東葉高速鉄道

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東葉高速鉄道株式会社
Tōyō Rapid Railway Co.,Ltd.
本社
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
276-0049
千葉県八千代市緑が丘1-1120-3
設立 1981年(昭和56年)9月1日
業種 陸運業
法人番号 9040001021025 ウィキデータを編集
事業内容 旅客鉄道事業 他
代表者 代表取締役社長 髙梨國雄
資本金 527億3,000万円(2014年4月1日現在)
売上高 154億8,667万3,000円(2014年3月期)[1]
営業利益 55億0,932万4,000円(2014年3月期)
純利益 15億3,184万0,000円(2014年3月期)
純資産 △290億9,539万6,000円(2014年3月期)
総資産 2,640億1,624万5,000円(2014年3月期)
従業員数 298人(2012年4月1日現在)[2]
決算期 3月31日
主要株主 千葉県 32.8%
船橋市 24.9%
八千代市 22.2%
東京地下鉄 12.7%
京成電鉄 2.1%
東武鉄道 0.7%
新京成電鉄 0.7%
みずほ銀行 0.5%
三井住友信託銀行 0.4%
三菱東京UFJ銀行他20者 2.9%(2015年4月1日時点)[3]
外部リンク www.toyokosoku.co.jp/
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東葉高速鉄道株式会社(とうようこうそくてつどう)は、千葉県内で第三セクター鉄道である東葉高速線を運営している鉄道事業者。本社と車両基地(八千代緑が丘車両基地)は千葉県八千代市に所在する。

「高速鉄道」とあるも、新幹線のような高速鉄道ではなく都市高速鉄道を意味する[4]

概要

東葉高速線は、元来は京成本線の混雑解消路線として計画され、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄〈東京メトロ〉)東西線の延伸区間として、当初は「営団勝田台線」と呼ばれた(詳細は「東京メトロ東西線#開業までの沿革」を参照)。しかし、京成電鉄が、オイルショックの影響による不動産投資・地域開発分野で大幅な損失を計上したことや、新東京国際空港(現・成田国際空港)の開港の遅れにより業績を悪化させたことに考慮して、当時の運輸省が一時的に計画を凍結し、さらに営団側が「東京のテリトリーから大きく外れる」として申請を取り下げた。当時、地元は営団経営による延長を主張していたが、結局は第三セクター方式で建設されることとなった。この原案は1965年頃に本八幡駅 - 船橋市行田団地 - 習志野駅 - 八千代市萱田間を予定経路として行われた地下鉄10号線(現・都営地下鉄新宿線)の千葉県内延長調査が元となっている。なお、計画凍結中の運行案として、京成電鉄の短絡路線とする計画もあったが、同社がこれを拒否したため実現しなかった。

建設にあたり、当初より地権者の抵抗もあって用地買収は難航した。当時、千葉県の収用委員会が機能していなかったこと[5]が拍車をかけたと言われている。さらに、手抜き工事によるトンネル陥没事故や、バブル期の土地高騰のあおりを受けて、建設費が当初予定をはるかに上回る結果となった。近年の営業収支は黒字で推移しているが、その黒字額では建設時の債務の利払いにも足りず、経常収支は赤字であり、負債額は年々増加している。そのため、東日本旅客鉄道(JR東日本)の電車特定区間運賃の約2.5倍となる高額な運賃となっている(「運賃」の節も参照)[6]。この東葉高速鉄道の経験が、後の様々な助成制度の整備やつくばエクスプレスの成功につながったと言われている。

2006年3月末現在のデータで全国の第三セクター鉄道の中でもっとも債務超過額が多くなっている[7]。2008年3月期決算では、売上高は約152億5,000万円、営業損益は約47億4,000万円の黒字であるが、約5億円の経常損益の赤字があり、累積赤字は約846億8,000万円になっている。その後もしばらく「売上高が150億円強で営業損益は黒字であるが経常損益・純損益が赤字」という状況が続いたが、2011年3月期(2010年度)決算にて、支払利息の低減などにより開業以来初めて経常損益・純損益が黒字に転じた [8]。その一方で、累積赤字額については一時増加に転じていたこともあり、2013年3月期決算でも約833億5,723万円と改善は僅かにとどまっている[9][10]

経営状況
営業収益 営業利益 経常利益 純利益 繰越利益剰余金
(累積赤字)
長期債務残高 純資産
2007年度 △4億8493万円 △3億4792万円 △846億7857万1000円 △498億7857万0000円
2008年度 △3億4701万円 △3億2212万円 △850億0068万8000円 △477億8068万8000円
2009年度 △3893万円 △4314万円 △850億4382万5000円 △454億0382万5000円
2010年度 150億6400万円 46億4300万円 1億6800万円 3億9800万円 △846億4486万3000円 3043億8500万円 △417億5486万3000円
2011年度 149億600万円 44億7100万円 3億1100万円 3億700万円 △843億3783万5000円 2975億9400万円 △381億9783万5000円
2012年度 151億7200万円 50億5000万円 10億8100万円 9億8000万円 △833億5723万7000円 2916億円 △339億1723万7000円
2013年度 154億8600万円 55億900万円 16億6400万円 15億3100万円 △818億2539万6000円 2853億9600万円 △290億9539万6000円
2014年度 [11] 152億6000万円 53億1100万円 17億7100万円 12億6200万円 △805億6252万7000円 2789億6100万円 △245億4252万7000円

2007年度初頭まで、京成本線との乗り換えで成田国際空港まで早く着くことをセールスポイントとして「味な近道」というキャッチコピーでPRしていた。開発により沿線地域のベッドタウン化が進んだこともあり、収益は改善が進む傾向にある。

現在では旅客以外の収入にも力を入れており、駅施設(ホームや改札口など)を利用して、ドラマをはじめとするテレビ番組CMロケーション撮影もたびたび行われている。ドラマ撮影は『Mの悲劇[12]、『クロサギ』、『パパとムスメの7日間』、『猟奇的な彼女』、『人生で最高の終わり方』などTBS系列が多いが、日本テレビ系列の『悪夢ちゃん』、フジテレビ系列の『ありふれた奇跡』、『GTO』(関西テレビ制作、2012年)、テレビ朝日系列の『相棒』でも使用されたことがある[13]。CMではこれまでに、ヤクルトの健康飲料「プレティオ」、消費者金融アコム三井住友海上グループ、乳酸菌飲料カルピスなどの撮影に使われている。

歴史

路線

路線図(クリックで拡大)

車両

過去の車両

  • 1000形(1996年4月27日 - 2006年12月4日)


運賃

大人普通旅客運賃(小児半額・ICカードの場合は1円未満切り捨て、切符購入の場合は10円未満切り上げ、)。2014年4月1日改定[14]

キロ程 運賃(円)
ICカード 切符購入
初乗り1 - 3km 206 210
4 - 5 288 290
6 - 7 360 360
8 - 9 432 440
10 - 11 504 510
12 - 14 565 570
15 - 17 627 630

定期券

定期券の割引率は通勤30.8%・通学55.6%(2014年4月現在)で、普通運賃より割安になるのは通勤定期で月21往復、通学定期で月14往復以上の場合である。6か月定期では割引率は通勤定期37%で、月19往復以上で割安になる。2014年4月より通学定期は通勤の約半額に値下げされている。

回数券

回数券は区間式で、「普通回数券」は11枚綴り、「昼間・土休日割引回数券」は他社と異なり13枚綴りで発売している。

企画乗車券

  • 東葉シネマチケット - 西船橋駅・八千代緑が丘駅を除く東葉高速線各駅から八千代緑が丘駅との往復乗車券とTOHOシネマズ八千代緑が丘の映画鑑賞引換券がセットになっている。2006年9月2日から2007年3月31日まで発売された後、2007年5月1日から通年発売となった。
  • 東葉東京メトロパス(2008年4月1日より発売開始) - 東葉高速線往復・東京メトロ線が一日乗り放題の乗車券。発売当日限り有効で、西船橋以外の東葉高速線内の各駅にて発売。また、発売額が駅によって異なる。

第24回全国都市緑化ふなばしフェアにおける動き

2007年10月2日から11月4日まで、千葉県船橋市のふなばしアンデルセン公園で「第24回全国都市緑化ふなばしフェア おとぎの国の花フェスタinふなばし」が開催された。これに併せて、以下の取り組みを行った。

  • 西船橋駅以外の各駅で特別前売り券を発売した。
  • 2007年9月9日から10月31日まで、2000系2102Fの先頭車前面に船橋市市制70周年も兼ねた特製ヘッドマーク、2109Fの先頭車前面に八千代市市制40周年記念特製ヘッドマークを装着した。2101F・2102F・2107F・2108F・2110Fの5編成の側面にはイベント告知ステッカーを貼付した。
  • 2007年9月20日から11月4日まで、中野・西船橋・綾瀬を除く東京地下鉄の定期券売場で、「東京メトロ&東葉高速一日乗車券セット」を発売した。

その他

  • 自社の研修施設を持たないため、動力車乗務員(運転士)の養成を他社に委託している。
  • 駅構内の売店は、京成線と同じ京成ストア運営のMini shopである。以前は新京成線と同じスタシオン・セルビス運営のSKショップもあったが2013年6月までに全店撤退した。
  • 現在の本社は2代目であり、初代は千葉県船橋市のフロントンビルに入居していた。1997年頃に現在地に移転している。
  • 開業時には開業記念として、1000形が缶にデザインされたビールが販売されていた。

脚注

外部リンク