Microsoft Excel

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
Microsoft Excel
開発元 マイクロソフト
最新版 2013 (15.0.4433.1506) / 2012年12月11日
対応OS Microsoft Windows
種別 表計算ソフト
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト [1]
テンプレートを表示
Excel for Mac
開発元 マイクロソフト
最新版 2011 (14.1.0.100825) / 2010年10月26日
対応OS Mac OS
種別 表計算ソフト
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト Excel 2011 for Mac
テンプレートを表示

Microsoft Excel(マイクロソフト・エクセル)は、マイクロソフトWindows及びMac OS向けに販売している表計算ソフトである。Microsoft Wordとともに、同社のオフィススイートMicrosoft Office」の中核をなすアプリケーションである。

用途[編集]

Excelは表計算ソフトであるため、本来はを作成して合計などの計算や、これを基にしたグラフの作成などに用いられるものである。「平均を求める」「標準偏差を求める」「文字列中のn番目の文字を取り出す」などのよく使う計算や検索の作業は、数百種類ある「関数」と呼ばれる手続きにまとめられており、この関数を組み合わせることで相当高度な計算も可能である。

一方で、Wordなど他のソフトウェアよりも比較的軽快に動作することや、多くのコンピュータにインストールされておりワークシート上にオブジェクト(図形画像)を貼り込むことができるなどの点から、日本では特に計算などは行わず、ワークシートを方眼紙に見立てた設計書や進捗管理用の単なる作表作業に使用されることも多い[1][2]。また、1つのファイルで複数のワークシートを使用できることや、数値だけでなく文字列や日付を扱うことができることを利用して、データベースの入力や関数による計算をそれぞれ分担することも可能であり、簡易的な用途では本格的データベースソフト Microsoft Access の代用としても使用が可能である(一般家庭用ではAccessが入っていないことが多い)。

この他、付属の強力なマクロ言語 (VBA) を利用してアプリケーションを作成するなど、「表計算」のイメージを超えた広い応用範囲を持つソフトであり、汎用的な開発環境の一つと捉えることもできる。ただし、Mac OS X版のExcel 2008ではVBAマクロ機能は除去され、マクロ機能についてはAppleScriptを使用することが推奨されたが、[3]Mac OS X版のExcel 2011ではVBAマクロ機能が復活している[4]

特徴[編集]

Excelが導入した特徴のひとつに、「セルの結合」(Excel 97より採用)がある。表計算ソフトに代表される、いわゆるスプレッドシートは、升目状のセルに文字や数値、計算式、関数などを入れてゆくのであるが、表作成などの際、複数の項目に共通の見出しをつけたい場合など、升目(セル)が制約となって表示位置が作りにくい場合がある。エクセルではこれに対して、複数のセルを結合して一つのセルとすることができる。これは表示の自由度を大きく高めるものである。反面、これを行った場合は縦横の行と列が乱れるため、数式のコピー(オートフィル含む)での相対位置移動などが不可能になることがあり、元来スプレッドシートの持っている融通性を損なう場合もある。

標準の保存ファイル形式は拡張子xls(Excel 2003以前)または.xlsx(Excel 2007以降)を使用したもので「Excel ブック」と呼ばれる。Excelがインストールされていない環境でも、マイクロソフトより無償で提供されるExcel Viewerをインストールすることにより、閲覧が可能である。他にもテキストやCSVHTML形式での入出力が可能で、Excel 2003以降はXMLスプレッドシートも扱えるようになった。

2007からはユーザインタフェースだけでなく、XML準拠でのファイル出力など、大幅な仕様変更がなされた。また、サイズの小さい「バイナリ ブック」での保存が可能になった。マクロが埋め込まれたファイルは、Excel 2003までxlsの拡張子を用いていたが、Excel 2007からはxlsmを使用するようになった。

「アドイン」を使用すると、関数や機能を拡張することができる。アドインはxla形式(Excel 2003以前)またはxlam(Excel 2007以降)で保存することで作成できる。ただし、アドインはマクロが警告なしに実行されるため、後述のマクロウイルスにかかってしまう恐れがある。

歴史[編集]

開発コードネームはオデッセイ。開発責任者はジェイブ・ブルメンソールとダグ・クランダー。

同社のMS-DOS向け表計算ソフト Microsoft Multiplan 及びグラフ作成ソフト Microsoft Chart は、多彩な表現ができたものの、統合ソフトであるLotus1-2-3 に比べ操作が難しく、北米ではシェアを大きく開けられていた(欧州および日本市場ではMultiplanも高いシェアを確保していた)。

初期の段階ではIBM PCおよびその互換機を想定したMS-DOS用アプリケーションであり、テキストモードで動作する予定だった。但し、マウス対応、複数のワークシートを同時に表示できるMDIの採用、マクロの採用は発案時点で考慮されていた。また、グラフの描画ではグラフィックを利用する。

後に1984年にLotusがMacintosh向け統合ソフト Jazz を開発していることが分かると、プラットフォームをMacintoshに移して改めて開発が進められ、1985年9月にMacintosh版が発売された。この時点で将来のWindows対応を考慮に入れていた。同製品は、GUI環境に特化した優れた操作性と高い性能を有しベストセラーとなった。Excelで導入された、紙に印刷する前に出力イメージを確認できるプレビュー機能は後に他のアプリケーションにも採用された。

Macintosh版でGUI環境のアプリケーション開発ノウハウを蓄積したMicrosoftは、1987年10月、Microsoft Windows版を発売した。[5] その後、他のオフィス向けアプリケーションにもExcelに似たインタフェースを用いるようになり、Windowsのインタフェースは、Excelを基準に作られたとも言われている。

Microsoftは、Excelを核に ワープロ(Microsoft Word)やデータベース(Microsoft Access)、スケジュール管理ソフト(Microsoft Schedule+/Microsoft Outlook)などを統合した高性能オフィススイート製品 Microsoft Office の販売を優先することで、Windows向けオフィススイートのデファクトスタンダードの座を確保することに成功した。そして、PCのプラットフォームDOSからWindowsへと移行するに従い、GUIへの対応が遅れた 1-2-3 (及び「スーパーオフィス」)を引き離していった。殊に Microsoft Windows 95 リリース時に他社に先駆けて32ビットアプリケーションとしてリリースされたことは、他社の同様のアプリケーションに対して大きなアドバンテージとなった。Excelとのセット販売によってWordなど他のアプリケーションのシェアも高まった。

2013年現在、Windows向けにExcel 2013、Mac OS X向けにExcel 2011が最新版としてリリースされている。今日では表計算ソフトの標準的存在であるとともに、Windows用アプリケーションの代表的存在である。 また、Windows向けにExcel 2012 Previewを公開している。

技能検定[編集]

技能資格としての検定は、過去にマイクロソフト公認の「エクセルマスター」「ワードマスター」という資格が存在した。1993年(165名)、1994年(148名)と2回実施され合格者はそれぞれ6名で94年の検定を最後に廃止された。これはオフィスシリーズへの製品拡充に伴う検定内容の変更と検定合格者の異常な少なさに試験範囲の見直しが行われたため。現在、マイクロソフト公認の資格にはMicrosoft Office Specialist(旧称・Microsoft Office User Specialist (MOUS))→Office 2007に対応したマイクロソフト認定アプリケーションスペシャリスト(Microsoft Certified Application Specialist(MCAS))がある。

問題点[編集]

1900年うるう日問題[編集]

Windows版では、日付データの扱いについて、基本的には1900年1月1日を起算日として、1から始まるシリアル値(連続値)で持っている。

現行のグレゴリオ暦では1900年はうるう年ではなく、平年であるため閏日(1900年2月29日)は存在しないはずであるが、Windows版Excelでは、1900年2月29日を存在するものとして計算してしまう。このため、1900年3月1日より前の日を計算に使う場合、注意が必要となる。

この問題は、発売当初、大きな市場を持っていた表計算ソフト「Lotus 1-2-3」との互換性を満たすために、「1-2-3」が行う日付計算処理のミスがExcelへ取り込まれたことによるものである。

なお、Windows版の現行バージョンでは「1904年から計算する」のチェックボックスが用意されている。このチェックが有効である場合、1900年~1903年の日付使用が無効となるため、1900年2月29日の問題は発生しなくなる。なお、Mac OS X版では、初期状態での日付の起算日が1904年1月1日となっているため、Mac ⇔ Windows 間で日付データの入ったExcelデータをやりとりする場合、日付が1462日ずれる場合がある。両者が混在する環境の場合、Windows側でMacに合わせて、「1904年から計算する」のチェックボックスを有効にすると、日付のずれはなくなる。

互換ソフトであるOpenOffice.orgのCalcでは、標準設定では1899年12月31日を起算日として、1900年2月29日は存在しないものとして扱われている。(StarCalc1.0やWindows版Excelに合わせた1900年1月1日やMac版Excelに合わせた1904年1月1日の設定もある)

日付の変換問題[編集]

Excel 2000以降の現在のバージョンでは日付に西暦の下2桁を用いてセルに入力した場合、「00-29」は20xx年、「30-99」は19xx年として認識するが、Excel 98までは「00」は2000年、「01-20」は平成xx年、「21-64」は昭和xx年、「65-99」は19xx年として認識していた。こうした仕様により、日付に食い違いが生じていた。

例えば、「01.09.18」と入力した場合、Excel 2000以降では「2001年9月18日」として認識するが、Excel 98以前だと「平成1年(元年)9月18日」、つまり「1989年9月18日」と認識してしまう。

これを解消するには、Excel 97ではService Release 2へアップグレードした後、「Newparse.reg」というファイル(ValuPackに内包)を認識させる必要がある。こうすればExcel 2000以降と同じ入力モードが実現する(95以前は不明)。

有効桁数・小数[編集]

コンピュータ一般に共通する性質であるが、取り扱える数の範囲には制限がある。Excelではこの有効桁数はそれほど大きくないため、極端に大きな数字や、小数点以下の桁数が非常に大きい数字を扱うと、まれに問題を生じることがある。

また「2のマイナスn乗」の形で書くことのできない小数は2進法では無限小数となり、こうした数をコンピュータ上で扱うと必ず切り捨て誤差が発生する。この一見奇妙なふるまいは、計算機の数値計算に関する専門知識を持たない利用者にはバグに見える場合がある。このためマイクロソフトは計算誤差が発生していないかのように見せかけるための補正を行っている[6]。しかし補正の具体的なアルゴリズムは公表されていないうえ、きわめて場当たり的な処理を行っていると推測されるため、専門家が数値計算に使うにはかえって向かない[7]

データサイズの制限[編集]

現行バージョンのExcel2010では、最大で1,048,576行、16,384列(合計17,179,869,184マス)のデータを扱えることになっているが、一定のサイズを越えると読み込むことができない。またその際に警告も出てこないため、大量のデータをExcelで扱おうとする際には注意が必要である。

画面表示と印刷のずれ[編集]

Excelでは、表計算ソフトという性質上、画面表示の厳密さよりも速度を優先しているため、画面上に表示される内容と印刷時の表示が必ずしも一致しない。かつ、表示や印刷結果はプリンタドライバによっても変化するため、同じファイルであってもPCによって表示や印刷される結果が微妙にずれるという制限を抱えている。[8]

上記のようにこれは意図的な設計であり、Excelを表計算ソフトとして用いる限り、この制限が問題となるケースは少ない。しかしExcelを、「Excel方眼紙」のように本来の用途として想定されていないレイアウト目的で使用してしまうと、この問題に悩まされることになる。

マクロウイルス[編集]

Excelでの代表的なマクロウイルスとして、Laroux(ラルー)があげられる。感染したExcelブックを開くと他のExcelブックに対してもウイルスコードをコピーして保存させると共に、スタートアップフォルダにウイルスコードを持ったPersonal.xlsというExcelブックを作成保存する。Personal.xlsはExcelの起動時に自動起動されるため、感染元のExcelブックがない状態でも次々と感染させていくことになる。Laroux自体には増殖の機能しかないものの、その後の数多くのExcelマクロウイルスの原種となった。マクロを使用した覚えのないファイルは「マクロを有効にする」をクリックしないことで対処できる。

脚注[編集]

  1. ^ 「罫線が大好きな日本人に米国人開発者が驚愕」 - グレープシティ 八巻氏”. マイナビニュース (2009年11月4日). 2012年4月5日閲覧。
  2. ^ クラウド時代に求められる 「実行可能な仕様書」とは?”. @IT (2011年7月21日). 2012年4月1日閲覧。
  3. ^ Q. ソルバーがない!?! 分析ツールもない!?! VB も使えない!?!
  4. ^ MSが「Office for Mac 2011」の価格と新機能の詳細を発表
  5. ^ 脇英世(1994)『ビル・ゲイツの野望 マイクロソフトのマルチメディア戦略』P137 , 講談社
  6. ^ [XL2003] 小数を使用した計算の誤差について
  7. ^ Excelの演算誤差
  8. ^ 異なる複数の Windows 環境で Excel ファイルを共有すると、印刷範囲、セルの幅、または高さが変更される場合がある”. Microsoft (2010年1月28日). 2012年4月1日閲覧。

参考文献[編集]

  • ダニエル・イクビア/スーザン・L・ネッパー著、椋田直子訳(1992)『マイクロソフト-ソフトウェア帝国誕生の軌跡-』ISBN 978-4756101181 , アスキー
  • 脇英世(1994)『ビル・ゲイツの野望 マイクロソフトのマルチメディア戦略』ISBN 978-4062072618 , 講談社

関連項目[編集]

日本における競合製品[編集]

外部リンク[編集]