C

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Cは、ラテン文字アルファベット)の3番目の文字。小文字は c

字形[編集]

大文字、小文字とも半円形である。同形のキリル文字С сは別字で、ラテン文字のSに相当する文字である。

フラクトゥールでは\mathfrak{C\ c}のようである。

歴史[編集]

C は、ギリシア文字のガンマ(Γ)が「く」の字の角度で書かれたものを丸めた形に由来する[1]。キリル文字のГは同系である。なおGを参照。

呼称[編集]

日本では「シー」と呼ぶことが多い。

音価[編集]

現代では多くの言語の正書法や音標記号などにおいて用いられるが、その流儀は大きく2つに分類できる。

Cの置かれた位置によって2種類の音を表す正書法[編集]

元々のラテン語c は常に [k] で発音されるものだった[2]が、俗ラテン語時代になると転訛しはじめ、c の直後に“前舌母音”( e · i · y · æ )が来る場合に限り、その影響を受けて、c[c]「ティ」と「キ」の間のような子音)や [ʧ]「チャチュチョ」のような子音)で発音するようになった。これを軟音化と呼ぶ。

時代が下りロマンス諸語が分化するにつれ、この音はさらに多様な音へと分化した。現在のロマンス諸語の正書法は、こうした自然の音変化を受け継いだものである。また、フランス語の影響を大きく受けた英語でも、同様の読み方をする[3]

どの言語においても、a · o · u · l · r などの前の c はラテン語時代と変わらない [k] 音を保っている[5]。 また、フランス語やルーマニア語などでは語末に c を置く単語がいくらかあり、これらも [k] で発音する[6]

(例) フランス語: lac [ラック] 「湖」 (同上)、ルーマニア語: bec [ベック] 「電球」 (同上)

英仏語のCとヨーロッパの言語[編集]

上記以外のヨーロッパ圏の言語では c をこのように使い分けることはないが、ラテン語やフランス語、英語などから c を含む単語を借用する場合、e · i · y ( · ä [7] ) の前の cz, c, s などに、a · o · u · l · r の前の ck に、それぞれ置き換えて用いるのが伝統的であった。一例を挙げれば:

いずれも英語やフランス語の concert 「コンサート、演奏会」の借用で、各言語の規則にしたがって字を置き換えたものである。

ベトナム語[編集]

ベトナム語の正書法「クオック・グー」では c はつねに [k] を表すが、その位置は a, o, u などの前[8]や音節末[9]に限られる。 その他の場所では [k] 音に kq を用いる。 わかりやすく言うと、ka, kê, ki, kô, ku, kwôk などと書けば済みそうなところ、わざわざ cq を持ち込んで、ca, kê, ky, cô, cu, quôc などと表記するルールだが、もともとクオック・グーはフランス人宣教師によって考案されたものであり、考案の際にロマンス諸語的な表記法を大いに参考にしたことがこうした部分にもよく表れているといえる。

Cの位置にかかわらず破擦音などを表す用法[編集]

インドネシア風かき氷 es campur を売るジャカルタ市内の屋台。「エス・チャンプル」と発音する。

正書法[編集]

その他[編集]

  • 国際音声記号では、[c]無声硬口蓋閉鎖音を表す。
  • ラテン文字による正書法のない言語などで音素寄りの音標文字としてラテン文字を使う場合は、c は [c][ʧ] の音に当てることが多い。主要な例としてサンスクリットがある。また日本人になじみの深い例として、アイヌ語のラテン文字表記を挙げることができる。
    (例) サンスクリット: candraḥ [チャンドラ] 「月」、アイヌ語: cise [チセ] 「家」

記号付き文字、多重音字などについて[編集]

  • 各種ダイアクリティカルマークの付いた c については、#関連項目を参照。
  • 二重音字としては、ゲルマン系の言語で ck [k] が広く定着しているほか、多くの言語で ch が様々に使われている。 後者については ch を参照のこと。
  • 国際音声記号で用いる ɔɕ については、それぞれの項目を参照。

C の意味[編集]

学術的な記号・単位[編集]

  • ラテン語で100を意味するcentum、ないしその派生語の略。
    • 1/100 を表すSI接頭辞センチ(小文字)。
    • ¢は英語ではセントと読み、基本通貨単位(ユーロドルなど)の1/100を表す単位として多くの国で使われる(国によって呼び名は異なる)。
  • ローマ数字の100。
  • 十六進数二十進数において、十二十進数での12)を一(一文字)で表すために用いられる。
  • 炭素元素記号
  • 電荷の単位クーロンのシンボル。
  • 温度を示すセルシウス度(摂氏)で用いられる記号(℃)。
  • 数学では一般に既知の数、集合、行列等を示す、A, Bに次ぐ文字として用いられる。
  • 大文字太字の Cは、数学において複素数 (Complex number) 全体の集合を表す。
  • 定数 (constant) を表す。特に積分定数を表す時は通例大文字。
  • nCm組合せ (Combination) の総数。
  • 対称操作のひとつである回転を表現する記号。具体的な使用例は分子対称性を参照。
  • 光速度を表す(小文字)。
  • 自然科学では熱容量電気容量Capasity、大文字だが比熱容量を表す際は小文字)、濃度( Concentration)、光度カンデラ:candela)を示す文字に用いる。電気容量を表すことから、回路素子のコンデンサ (Condenser, Capacitor) を表す際にも用いる
  • 加熱を示すときに用いられる場合がある。加熱を表すフランス語「Chauffage」の略。
  • トランジスタの端子の1つ。コレクタ (Collector)
  • C言語。プログラミング言語の1つ。ここから派生した言語であるC++と組み合わせてC/C++と表記されることもある。
  • 虫歯を表す。また C1 - C4 でその進行度を表す。
  • 文法で、補語 (complemant)、可算名詞 (countable) の略号。
  • 音楽で用いられる拍子の1つ、4 分の 4 拍子の記号は大文字の C に似ているが、起源的に関係がない。
  • カラー印刷などで使われる基本色 YMC, YMCK の中のシアン (Cyan)。
  • 音楽で用いられる音名の1つ(英米式、ツェー(独式))。イタリア式で「do」(ド)、日本式では「」に相当。 → ハ (音名)
    • 音階の1番目の音であることから、日本の音楽・芸能関係者の間で1を表す隠語として使われる。例:C(ツェー)万=1万(円)
  • 写真印画紙の面種が光沢仕上げ (crystal) であることを意味する。対する絹目はS (silk) で示す。
  • 視力検査で用いられるランドルト環は、Cを基にしている。
  • ケッペンの気候区分温帯を表すC

その他の記号[編集]

商品名・作品名[編集]

その他Cに関すること[編集]

符号位置[編集]

大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
C U+0043 1-3-35 C
C
c U+0063 1-3-67 c
c
半角
U+FF23 1-3-35 C
C
U+FF43 1-3-67 c
c
全角
U+24B8 Ⓒ
Ⓒ
U+24D2 1-12-35 ⓒ
ⓒ
丸囲み
🄒 U+1F112 🄒
🄒
U+249E ⒞
⒞
括弧付き
𝐂 U+1D402 𝐂
𝐂
𝐜 U+1D41C 𝐜
𝐜
太字
𝐶 U+1D436 𝐶
𝐶
𝑐 U+1D450 𝑐
𝑐
イタリック体
𝑪 U+1D46A 𝑪
𝑪
𝒄 U+1D484 𝒄
𝒄
イタリック体太字
𝒞 U+1D49E 𝒞
𝒞
𝒸 U+1D4B8 𝒸
𝒸
筆記体
𝓒 U+1D4D2 𝓒
𝓒
𝓬 U+1D4EC 𝓬
𝓬
筆記体太字
U+212D ℭ
ℭ
𝔠 U+1D520 𝔠
𝔠
フラクトゥール
U+2102 ℂ
ℂ
𝕔 U+1D554 𝕔
𝕔
黒板太字
𝕮 U+1D56E 𝕮
𝕮
𝖈 U+1D588 𝖈
𝖈
フラクトゥール太字
𝖢 U+1D5A2 𝖢
𝖢
𝖼 U+1D5BC 𝖼
𝖼
サンセリフ
𝗖 U+1D5D6 𝗖
𝗖
𝗰 U+1D5F0 𝗰
𝗰
サンセリフ太字
𝘊 U+1D60A 𝘊
𝘊
𝘤 U+1D624 𝘤
𝘤
サンセリフイタリック
𝘾 U+1D63E 𝘾
𝘾
𝙘 U+1D658 𝙘
𝙘
サンセリフイタリック太字
𝙲 U+1D672 𝙲
𝙲
𝚌 U+1D68C 𝚌
𝚌
等幅フォント
U+216D 1-3-35 Ⅽ
Ⅽ
U+217D 1-3-67 ⅽ
ⅽ
ローマ数字100
記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+1D04 ᴄ
ᴄ
LATIN LETTER SMALL CAPITAL C
U+1D9C ᶜ
ᶜ
MODIFIER LETTER SMALL C
🄲 U+1F132 🄲
🄲
SQUARED LATIN CAPITAL LETTER C
🅒 U+1F152 🅒
🅒
NEGATIVE CIRCLED LATIN CAPITAL LETTER C
🅲 U+1F172 🅲
🅲
NEGATIVE SQUARED LATIN CAPITAL LETTER C
🄫 U+1F12B 🄫
🄫
CIRCLED ITALIC LATIN CAPITAL LETTER C

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ ギリシア文字のガンマ(Γ)は元々様々な角度で書かれていた。
  2. ^ ただし、G が発明されるより前の最初期のラテン語では、[k · g] の両音兼用だった。
  3. ^ オランダ語も同様。ただしラテン語やフランス語由来の語彙自体が英語よりはずっと少ない。
  4. ^ a b c フランス語・英語以外では cy の組み合わせは稀。
  5. ^ ただし cl の組み合わせは言語によって変形を被っていることが多い。例: ラテン語: clavis 「鍵」 [クラヴィス] > フランス語: clef [クレ] / イタリア語: chiave [キァーヴェ] / スペイン語: llave [リャベ] / ポルトガル語: chave [シャヴィ]
  6. ^ フランス語では無音の場合もある。 (例) blanc [ブラン] 「白い」。
  7. ^ ドイツ語ではラテン語の æä に置き換える。
  8. ^ 正確には、a · o · ô · u · ơ · ư · ă · â の前。
  9. ^ 正確には音節末では若干違った音になる。