水の炎

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水の炎
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
発表形態 雑誌連載
初出情報
初出女性自身1962年1月1日 - 12月17日
出版元 光文社
挿絵 生沢朗
刊本情報
刊行 『水の炎』
出版元 光文社
出版年月日 1963年7月20日
装幀 伊藤憲治
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水の炎』(みずのほのお)は、松本清張の長編小説。『女性自身』に連載され(1962年1月1日号 - 1962年12月17日号)、1963年7月に光文社カッパ・ノベルス)から刊行された。恵まれた環境で生きてきた女性が、生活の危機を経て、自分の生きる道を選びとってゆく、心の遍歴を描く長編ロマン。

過去3度テレビドラマ化されている。

あらすじ[編集]

塩川信子と夫・弘治との間には心の距離が生じていた。満たされないものを感じつつ、信子は今の生活にないものを求め、大学の通信課程で学んでいたが、夏季のスクーリングで、担当教師の浅野助教授と出会う。野心家の夫と異なり、世間擦れしたところのない浅野に、信子は新鮮なものを感じるが、浅野のほうは信子に惹かれ、彼女を激しく求めるようになる。

弘治は、大学助教授の浅野が妻の信子に気持ちを寄せているのに気づいた。愛人の成沢枝理子から結婚を迫られていた弘治は、彼女を使い、信子と浅野の密会証拠を偽造、信子の不貞を離婚の口実にしようとはかる。その一方で弘治は、伊豆長岡にある信子の実家に赴き、信子の父に、自分が関わる開発事業へ巨額の出資をさせようとする。信子の両親は、娘の家庭を心配しつつ、婿の出資の求めに応じてしまう。

危機の行き着いた果てに、信子がとった選択は…。

主な登場人物[編集]

  • 原作における設定を記述。
塩川信子
裕福な家庭に育ち、知的でエレガントな雰囲気を持つ本作の主人公。T塾大を卒業後、銀行の御曹司と結婚、専業主婦となり、周囲から幸せな女性と思われているが…。
塩川弘治
信子の夫で、東都相互銀行の若手常務。父の設立した銀行で重きをなし、仕事の腕も切れると評判だが、尋常ではない向上心をもち、保守的な社風に満足できず、さらなる野心を抱いている。
浅野忠夫
L大学経済学部助教授。これまで学問一途で過ごしてきた。信子に惹かれ、アプローチをかけるが…。
成沢枝理子
弘治の大阪勤務時代以来の愛人。弘治との結婚を望んでいる。
徳山岩雄
オリエント観光専務。私鉄界に君臨する「是土慶次郎」に接近、観光開発計画で利益を得ようと図っている。
川田美代
信子の学生時代からの親友。能力に見合わない地味な生活をしていると信子には映る。

テレビドラマ[編集]

1964年版[編集]

1964年1月20日から4月18日まで(13:20-13:35→13:15-13:30)、日本テレビ系列にて全78回の連続ドラマとして放送。

キャスト
スタッフ
日本テレビ 月~土13:20 - 13:35枠
前番組 番組名 次番組
水の炎
(1964年1月~3月)
水の炎
(13:15 - 13:30)
月-健康増進時代
火-きものに生きる
水-お茶の間試写室
木-育児テスト
金-奥様こんにちは
(以上13:30 - 13:45)
土-土曜プレゼント
(13:30 - 14:30)
『土プレ』以外は全て15分繰上げ
日本テレビ系 月~土13:15 - 13:30枠
夜は新しく
(13:00 - 13:20)
水の炎
(13:20 - 13:35)
水の炎
(1964年4月)

1971年版[編集]

1971年4月5日[1]から6月25日まで(13:45-14:00)、TBS系列にて全65回の連続ドラマとして放送。CBC制作昼の連続ドラマ

キャスト
スタッフ
中部日本放送制作 昼ドラマ
前番組 番組名 次番組
-
水の炎
(1971.4.5 - 6.25)
紬の女
(1971.7.5 - 10.1)

1976年版[編集]

1976年7月5日から10月29日まで、毎日放送制作・TBS系列の「妻そして女シリーズ」枠(13:30-13:45)にて全85回の連続ドラマとして放送。

キャスト
スタッフ
毎日放送制作 妻そして女シリーズ
前番組 番組名 次番組
女の報酬
(1976.3.1 - 7.2)
水の炎
(1976.7.5 - 10.29)
女の運命
(1976.11.1 - 1977.3.11)

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 婦人生活』第25巻第4号、婦人生活社、1971年4月1日、190 - 191頁、NDLJP:2324759/81