ローマ数字

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ローマ数字(ローマすうじ)は、を表す記号の一種である。ラテン文字の一部を用い、例えば I, II, III, X, XV のように並べて表現する。I, V, X, L, C, D, M がそれぞれ 1, 5, 10, 50, 100, 500, 1000 を表す。i, v, x などと小文字で書くこともある。現代の一般的な表記法では、1 以上 3999 以下の数を表すことができる。

ローマ数字のことをギリシャ数字と呼ぶ例が見られるが、これは誤りである。

目次

[編集] 表記法

[編集] 現代の表記

ヴィクトリア朝時代に成立し、現代まで一般的に用いられている表記法では、まず「I」が 1、「V」が 5、「X」が 10、「L」が 50、「C」が 100、「D」が 500、「M」が 1000 を意味する。これ以外の数は基本的にこれらの加算で表現され、加算すべき数を、できるだけ使う文字数が少なくなるように選び、左から大きい順に並べて書く。例えば 3 は「III」、7 は「VII」、20 は「XX」、23 は「XXIII」となる。

ただし、同じ文字を4つ以上連続で並べることはできない。そのため、例えば 4 は「IIII」、9は「VIIII」とは表現できない。この場合は小さい数を大きい数の左に書き、右から左を減ずることを意味する。これを減算則という。よって4は「IV」、9 は「IX」と書く。なお、減算則が認めらるのは同じ文字を4つ以上連続で並べるのを避けるためだけであり、それ以外で使うことは認められていない。また、減算則を使う場合でも認められているのはI を VまたはX の左に、X を LまたはC の左に、C を DまたはM の左に 1 つだけ置く6種類だけであり、それ以外の使い方は認められていない。また、V、L、Dは1つの数字の中で1回までしか使うことができないため、例えば9を「VIV」、90を「LXL」と表記することは認められていない。

以上を踏まえると、1〜9 およびその 10 倍と100 倍、1000、2000、3000は以下のような表記となる。なお、0 を表す表記は存在しない。

1 2 3 4 5 6 7 8 9
I II III IV V VI VII VIII IX
10 20 30 40 50 60 70 80 90
X XX XXX XL L LX LXX LXXX XC
100 200 300 400 500 600 700 800 900
C CC CCC CD D DC DCC DCCC CM
1000 2000 3000
M MM MMM

これを組み合わせることで、1〜3999 の値が表現できる。なお、4000以上の値は表現できない。

  • 11 = XI
  • 12 = XII
  • 14 = XIV
  • 18 = XVIII
  • 24 = XXIV
  • 43 = XLIII
  • 99 = XCIX
  • 495 = CDXCV
  • 1888 = MDCCCLXXXVIII
  • 1945 = MCMXLV
  • 3999 = MMMCMXCIX

なお、手書きでは、大文字のローマ数字は上下のセリフをつなげて書くことが多い。「V」は上部のセリフをつなぎ、逆三角形(▽)のようになる。小文字ではセリフを書かない。

[編集] 上記以外の表記法

ローマ数字はもともと厳密な規則が定義されたものではなく、特に減算則に関しては様々な異表記が見られる。当初は減算則が存在しなかったため、4 を「IIII」、9 を「VIIII」と書いていた。時代を下っても、例えば 14世紀の著名な英語の料理解説書 The Forme of Cury は 4 を「IIII」、9 を「IX」と表記している。一方で「IV」と表記した箇所もある(書かれた年代が 10 年ほど古い)。

時計の文字盤は伝統的に 4 時を「IIII」、9 時を「IX」で示すものが多い。その由来には下記のように様々な説が唱えられているが、定説はない。なお「IV」や「VIIII」で表示した時計も存在する。

  • ローマ神話の最高神・ユピテル(IVPITER)の最初の 2 文字と重なるのを避けるため。
  • 4 を「IV」と書くと「VI」と見分けにくいため。
  • 「IIII」ならば「I」という刻印を 4 回押せば文字盤の文字が作れるが、「IV」だと専用の型が必要になる。
  • 専用の文字を使うのは、ちょうど間が 4 時間おきになる V と X だけのほうがいい。
  • 「IIII」にすれば左側の「VIII」と文字数が釣り合い、見栄えがよい。
  • 特定の有力なローマの時計製造者が「IIII」と書いた時計を作ったため、他の製造者もそれに倣った。
  • ルイ14世が、文字盤に「IV」を用いることを禁じた。

また、8 を「IIX」(減算の文字を複数並べる)、1606 を「MCCCCCCVI」(500 に「D」を使わない)、1495 を「MCCCCLXXXXV」(減算を行わない)とするような例もある。

先述の規則では「I」で減算できるのは「V」か「X」だけであったが、これでは例えば「999」は「CMXCIX」と複雑になるため、1000 から 1 を減じたものとして簡略に「IM」と表現することもある。Microsoft Excel の ROMAN 関数で「書式 4」を用いるとこのように変換される。

現代ではあまり使用されないが、1000 を表すのに「M」ではなく「ↀ」または「CIↃ」を用いる場合もある。5000 を「ↁ」または「IↃↃ」、10000 を「ↂ」または「CCIↃↃ」で表した例もある。同様にして 50000 は「IↃↃↃ」、100000 は「CCCIↃↃↃ」となる。また、1/2を「S」、1/12を「•」などとする分数の記号もあった。

ほかに、80 を「R」、2000 を「Z」とする異表記もある。

[編集] 用途

現在、ローマ数字は「エリザベス II 世」などのように順序や番号、文章の脚注番号に使うことが多い。特に英文では節番号を小文字ローマ数字で表すことが多い。

イギリスでは、大学の学年表記の他、BBCが番組の製作年を表すのにローマ数字を使っており、エンドクレジットの最後で下部分に「MMX(2010)」などと表示される。

1980年代頃までは映画の著作権表示の制作年にローマ数字が使われることが多かった。例えば、1983年に発売されたタイトーの業務用ゲーム『エレベーターアクション』の著作権表記は「© TAITO CORP. MCMLXXXIII」となっている。

音楽理論では、音階の中での音の位置を表すのにローマ数字用いる。最もよく用いられるのは和音調の中での位置を表す時である。大文字と小文字は場合によって様々な意味で使い分けられる。手書きでは「i」の点を打たないのが普通である。

[編集] ローマ数字の歴史

古代ローマ人は元々農耕民族だった。羊の数を数えるのに木の棒に刻み目を入れた。柵から1匹ずつヤギが出て行くたびに刻み目を1つずつ増やしていった。3匹目のヤギが出て行くと「III」と表し、4匹目のヤギが出て行くと3本の刻み目の横にもう1本刻み目を増やして「IIII」とした。5匹目のヤギが出て行くと、4本目の刻み目の右にこのときだけ「V」と刻んだ(∧と刻んだ羊飼いもいた)。このときの棒についた刻み目は「IIIIV」となる。6匹目のヤギが出て行くと、刻み目の模様は「IIIIVI」、7匹目が出て行くと「IIIIVII」となる。9匹目の次のヤギが出て行くと「IIIIVIIII」の右に「X」という印を刻んだ。棒の模様は「IIIIVIIIIX」となる。31匹のヤギは「IIIIVIIIIXIIIIVIIIIXIIIIVIIIIXI」と表す。このように刻んだのは、夕方にヤギが1匹ずつ戻ってきたときに記号の1つ1つがヤギ1匹ずつに対応していたほうが便利だったためである。ヤギが戻ると、記号を指で端から1個1個たどっていった。最後のヤギが戻るときに指先が最後の記号にふれていれば、ヤギは全部無事に戻ったことになる。50匹目のヤギはN、+または⊥で表した。100匹目は*で表した。これらの記号はローマのそばのエトルリア人も使った。エトルリアのほうが文明が栄えていたので、そちらからローマに伝わった可能性もある。1000は○の中に十を入れた記号で表した。

よく言われる「X」は「V」を2つ重ねて書いたもの、あるいは「V」は「X」の上半分という説は、誤りとは言い切れないが確たる根拠もないようである。

やがて時代が下り、羊以外のものも数えるようになると、31は単に「XXXI」と書かれるようになった。5はしばらく「V」と「∧」が混在して使われた。50は当初N、И、K、Ψ、などと書かれ、しばらく「⊥」かそれに似た模様が使われたが、アルファベットが伝わると混同して「L」となった。100は*だけでなくЖ、Hなどと書かれたが、*がしだいに離れて「>I<」や「⊃|⊂」になり、よく使う数なので簡略化され、Cや⊃と書かれそのまま残った(ラテン語の"centum=100"からも考慮されている)。500は最初、1000を表す「⊂|⊃」から左の⊂を外し、「|⊃」と書かれた。やがて2つの記号がくっつき、「D」となった。「D」の真ん中に横棒のついて「D」や「Ð」とも書かれた。1000は○に十の記号が省略されて「⊂|⊃」となった。「∞」と書いた例もある。これが全部くっついたのが「Φ」に似た記号である。これが別の変形をし上だけがくっついて「m」に似た形になり、アルファベットが伝わると自然と「M」と書かれるようにもなった(ラテン語の"mille=1000"からも考慮されている)。そのため、1000は今でも2つの表記法が混在している。

5000以上の数は100と1000の字体の差から自然に決まった。ただし、「凶」を上下逆に書いた形(X)で1000000を表したこともある。

古代ローマ共和国時代の算盤では、記号の上に横棒を引いて1000倍を表したものもある。この方法では、10000は「X」の上に横棒を1本引いたもので表される。100000や1000000は「C」や「M」の上に横棒を1本を引いて表した。たとえば10000は「X」となる。

例:CCX=210000

数字の上部分に「 ̄」・左右に「|」をそれぞれつけて10万倍を表すこともあった(上と左右の線をくっつけて表記することも多い)。たとえば10(X)を10万倍した数=1000000は、「X」と表記する。

例:|MDCLI| LXXVIII CCCXVI=165178316

その後、他の文明との接触により変わった表記法が現れた。1世紀プリニウスは著書『博物誌』で83000を「LXXXIII.M」と表記した。83、1000という書き方である。同じ文書中に、XCII.M(92000)、VM(5000)という表記もある。この乗算則はしばらく使われたようである。1299年に作成された『王フィリップ4世の財宝帳簿』では、5316を「VmIIIcXVI」と表した。漢数字の書き方によく似ている。ただしこれらの乗算則は現在は使われない。

ドイツ語版Wikipediaには、9054を「|IX|LIV」のように書いた例が載っている。

1000を超える数の表記法に混乱があるのは一般人は巨大な数を扱う機会がなかったためと考えられる。

[編集] その他

  • Microsoft Excel の ROMAN という関数は 0 から 3999 までの数をローマ数字に変換する。範囲外の数ではエラー値「#VALUE!」が表示される。
  • 英語で 100 ドル札を「C-bill」や「C-note」と呼ぶのはローマ数字の C に由来する[要出典]

[編集] 文字コード

基本的には通常のラテン文字を並べてローマ数字を表現する。Unicode 以前から欧米で一般的に使用されている ISO/IEC 8859 などの文字コードは、ローマ数字専用の符号を持っていない。

日本で用いられる文字コードとしても、JIS X 0208 にはローマ数字専用の符号は定義されていない。これを拡張した Microsoftコードページ932(CP932)などにおいて、いわゆる機種依存文字として定義されており、追って JIS X 0213 にも取り入れられた。CP932 にあるのは大文字 I から X までの合成済み 10 字。JIS X 0213 は大文字 I〜XII と小文字 i〜xii の 24 字である。これらは縦書きの組版の際に縦中横を容易に実現するために用いられ(一般の組版ルールでローマ数字は縦中横である)、多くのフォントで全角文字としてデザインされる。

Unicode は、JIS X 0213 などとの互換性のために上述の合成済みローマ数字を収録した上、その延長として L・C・D・M、また通常のラテン文字にない ↀ, ↁ, ↂ, Ↄ も定義している。これらは U+2160 から U+2183 までの符号位置を割り当てられている。

ラテン文字と共通の符号を用いるため、機械処理の際にアルファベットとしての「アイ」なのか数字の「いち」なのか解釈を誤る場合もある。

[編集] 符号位置

大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
U+2160 1-13-21 &#8544;
&#x2160;
U+2170 1-12-21 &#8560;
&#x2170;
ローマ数字1
U+2161 1-13-22 &#8545;
&#x2161;
U+2171 1-12-22 &#8561;
&#x2171;
ローマ数字2
U+2162 1-13-23 &#8546;
&#x2162;
U+2172 1-12-23 &#8562;
&#x2172;
ローマ数字3
U+2163 1-13-24 &#8547;
&#x2163;
U+2173 1-12-24 &#8563;
&#x2173;
ローマ数字4
U+2164 1-13-25 &#8548;
&#x2164;
U+2174 1-12-25 &#8564;
&#x2174;
ローマ数字5
U+2165 1-13-26 &#8549;
&#x2165;
U+2175 1-12-26 &#8565;
&#x2175;
ローマ数字6
U+2166 1-13-27 &#8550;
&#x2166;
U+2176 1-12-27 &#8566;
&#x2176;
ローマ数字7
U+2167 1-13-28 &#8551;
&#x2167;
U+2177 1-12-28 &#8567;
&#x2177;
ローマ数字8
U+2168 1-13-29 &#8552;
&#x2168;
U+2178 1-12-29 &#8568;
&#x2178;
ローマ数字9
U+2169 1-13-30 &#8553;
&#x2169;
U+2179 1-12-30 &#8569;
&#x2179;
ローマ数字10
U+216A 1-13-31 &#8554;
&#x216A;
U+217A 1-12-31 &#8570;
&#x217A;
ローマ数字11
U+216B 1-13-55 &#8555;
&#x216B;
U+217B 1-12-32 &#8571;
&#x217B;
ローマ数字12
U+216C 1-3-44 &#8556;
&#x216C;
U+217C 1-3-76 &#8572;
&#x217C;
ローマ数字50
U+216D 1-3-35 &#8557;
&#x216D;
U+217D 1-3-67 &#8573;
&#x217D;
ローマ数字100
U+216E 1-3-36 &#8558;
&#x216E;
U+217E 1-3-68 &#8574;
&#x217E;
ローマ数字500
U+216F 1-3-45 &#8559;
&#x216F;
U+217F 1-3-77 &#8575;
&#x217F;
ローマ数字1000
U+2183 - &#8579;
&#x2183;
U+2184 - &#8580;
&#x2184;
ローマ数字逆100
記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+2180 - &#x2180;
&#8576;
ローマ数字1000
U+2181 - &#x2181;
&#8577;
ローマ数字5000
U+2182 - &#x2182;
&#8578;
ローマ数字10000

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
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