電子たばこ

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電子たばこ(でんしたばこ)とは、電熱線で液体を加熱して発生させた少量の蒸気を吸引する、たばこに似せた吸引器である。

概要[編集]

たばこに似た形の吸引器を口にくわえ、専用カートリッジ内の液体を電熱線の発熱により霧状化し、その微粒子をたばこののように吸引することでたばこの代替とする。葉を用いる従来のたばことは異なり、火気を用いない上に、燃焼に伴うタール一酸化炭素なども発生しない。また、たばこの先端から副流煙が発生しないため、他人に迷惑をかけず自身の健康を害することもない。2008年頃から日本国内においてもメディアなどで取り上げられている。

香りや味を風味に加味させた製品やニコチンを含む液体を使用した製品もある。

形状は葉巻型、パイプ型、紙巻煙草型など様々なものがあるが、構造的にはすべてほぼ同じで、「充電式バッテリー」(蓄電池)と「噴霧器としての本体」、「希釈液を含んだカートリッジ」(風味)から構成されている。電池はほとんどのものがリチウムイオン充電池を使用しており、継ぎ足し充電が可能である。

カートリッジをケースから取り出して充電済みの電池本体と共にカートリッジにセットし、手動タイプではスイッチボタン、自動タイプでは吸い口から吸引すると自動的に気流センサーが反応して、カートリッジ内の液体を霧状化、吸い口から霧状の希釈液を噴出する。これは吸引した程度では霧状のままのため、そのまま吐き出すと実際の煙のようにみえる。これを肺まで深く吸引した後に吐き出しても実際の煙草同様に煙がみえる[1]。これは噴射された霧状の粒子が煙草の煙の粒子とほぼ同じ大きさのため、水分吸収されにくく、長く残るためである。また、色や煙(霧状)の状態や、長く煙(霧状)が空気中に漂ってみえるのも実際の煙と同様であるのはそのためである。また、吸引すると同時に先端の赤色LEDが発光し、本当に火をつけて吸っているようにみえる。

カートリッジあるいは詰め替え用の液体は、ニコチン含有量によって数種類用意されている。ニコチンを含まないものもある[2]。また、ニコチン量以外にも、果物の香りといったタバコ以外の香料を配合したカートリッジあるいは液体が用意されている製品もある。電子たばこは普通のたばこでも禁煙具でもない1つの嗜好品であるが、このような性質上禁煙に利用することもできるとされている。一般的な禁煙プログラムはニコチンの多いカートリッジから始め、徐々にニコチンの少ないカートリッジへ移行し、最終的にはニコチンを含まないカートリッジに移行することでニコチン依存から効率的に脱却できるというものである。

日本国内[編集]

日本では日本たばこ産業がニコチン入りの電子たばこプルームを販売している。液体ではなく、たばこポットと呼ばれるたばこの葉が詰まった専用カートリッジを利用する。たばこポットの種類もメビウス、ピアニッシモ等、従来のたばこブランドの銘柄を取り扱っている[3]。ニコチンが入っているため未成年への利用を禁止しており、20歳以上にしか販売していない。

ニコチン入りの電子たばこを国内で販売することは薬事法に抵触するため、国内の業者が販売している製品はそのすべてがニコチンなしのものである。

購入・使用に関して[編集]

基本的に本物のたばことは異なるが、ニコチンが含まれているものについては未成年者や妊婦、授乳中の女性、その他喫煙経験のない者や医師から喫煙を禁止されている者等の利用は不適切である。

禁煙効果[編集]

ニコチンは身体的依存と精神的依存がある。販売業者によってはその禁煙効果を大きくうたっている所もあるが、基本的に、ニコチンなしの電子たばこについては香料の含まれる気体を吸うのみであるため、身体的依存によるニコチン摂取量低減などの医療的な効果はほとんど期待できず、口寂しさを紛らわす精神的依存の解消効果に留まる。

有害性へ賛否[編集]

一部の業者が世界保健機関 (WHO) が電子たばこの医療効果についてお墨付きを与えているかのような広告宣伝を行っていたため、一部報道によると、WHOは2008年9月にこれを否定し電子たばこによる吸引に対し疑問を呈し、一部の粗悪な製品には毒性のある物質が含まれている可能性もあると注意を呼びかける声明を出している[4]。いずれにしても、深刻なたばこ依存を改善する禁煙治療には禁煙外来などの専門医へ相談することが推奨される。

電子たばこが喫煙具だけではなく、ニコチン無添加の風味を楽しむカートリッジがあり各種菓子味など未成年者にとっても魅力的な風味があることも議論の対象となっており、専門筋は喫煙に向かわせるきっかけになると危惧している[誰?]

この問題に関連して、アメリカ食品医薬品局 (FDA) は一部の電子たばこに発がん性物質をはじめとする毒性物質が含まれることを報告書内で示している。また、WHOおよび米国疾病管理予防センター (CDC) は若年者の使用においてニコチン依存の増大と喫煙に向かわせるリスクを懸念していることが示されている[5]。この問題に際して、FDA筋は品質管理の杜撰さからか来るものだとみている。この見解に関して米国肺協会 (ALA) は支持を表明しており、FDAの承認が出ない限りはそれら製品を販売すべきではないという意見を示しており、また、FDA側でもこういった安全性の懸念から2009年7月時点ですでに50件が検査中を含め出荷を足止めさせていると発表している。この問題では発売元(の一つ?)であるSmoking Everywhere社が同4月よりFDAの出荷差し止めは越権行為だとして法廷で争う姿勢もみせるなど、注目も集める。

米フロリダ州の男性(57)が電子たばこを吸っていたところ、電池が爆発する事故が起きた。前歯が折れ、舌の一部がちぎれるなどの大けがをしたという[6]

日本国内で流通している電子たばこの蒸気成分の中には、発癌性のあるホルムアルデヒドが含まれることが厚生労働省の調査により判明している。ただし、2014年段階では健康に及ぼす影響や程度については判然としておらず、今後調査が行われる予定[7]

規制について[編集]

未成年者への販売[編集]

一部の国や都市は法律によって電子たばこの未成年者への販売を禁止している。世界保健機関(WHO)では2014年8月26日に電子たばこに関する報告書を発表し、「電子たばこの蒸気は、宣伝されているような単なる『水蒸気』ではない」「青少年や胎児に健康上の深刻な脅威をもたらす」との見解を示し、電子たばこの未成年者への販売の禁止を勧告している[8]

日本では特に法的定義はないが、電子たばこの使用は喫煙行為に準ずるとして、ニコチンを含んでいなくても未成年者への販売を控える店もある[9]

公共の場での使用[編集]

未成年者の販売と同様、一部の国や都市は法律によって公共の場での使用を禁じており、WHOも上記の2014年8月26日の報告書で各国に公共施設の屋内での使用の禁止を勧告している[8]

日本では北海道旅客鉄道(JR北海道)で2009年5月1日より列車内(白鳥など道外直通列車は除く)や駅施設内の禁煙エリアにおいて、電子たばこを使用禁止としている[10]

脚注[編集]

  1. ^ 煙が不完全な製品ではみえにくいものも存在する。
  2. ^ 国内で流通している製品は薬事法に抵触するため、ニコチンを含まない。
  3. ^ 日本たばこ産業. “「ベイパー(Vapor)」でたばこの味・香りを楽しむ、全く新しいたばこのスタイル。スタイリッシュなデザイン 「プルーム」バラエティ豊かな味・香りが選べる 「たばこポッド」7銘柄新発売”. 日本 (日本たばこ産業). http://www.jti.co.jp/investors/press_releases/2013/1128_01.html 
  4. ^ 共同通信社 (2008年9月20日). “「電子たばこ」にご用心 安全確認されずとWHO”. 47NEWS. http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008092001000030.html 2009年9月17日閲覧。 
  5. ^ HealthDay News (2009年7月29日). “電子たばこの有害性をFDAが警告”. いきいき健康 (日本経済新聞). http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20090730hj000hj 2009年9月17日閲覧。 
  6. ^ 朝日新聞 (2012年2月16日). “電子たばこ爆発、舌の一部ちぎれる大けが”. 国際 (朝日新聞デジタル). http://www.asahi.com/international/update/0216/TKY201202160158.html 2012年2月19日閲覧。 
  7. ^ “電子たばこに発がん性物質、厚労省が本格調査”. 読売新聞社. (2014年11月27日). http://www.yomiuri.co.jp/national/20141127-OYT1T50091.html 2014年11月28日閲覧。 
  8. ^ a b 時事通信 (2014年8月26日). “電子たばこ「健康の脅威」=未成年への販売、広告に規制勧告-WHO”. 時事ドットコム. http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014082600732 2014年11月28日閲覧。 
  9. ^ 未成年者が電子タバコを吸うのは違法なの?”. シンプルスモーカー.com. 2009年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年9月17日閲覧。
  10. ^ “「電子たばこ」のご使用制限について” (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2009年4月30日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2009/090430-1.pdf 2009年9月17日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]