智頭急行HOT7000系気動車

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智頭急行HOT7000系気動車
因美線に乗り入れるスーパーはくと(2009年4月 国英 - 河原間)
因美線に乗り入れるスーパーはくと
(2009年4月 国英 - 河原間)
基本情報
製造所 富士重工業
運用範囲 智頭急行智頭線
西日本旅客鉄道東海道本線山陽本線因美線山陰本線
主要諸元
編成 5両編成(中間車増結時は6両編成)
最高運転速度 130(曲線通過+30km/h) km/h
車両定員 44(HOT7000・HOT7010)
49(HOT7020)
60(HOT7030)
58(HOT7040)
42(HOT7050)
自重 40.0
全長 20,800 mm
全幅 2,845 mm
全高 3,440 mm
車体材質 ステンレス
台車 円錐積層ゴム式制御振子ボルスタレス台車(ヨーダンパ付
FU46AD・FU46BD
機関 SA6D125H
機関出力 355ps
変速段 変速1段・直結2段
搭載数 2基 / 両
駆動方式 液体式
編成出力 3550ps
4260ps(6両編成時)
制動装置 機関排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATS-SW・ATS-P
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智頭急行HOT7000系気動車(ちずきゅうこうHOT7000けいきどうしゃ)は、智頭急行特急形気動車である。

概要[編集]

中国山地を通過する智頭急行智頭線および西日本旅客鉄道(JR西日本)因美線は、山岳路線ゆえに急勾配・急カーブが続く区間がある。この高速運転に不適な条件を克服するため開発された、制御付き自然振り子機構装備の高速気動車である。

形式称号のHOTとは、智頭線の沿線である Hyogo(兵庫県)、Okayama(岡山県)、Tottori(鳥取県)3県のローマ字表記の頭文字に由来し、番号の7000は機関出力が約700PSであることに由来する。

構造[編集]

主要機器[編集]

車体はステンレス製である[1]

気動車における振り子機構は、エンジンから台車への動力伝達によって生ずる反作用から困難とされてきたが、2基のエンジンを点対称に配置し、各台車への動力シャフトを逆回転させて回転力を相殺させることで反作用を打ち消し、またカーブ進入時には、遠心力による自然車体傾斜に先行して機械的に車体傾斜を生じさせ、乗り心地の改善を図る「制御付自然振子方式」を採用した。これらの特徴は先行して登場していた四国旅客鉄道(JR四国)2000系に準拠したものである。なお、2000系と異なり、各車の出入口は片側1箇所である。エンジンはコマツ製SA6D125H-1A (355PS/2,000rpm) を各車に2基搭載し[1]液体変速機は変速1段・直結2段式である。現行の営業最高速度は130km/hである[1]

車内[編集]

デビュー当時から先頭車両前部にテレビカメラを設置し、客室の前後端にあるビデオモニターに前面展望映像を映し出している。

このほか、全列車・全車両の車内LED表示器で文字放送(ニュース・天気予報)サービスを2008年11月から開始した。表示区間は「通常の案内表示をしない区間」で、8 - 13箇所(列車による)で表示する。4号車に「文字放送受信機」を設置している[2]

リニューアル[編集]

リニューアル[編集]

2009年までに、全車両に「なごみの空間」をテーマに、シートや内装、トイレなどのリニューアル工事を施工した。リニューアル工事により全列車とも全車両禁煙となり、1・5号車に喫煙ルーム(2009年6月に廃止)が設置された[3]。1号車HOT7010形と貫通型運転台付きHOT7020形車両の携帯電話コーナーは撤去され、飲料の自動販売機が設置された。このリニューアルにより、2008年度グッドデザイン賞「身体の移動 領域部門」を受賞した。

リニューアル車の展示会などは以下の日程で実施された。

  • 2007年8月5日 - 展示会を鳥取駅2番のりばで実施。リニューアル車が公開された。
  • 2008年8月2日 - 展示会を倉吉駅3番のりばで実施。また、試乗会を鳥取 - 智頭間(片道)と智頭 - 大原間を往復する区間で実施。
  • 2008年8月3日 - 展示会を神戸駅1番のりば、京都駅7番のりばで実施。

再リニューアル[編集]

2016年春までで、再びリニューアル工事を施工している。内容は、デッキ部に大型荷物置き場の設置(1・5号車)、多目的室の設置(5号車)、窓側座席にモバイルコンセントの設置、温水洗浄便座の設置・小便器の取り替え(2 - 4号車)。

編成・形式[編集]

以下の6形式がある。HOT7050形はグリーン普通合造車、そのほかは普通車である。先頭車にはトイレは設置されていない。当初は普通車のみであったが、1997年にはグリーン・普通合造車のHOT7050形が登場し、2003年までに6形式・計34両が富士重工業で製造された。

HOT7000形 (Mc1)
7001 - 7005の5両が在籍し、京都方の非貫通型先頭普通車。
HOT7010形 (Mc1')
7011 - 7015の5両が在籍し、鳥取・倉吉方の非貫通型先頭普通車。
HOT7020形 (Mc2)
7021 - 7023の3両が在籍。貫通型先頭普通車で、方向転換することができる。コンパートメントが設置されている。
HOT7030形 (M1)
7031 - 7037の7両が在籍し、中間普通車に使用されている。小便所および和式トイレが設置されている。
HOT7040形 (M2)
7041 - 7048の8両が在籍し、中間普通車に使用されている。バリアフリー対応洋式トイレが設置されている。
HOT7050形 (Mhs)
7051 - 7056の6両が在籍し、中間グリーン・普通合造車となっている。バリアフリー対応洋式トイレが設置されている。

通常は、下表の5両編成を組成する。なお、Mc1・Mc1'・M1の代わりにMc2が組み込まれることがある。多客時は2号車と3号車の間に増2号車としてMc2・M1・M2のいずれかが組み込まれて6両編成で運転されている。初期は7両編成で走ることもあったが、郡家駅のホーム有効長の関係で現在は行われていない。

← 倉吉・鳥取
京都 →
HOT
7010形
HOT
7030形
HOT
7040形
HOT
7050形
HOT
7000形
推移

1994年12月3日現在、5両編成2本と増結・予備用の3両を含めた13両で「スーパーはくと」3往復に充当された[1]

← 倉吉・鳥取
新大阪 →
5両編成
2本
HOT
7010形
HOT
7030形
HOT
7030形
HOT
7040形
HOT
7000形
増結用
3両
HOT
7020形
HOT
7020形
HOT
7040形

車両配置と運用線区[編集]

鶴田駅で見られたHOT7000系の輸送

1994年12月3日に智頭急行線が開業したことにより、特急スーパーはくと」で運用されている。

智頭急行の大原基地の所属であるが、JR西日本の米子支社鳥取鉄道部西鳥取車両支部に常駐しており、管理もJR西日本に委託されている。

運用の開始まで[編集]

1994年10月30日には大阪駅神戸駅で、同年11月3日には大阪駅で車両の展示会が行われた[4]。その後、同年11月20日には大阪 - 大原間で試乗会が行われている[4]

阪神・淡路大震災の影響[編集]

1995年1月17日阪神・淡路大震災が発生し、東海道・山陽本線は神戸市内で不通となった。この際、HOT7000系は姫路 - 和田山間のノンストップ快速に運用された(夜間滞泊のため、回送列車として和田山 - 福知山間でも運転)。

同月23日からは姫路 - 鳥取間で、同年4月1日からは新大阪 - 鳥取間で「スーパーはくと」の運転を再開している[5]

脚注[編集]

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出典[編集]

  1. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻608号、p.110
  2. ^ 「スーパーはくと」FM文字放送の開始について (PDF) - 智頭急行プレスリリース 2008年10月25日
  3. ^ 「スーパーはくと」の喫煙ルーム完成に伴う全席禁煙化について (PDF) - 智頭急行プレスリリース
  4. ^ a b 『JR気動車客車編成表』'95年版 ジェー・アール・アール 1995年 ISBN 4-88283-116-3
  5. ^ 『鉄道ファン』通巻608号、p.109

参考文献[編集]

  • 寺田裕一「新世代第三セクター鉄道 3」、『鉄道ファン』第608号、交友社、2011年12月、 106 - 111頁。

外部リンク[編集]