サーカムフレックス

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ˆ

サーカムフレックス英語: circumflex)は欧文用の「山」形の記号で、フランス語ポルトガル語ベトナム語ルーマニア語エスペラント語日本語ローマ字などで用いられるダイアクリティカルマークの一種。元来は古典ギリシア語の読み下しに用いられた一種の訓点で、「曲アクセント[1]で発音することを示すものであった。

また、アスキー文字に含まれ、文字表記以外の用途で独立した記号としても使われる。この場合とくにハット記号ともいう。

目次

文字補助記号としてのサーカムフレックス [編集]

各言語における用法 [編集]

この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(アクセント記号が付いた各種文字)が含まれています詳細

以下は概観であり、詳細については各言語の関連項目を参照のこと。

  • フランス語ではアクサン・シルコンフレクス[2]という。かつてこの符号が付加される母音の後ろに s があったか、重母音であったことを示すアクサン符号である。発音上は、â, ê, ô はそれぞれ [ɑ], [ɛ](èと同じ), [o] の音に確定するが、î, û はアクサンのない i, u と発音上の区別はなく、単に同綴語を識別するだけの機能しかもたない。#関連項目にリンクのあるフランス語版の記事が詳しい。
  • ポルトガル語ではアセント・シルクンフレクソ[3]といい、狭めの母音を表す。すなわち、アキュート・アクセントのá,é,ó が広めの母音を表す[4]のに対し、â, ê, ô はそれぞれ [ɐ], [e], [o] のような音を表す。
  • ベトナム語の正書法はクォック・グーと呼ばれるが、やはり â, ê, ô が使われ、その音価もポルトガル語にやや近い[5]。なお、クォック・グーにおいては、サーカムフレックスの上にさらに声調記号を上乗せして書くことになっている。
  • ルーマニア語îâ はどちらも同じ音で、スラブ語の影響を受けた中舌高母音を表す。
  • ウェールズ語では長音を表すという。ただし多用されるものではない。

その他イタリア語などでも過去には使用していたが、現在では廃止されている。IPAにおいては、下降声調を表す記号である。

日本語のローマ字におけるサーカムフレックス [編集]

日本語のローマ字にはいくつかの方式があり、長音の表記方法も複数あるが、訓令式系のローマ字表記においては、母音にサーカムフレックスを添えることによって長音を表す。

これに対してヘボン式などの方式では母音にマクロンを添えることが一般的で、実際にはこちらのほうがずっと優勢である[要出典]

一覧 [編集]

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
ˆ U+02C6 - ˆ
ˆ
ˆ
サーカムフレックス
̂ U+0302 - ̂
̂
合成用サーカムフレックス
大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
 U+00C2 1-9-25 Â
Â
Â
â U+00E2 1-9-56 â
â
â
Â
Ĉ U+0108 1-10-57 Ĉ
Ĉ
ĉ U+0109 1-10-63 ĉ
ĉ
Ĉエスペラント
Ê U+00CA 1-9-33 Ê
Ê
Ê
ê U+00EA 1-9-64 ê
ê
ê
Ê
Ĝ U+011C 1-10-58 Ĝ
Ĝ
ĝ U+011D 1-10-64 ĝ
ĝ
Ĝエスペラント
Ĥ U+0124 1-10-59 Ĥ
Ĥ
ĥ U+0125 1-10-65 ĥ
ĥ
Ĥエスペラント
Î U+00CE 1-9-37 Î
Î
Î
î U+00EE 1-9-68 î
î
î
Î
Ĵ U+0134 1-10-60 Ĵ
Ĵ
ĵ U+0135 1-10-66 ĵ
ĵ
Ĵエスペラント
U+004E U+0302 1-3-46 1-11-63 N̂
N̂
U+006E U+0302 1-3-78 1-11-63 n̂
n̂
[6]
Ô U+00D4 1-9-43 Ô
Ô
Ô
ô U+00F4 1-9-74 ô
ô
ô
Ô
Ŝ U+015C 1-10-61 Ŝ
Ŝ
ŝ U+015D 1-10-67 ŝ
ŝ
Ŝエスペラント
Û U+00DB 1-9-49 Û
Û
Û
û U+00FB 1-9-80 û
û
û
Û
Ŵ U+0174 - Ŵ
Ŵ
ŵ U+0175 - ŵ
ŵ
Ŵ、ウェールズ語
Ŷ U+0176 - Ŷ
Ŷ
ŷ U+0177 - ŷ
ŷ
Ŷ、ウェールズ語
U+1E90 - Ẑ
Ẑ
U+1E91 - ẑ
ẑ

入力方法など [編集]

WikiHTMLの表記では、文字実体参照を使って「&母音字circ;」という形で書くことで、これらの文字を表現できる。以下に例を示す。

  • România」と書くと「România」と表示される。
  • Ôsaka」と書くと「Ôsaka」と表示される。

また、独立したサーカムフレックス「ˆ」は、「ˆ」と書くことで表現できる。

ハット記号 [編集]

サーカムフレックスすなわちハット記号は、標準的なASCII文字コードに含まれ、キーボード入力も容易であることから、とくにコンピューター言語などの分野において、多様な用途を生じている。母音に添えるような用法とは全く関係なく、独立の記号として用いられるものである。以下にその一例を示す。

  • 上付き文字が使用できない環境で冪乗指数を表現する際に ^ を用いて表現することがある。たとえば「X²」のように表現できないときに、代わりに「X^2」と記述する。このとき^は一種の演算子であると言える。Visual Basicなど、いくつかのコンピューター言語でもこの書式を採用している。
  • C言語^ は「ビットごとの排他的論理和」の意味。
  • C++/CLIではオブジェクトへのハンドル型を示す記号として使用される。 例 : System::Object^ o = gcnew System::Object ;
  • 正規表現では「文字列のはじまり」を指すマーカーである。また、「文字クラスリテラルの手前に置いて『〜以外』を意味する」用法もある。
  • ASCII制御文字を、^ と表示可能文字の2文字で表す場合がある。例:^H(バックスペース)。

関連項目 [編集]

脚注 [編集]

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  1. ^ 「曲折アクセント」とも
  2. ^ : accent circonflexe
  3. ^ : acento circunflexo
  4. ^ ただし、éに関しては、ém,énの綴りにおいてのみ、アクセントがあることだけを表し、広めの母音ではない。
  5. ^ ちなみに、クォック・グーはフランス語、ポルトガル語、英語などの綴りを参考に、17世紀のフランス人宣教師アレクサンドル・ドゥ・ロードが考案したものである。
  6. ^ Unicodeに1文字として登録されていないため、文字合成で表記する必要がある。