ユーカリ

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ユーカリ属
Starr 031214-0076 Eucalyptus globulus.jpg
ユーカリ(Eucalyptus globulus
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 core eudicots
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ上群 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : rosid II / Malvidae
: フトモモ目 Myrtales
: フトモモ科 Myrtaceae
: ユーカリ属 Eucalyptus
学名
Eucalyptus L'Hér [1]
タイプ種
Eucalyptus obliqua [1]
  • 本文参照
Distribution.eucalyptus.png
自生地

ユーカリフトモモ科ユーカリ属Eucalyptus)の樹木の総称。常緑高木となるものが多い。

和名のユーカリは、属名の英語読み「ユーカリプタス」を短縮したもの。学名の語源は eu-(真に・強く・良く)+ kalyptós(〜で覆った)、つまり「良い蓋」を意味するギリシア語ラテン語化したもの。のがくと花弁が合着して蓋状となること、あるいは乾燥地でもよく育って大地を緑で被うことに由来して命名されたとされる。中国語や漢語では「桉樹」と書く。

なお、CorymbiaAngophora 等の近縁の数属もユーカリに含めることがある[要出典]

特徴と分布[編集]

オーストラリア南東部や南西部、タスマニア島におもに分布する。後述のように、世界各地で移植・栽培されている。ユーカリには500種類もあり、変種も含めると800から1000もの種類になる。成長がとても早く、材木として注目される。70メートルを超える高さになるものから、5メートル程で枝分かれする種類もある。コアラの食物としてよく知られている。

オーストラリア先住民アボリジニ)は傷を癒すのに葉を利用した。葉から取れる精油は殺菌作用や抗炎症作用、鎮痛・鎮静作用があるとされ、医薬品やアロマテラピーなどに用いられる。また、健康等としても利用される。ただし、ハーブや精油としての利用は、サプリメント薬物との相互作用の懸念があると考えられている[2]

ユーカリは、を非常に深くまで伸ばし地下水を吸い上げる力が強いので、成長が早い。インド北部のパンジャーブ地方の砂漠化した地域の緑化に使われて、成功した。旱魃(カンバツ)に苦しんでいた地方が5年程で甦った例がある(参照:杉山龍丸)。また東南アジアでは熱帯林を伐採した跡の緑化樹として用いられている。

日本でも鑑賞用などとして栽培・出荷する農家が増えている。ユーカリの近くに植えた他の農作物で鳥獣の食害が減る効果もあり、ユーカリが放つ独特の香りが作用している可能性もある[3]。ユーカリは用土の乾燥を好む品種が多く、日本で良く見かける品種のほとんどが湿地帯に生息する湿潤を好む品種である。

オーストラリアでは自然発火による山火事が多いが、ユーカリがその一因である。ユーカリの葉はテルペンを放出するが、気温が高いとその量が多くなるので、夏期にはユーカリ林のテルペン濃度はかなり上昇する。テルペンは引火性であるため、何かの原因で発火した場合、燃え広がり山火事になるのである[4]。樹皮が非常に燃えやすく、火がつくと幹から剥がれ落ちるので、幹の内側は燃えずに守られる[5]。根に栄養をたくわえており、火事の後も成長し続けることができ、新しい芽をつけることもできる[5]

初期成長が早いことが注目され、人工林の樹種として利用されてきた。ブラジルでは、植栽してから6年-7年で製紙用のパルプとして収穫が生産が可能であり、ユーカリの大規模な植林地が造られている[6]

発芽方法[編集]

オーストラリアの気候は乾燥しており、山火事が頻繁に起こる。ユーカリの種は、山火事を経験した後の降雨により発芽すると言われている。人工的にこの条件を満たすには、フライパンで種をさっと煎ったり、熱湯をかけたり、用土を燻煙処理したりする。ただし特別な処理を行なわなくても発芽する種類がほとんどである。

主な種[編集]

和名は特に断りがない限り「米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)による。

利用[編集]

パルプ原料[編集]

ユーカリプタス・グランディス

ユーカリはオーストラリアの原産で、森の木の4分の3がユーカリと言われる。近年、ユーカリプタス・グランディス英語版(E. grandis)を中心に製紙パルプ用のチップ生産に使われ輸出もされているが、これによってユーカリの森林破壊が進み、有袋類の生息環境が危機にさらされている。

中華人民共和国広東省広西チワン族自治区海南省などでも、製紙用原料として広く植樹が行われている。ブラジルでは、ミナスジェライス州に本社を持つパルプ製造会社セニブラ社が10万ha以上の自社林にユーカリを植栽し、7年サイクルで伐採を行い自社製品の原料としている。

精油[編集]

ユーカリプタス・ラディアータ

ユーカリプタス・グロブルス英語版から抽出されたユーカリ油英語版は、イギリスで医薬品として認証されており、気道のカタル性炎症(内服、外用)やリウマチの諸症状(外用)に利用される[14]。分泌腺の機能亢進、去痰、おだやかな鎮痙効果・局所的充血作用などの効能があり、のど飴や吸入剤、塗布剤、軟膏、消毒薬などに用いられる。咳を静め痰を減らす効果があるとして、気管支炎インフルエンザなどの時に、吸入などの方法で利用されることもある。

香料としても歯磨きや菓子などに調合されている。また、防腐効果が見られる。

ユーカリ油に含まれる成分はシネオールピネンシトロネラール、など。市販されるユーカリプタス・グロブルス、ユーカリプタス・ラディアータ英語版精油は非常に安価であるため、合成成分の添加などの偽和はほとんど行われない[14]。ユーカリプタス・グロブルス、ユーカリプタス・ラディアータ以外のユーカリ属の精油は、毒物学的な試験は行われていない[14]

禁忌・中毒[編集]

ヒトに外用に用いた場合、一般に毒性・感作性・光毒性はないとされるが、外用した場合に精油成分が呼吸器から吸収される可能性がある。内服や蒸気発生装置などでの利用で中毒が見られ、内服で複数の致死例が報告されている[14]喘息患者の気管支炎を悪化させる可能性がある。特に乳幼児への使用は危険であり、近くでの使用も避けるべきである。アメリカのメリーランド大学のMedical Centerは、6歳未満の幼児に精油を含むのど飴を与えたり、吸入させたり、顔の近くで精油を含む製品を使うこと、また大人が精油を内服するなどは、行うべきでないとして注意を促している[2]。ユーカリは精油・ハーブ共に医師の指導の下で使用すべきであり、特に喘息脳卒中肝臓病腎臓病低血圧、妊娠中、授乳中の人、抗がん剤フルオロウラシルを使用中の人は、医師や植物医学分野の有資格者に相談することなく使用しないよう警告している[2]

緑化[編集]

アルカリ性土壌でも強く育つため、土壌がアルカリ性になっている乾燥地帯の緑化に使われることが多い。また、土壌をアルカリ性から酸性へと移行する。そのため、酸性の土壌に育てた場合、土壌の酸性が強くなりすぎる場合がある。

コアラの食料[編集]

ユーカリを食べるコアラ

ユーカリはコアラの食料として知られる。コアラが食べるユーカリの種類は限られており[15]、新芽のみをエサとする。600種類以上あるユーカリのうち、コアラが食べるのは40種類ほど。それぞれのコアラが食べるのは、生育する地方に生える14種類ほどである。[16][17]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b c 米倉・梶田 (2003-) では Eucalyptus botryoidesE. ficifoliaE. microtheca の3種に「アカバナユーカリ」という和名が割り当てられ、これらの文献情報欄には「Hatus., Woody Pl. Jap.: 440 (1976, njn).」が共通して挙げられている。熱帯植物研究会 (1996) では E. ficifolia ただ1種のみに「アカバナユーカリ」の名があてられている。

出典[編集]

  1. ^ a b Eucalyptus Tropicos
  2. ^ a b c Eucalyptus University of Maryland Medical Center
  3. ^ ユーカリ栽培広がる/色・形 鑑賞用で人気『日本経済新聞』夕刊2018年1月17日(社会面)
  4. ^ 自然発火の仕組み | みんなのひろば | 日本植物生理学会
  5. ^ a b すごい自然のショールーム 火事と共に生きるユーカリ ネイチャーテック研究会, 東北大学大学院 環境科学研究科
  6. ^ アマゾンで植林・チップ生産輸出事業に取り組む 日本ブラジル中央協会 2017年12月16日閲覧
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m 『熱帯植物要覧』熱帯植物研究会、養賢堂、1996年、第4版。ISBN 4-924395-03-X
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m コリン・リズデイル、ジョン・ホワイト、キャロル・アッシャー 著、杉山明子、清水晶子 訳『知の遊びコレクション 樹木』新樹社、2007年。978-4-7875-8556-1(原書: Eyewitness Companions: Trees, Dorling Kindersley, London, 2005.)
  9. ^ a b c Hassler, M. (2019). World Plants: Synonymic Checklists of the Vascular Plants of the World (version Nov 2018). In: Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 2019 Annual Checklist (Roskov Y., Ower G., Orrell T., Nicolson D., Bailly N., Kirk P.M., Bourgoin T., DeWalt R.E., Decock W., Nieukerken E. van, Zarucchi J., Penev L., eds.). Digital resource at http://www.catalogueoflife.org/annual-checklist/2019 Species 2000: Naturalis, Leiden, the Netherlands. ISSN 2405-884X
  10. ^ a b c World Flora Online, http://www.worldfloraonline.org/, 05 May 2019
  11. ^ a b c d e f アレン・コーンビス 著、濱谷稔夫 翻訳・監修『木の写真図鑑 完璧版』日本ヴォーグ社、1994年。4-529-02356-7
  12. ^ E.J.H. Corner、渡辺清彦『図説熱帯植物集成』廣川書店、1969年、539頁。
  13. ^ a b c d e f g h i 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info (2019年5月5日).
  14. ^ a b c d マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
  15. ^ 母親コアラの食性に準ずる
  16. ^ ユーカリのうた:コアラ来日25周年 毎日新聞 2009年10月21日 地方版
  17. ^ コアラの飼育 油家謙二 天王寺動物園

関連項目[編集]

外部リンク[編集]