ATOK

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ATOK
開発元 ジャストシステム
最新版 ATOK 2014 (Tech Ver. 27) (Windows)
ATOK 2013 (Tech Ver. 26) (Mac OS X)
ATOK X3 (Tech Ver. 20) (Linux) / 2014年2月7日 (Windows)
2013年6月28日 (Mac OS X)
2007年11月 (Linux)
対応OS Microsoft Windows
Mac OS X
Linux
Windows Mobile
Android
種別 インプットメソッド
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト ATOK.com
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ATOK(エイトック、Advanced Technology Of Kana-kanji transfer)は、ジャストシステムが開発・販売しているかな漢字変換ソフトウェア日本語入力システム)の名称であり、同社の登録商標でもある。平成19年(2007年)にグッドデザイン賞を受賞した。

現在、Windows向けにATOK 2014 for Windows (Tech Ver. 27)Macintosh (Mac OS X) 向けにATOK 2013 for Mac (Tech Ver. 26)Linux向けにATOK X3 for Linux (Tech Ver. 20) が最新版としてリリースされている。このほかにWindows Mobile向けにATOK for Windows MobileAndroid向けにATOK for Androidなどがある。

概要[編集]

ATOKは日本語かな漢字変換ソフトウェアとしては歴史が長いもののひとつである。その完成度は高く、同種のソフトウェアとして一定規模のシェアを持ち続けている。

ATOKは変換精度や学習能力が高く、カスタマイズ(プロパティでの環境設定)の柔軟性がある。他方、他のソフトウェアと相性的な問題が発生することも時折見られる。動作が重いときやソフトウェアの配色設定によっては入力に支障が出る場合もある。これらは、Windowsに標準で含まれているMS-IMEとは異なり、別売りであることから各ソフトウェアメーカーが動作検証を行わないためである。

ATOKは、かな漢字変換ソフトウェアの黎明期において、競合するソフトウェアが変換アルゴリズムにさまざまな工夫を凝らす中、変換アルゴリズムよりも辞書の質に重点を置く手法で、変換精度を高めることに成功している。他社製のものでも学習を重ねることによって変換精度を高めることが可能であったものの、ATOKは初期状態から比較的高い精度を持っていたのが特徴であったといわれる。

ATOKはもともと、一太郎のかな漢字変換部分として登場したソフトウェアであった(なお、前身のKTISは単体でOEM販売もされていた)。ATOK7以降のものは一太郎から切り離し単体販売もされており、むしろ現在では一太郎をしのぐジャストシステムの主力製品になっている。平成20年(2008年9月2日からは、月額あるいは年額ライセンスの形態での提供も開始された。

当初のMS-DOSとその後継であるWindowsのほか、Macintosh、LinuxHP-UXSolarisWindows CEAndroidとさまざまなプラットフォームに移植されており、また後述の+ATOKもある。

メジャーバージョンアップはWindows版を先行させており、リリースが遅れがちな他プラットフォーム版ではATOK離れが見られた時期があった。

ATOKは、一般用語の変換精度が高い一方、差別用語とされる単語や卑猥な単語などに対しては、MS-IMEと比べ強い自主規制を行っている。例えば、一般的にも広く用いられる小人(こびと)ですら初期の状態では変換することができない(詳しくは表現の自主規制#出版などを参照のこと)。ただし、単語登録の機能で「こびと→小人」のように強制的に変換させることはできる。また「小人」を「小(こ)」「人(びと)」に分割して変換することにより、自動的に学習して変換できるようになることもある。また初期状態においては、「しょうにん→小人」へ変換することはできる。また「陰唇」のように正式な生理学用語の一部も登録されていない。これについてはユーザーからも、「現代の言葉狩りの時勢に対応し、問題の発生を避けさせる」「言葉狩りに過敏反応して使い勝手を低下させる」などとして賛否両論がある[要出典]。また、単漢字変換に関して、誤った読みへの変換を含んでおり、地名等の固有名詞への誤植を誘発する例も見られる[要出典]

ジャストシステムはこの件に関して、誤用によって差別や障害に苦しむ人々の目に触れること等を防止するためとの見解を出しており[1]、初期の状態で規制されている語句を使用したいユーザーは、自身でATOKダイレクト(正規登録ユーザーのみが利用可能な追加辞書機能)を追加することにより変換が可能となっている。

電子辞書広辞苑明鏡国語辞典等)、連想変換辞典角川類語新辞典日本語使いさばき辞典等)、専門用語変換辞書(電気・電子・情報17万語変換・対訳等)をATOKの機能に組み込むことで、ストレスの少ない文書入力作業を実現できる。

ATOK15以降、日本語の方言文語体などさまざまな日本語変種への対応を始めているのも特徴の一つ。最新版は駅名やカタカナ語から英語への変換(パーソナルコンピュータ→personal computerなど)も実装し、さらにはローマ字入力から任意の英単語(yomu→readなど)や英単語索引入力機能などの新機能が充実した。

ATOK 2010からはプログラムがUnicode化され、サポート対象外ではあるが、日本語版以外のWindowsでも利用できるようになった。ATOK 2011からはTSFに対応するようになった。

名称[編集]

ATOKの名称については、現在は「Advanced Technology Of Kana-Kanji Transfer」の略であるとしている[2]。かつては「Automatic Transfer Of Kana-kanji」の略であるとされていた。[要出典]

他に、以下のような説がある。なお、ATOKの公式ウェブサイトでは、正式なもの以外を俗説とし、その一部に触れている[2]

  • Ascii TO Kanji
  • ANK (alphabet-numeric-kana) TO Kanji
  • Awa-TOKushima(ジャストシステムの本社が「阿波国徳島県徳島市にあることより)
  • Awa Tokushima Operates Kanji(同上)

また、読みとしては俗に、

  • アトック
  • アトケー
  • アトキ
  • エイトゥーケー
  • エートーク

と発音されているが、公式表記は「エイトック」である。標準辞書で「えいとっく」から「ATOK」に変換されるが、「あとっく」や「あとけー」などからは変換されない。なお会社側の表記には使われていないが「えーとっく」からも「ATOK」へ変換される(ATOK2014)。

歴史[編集]

1981年に手がけたロジックシステム社向けかな漢字変換ソフトがルーツ。1982年にはCP/M-80版を開発し、KTIS (Kana-kanji Transfer Input System) と名付けた。

商用としての第一歩は1983年一太郎の前身となったPC-100用のソフトウェア「JS-WORD」に搭載されていたMS-DOS版KTISである。PC-9801版のJS-WORD(Ver.2)が発売に合わせ、KTISもバージョンアップしてKTIS2となり、さらにPC-9801版「jX-WORD太郎」発売時、複合連文節変換に対応して名称がATOK3に改められた。

後継ソフト「一太郎」 (Ver. 1) に搭載されたATOK4から、かな漢字変換システムとして一太郎から独立して使用することが可能になり、以降一太郎のバージョンアップに歩調を合わせて進化を重ねている。そのため、ATOK16までは一太郎本体のバージョンより3ずつバージョン表記が大きかった。

しかし「一太郎2004」(ATOK 17を搭載)より一太郎のバージョン表記が西暦表記に変更されたことでこの関係が崩れ、さらに、「一太郎2005」に搭載された「ATOK 2005 (Tech Ver. 18)」からは、ついに一太郎本体とバージョン表記が同一になった。ただし、現在でも「ATOK」の内部バージョンは「一太郎」の内部バージョンより3ずつバージョン表記が大きくなっている。

Macintosh用はATOK8が最初のリリース。その後2バージョン飛んで、ATOK11からはWindows用より約半年遅れで新バージョンを発売している。ATOK14からMac OS Xに対応、ATOK 2006からUniversal Binary(一部ユーティリティ等はPowerPCバイナリ)となり、Intel Macで使用できるようになった。

また2008年9月からは、Windows版にのみ、月額300円で使用できる「ATOK定額制サービス」の提供を開始、低料金で最新のプログラムと辞書コンテンツの提供を受けられるサービスを展開している。同サービスはMac版でも2009年9月から開始された。

平成23年(2011年)11月から定額制サービスはATOK Passportにリニューアルされ、OS (Windows, Mac OS, Android) の種類を問わず最大10台まで最新版のATOKを利用できるようになった(利用料金はこれまで通り月額300円)[3]

+ATOK[編集]

携帯電話PDAゲーム機カーナビ等に向けた組込型製品群もあり、これらは +ATOK と総称される。以前は"ATOK Pocket"との名称が付けられていた。

最初に携帯電話に採用されたのはNTTドコモの携帯電話・D503i三菱電機製)であった。ソフトバンクauKDDI/沖縄セルラー電話)の携帯電話にも搭載例があり、ATOK for au等という呼び方もある。特にauのKCP+機では標準でATOKが採用されている[4]が、必ずしもATOKには固定されておらずKCP+機種でもシャープはケータイShoin(SH008以前、基幹エンジンは富士ソフトFSKAREN)やiWnn(SH009以降)を、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズPOBox Proを独自搭載している。

ソニー・コンピュータエンタテインメントPlayStation PortablePlayStation 3任天堂Operaをベースに開発したニンテンドーDSウェブブラウザニンテンドーDSブラウザー」や、同じく任天堂のニンテンドーDSi用のニンテンドーDSiブラウザーWiiにも採用されている。

携帯電話のメーカー別に見ると、三菱電機・富士通カシオ日立モバイルコミュニケーションズカシオ計算機および日立製作所(→日立コンシューマエレクトロニクス))・鳥取三洋電機(現・三洋電機コンシューマエレクトロニクス)・三洋電機(大阪)(現・京セラSANYOブランド。W54SAとソフトウェアの開発を鳥取三洋電機が担当した機種のみ)・NECN600iのみ)・ノキアパンテック&キュリテルパナソニックモバイルコミュニケーションズ(au向けのみ)・東芝(KCP+対応機全てと同社製のスマートフォン)・京セラ(A5305KおよびW11K、同社SANYOブランドのW61SAW63SAW64SASA001SA002を含むKCP+対応機全て)が採用している。またPHSではシャープで採用している機種がある。このほかには、ラベルライター、カーナビゲーション、映像機器等がある。

こうしたフルキーボードを持たない情報機器では、同じくジャストシステムが開発した予測変換機能・APOT (Advanced Prediction Optimization Technology) と組み合わされる場合が多い。+ATOKと競合するiWnnやPOBox Proの予測変換機能と比較すると、直前に使用した語句が頻度に関係なく表示される点、濁点や半濁点を含んだ候補まで表示される点が異なる[5]。また+ATOKは収録語の追加・変更などは細かい部分での機能改善は行われているものの、PC版と比較するとバージョンアップがプレスリリースなどで明示されることは少ない。

ATOK for Android[編集]

ATOK for Androidは平成23年(2011年)6月22日に一般発売されたAndroidアプリ。

体験版
2010年11月26日から、体験版がNTTドコモの一部のAndroidスマートフォン向けに「ATOK for Android [Trial]」として提供されていた。「Androidで試してナットク!エイトック!トライアルキャンペーン」と称された。その後、平成23年(2011年)2月末までとされていた体験版試用期間を、平成23年(2011年)6月30日に延期すると発表。同時にauとソフトバンクの一部機種も体験版の対象機種に加えた。
有料版
ATOK for Androidの有料版は、平成23年(2011年)6月22日に発売された。価格は1,500円で、平成23年(2011年)6月27日までは980円となっている。一般発売からはイー・モバイル日本通信の機種などにも対応している。
プレインストール機
正式版としては平成22年(2010年)12月17日発売のT-01Cが初めてプリインストールで採用した。その後、平成23年(2011年)2月10日発売のIS04、平成23年(2011年)3月15日発売のN-04Cがプリインストールで採用している。プリインストール機でも有料版のインストールはできるが、日本語入力は同じATOKでも別のものとして扱われる。富士通製のAndroidスマートフォンでは手書き入力にも対応している。
搭載されている機器
NEC製並びにNECカシオ モバイルコミュニケーションズ製、富士通製並びに富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製のAndroidスマートフォン・タブレット全機種

ATOK Pad[編集]

ATOKの日本語入力と連携した機能が特徴のメモツール。Windows用のベータ版が2010年5月に無料公開された。Yahoo! JAPANTwitterEvernoteなどのオンラインサービスとの連携機能も搭載する。

iPhoneiPod touch向けのATOK Padは2010年9月に有料配信が開始された。平成23年(2011年)4月19日よりバージョン 2.0.0が公開されており、1,200円で販売されている。ATOKの日本語入力システムを内蔵し、入力した文字列を他のアプリケーション(メール作成・Twitterなど)やクリップボードに送ることで、擬似的にiPhoneでのATOK入力を可能にしている。ジャストシステムとしてはATOK自体をiPhoneの日本語入力システムとして提供したい意向だが、アップルは標準以外のインプットメソッドを認めていないため実現していない[6]

脚注[編集]

  1. ^ 変換辞書をめぐるFAQ | ATOK.com
  2. ^ a b ATOKとは | ATOK.com
  3. ^ 「ATOK Passport」提供開始、Windows/Mac/Android向けATOKが月額300円”. INTERNET Watch (2011年11月8日). 2013年2月17日閲覧。
  4. ^ 携帯の統合プラットフォーム、ATOK採用” (日本語). ITmedia エンタープライズ (2007年10月16日). 2011年5月28日閲覧。
  5. ^ 太田純 (2005年1月12日). “大画面+ATOK、「W21CA」の文字入力の実力は?” (日本語). 効率よいメール入力を考える:第1回. ITmedia +mobile. 2011年5月27日閲覧。
  6. ^ 宮本真希 (2010年9月21日). “iPhoneのIMEとしてATOK提供「あきらめていない」” (日本語). ITmedia. 2011年5月27日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]