Ζ-MSV
Ζ-MSV(ゼータエムエスブイ)は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』をベースとしたメカニック・デザイン企画である。作中に登場した人型兵器「モビルスーツ」の試作機、量産検討機、強化型などのバリエーション機が設定された。
概要
名称の通り、『機動戦士Ζガンダム』版の『モビルスーツバリエーション (MSV)』である。
もともとは、『Ζ』の放送が終了しガンダムシリーズが中断したときのために、バンダイによってつなぎの商品企画として考案されたものであったが、続編として『機動戦士ガンダムΖΖ』の放送が決定したために没となった[1]。しかし、デザイナーの藤田一己によってすでに完了していたメカニック・デザインを活用するために連載されたとされる[1][注 1]。ただし、連載された同社の雑誌『B-CLUB』に創刊から携わった安蒜利明は、のちのインタビューでこれを否定しており、当時のバンダイの製造ラインに余裕がなかったこともあり最初から商品化は考えておらず、あくまで雑誌媒体のための企画だった(と思う)と述べている[3]。また『Ζ-MSV』の企画も、『MSV』の企画の中心人物であった安井尚志によるものであったという[3]。
『B-CLUB』第4号(1986年3月)から模型連動企画として連載が開始され、毎回1体ずつ、藤田による設定画(図解のように各部名称を追加)、活躍イメージのイラスト(連載第3回まで)、文字設定やスペック、そしてプロモデラーが作り起こした模型作例が同時に掲載された。
藤田は10体をデザインしていたが(第6号ですべての機体名が公表された)[1]、連載は第8号(1986年6月)の第5回をもって休載(記事内で「一休み」と告知[4])、その後再開されることはなかった。しかし、第20-24号で連載された「MS大発展史」のうち、第22号(連邦軍編)の開発系統図の中で残る5体のカラー設定画が掲載された。その後、『B-CLUB』のムックである『MS大全集』(1988年2月)で「Ζ-MSV」の項目が設けられ、上記の10体に加え「MS大発展史」に初掲載された2体も同項目に掲載された。
以降、『Ζ-MSV』はガンダムシリーズにおけるひとつのカテゴリーとして認知されるようになった。
機体
詳細は各項目を参照。括弧内の号数は、初出の『B-CLUB』のものである。
- MSR-100S 百式改(第4号、連載第1回)
- MSF-007 ガンダムMk-III(第5号、連載第2回)
- MSA-004K ネモIII(第6号、連載第3回)
- MSA-099-2 リック・ディアスII(第7号、連載第4回)
- MSA-005K ガンキャノン・ディテクター(第8号、連載第5回)
- FA-178 フルアーマーガンダムMk-II(第22号)
- MSA-005S メタス改(第22号)
- MSZ-006-X1 / X2 / X3 プロトΖガンダム(第22号)
- MSZ-007 量産型Ζガンダム(第22号)
- MSZ-008 ΖII(第22号)
- MSR-100S 量産型百式改(第22号、『MS大全集』でΖ-MSVに追加)
- SE.DJ-1R ディジェSE-R(第22号、『MS大全集』でΖ-MSVに追加)
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d B-CLUB 6 1986, p. 68.
- ^ MS大全集 1988, p. 26.
- ^ a b MSV The2nd 2019, p. 102-106.
- ^ B-CLUB 8 1986, p. 36.
参考文献
- 雑誌
- 『B-CLUB』第4号、バンダイ、1986年3月1日、ISBN 4-89189-383-4。
- 『B-CLUB』第5号、バンダイ、1986年3月30日、ISBN 4-89189-384-2。
- 『B-CLUB』第6号、バンダイ、1986年4月、ISBN 4-89189-385-0。
- 『B-CLUB』第7号、バンダイ、1986年5月、ISBN 4-89189-386-9。
- 『B-CLUB』第8号、バンダイ、1986年6月、ISBN 4-89189-387-7。
- ムック
- 『B-CLUB SPECIAL15 機動戦士ガンダム MS大全集』バンダイ、1988年2月。ISBN 4-89189-336-2。
- 『グレートメカニックスペシャル MSV The Second-Generation 1986-1993』双葉社、2019年10月。ISBN 978-4-575-46518-1。