製造された2次車は強制車体傾斜式となっている。この強制車体傾斜システムはCAF社が開発したSIBI[14]と呼ばれるもので、フィードバック制御に加えてフィードフォワード制御も可能としている。
R-598(レンフェ598系気動車)
CAF社が製造した3両編成の強制車体傾斜式気動車。TRDと同じくSIBIを搭載している。

スウェーデン

スウェーデン国内の鉄道は曲線が多いため、1970年代からスウェーデン国鉄とアセア社によって車体傾斜車両が開発されており[32]、国外へも輸出されている。実用化はペンドリーノより遅れ1989年となっている。

X2000(X2)
アセア社が開発したプッシュプル方式の車体傾斜車両[32]。機関車は車体傾斜せず、客車にのみ油圧式の車体傾斜台車を備えている[32]。高速新線を建設することなく、既存の在来線で200km/hを可能にした。最高運転速度は250km/hまで可能となっている[32]。各台車には自己操舵機能も備える[32]アメリカオーストラリア・中国で試用されたこともある。

ドイツ

ICE-T

ドイツは日本同様、車体傾斜式気動車を大量に採用しているが、当初はトラブル続きだった。

403型電車
1973年にインターシティ用として日本の新幹線の影響下で計画・設計された、動力分散による全電動車方式4両編成の高速電車。最高速度は200km/h。設計最大傾斜角4度、実用最大傾斜角2度の車体傾斜制御機構を備えるが、この機構は営業運転では使用されることなく終わったとされる。
ICE-T(411型・415型電車)
ICE3の車体傾斜版だが、最高速度は230km/h。411型は7両編成、415型は5両編成。イタリアのETR450とほぼ同一の車体傾斜台車としている。
ICE-TD(605型気動車)
車体傾斜式の電気式気動車。外見はICE-Tとほぼ同じだが、床下機器は大きく異なり、車体傾斜装置はシーメンスが製造した電気式強制車体傾斜としているほか、台車構造なども大きく異なる。トラブルが頻発し、一時は全編成が運用を離脱した。現在はベルリンハンブルクと、デンマークコペンハーゲンオーフスの間で運用されている。
610型・611型・612型気動車
快速・普通列車用の気動車。610型ニュルンベルク近郊の山岳路線向けに、イタリア本国に先駆けて第三世代ペンドリーノの油圧式車体傾斜台車技術を導入して開発され、1992年に営業運転を始めた。開発の経緯から、イタリア語由来である「ペンドリーノ」の愛称で呼ばれている。ドイツでは車体傾斜式車輌全般をペンドリーノと呼ぶことがあるが、ペンドリーノはフィアット社の登録商標である。一方、アドトランツ社が開発した611型と612型はアセア社の技術を元に電動式とした車体傾斜台車を備え、フィアット社とは無関係なため、この二車種をペンドリーノと呼ぶことは適切ではない。612型はレギオスウィンガーの愛称を持つ。612型の一部は、トラブルで運用を離脱したICE-TDに代わり、ニュルンベルク-ドレスデン間のインターシティにも運用された。

イギリス

APT-P
APT (Advanced Passengers Train)
イギリス国鉄が、西海岸本線の高速化を目指して投入した車体傾斜車両。ガスタービン動車のAPT-Eが1972年に試作された後、量産試作としてAPT-P(370形)が1978年に製作された[33]。主に強制車体傾斜制御と流体ブレーキを中心にトラブルが頻発[注 14]し、1986年に廃車となった[33]
スーパーボイジャー(Super Voyager・221形気動車
ヴァージン・トレインズ社が導入した車体傾斜式電気式気動車。最高速度200km/h。
ペンドリーノ(Pendolino・390形電車
ヴァージン・トレインズ社が導入した車体傾斜式電車。最高速度225km/h。ペンドリーノの台車はイギリスの車両限界に収まらないため、スイスのICNをベースにした車体傾斜式台車を備える。

オーストラリア

東海岸のクイーンズランド鉄道 (QR) が1998年からノース・コースト線で、日本の技術を基にした振り子式車両を運行している。

Tilt Train(電車)
1998年11月から、ブリスベン-ロックハンプトン間で運行を開始。JR四国の8000系をベースにしている。コロ式5度振り子、営業最高速度160km/h。メーカーはEDI-Walkers、日立製作所と技術提携して製作。車体はステンレス製。電気品、一部台車部品、傾斜制御装置は日立製作所が供給した。パンタグラフ移動装置はWalkers独自開発のリンク式を採用している。
QR線上直線路において試験走行で210km/hの狭軌振り子電車速度記録を有する。
Tilt Train(機関車牽引)
2003年から、ブリスベン - ケアンズ間で運行を開始。週2回の運転で、1681kmを24時間55分かけて走る。上記振り子電車の台車を客車に履かせ編成両端のディーゼル電気機関車でけん引する。メーカーはEDI-Walkers。

アメリカ

アセラ・エクスプレス
UAC ターボトレイン
両端に電気式ガスタービン機関車を配し、その間に1軸連接台車を備える客車を連ねた高速列車。屋根近くからつり下げるようにして支持された車体を、特殊なリンク機構の作用により傾斜させる機構を備えていた。アメリカでは1968年より1976年まで、これとは別にカナダでも同型車が1968年から1982年まで、それぞれ営業運転に供された。最高速度160km/h。
アセラ・エクスプレス
アムトラックが運営する高速列車で、ボストン - ニューヨーク - フィラデルフィア - ワシントンD.C.を結ぶ。プッシュプル方式で、機関車部分はフランスのTGVの技術を導入し、客車部分はカナダのLRCをベースにボンバルディア・トランスポーテーション社が開発した。
カスケイズ (Cascades)
西海岸のユージン - シアトル - バンクーバーカナダ)を結ぶ列車。アムトラックが運営する。スペインのタルゴ客車を輸入し、運用している。

スイス

山岳国ではあるがイタリアやスペインに比べて投入が遅れており、直通運転するチザルピーノなどを除けば、営業運転開始は2000年代に入ってからのことである。

ICNRABDe500型電車
"Intercity Neigezug"の愛称を持つ。イタリアのETR500のデザインで有名なピニンファリーナのデザイン。SIG社(鉄道部門はアルストム社に吸収)の開発したコンパクトな電動式強制車体傾斜の台車を備える。
TWINDEXX Swiss Express
2013年秋から営業予定の全車2階建電車。ボンバルディア社が開発したFLEXX Tronic WAKO[34]と呼ばれる最大傾斜角度2°の車体傾斜システムを搭載している。スイスには同社の開発拠点があり、FLEXX Tronic WAKOをベースに最大傾斜角度8°としたFLEXX Tronic WAKO 8も開発中である。

フランス

フランスは国土が比較的平坦であることと、高速化を高速新線 (TGV) の建設で対応してきたことから試作にとどまっている。

TGV-Pendulare
車体傾斜式TGVの試作車。テスト終了後は車体傾斜機構を撤去し、従来の運用に復帰した。

日本

381系は日本最初の営業用の車体傾斜車両。自然振り子式。

日本での車体傾斜は、前述のとおり1961年の小田急電鉄と住友金属工業との共同研究による、空気バネ式自然振り子システムのFS30X型試験用連接台車の開発にはじまる[35]

その後1960年代、小田急電鉄と三菱電機が共同で台車左右の空気ばねの圧力差を利用した上記の空気ばねストローク式に相当する車体傾斜装置の実用化試験を行うが、当時は制御技術そのものが未熟で期待した性能が得られず、実用化は見送られた。これと同等のシステムは、小田急での実験から四半世紀以上が経過した1996年に製作されたJR北海道キハ201系気動車でようやく実用化された。

当時の国鉄も1968年にTリンク式自然振り子システムのTR96形台車を装着したトキ15000形貨車により試験を行うが、リンク部の摩擦抵抗による動作遅れや動作不良が確認された[35]。その後は1969年に、リンク式より確実に動作するコロ軸支持式の自然振り子式を採用した591系試験電車が試作され、そこで得られたデータを基に特急形車両381系電車が量産され、中央西線紀勢本線伯備線の順でそれぞれの電化とともに投入された。

民営化後はJR四国が鉄道総合技術研究所とともに世界初の制御付き自然振り子式気動車を実用化し、普及に弾みをつけた。その一方で2000年代に入ると加減速性能の向上やコストパフォーマンス面などの点からE257系287系のように非振り子式車両への投入と回帰が行われているケースもある。

速度向上は、国鉄・JRの在来線で半径600mの曲線を基準とした場合、車体傾斜無しの場合は基本の速度[注 15]が90km/h、特に高性能な車両において最高110km/hとなっているが[注 16]、初期の自然振り子式車両である381系で最高110km/h[注 17]、制御付き自然振り子式で最高125km/h[注 18]、空気ばね車体傾斜式で115km/hとなっている。速度向上率は曲率半径によって異なるほか、カント量や緩和曲線長や走行する線路の規格などの条件によっても変わる。また車両の設計上では上記より速い速度となっているものも幾つか存在する。

自然振子式

  • 国鉄
    591系試験電車
    1970年。前後非対称[注 19]アルミ製車体・最高速度130km/h・最大傾斜角6度で、国鉄電車としては珍しい複巻整流子電動機とサイリスタチョッパ制御器による発電ブレーキ機能・架線追従式パンタグラフ(2基のうち1基のみ)を搭載し、両端台車に移動心皿機構を、連接台車にリンクによる自己操舵装置をそれぞれ搭載した3車体4台車構成の連接車として誕生した。ところが、テスト中に連接台車の自己操舵装置を使用すると曲線通過時に両端台車の側圧が過大になるという問題があることが判明し、1971年にメリットが薄くなった3車体連接車から自己操舵機構なしの20m級ボギー車2両編成へと改造された。東北本線への投入を前提として交流20,000V 50Hz/60Hz区間に対応する交直流電車としていたが、東北新幹線の建設が決まり、1971年から1973年にかけて電化と量産車(後の381系)の投入が決定された中央本線・信越本線篠ノ井線などでデータ収集のため試験を実施した。以後、電気式ガスタービン動車への改造などが検討されたが実現には至らず、岡谷駅構内など長野鉄道管理局管内を転々とした後1980年3月26日付で除籍、その後長野工場で解体された。解体後、DT96形台車(元・連接台車)1台が大阪の交通科学博物館で保存展示されていた。
    キハ391系気動車
    1972年。3両4台車の連接構造を持つガスタービンエンジン試験車。ガスタービンエンジンを搭載する中間車は車体傾斜機構を持たない通常の2軸ボギー車で、これに自然振り子機構付きの両端車体が特殊な連結器を介して乗りかかる、という特殊な構造を備える。投入予定のあった伯備線山陰線田沢湖線などを中心に試験が実施されたが、主にガスタービンエンジンの技術的な問題とオイルショックの影響による燃料費高騰などから量産化されず、最後に試験が実施された山陰地区の米子機関区(現 : 後藤総合車両所運用検修センター)構内で1987年2月10日まで長期休車とされた末に除籍された。その後はJR東日本大宮総合車両センターで非公開保存されていたが、2015年に解体され片方の前頭部のみが残されている。
    381系電車
    1973年。国鉄時代から運用され続けている自然振り子式直流特急形電車。曲率半径400m以上で本則(曲線での通常の列車の制限速度)+20km/hでの運転が可能。ベースとなった591系と同じくアルミ車体であるが、同系列での試験結果を反映し、また投入線区の線形[注 20]や車両製作コスト、それに変電所負担[注 21]を考慮して最高速度120km/h・最大傾斜角5度・自己操舵装置なしとなっている。
    591系の試験結果から、架線追従式パンタグラフは特に必要ないと判断され、パンタグラフを屋根に直接固定している。このため、集電舟の偏倚がやや大きく、振り子使用区間では架線の張り方を変えて対処した[注 22]
    JR東海では定期運用が消滅し、所属だった2両(クロ381-11・クハ381-1)がリニア・鉄道館に保存展示されている。JR西日本では「やくも」で使用されている。
    「こうのとり」・「きのさき」で使用されていた編成は導入当初振り子装置の使用は停止していたが、乗り心地に対して苦情が出たことから、2014年6月から斜角を5°から3°に小さくした上で1000番台を名乗った上で使用を開始した[36]

制御付き自然振子式

  • JR四国
    2000系気動車
    130km/h運転対応の改良型2000系(N2000系)。高松にて
    1989年に製作された3両編成の試作車「TSE」を皮切りに、1990年以降、量産が開始された。JR四国はもちろん、世界初の制御付き振り子式気動車であると同時に、その後の日本国内における制御付き振り子式気動車の基本構成を確立した。なお、量産車には同一スペックで土佐くろしお鉄道が所有する車両も存在する。
    傾斜機構はコロ式を採用し、最大傾斜角は5度。島内各ディーゼル特急で使用。試作車「TSE」及び量産車の最高速度は120km/hだが、一部区間では130km/h運転が可能な改良型(N2000系)も投入されている。なお、宇野線本四備讃線では振り子装置を使用しない。
    JR四国の主力車両で、予讃線の「いしづち」「宇和海」、土讃線の「南風」「しまんと」「あしずり」、高徳線の「うずしお」で使用。
    なお、試作車「TSE」は2018年3月17日ダイヤ改正当日の「宇和海2号」運行後に定期運用が消滅し、同年6月から7月の、3回に分けてのさよなら運転ツアーならびにさよならイベントをもって全ての運用が終了した。
    8000系電車
    1992年。予讃線電化に伴い特急「しおかぜ」「いしづち」の大半に充当されている。最大傾斜角は2000系気動車と同じ5度だが、最高速度は130km/hに引き上げられ、試作車は在来線で160km/hからのレールブレーキの性能試験にも使われた。傾斜機構は試作車がベアリングガイド方式を、量産車がコロ式を採用している。車体傾斜時には、パンタグラフと台車を直結するワイヤにより、パンタグラフの位置調整を行う[25]。2000系気動車と同様、宇野線・本四備讃線では振り子装置を使用しない。
    2700系気動車
    2019年に最初の編成が登場。先に登場した2600系気動車をベースとし、車体傾斜装置を振り子装置に変更した車両。最大傾斜角は5度で最高速度は130km/h。
  • JR北海道
    キハ281系気動車
    1992年。1994年から特急「スーパー北斗」として使用されている。着雪と低温対策を盛り込み、傾斜機構にベアリングガイド方式を量産車として初採用した[注 23]。最高速度130km/h、最大傾斜角5度。鉄道総合技術研究所とともに開発。運転全区間にわたって振り子効果を発揮し、表定速度は最高で106.2km/hとなっている[注 24]
    キハ283系気動車
    1995年。ベースとなったキハ281系気動車からエンジンの出力を増大し、5段変速機や自己操舵台車を装備し、最大傾斜角も6度まで拡大した。これによって曲率半径600mで本則+30km/hの営業運転を行っているが、設計上は本則+40km/hも可能とされている。当初は特急「スーパーおおぞら」に投入され、1998年からは「スーパー北斗」、2000年には「スーパーとかち」にも使用されるようになった。
  • JR東日本
    E351系電車
    1993年。特急「スーパーあずさ」として使用、制御付き振り子列車最長の12両編成で運転されていた。パンタグラフは台車直結の支持台に載せる方式が考案され、後に883系885系でも採用された[25]。最初に製作された2編成は1996年に量産化改造が施され、1000番台を名乗っていた。
    2018年3月16日をもって定期運用から撤退し、同年4月7日のさよなら運転後に全車引退した。
  • 智頭急行
    HOT7000系気動車
    1994年。JR四国の2000系気動車をベースに設計された。京阪神鳥取を短絡する特急「スーパーはくと」に使われ、従来より大幅なスピードアップを果たした。
  • JR東海
    383系電車
    1994年。381系電車の後継として開発。曲率半径600mで本則+35km/hの125km/hの運転を可能としたほか、381系で長期試験が実施されていた自己操舵台車が本格採用され、軌道保守負担の大幅な軽減に貢献した。特急「しなの」に使用されている。
  • JR九州
    883系電車
    1994年。同社初(営業用交流電車としては日本初)の制御付き振り子車両で、本則+30km/hの運転が可能。インテリア・エクステリアともに独特のデザインが特徴。パンタグラフを台車直結の支持台に載せている。特急「ソニック」に使用。
    885系電車
    1999年。当初は特急「かもめ」に投入され、2001年からは特急「ソニック」にも運用されている。運用される列車は「白い○○」と呼称される。
  • JR西日本
    283系電車
    1996年。紀勢本線(きのくに線)特急「くろしお」系統の更なる速達化のため、JR西日本が自社では最初に開発。本則+30km/hの運転が可能だが、設計上は本則+35km/hも可能とされている。同時期に誕生したJR東海の383系電車などとは異なり、自己操舵台車は装備しない。
    キハ187系気動車
    2001年。山陰地区内のローカル特急用に開発。JR四国の2000系を基礎とする一連の制御付き振り子式気動車の1つであるが、制御系の設計は電車と気動車で共通化されたJR西日本標準のものに変更されている。特急「スーパーおき」・「スーパーくにびき→スーパーまつかぜ[注 25]に投入され、2003年からは岡山と鳥取を短絡する特急「スーパーいなば」にも使われている。なお、山口線内では振り子装置を停止している。

強制車体傾斜式

  • JR東日本
    E991系電車
    1995年。在来線の速度向上試験車両「TRY-Z」として開発された。3両編成で前後非対称の交直流電車。最高速度160km/h(設計最高速度は200km/h)、曲線で本則+45km/hを目指して1995年から中央線・常磐線でテストされていた。試験終了後の1999年3月27日に廃車。強制傾斜式を採用することで振子中心位置を自然振子式よりも低くして、輪重変動を抑制することを主な目的としていた[37]

空気ばねによる車体傾斜

  • JR北海道
    キハ201系気動車
    1996年。札幌近郊の快速普通列車で使用されている。JR北海道では初の空気ばねによる車体傾斜車両。下記の261系気動車のパイロットモデルとしての役割も兼ね、大馬力機関を2基搭載し、同社731系電車との協調運転機能を持つ。最大傾斜角は2度。
    キハ261系気動車
    1999年。ベースとなったキハ201系と同様、車体傾斜制御装置により空気バネの伸縮を制御する強制車体傾斜式として設計された。「スーパー宗谷」(基本番台)と「スーパーとかち」「スーパー北斗」(1000番台)で使用。常用最大傾斜角2度、設計最大傾斜角3度。
    2014年8月30日改正以降は最高速度の引き下げ・軌道への負担軽減に伴い運行される全区間で使用停止措置がとられ、2015年度増備車以降は非搭載とされている[注 26]
  • JR東日本
    E353系電車
    2015年夏以降に量産先行車が落成。2017年12月より営業を開始し、導入から20年経過し老朽化したE351系を置き換えた。最大傾斜角は1.5度であるが[38]、E351系と同等の走行性能を実現している[39]
  • JR四国
    8600系電車
    坂出 - 多度津間で試運転中のJR四国8600系電車(マツE11編成)。2014年5月24日 坂出にて
    2014年6月23日に営業運転開始。予讃線電化区間で運用された2000系気動車の電化区間における取替用。到達時分を確保しながら省メンテナンス化を図る目的で空気バネ車体傾斜方式が採用され、最大傾斜角2度。なお、左右加速度の許容値を2000系・8000系より引き上げているため、それらと同等の曲線通過性能としている。主に「しおかぜ」「いしづち」で使用。
    2600系気動車
    2017年12月2日に営業運転開始。2000系気動車の置き換えを目的に製造。8600系と同様の空気バネ車体傾斜方式が採用されている[40]。最大傾斜角2度。主に「うずしお」で使用。
    試験の結果、カーブが連続する区間を有する土讃線において空気ばね制御に用いる空気容量の確保に課題があることが判明し量産は中止。今後は本系列をベースに車体傾斜装置を振り子方式に変更した2700系を導入する予定である。
  • 名古屋鉄道
    1600系電車
    1999年。主に西尾線系統の特急として運用され、第1編成(1601F)のみ車体傾斜装置を搭載したが、営業運転では車体傾斜装置は使用せず試験目的での使用にとどまった。2008年に1700系に改造された際に装置は撤去されたが、試験の成果は下記の2000系電車に生かされた。
    2000系電車
    2004年中部国際空港連絡特急用。「ミュースカイ」の愛称を持つ。最大傾斜角2度。
  • 小田急電鉄
    50000形電車
    2005年に製造。小田急特急ロマンスカー。「VSE」の愛称が与えられている。国内の連接車両では初採用。各台車の枕ばねに用いられている空気ばねの自動高さ調整弁 (LV : Leveling Valve) に車高制御装置を付加することで空気ばねによる車体傾斜を実現している。最大傾斜角は枕ばね位置を高く設計された連接台車が2度で編成両端のボギー台車が1.8度。車体傾斜によって速度向上は行わず、もっぱら乗り心地の向上に役立てている。
  • 新幹線
    N700系電車(16両編成)
    955形 (300X) での試験結果を基に、JR東海・JR西日本が新幹線初の車体傾斜機構搭載車両として開発。
    第1次高速化として、2005年3月に試作車(Z0編成)が登場し、2007年7月1日から高速化営業運転を開始した。最大傾斜角1度。東海道新幹線区間において、255km/h制限カーブ(R=2500m)を270km/hで通過できる。また、該当車両の同区間最高速度も270km/hに設定。
    第2次高速化として、N700A系電車(G・F編成)の投入、およびN700系(Z・N編成)の改良(X・K編成)が実施され、2015年3月14日から高速化営業運転開始した。最大傾斜角は変わらず1度。東海道新幹線のR=2500mカーブを275km/h、R=3000m以上のカーブを285km/hで通過可能とし、該当車両の同区間最高速度も285km/hに設定された。
    E5系電車・H5系電車
    JR東日本が、東北新幹線の320km/hでの営業運転用に開発した車両。E954形(FASTECH 360 : 最大傾斜角2度)での試験結果を反映して設計され、2011年から営業運転を開始した。最大傾斜角1.5度。
    E6系電車
    JR東日本がミニ新幹線列車の320km/hでの営業運転用に開発した車両。E5系と同様、E955形(FASTECH 360 Z : 最大傾斜角2度)での試験結果を基に設計され、ミニ新幹線では初めて車体傾斜機構を搭載する。2013年から営業運転を開始した。最大傾斜角1.5度。

その他の国による車体傾斜

  • ポルトガル
    アルファ・ペンドゥラール (Alfa Pendular)
    イタリアのETR460型電車がベースだが、軌間は1668mmの広軌で、交流専用 (25kV)。リスボンポルトを結ぶ。
  • スロベニア
    ICS(Intercity Slovenija・310型電車)
    イタリアのETR460がベース。
  • チェコ
    Integral(680型電車)
    イタリアのETR460がベース。SC (SuperCity) として運用される。
  • フィンランド
    S220(VRSm3電車)
    イタリアのETR460がベースだが、軌間が1524mmの広軌を採用している。車体傾斜機構は使われていない[要出典]
  • ノルウェー
    シグナチュール(BM73型電車)
    オスロと、ノルウェー国内の主要都市を結ぶ。日本のかつての電車特急(ボンネット形)にも類似したデザイン。スウェーデンのX2000をベースとしている。
  • クロアチア
    ICN (InterCity Nagibni)
    ドイツの612型気動車 (RegioSwinger) と同一仕様で、ザグレブスプリトを結ぶ。
  • カナダ
    LRC (Light Rapid Comfortable)
    1970年代に製造された強制車体傾斜式列車。現在は客車のみが一般の機関車に牽引される形で運用されており、車体傾斜式車両としての運用は終了している模様。アメリカでも運用されたことがある。
  • 台湾
    TEMU1000型太魯閣号
    2007年5月東部幹線に投入した。JR九州885系をベースにした日立製作所製。
    TEMU2000型普悠瑪号
    2013年2月東部幹線に投入した。N700系などで実績のある車体傾斜装置を採用。日本車輌製造製。
  • 韓国
    TTX (Tilting Train eXpress)
    KTXの恩恵が及ばない地域との時間短縮を行うべく、メーカーと研究所が共同開発を行っている車両。電車方式で、最高速度200km/hを目指し、車体は軽量化のため、航空機で採用されているような複合材料(コンポジット材料)を採用している。既に試作車"Hanbit 200"が登場し、各種試験を実施している。傾斜角度は約8度。
  • 中国
    新時速(シンシースー)
    スウェーデンのX2000を輸入している。

脚注

注釈

  1. ^ 日本国有鉄道の場合、許容される遠心力を0.08G(地表方向の重力の約1/12)以下と規定していた。この数値は、テーブルの上のコップが横に動くか動かないかという程度の遠心力の強さである。なお在来線の本則曲線通過速度はこれの半分に当たる0.04Gを基準に算出されている。
  2. ^ ただし、振り子式車両は概して重心が低いためそもそも脱線しにくい。同じ車両で比べた場合に、車体傾斜機構によって脱線を防ぐことはできないということである。
  3. ^ 側圧増大を抑制するために車体傾斜システムとともに操舵台車を搭載する車両もあるが、軌道が強化されなければ安定した高速走行そのものが困難である。
  4. ^ 逆に幹線区間で半径の小さな曲線がなく、通過速度に対して充分なカント量がある場合も、車体傾斜を動作させる必要はない。
  5. ^ 車体傾斜装置を装備しないJR西日本681系683系等で曲線通過速度を高めているのはこの例である。
  6. ^ 枕ばり(ボルスタ)の下部を円形にして回転できるようにしたもの。
  7. ^ タルゴ・ペンデュラーも小田急の試験車両もともに車体端より外に連接台車の中心があり、ボギー車に比べれば空気ばねを高く設置しやすい。小田急の場合、約2000mmの高さであった。
  8. ^ JR北海道のように単に「車体傾斜」と呼ぶ鉄道会社もある。また「簡易振り子」とは呼ばれても自然振り子式や制御付き自然振り子式を元に簡易構造としたものではない。
  9. ^ ほか、E991系電車の中間車には空気ばねの伸縮差を大きくすることで7度の車体傾斜を実現したロングストローク空気ばねによる車体傾斜が搭載されていた(『ロングストローク空気ばねによる鉄道車両用車体傾斜制御』 (PDF)住友金属技術誌)。
  10. ^ 先頭車両に搭載したジャイロセンサー(角速度センサー)のデータにより曲線を検知して、その後に各車両に搭載された車体傾斜電磁弁により、台車の外軌側の空気ばね内圧を高めて車体を傾斜させる方式。
  11. ^ 予め線路上の曲線部ごとのカント等のすべての情報をあらかじめ車上装置へ組み込まれたマイコンに記録しておき、そこで記録された曲線情報に速度発電機と地上にあるATS地上子(新幹線の場合はトランスポンダ地上子を使用する)を使用して得られる絶対位置情報、速度発電機の検出で得られる速度情報、空気バネの高さの情報を元に、車体傾斜制御装置が傾斜角を計算して各車両に搭載されている車体傾斜電磁弁装置に指令を送り内軌側の空気ばね内圧を低め、外軌側の空気ばね内圧を高めて、車体を傾斜させる方式。
  12. ^ この場合には、空気ばねの高さの数値も計算に入れる。
  13. ^ さらなる車体の小断面化が必要となる
  14. ^ 強制車体傾斜機構が曲線走行で車体傾斜制御中に車体を突然直立状態に戻してしまい、乗客が曲線の外側に投げ出される、あるいは車体傾斜制御の異常で脱線する、といった凄まじい事故が多発した。
  15. ^ 日本国有鉄道運転規則(運輸省令第5号)第120条における「高性能列車」の簡易線以外における線路の分岐に接続しない曲線の場合、および同第121条2項における線路の分岐に接続しない曲線。JRにおいても概ね同じ規定であるが、一部の低速な車両や、低規格の線区においては基本の速度が85km/h以下となる場合がある。
  16. ^ 1989年3月11日ダイヤ改正における651系特急「スーパーひたち」の北千住 - 日立間以降、特別高性能な車両にのみ適用。これ以前は1986年3月11日ダイヤ改正での183系特急「あずさ」の八王子 - 松本間から適用された105km/hが最高であり、さらに以前は95km/hであった。
  17. ^ 1973年7月10日ダイヤ改正における381系特急「しなの」の名古屋 - 中津川間から。
  18. ^ 383系特急「しなの」の名古屋 - 中津川間のみ。その他の制御付き自然振り子式車両はE351系(最高115km/h)を除いて最高120km/hである。
  19. ^ 双方とも非貫通で、高運転台と低運転台によるスタイリングの差以外に着座位置による運転士への影響が比較された。
  20. ^ 車体傾斜車両の投入が望まれる線区は即ち曲線主体の線形であり、最高速度引き上げが難しい。
  21. ^ 最高速度を130km/hに設定し、また591系で成功を収めたチョッパ制御器+直流複巻整流子電動機による発電ブレーキを有効に活用するには、同系列と同様に全電動車方式を採用する必要があり、車両製作・保守コストの点でも変電所負担の点でも望ましくなかった。
  22. ^ このため、名古屋 - 大阪間(東海道本線)では、振り子装置の使用を停止して運用された。
  23. ^ 試作車2両にコロ式を、後に製作した試作車1両にJR四国8000系電車試作車で採用されたベアリングガイド式をそれぞれ採用し比較検討された。
  24. ^ スーパー北斗15号。日本の在来線列車としては最速である。
  25. ^ 2003年に列車名が変更された。
  26. ^ 宗谷本線名寄駅 - 稚内駅は高速化工事が行われなかったため改正以前から車体傾斜装置を非使用としている。

出典

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参考文献

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  • 日本機械学会(編)、1994、『鉄道車両のダイナミクス』、電気車研究会 ISBN 4-88548-074-4
  • 『プロトタイプの世界 鉄道ダイヤ情報別冊 No.280』、交通新聞社、2005年12月
  • 川辺謙一、2009、『図解・新世代鉄道の技術』第1版、講談社(日本語) ISBN 978-4-06-257649-9
  • 谷藤克也『プロが教える電車のメカニズム』、ナツメ社、2011年、ISBN 9784816349904
  • 2009、『鉄道のテクノロジー Vol.4 JR高速特急(振子特急・ディーゼル特急)』、三栄書房 ISBN 9784779607158
  • 佐藤芳彦、1998、『世界の高速鉄道』初版、グランプリ出版 ISBN 4-87687-191-4
  • 野元浩、2013、『電車基礎講座』初版、交通新聞社 ISBN 978-4-330-28012-7
  • 風戸昭人 (2011年). “空気圧制御による鉄道車両の乗り心地向上” (pdf). 横浜国立大学博士論文 甲第1347号. 横浜国立大学学術情報リポジトリ. 2014年6月8日閲覧。

関連項目