Microsoft Word

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Microsoft Word
開発元 マイクロソフト
最新版 2013(15.0.4433.1506) / 2012年12月11日
対応OS Windows
種別 ワードプロセッサ
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト office.microsoft.com/ja-jp
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Word for Mac
開発元 マイクロソフト
最新版 Office 2011 SP1(14.1.0) / 2010年10月
対応OS Mac OS X
種別 ワードプロセッサ
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト www.macoffice2008.jp
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Microsoft Word(マイクロソフト・ワード)は、マイクロソフトがWindows及びMac OS X向けに販売している文書作成ソフトウェア。

Microsoft Excelとともに、同社のオフィススイートMicrosoft Officeの中核をなすアプリケーションである。一般的にはワードWordまたはMS-Wordとも)と呼ばれることが多いが、「ワード」と名称が付く商品名や商標名は他にもある。

来歴[編集]

Wordの最初のバージョンを開発したのは、ビル・ゲイツの個人的な技術アドバイザーでもあったリチャード・ブロディである[1][2]

1981年にリチャード・ブロディがマイクロソフトに入社、一年後にブロディはWordのプログラミングを任された(Wordは成功を収めたものの、のちにブロディはマイクロソフトを退社し、著述業へ転身した)[1][2]

1983年5月、Multi-Tool Wordの名前でXenix向けに発売された。この最初のWordは、同社初のグラフィカルユーザインタフェースを採用した製品であり、Microsoft Mouseという名前のマウス製品が同時発売となった。初期のWindowsは、この初代Wordで採用されていたインターフェイスを採用しており、このWordを開発する際に構築された開発ライブラリ名がWindowsと呼ばれていたとされる。翌84年1月にはMicrosoft Word 1.0 for Macを発表した。

日本市場においてワープロソフトと言えば、MS-DOS時代からジャストシステム一太郎が絶対的なシェアを持っており、英語文化圏で開発されたWordは文字数指定や縦書きといった日本語特有の文化に対応した機能を持っておらず、且つ、Microsoft製のWindows用の日本語入力ソフトであるMicrosoft IMEは未熟だったため、Wordは苦戦を強いられていた。また、英語文化圏でもコーレル(当時はノベル社)のWordPerfectがシェアを50%以上とっており、現在にあるその地位にはいなかった。ただ、Mac版は日本語化が遅れたため日本国内ではエルゴソフトEGWORDに押されていたものの、英語文化圏においてクラリス社のMacWriteNisus社のNisus Writerと並ぶ人気ワープロソフトであった。

その後、競合製品の機能を積極的に取り込んだほか、スタイルシートなどのオリジナルの機能も追加して高機能化を推し進めた(このWordオリジナルの機能は逆に競合製品に取り込まれている)。また、日本語独自機能はマイクロソフト(日本法人)が主体として開発するようになり、日本語処理を強化していった。

競合他社への情報提供の時間差を利用して自社製OSであるWindows 95の発売と同時に対応バージョンのWord 95を発売し、Excelの人気をテコにバンドルしたセットでPCメーカーへプリインストール販売戦略を推進することでシェアを高めていった。その結果、ライバルのWordPerfectのシェアが当時50%あったものが、コーレル売却時には10%になったため、当時のWordPerfectの開発元であったノベル社はMicrosoftを独占禁止法違反でユタ州連邦地方裁判所に提訴している。ノベル社の主張は、同社が「WordPerfect」と「Quattro Pro」を所有していた期間にMicrosoft社がオフィス向けアプリケーション市場の競争を排除する行為によってノベル社に損害を与えたというものである。現在、シェアはWordが圧倒的に優勢となっている。

また、日本国内においても、Microsoft Officeのバンドル・プリインストールの際はWordExcelをセットで販売する方針を強化し、一太郎Excelといった組み合わせを認めない、と行った手法が横行した。これには1998年11月に公正取引委員会より抱き合わせ販売にあたるとして排除措置命令が出された。98年当時にはすでに「Word 97」の日本語版としての「Word 98」が発売されるほどにまで製品基盤が強化されており、この戦略が定着したものとなっていた。この時、この戦略をなぞる形で「Personal business Edition」が発売されている。

Windows用ではWord95、97、98、2000、2002、2003、2007、2010を経て、2013年現在「Word 2013」が最新版である。なお、Word 98は当時評判の悪かった日本語処理の向上、およびライバル製品(一太郎)の存在する日本市場上の戦略により投入された、欧米では発売されていない独自のバージョンである。またWord 98は大韓民国においても朝鮮語版が発売されている(発売の背景は不明)。

最新のバージョンは、Windows版が「Word 2013」、Mac OS X版が「Word 2011」。ただしバージョンによって互換性に問題がある。余談だが、MicrosoftがDOS版、Macintosh版、Windows版のバージョンが異なっていた物を統一する事にした際、ローカライズの時間差からWord for WindowsのVer. 2.0の日本語版がVer. 5.0として登場したため、Ver. 1.2AからVer. 5.0へのジャンプとなった(英語版はVer. 2.0からVer. 6.0とジャンプした)。

数式エディタには他のOfficeと同様にMicrosoft数式を使用する。これはデザインサイエンス社のMathTypeの機能限定版であり、色付けや数式番号機能が使えない。Word 2007からはMicrosoft製の新しい数式エディタが導入された。これはTeXのような打ち込みで記述が可能で、高度な数式が簡単に記述できるようになったが、日本語版では入力した英字が既定では斜体にならないというバグがある。これは2008年5月現在修正されていない。この新しい数式エディタはWord 2007でのみ使用可能で、PowerPoint 2007等では使えない(画像ファイルになる)。

2009年8月、米国のテキサス州東部地区連邦地方裁判所がカナダの企業i4iによる特許侵害の訴えを認め、米国内でのMicrosoft Wordの販売・輸入を禁止する判決を下した[3]。侵害が認められたのはXMLを用いたテキストの整形に関する特許。

互換性[編集]

基本的に上位互換で、新しいバージョンでは古いバージョンで作成したファイルを開くことができる。新しいバージョンで作成したファイルを古いバージョンで開いた場合、新しい機能を使って作成された部分は編集できないなどの制限があるほか、見た目も違う場合がある。単純なテキストの場合は、ほとんどの場合は問題ない。同じ内部バージョンでも、OSが違うとフォーマットが崩れる場合がある(例:内部バージョンが同じ12の、Word 2007で作成したファイルをWord 2008で開いた場合など)。印刷した際のフォーマットが重要な場合は、PDFなどで出力する必要がある。

PDF出力[編集]

Word 2007から標準でPDF形式のファイルを書き出せるようになった。ただし、機能はAdobe Acrobatなどと比較して限定されたもので、複雑な図形などを使うと出力がおかしくなる。なお、Mac OS XはもともとOS自体がPDF作成機能を持っている。

拡張子 .doc[編集]

Microsoft WordがDOS版の頃から使っている拡張子「.doc」は、古くから別のフォーマットのファイルにも使われていた。ソフトウエアを配布する場合、その説明書を「readme.doc」等のファイル名でプレーンテキストで付属させるケースが多かった。また、WordPerfectの文書も同じ拡張子を用いていた。

Windows95が発売され、インターネットが爆発的に普及する時期になると、Windows95に付属する簡易ワープロソフトとOffice 95のMicrosoft Wordが拡張子.docを使う事が問題視されるようになった。「拡張子が.docでもWordの文書でなければ従来のテキストファイルビューアで開き、Wordの文書であればWordで開く」という風変わりな拡張子判定プログラムが出回った程である。この時期からテキストファイルでは「.doc」を避けて「.txt」のみを用いるようになった。

2010年現在の最新版であるWord 2010の文書ファイルの拡張子の標準は「.docx」であるが従来のWord 2003までの「.doc」の選択もできる。一方、「.docx」形式で作成された文書ファイルを、旧バージョンのWord 2003等で開くことはできないため、互換パックをMicrosoftのサイトからダウンロードする必要がある。

日本語版の操作性に関する評価[編集]

日本そして各国ではシェアこそ高い地位を誇っているが、日本と欧米での書類作成文化の違いから、Wordの操作性・使い勝手に不満を持つ者も少なくはない。主に以下の点が批判されている。

  • 他のアプリケーションに比べて、保存時にファイルが壊れる頻度が高い。そのため、標準で修復機能も用意されているが確実に修復できるわけではない。
  • 罫線が書きにくい(元々欧米で罫線という概念が存在していなかったため)。
    • 表を作成後、枠内の一部分に再び枠を作成する際細かい修正が不可能。若干の隙間がどうしても空いてしまう。
  • 自由なレイアウト均等割付などに癖がある。
  • 画像の位置における微修正が効かない。
  • センタリング機能に不具合が散見される。
  • レイアウト方法がスタイルシートベースの編集方式に偏っているため、スタイル機能が使いこなせないとレイアウト調整が極めて難しい。
  • 表作成後のバランス修正に癖が強く必要に応じた追加などの変更が簡単にはできない。
  • バージョンごとにレイアウトが違って見える場合があり(特に罫線が多い場合など)、別バージョンのWordで見ると、レイアウトがくずれていたり、文字が入りきらずにページごとに文字欠けが発生することがある。
  • 最新版では改善されているが、ルビ機能を呼び出すためのアイコンが、「大文字のAに、小文字のabcのルビが振ってある」という、日本人の常識から乖離したデザインであったことがある。このアイコンからルビ機能を連想する人はあまりいないと思われる。

これらが原因で[要出典]文筆業者や脚本家はWordを敬遠し、一太郎など他のワープロソフトを使用したり、テキストエディタページレイアウトソフトを併用している場合がある。また、表計算ソフトのExcelを複雑な罫線を多用する場合に利用したり、プレゼンテーションソフトのPowerPointを、図表が多い文書やリーフレット・パンフレットを作成する用途に使う者もいる(実際にアスキー・ドットPC2007年8月号では、その特集が組まれている)。

なお、Wordは元々が英文用文書作成機能に特化した製品であり、その目的から外れる機能については競合製品に劣る点が多いが、Microsoft OfficeにはExcel(表・グラフ)、Visio(グラフィック)、Publisher(ページレイアウト)といったWordでは不足する機能を補完するツールがそろっているため、これらを併用したほうが効率的に仕事ができる場合が多い。

その一方で、オートコレクト機能を利用して一般的な定型文書制作時に行われる挨拶文や起承転結部分のテンプレートを呼び出して入力を簡略化するツール等も追加されている。

Word Viewer[編集]

Windows版のみであるがWord Viewerが無償で配布されている。Microsoft Wordで作成された文書の表示・印刷などに限られる。

容量制限[編集]

Microsoft Wordのページ数の限界は32768ページであり、これ以上増やそうとするとフリーズしてしまう。

関連項目[編集]

日本における競合製品[編集]

その他の国における競合製品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b リチャード・ブロディ、森 弘之訳『ミーム―心を操るウイルス』講談社、1998年
  2. ^ a b リチャード・ブロディ、大地舜訳『夢をかなえる一番よい方法』PHP研究所、2002年、ISBN 4569612628、ISBN-13 978-4569612621
  3. ^ 特許侵害で:Microsoft、米地裁から「Microsoft Word」販売差し止め命令ITmedia、2009年8月13日

外部リンク[編集]