殺意 (松本清張)

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殺意
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
推理小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出小説新潮』 1956年4月号
出版元 新潮社
刊本情報
収録
出版元 大日本雄弁会講談社
出版年月日 1956年10月
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殺意」(さつい)は、松本清張短編小説。『小説新潮1956年4月号に掲載、同年10月に短編集『』収録の1編として、講談社ロマン・ブックスより刊行された。

過去4度テレビドラマ化されている。

あらすじ[編集]

営業部長・磯野孝治郎は、青酸カリを飲み、部長室の机の上にうつぶせになって死んでいた。自殺を推定する材料はない。狭心症持病を持つ磯野は、製薬会社の見本薬を飲もうとしていた。見本薬の入手経路などから容疑者が浮上するが、その人物に動機が見当たらない上、そもそも石のように堅いその見本薬に、途中で青酸カリを混入する手段があるだろうか?

エピソード[編集]

  • 1964年に著者は「『殺意』は、はっきり推理小説にはいって書きはじめたもので、一種の倒叙ものである」「題材は今ではもう珍しくもなくなっている会社内の出世競争だが、それまでのいわゆる探偵小説にはこういうモチーフはあまり使われていなかった。殺人の動機を平凡な日常生活に求め、そこから犯罪を書いてみたいという気持は前からあったのである」と記している[1]
  • 日本近代文学研究者の吉野泰平は、1955年2月に坂口安吾が没した後、『小説新潮』誌上でミステリを期待する読者の声が高まり、大岡昇平が最初に登場するが不評に終わり、続いて清張が本作を発表し大きな反響を呼んだこと、本作が雑誌掲載時から「推理小説」と銘打たれた著者の最初の作品であることを指摘している[2]

書誌情報[編集]

テレビドラマ[編集]

1958年版[編集]

1958年5月22日、日本テレビ系列の「俳優座アワー」枠にて放映。

キャスト
スタッフ

1960年版[編集]

1960年2月14日、フジテレビ系列の「午後十時劇場」枠(22:00-22:30)にて放映。

キャスト
スタッフ

1963年版[編集]

1963年3月7日と3月8日(22:15-22:45)、NHKの「松本清張シリーズ・黒の組曲」の1作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ

2004年版[編集]

松本清張特別企画
殺意
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『殺意』
脚本 林誠人
演出 難波一弘
出演者 高島礼子ほか
製作
プロデューサー 丹羽多聞アンドリウ
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2004年10月11日
放送時間21:00 - 22:54
放送枠月曜ミステリー劇場
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松本清張特別企画・殺意」。2004年10月11日TBS系列の「月曜ミステリー劇場」枠(21:00-22:54)にて放映。女性刑事・琴塚七海を主人公に設定している。

キャスト
スタッフ

登場人物の名前について[編集]

TBS系列 月曜ミステリー劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張特別企画
殺意
(2004.10.11)

脚注・出典[編集]

  1. ^ 『松本清張短編全集』4(1964年、光文社)巻末の著者による「あとがき」参照。
  2. ^ 吉野泰平「松本清張と「文学」をめぐる言説配置 : 「小説新潮」から「純文学論争」へ」『昭和文学研究』第73巻、昭和文学会、2016年、121-133頁、CRID 1390575661578399872doi:10.50863/showabungaku.73.0_121ISSN 0388-3884 

外部リンク[編集]