エスワティニ

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エスワティニ王国
Umbuso weSwatini (スワジ語)
Kingdom of Eswatini (英語)
スワジランドの国旗 エスワティニの国章
国旗 国章
国の標語:Siyinqaba
(スワジ語: "我々は巨大な要塞なり")
国歌おお神よ、スワジに祝福を与えたまえ
スワジランドの位置
公用語 スワジ語英語
首都 ムババーネ
最大の都市 マンジニ
政府
国王 ムスワティ3世
首相英語版 マンドヴロ・アムブロセ・ドラミニ英語版
面積
総計 17,363km2153位
水面積率 0.9%
人口
総計(2012年 1,070,000人(152位
人口密度 67人/km2
GDP(自国通貨表示)
合計(2008年 234億[1]リランゲニ
GDP (MER)
合計(2008年 28億[1]ドル(143位
GDP (PPP)
合計(2008年57億[1]ドル(145位
1人あたり 5,635[1]ドル
独立
 - 日付
イギリスより
1968年9月6日
通貨 リランゲニ (SZL)
時間帯 UTC +2DST:なし)
ISO 3166-1 SZ / SWZ
ccTLD .sz
国際電話番号 268

エスワティニ王国(エスワティニおうこく)、通称エスワティニは、アフリカ南部に位置する立憲君主制国家イギリス連邦加盟国のひとつで、周囲を南アフリカ共和国モザンビークに囲まれた内陸国[2]。首都はムババーネである。

かつては「スワジランド王国」という国名であったが、2018年4月19日に現在の「エスワティニ王国」と改めることを宣言した(国名の節を参照)[2]

国名[編集]

正式名称は英語で、Kingdom of Eswatini(キングダム・オブ・エスワティーニ)。通称、Eswatini。国民・形容詞とも Swazi と表記。1968年に独立したがイギリス領時代の国名を変更せずそのまま継続した経緯があった。[2]

日本語の表記はエスワティニ王国、通称はエスワティニ

1968年9月6日にイギリスより独立した際の国名はスワジランド王国 (Kingdom of Swaziland) で、これは「スワジ人の国」という意味から付けられた。しかし現地語である「スワジ」と英語の「ランド」を掛け合わせた言葉であるために一部の国民からの不満があったことを受けて[2]、2015年からスワジ議会でも国名変更について審議された[2]。2018年4月19日、国王のムスワティ3世マンジニで執り行った独立50周年記念式典での演説に於いて「私はこの国の名前を元に戻す」として、国名を現地語に則り「エスワティニ王国(Kingdom of Eswatini)」と改めることを宣言した。これはスワジ語で「スワジ人の場所」という意味になる[2]

日本国の法令上の変更については、2019年2月12日に閣議決定し、国会に提出された法案[3]により「エスワティニ」で変更されることになった[4]

歴史[編集]

政治[編集]

第8代国王ムスワティ3世

エスワティニは国王国家元首とする君主国で、形式的には立憲君主制だが実際には憲法で国王の強大な権力が保障されており、政府の要職の多くも王家が占めるなど絶対君主制の様相を呈している。現行憲法は2005年7月に制定され、2006年2月8日に施行されたもの。

国王の位はドラミニ家英語版により世襲されており、司法立法行政三権の上に立ち軍隊統帥権を持つ。国王の輔弼機関として王室諮問評議会が存在し、国王が幼少や病弱などの理由で政務を執る事が出来ない場合は王室の中から摂政が任命され、国王の権限を代行する。

行政府たる内閣首相により率いられる。首相は国王が王室諮問評議会の助言をもとに下院議員の中から任命し、閣僚は首相の助言に基づき国王が任命する。首相職はスワジランド独立前年の1967年5月16日より存在する役職だが設置以来、ドラミニ家の人物が就任している(一時的な首相代行者は除く)。政府の要職もドラミニ家の人物か、もしくはそれに極めて近い人物に割り当てられている。

立法権は国王に属している。だが、リバンドラと呼ばれる両院制議会が存在し、国王の立法における諮問機関としての役割が与えられている。リバンドラは上院と下院により構成される。上院は定数30議席で、うち20議席が国王による任命枠、残り10議席は下院による選出枠である。下院は定数82議席だがそのうち12議席は現在空席となっており、実際には70議席で運営されている。55議席は民選枠、残り10議席は国王による任命枠、4議席は女性議員枠、1議席は司法長官の議席である。両院とも任期は5年。

下院選挙55議席の民選枠はエスワティニを構成する4地方(地方行政区分の項目参照)が選挙区割りとなっており、マンジニ地方に16議席、ホホ地方に14議席、シセルウェニ地方に14議席、ルボンボ地方に11議席が割り振られている。同様に女性議員枠も、4地方から各1名ずつが選出される。

エスワティニの政党は、ドラミニ家による王政を支持する王党派インボコドボ国民運動英語版(INM)以外は非合法でINMの党首はドラミニ家の人物。ングワネ民族解放会議英語版(NNLC)と人民統一民主運動英語版(PUDEMO)が国王専制に反対する実質的な野党勢力として機能しているが、政府による厳しい取締りを受けている。

司法機関は上級裁判所最高裁判所を頂点としており、両裁判所とも裁判長は国王により任命される。

首都のムババーネには政府機関、上級裁判所、最高裁判所が存在し、王宮とリバンドラはロバンバにある。

エスワティニは2018年現在、中華民国台湾)を承認している唯一のアフリカの国でもある。

地方行政区分[編集]

エスワティニの地図

エスワティニの地方行政区分は、北部のホホ(Hhohho)、中部のマンジニ(Manzini)、南部のルボンボ(Lubombo)、そして東部のシセルウェニ(Shiselweni)の4地方(District)に分けられている。

主要都市[編集]

最大都市は国土のほぼ中央にある交通の要衝で商工業の中心地であるマンジニであり、次いで行政首都であるムババーネが大きい。立法の首都であるロバンバには王宮が置かれているものの、人口は10000人程度である。

地理[編集]

エスワティニの風景
エスワティニの標高図

内陸国で、西部には標高1200m以上の山地が広がる。地形は全般に西の高地から東の低地へと傾斜しており、もっとも標高の低い東端地域では標高150m程度にまで高度が下がる。降水量は標高とほぼ比例し、西部は年間降水量が1900mmにのぼる地域があるのに対し、東部の雨量は500mm程度にすぎない[5]

降雨量と標高により、国土はハイベルト、ミドルベルト、ローベルトの3つに大きく分けられる。西部のハイベルトは雨量が多く、植林が進められている地域である。中部のミドルベルトは穀物栽培と畜産が行われ、降水量の少ない東部のローベルトは牧草地となっており牧畜が盛んである。

国自体の起伏が激しい上に降水量が多いため、植生が豊かで風景は変化に富んでいる。国土には東西に北からコマチ川ムブルジ川ウスツ川英語版イングワブマ川英語版の4つの大きな河川が流れ、国土を潤している[5]

経済[編集]

2018年の国内総生産は47億ドル(2018年)[6]、2018年の一人当たり国民所得は3850ドル[7]である。南部アフリカ関税同盟に加盟しているため、南アフリカなど加盟諸国間の貿易は無関税であり、また域外諸国からの関税を共通徴収している。同盟からの分配金はエスワティニ財政にとって非常に重要であり、1999年にはこの分配金が国家歳入の50%を占めた[8]

かつては南アフリカアパルトヘイトが実施されていたころ、スワジランドには経済制裁を潜り抜けるために南アフリカの企業が進出し、工業生産や貿易を行っていた。そのため、他のアフリカ諸国に比べれば工業の経済にしめる割合は高く、それなりに多角化された経済を持っている。

鉄道は、南アフリカの鉄道と連絡して国土東部ジャネイニからラブミサまで縦断する路線と、途中のムパカからモザンビーク国境へ抜ける路線、それにプズモヤから中央部のマツァパまで伸びる路線からなり、総延長は301㎞である。鉄道利用はエスワティニ国内貨物と関係ない貨物通過輸送が大半を占め、なかでも南北縦断線は南アフリカ北部のトランスヴァール地方から同国の主要貿易港であるダーバン港へと抜ける短絡線となっているため、特に輸送が多い[9]

国際関係[編集]

エスワティニは、2019年時点でアフリカで唯一中華民国台湾)と外交関係を持つ(同時に中華人民共和国と外交関係を持たない)国である。

日本との関係[編集]

  • 在留日本人数 - 14名(2017年10月現在、外務省)[10]
  • 在日エスワティニ人数 - 10名(2016年10月現在、法務省)[11]

エスワティニは日本に大使館を有しておらず、在マレーシア大使館が兼摂している。また在エスワティニ日本大使は在南アフリカ大使が兼摂している。

国民[編集]

伝統的なダンスを踊るスワジ人のグループ

民族[編集]

国民の大半はスワジ人が占めており、その他にズールー人や非アフリカ人もわずかにいる。

言語[編集]

公用語はスワジ語(シスワティ)と英語[12]

宗教[編集]

宗教は、プロテスタントが35%、キリスト教と混合した現地宗教が30%、ローマ・カトリックが20%などとなっている[13]

教育[編集]

2015年の識字率は87%である[14]

保健[編集]

エイズ蔓延と治安の悪化による影響で2008年の平均寿命は男41歳・女43歳[15]、2007年の15〜49歳のHIV感染率は約25%である[16]。詳細についてはスワジランドにおけるHIV/AIDSを参照のこと。

文化[編集]

エスワティニでは一夫多妻制が認められていて、現国王のムスワティ3世は2013年時点で14人の妻を娶っている[17]。前代の国王であったソブーザ2世(1899年 - 1982年)も70人の妻を娶り、そこから生まれた王子・王女は210人にもおよんだ[18]

祝祭日
日付 日本語表記 現地語表記 備考
9月6日 独立記念日

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d IMF Data and Statistics 2009年7月18日閲覧([1]
  2. ^ a b c d e f "スワジランド、国名を「エスワティニ」に 英語排除し現地語回帰". AFP BB NEWS Japan. 株式会社クリエイティヴ・リンク. 2018-04-20. Retrieved 2018-04-20.
  3. ^ 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
  4. ^ 第198回国会提出法律案一覧
  5. ^ a b 「週刊朝日百科世界の地理109 南アフリカ共和国・レソト・スワジランド」朝日新聞社 1985年11月24日 p11-244
  6. ^ [2]
  7. ^ [3]
  8. ^ 「南アフリカとの密接な経済関係」西浦昭雄/池谷和信編著 『ボツワナを知るための52章』 明石書店 2012年 159-160ページ
  9. ^ 「世界の鉄道」p373 一般社団法人海外鉄道技術協力協会著 ダイヤモンド・ビッグ社 2015年10月2日初版発行
  10. ^ 外務省 エスワティニ基礎データ
  11. ^ 外務省 エスワティニ基礎データ
  12. ^ 「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版 世界各国要覧と最新統計」p284 二宮書店 平成28年1月10日発行
  13. ^ 「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版 世界各国要覧と最新統計」p284 二宮書店 平成28年1月10日発行
  14. ^ 「データブック オブ・ザ・ワールド 2016年版 世界各国要覧と最新統計」p284 二宮書店 平成28年1月10日発行
  15. ^ WHO>Countries>Swaziland 2009年7月18日閲覧 [4]
  16. ^ WHO>Countries>Swaziland>HIV/AIDS epidemiological fact sheet 2009年7月18日閲覧 [5]
  17. ^ 交通事故で王の花嫁候補38人が死亡し、スワジランドafpbb、2016年10月10日閲覧。
  18. ^ Swaziland National Trust Commission. “Succession In Swazi Kingship”. Sntc.org.sz. 2013年11月28日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

政府
日本政府
観光