一太郎
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| 一太郎 | |
|---|---|
| 開発元 | ジャストシステム |
| 最新版 | 一太郎2009 / 2009年02月 |
| 対応OS | Microsoft Windows / Linux |
| 種別 | ワードプロセッサ |
| ライセンス | プロプライエタリ |
| 公式サイト | 一太郎Web |
一太郎(いちたろう)は、ジャストシステムが販売する日本語ワープロソフトの名称であり、同社の看板製品である。また、同社の登録商標となっている。現在の最新バージョンは「一太郎2009」である。
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名前の由来
学生時代の浮川和宣社長が家庭教師をしていた際、後に病死した受け持ちの中学生「太朗」君の名にちなんで命名された。「太郎」が日本の男の子の代表的な名前であることや、「太郎よ、日本一になれ」という思いを込めている。「新太郎」も候補になったが、「新バージョンが出たとき混乱する」という理由で却下され、一太郎という名称になった。
また偶然ではあるが、ジャストシステムの地元徳島県ではこれが開発された当時に徳島市立動物園で、全国的にキリンの太郎と象の花子のラブロマンスが話題になっていた。そのためか、ほとんど発売時期の同じ同社のグラフィックソフトの名前は「花子」となっている。
概説
一太郎Ver.1の発売当時は、日本語ワープロソフトウェア業界では管理工学研究所の「松」が大きなシェアを占めていた。当時としてはいち早くDOSベースで開発された一太郎は、PC-9801のアーキテクチャに依存していた松と差別化し、日本語入力フロントエンドプロセッサ(FEP)の採用・多機種への移植・松のほぼ半値という、低価格ながらも引けを取らない機能などで「松」の牙城を崩し、やがて日本語ワープロソフトの代名詞的存在として圧倒的なシェアを占めていった(この当時は「プアーズ松」という呼ばれ方もあった)。事務所などのパソコンでは一太郎のみを使用することが多く、一太郎が『パソコン自体の名称』であるとさえ誤解している人も存在した。 現在は一般的な日本語入力の操作になっている「スペースキーでかな漢字変換・リターン(Enter)キーで変換候補の確定」というスタイルは、JS-Wordから引き継いだ一太郎(ATOK)独特の操作法が、実質標準化していったものである。
しかし、完成度が高く独占的なシェアを得ていたVer.3から、ジャストウィンドウを採用し花子などファミリーソフトとの統合を図ったVer.4への切り替え時に失敗し、ごく短期間にVer.4.3までバージョンアップした。Ver.4およびジャストウィンドウは、当時としては高価だったEMSメモリやハードディスクドライブをほぼ必須としており(Ver.4に合わせてジャストシステムは自社ブランドでEMSメモリボードなどを提供していた)、上記のように一太郎専用機として使われることの多かったパソコンシステムに対しては、当時としては過剰とも見られる投資が必要だったためである。このときは「ATOK7はいいが、Ver.4は不要」との声に対してATOKの単体販売が始められ、またノートパソコンブームの影響もあって「一太郎dash」というVer.4のサブセット版を販売することになった。
OSがWindowsに移行していた過渡期、当時は単なるアプリケーションソフト・ランチャー色が強かったうえに日本語フォントの扱いが弱かったWindows 3.xの普及をジャストシステムは軽視し、アプリケーションソフトメーカーごとにウィンドウシステムを用意すべきであるとの持論を展開した。その回答として、すでに実績を持ちWYSIWYG機能に優れたジャストウィンドウを前面に押し出したが、のちの爆発的なWindowsの普及によりジャストウィンドウは立場を失ってしまい、一方でWindowsへの対応には遅れが生じることとなった。(日本海軍の大艦巨砲主義になぞらえるケースもあった)
その後、遅れてWindows版バージョン5を完成させるも、MicrosoftによるWordとExcel抱き合わせ販売などの拡販工作により、次第にWordにシェアを奪われていく(抱き合わせ販売については[1]参照)。特に、Windows95に対応する新バージョンの開発には大幅な遅れが生じ、そして登場した「一太郎7」では、マクロ機能の実装が見送られたうえ、当時の普及帯パソコンに搭載されていた以上のメモリ容量を要求する動作の重さが原因でユーザからの信頼を失い、すでにWindows95と同時発売されていたマイクロソフト社のWord95に大きくシェアを奪われることとなった。
また、ジャストシステムはWindowsへ移行するにあたって、マイクロソフトとは逆に外部のデータベースソフトや開発言語などから、文書内のオブジェクトをDOMツリーをたどるかたちでアクセスできる仕様にしないなど、システムソリューション市場を真っ向から無視するアーキテクチャを採用したため、オフィスなどで大量導入してもスケールメリットが出にくいことも、市場がMicrosoft Officeに流れる原因となった。
結果、かつては一太郎の機能の一部であった漢字変換ソフトウェアATOKが、現在では一太郎を凌ぐジャストシステムの主力製品となってしまった。バージョンアップ毎に機能を拡張しているとはいえ、通常使う範囲では使うことのない機能やATOKの方を重点的にバージョンアップしている年もある。しかしながら昔からのユーザーやWordの日本語ワープロソフトとしての機能に不満を持っているユーザーなどはバージョンアップされる毎に買い換えるなどしている。現在では文部科学省・防衛省・法務省などの官公庁や一部企業では、一太郎を標準のワープロソフトとして指定している。現在でも使用しているところは主に過去のデータの運用の関係、若しくは高度な日本語ワープロ機能を使用する会社などがメインである。また、一部の官公庁ではWordに移行しつつあるが、現時点でも一太郎を部分的であるが導入して運用している部署等もある。
一太郎は現在、Windows版のほかLinux版も移植されている(かつてはMacintosh版やOS/2版も存在したが、いずれもVer.5のみで開発終了している)。またJava版の一太郎Arkも発売されている(ただし、標準フォーマットにXHTMLを採用しており、一太郎文書は読むことは出来ても書き出すことは出来ない)。かつてはノートパソコン向けに軽量化した「一太郎dash」「一太郎lite」シリーズを販売していたが、ある時期から多数のバリエーションを乱発するようになり、家庭用統合ソフト「ジャストホーム」に同梱される「一太郎Home」シリーズ、小学生向けの「一太郎スマイル」シリーズ、中学・高校生向けの「一太郎ジャンプ」シリーズ、文芸作品作成に最適化された「一太郎 文藝」、公文書作成用の「一太郎ガバメント」などを作成し出荷している。
2009年2月6日にWindows版の最新バージョン一太郎2009が発売された。
バージョン3の頃から、バージョンナンバーを名前の頭に付けて、バージョン3なら「三太郎」・4なら「四太郎」・5なら「五太郎」とユーザーの間で区別されていたこともあった。『四太郎』の発音が落語に登場する与太郎に通じることから[要出典] 、特にVer.4において使えなさへの批判をこめて広まった言い回しである。
歴史
- 1983年 - PC-100用日本語ワープロソフト「JS-WORD」を開発。
- 1984年 - IBM JXシリーズ向けに「jX-WORD」を発売。
- 1985年2月 - PC-9801シリーズ向けに「jX-WORD太郎」を発売。ATOK3を付属ソフトとして同梱。
- 1985年5月 - 「jX-WORD太郎」の後継製品として「一太郎」を発売。日本語入力ソフト「ATOK4」をFEP化し、ATOKがMS-DOS上のどのソフトからも使えるようになった。
- 1986年5月 - 「一太郎Ver.2」を発売。「新一太郎」と呼ばれた。「ATOK5」を搭載。
- 1987年6月 - 「一太郎Ver.3」を発売。「三太郎」と呼ばれた。コピープロテクトをやめ、ユーザーが自由にバックアップをできるようになった。花子とも連動。
- 1989年4月 - 「一太郎Ver.4」を発売。「四太郎」と呼ばれた。ジャストウィンドウと呼ばれるウィンドウシステムを搭載し、「一太郎」と「花子」や他のソフトが同時に使えるようになった。
- 1992年4月 - 「一太郎Ver.4」FM TOWNS対応版を発売。
- 1993年4月 - 「一太郎Ver.5」を発売。「ATOK8」搭載。ハードディスクドライブへのインストールが必須となる。Windows版、Macintosh版、OS/2版も開発。WYSIWYGを実現した。漢字の前後の文脈を考えて、変換する機能を搭載。
- 1995年7月 - 「一太郎Ver.5 for Macintosh」を発売。
- 1995年6月 - ジャストウィンドウ対応の一太郎Ver. 5 with ATOK9が発売される。
- 1995年1月 - 「一太郎Ver.6」を発売。
- 1995年8月 - 「一太郎Ver.6.3」を発売。インターネット対応を図った。
- 1996年9月 - 「一太郎7」を発売。Windows95に初めて正式対応。
- 1997年2月 - 「一太郎8」を発売。原稿用紙に直接印刷できる機能を搭載。
- 1998年9月 - 「一太郎9」を発売。
- 1999年9月 - 「一太郎10」を発売。ワークシートに対応。
- 2001年2月 - 「一太郎11」を発売。オンラインストレージサービス「インターネットディスク」と連携。
- 2002年2月 - 「一太郎12」を発売。ナレッジウィンドウを追加。
- 2003年2月 - 「一太郎13」を発売。
- 2004年2月 - 「一太郎2004」を発売。アウトライン編集機能を追加。
- 2005年2月 - 「一太郎2005」を発売。
- 2005年9月 - 「一太郎 文藝」を発売。
- 2006年2月 - 「一太郎2006」を発売。
- 2006年9月には、追加モジュールによりODF(Open Document Format)に対応した。
- 2007年2月9日 - 「一太郎2007」を発売。初のWindows Vista正式対応。
- なお、発売予定日前日の8日に統合オフィスソフトJUST Suite 2007のインストーラに不具合が発見されたため、3月9日に発売延期が発表された(一太郎や花子など単体製品のインストーラには問題がないため予定通り発売)。
- 2008年2月8日 - 「一太郎2008」を発売。
- 2009年2月6日 - 「一太郎2009」を発売。
累計出荷本数の推移
- 1991年11月7日 - 100万本
- 1994年6月 - 200万本
- 1995年3月 - 300万本
- 1995年12月 - 400万本
- 1996年4月19日 - 500万本
- 1996年10月11日 - 700万本
- 1997年1月 - 800万本
- 1997年9月19日 - 1000万本
- 1999年7月 - 1200万本
- 2002年12月 - 1600万本
- 2005年2月 - 1800万本
(「jX-Word太郎」と「一太郎」の合計。ジャストシステム発表による)
Microsoft Wordとの主な違い
Microsoft Wordとの主な違いは以下の通り。
- 利点
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- 縦書きのための機能が充実していることや、原稿用紙・各種専用用紙など、日本でよく利用される用紙のテンプレートが標準で用意されているなど、日本の文書事情にあった編集とレイアウトがしやすい(基本的にWordは、横書き文化のワープロを改修するかたちで日本の事情に合わせているため、とくに表示面で問題が生じやすい)。
- 均等割付後、再度編集時該当部分をマウスによるクリック若しくはカーソルを合わせるだけで編集を再開可能。(Wordでは再度均等割付の操作が必要)
- 自由な位置から文章を書き出せる(Wordではマウスによるダブルクリックのみ対応。キーボードでは未対応。)
- 一つのドキュメントファイルに複数シート作成ができる。
- Wordなどのファイルもいちおう開け、他形式での保存も出来る(但し、その際は複数シート作成などを行った場合、アクティブなシートしか保存できないなどの問題は発生する)。
- Wordと違い、センタリングが必ず文章の中心部にきちんと送られてくるのでバランスの良い、見栄えの良い文章作成が楽に出来る。
- ESC機能が充実しているのでキーボードでの各種メニュー操作が非常に楽。(Wordはマウスによる操作を前提としているため、万が一マウスに支障をきたした際操作能力が半減する)
- 各種操作を全て画面上部のメニューに納めているので初心者でもある程度各種メニュー表示を見れば操作を覚えやすい(WORDは基本的にアイコンによる操作がメインのため、アイコンを覚える必要がある)
- 書式や挿入、罫線等が細部まで充実している。
- 自由に罫線を引くことが出来、罫線で作成したセル内でも可能な限り更にセルを作成可能。(WORDは自由に罫線を引くことが出来ずにまた、セル内にセルを作成しようとするとどうしても微妙なズレが生じやすい。
- シートの背景やインタフェイスを自分の好みの背景や色にカスタマイズできる。
- 欠点
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- 世界標準であるWordに比べて日本ローカルなワープロソフトであるため、国外でのファイルの運用などに支障がある(この点については、ジャストシステムが一太郎をODFに対応させたので今後解消される見込みである)
- ショートカットキーの機能が一般で知られるものと大きく異なるものが多いため、当ソフトで活用するには区別して覚える必要がある(たとえば、CTRL+Fは多くのツールやブラウザで『検索』であるが、当ソフトでは『段落指定』であり、『検索』を行うにはCTRL+^と入力する必要がある。)。更にこのインタフェイスはジャストシステム製造のアプリケーションソフト同士でも整合性がない場合がある(一太郎とラベルマイティなど)。
- Wordで一太郎形式のファイルが開けない(一応、Word側の拡張機能で、不完全ではあるが一太郎8くらいまでは対応)
- 一太郎のWord変換機能を利用してdoc形式のファイルを開いた場合、レイアウトが崩れる場合もある(しかしこれは条件によってはWordのバージョン間でも生じる問題なので、運用次第である)。
- 一太郎のインストールされていないパソコンでは、一太郎で作成した書類データは基本的には表示できないため、ジャストシステム側で無料配布されている『一太郎ビューア』をインストールする必要がある。
- マクロ機能がマイクロソフトのVBAと比べて貧弱で、また多数の細かいバグを当初より実質放置している。(Ver5のマクロでは若干のバグがあったが、現在でも確認済)
- 開発言語やデータベースソフトなどからの接続性が低い。これは一太郎 Office Suiteでも同じである。
- 自動判別を指定しても、Unicode(UTF-8など)でエンコードされたプレーンテキストファイルを読み込むと完全に文字化けする。
- Google DesktopやWindows Desktop Searchなどの全文検索ソフトが対応していない。(ただしWindows Desktop Search用 IFilterがジャストシステムから無償提供されている[2])
- HTMLへの書き出し機能が標準を無視した独自仕様で出力される。(但し、元々が日本語ワープロとしての機能を充実させているので余り影響はない。一太郎でHTMLを作成してもあまりこれと言った問題はない)。
- 表計算ソフト『excel』との互換性が良くない(かなり改善はされたが、それでもWordと比較してリアルタイムで表内データを更新できないなどの問題はある)。そのため、独自で表計算ツールを組み込んでいるが、性能や使い易さにおいて、専用ソフトと比較して大きく劣っている。
現在
- 現在でも一部の医療機関静岡がんセンター・東京北社会保険病院・などや文部科学省(各地方の教育委員会・学校教職員含む)・防衛省(主に陸上・航空自衛隊)・法務省、裁判所などの官公庁や東洋経済新報社・野村證券・日本経済新聞社・ソフトバンク・共同通信社・北海道旅客鉄道・東日本旅客鉄道・東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道・四国旅客鉄道・九州旅客鉄道・日本貨物鉄道などの一部の企業では一太郎を標準のワープロソフトとして指定している。また、法務省や裁判所では過去に作成された裁判関連のツールが一太郎で作成されている関係上職員の大半が一太郎をインストールして使用していると関係者の話がある。実際に中央省庁を狙った一太郎の脆弱性を利用したウイルスも出現している[3]。
- 「一太郎 文藝」の存在が示すように、一太郎およびATOKは、文筆業者などからは長年にわたり支持を受けている。現に、映画・ドラマ・コミックの原作脚本などを手がける脚本家は、一太郎で執筆しているという。脚本執筆の際、ATOKの日本語変換能力や一太郎の編集能力(特に縦書きや自動修復機能等)は大変重要であると、とある脚本家が数年前に雑誌のインタビューで答えている。
- 2006年に4月~10月にかけて、防衛庁(現・防衛省)に事務用PCが大量導入された。これまでは、私物のパソコンを用いて業務を行なっていたことが理由で、ファイル共有ソフトWinnyをインストールしたPCからのデータ流出事件が発生したことから、新たに推定5万6千台のPCを導入することにより業務での私物PC使用を一掃するためである。しかし、導入されたPCに一太郎はインストールされておらず、Microsoft Wordの使用が推奨されることとなった。市販のPC購入時に、すでにMicrosoft Wordがプリインストールされており、今回導入した全てのPCに一太郎を導入すると、経費が余計にかさむためである。ただし、2006年11月現在でも使い勝手の良さから一太郎を個人(部隊)で購入し、業務用として登録することにより使用している部隊及び隊員もいる。
- 学校の教職員は、「一太郎を使用している」というイメージがあるが、今では大体20代から30代初めの教職員は、Wordを使用している事があるが過去からのデータの共有上、インストールはしている模様。また、小学校教諭は小学校に導入されている一太郎スマイルを児童に教えるために個々のPCに一太郎及びスマイルをインストールして使用していると現役の小学校教諭が証言している。[要出典]
関連項目
- ATOK:一太郎に付属するかな漢字変換ソフトウェア(日本語入力システム)
- Microsoft Word:Windows時代のライバルソフトウェア
- Justsystem Office/一太郎Office/JUST Suite
- OpenDocumentをサポートするアプリケーションの一覧
- アレアハングル:韓国版一太郎といえる韓国の代表的ワープロソフト
- 一太郎検定
- 松:DOS時代のライバルソフトウェア
外部リンク
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