輸入

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輸入(ゆにゅう)とは外国から資源やサービスなどの財を購入することを言う。対義語は輸出。資源の有無、生産性の高低にかかわらず一般的には輸出入に制限を設けない方が国際分業が進み、どの国家にとっても利益が最大になる。しかしながら国内産業の保護育成や外国への依存度が高すぎると国際情勢が悪化した場合に多大な不利益を被る可能性があることなどを理由として、なんらかの制限を課すのが通常である。

日本では、関税法第2条第1項第1号が「外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう」と定義する。

字音では「しゅにゅう」が正しいが、などの影響で「にゅう」という百姓読みが明治時代より定着している。

傾向[編集]

かつては日本においてはいわゆる高級ブランド商品(俗にいうブランド物)、高度な機械類が多かったが戦後は工業化の進展で鉱工業原材料に移り1990年代になると、国際分業化の進展が進んでかつてのNIES諸国や中国からの機械製品輸入が多くなっている。

関連用語[編集]

輸入浸透度[編集]

国内で需要のある、ある商品のうち、どのくらいが輸入によってまかなわれているかをみる尺度。輸入数量を総需要で割る。例えば、ある年の国内におけるテレビの販売数量が400万台でその年のテレビの輸入数量が300万台ならば、輸入浸透度は300万台を400万台で割り75%となる。

また産業単位の比較的大きなスケールで見る場合には、日本については国民経済計算内閣府)や鉱工業総供給表(経済産業省)などが使われる。

並行輸入[編集]

海外商品を輸入する際、商品製造会社の子会社や正規の契約を結んだ代理店が輸入・販売するのではなく、他の業者が輸入すること。個人輸入代行も並行輸入に含まれる。輸入ルートが2つ並行することから、並行輸入(Parallel import)と呼ばれる。非正規ルート。

一般的に価格が正規代理店よりも安かったり(内外価格差が大きい商品ほど、並行輸入による価格メリットが大きい)国内未発売の商品が手に入ったりといったメリットがあるが、返品や購入後のメンテナンスなどアフターケアが不十分な場合がある。日本においては正規代理店が商標を専有して使用できるとして並行輸入業者に対して輸入の差し止めを行うことができたが、1971年からは合法となった(パーカー万年筆事件:大阪地判 昭和45年2月27日 無体裁集2巻1号71頁)。フレッドペリー事件においては、最高裁も同じロジックで違法とした(最一小 平成15年2月27日 判タ1117号216頁)。

また正規代理店が並行輸入品をメンテナンス拒否など差別的に取り扱う場合、その態様、効果によっては独占禁止法上違法な行為となる。ただし正規代理店が自社顧客の優先などの対応を採ることは、直ちに独占禁止法上問題となるものではない。非正規代理店が修理等を自ら行うことが著しく困難な状況、かつ正規代理店に他社のメンテナンスを行う余裕があると認められた場合のみである[1]。かつては輸入車正規ディーラーで並行輸入車のメンテナンスや部品手配は受け付けられなかったが、現在では前述の理由等により問題なく行われる場合もある(輸入車も参照)。インターネット通販で並行輸入品を購入する場合、正規代理店のサポートが受けられずに非正規代理店がサポートを行うことが多い。

かつて自動車用ホイールメーカーであるドイツのBBSにて輸入しようとする商品が生産国と日本で特許を有しており、日本におけるその並行輸入品の流通は特許権の侵害にあたるとして正規輸入元が並行輸入業者を訴えた事件があった(BBS事件)。

本来は正規品(真正品)を正規代理店とは別のルートで輸入・販売することだが、近年は並行輸入と偽り偽造品を販売しようとすることがある。販売国によっては正規代理店そのものが存在しない場合もある。大手の輸入代行サイトでも多数の偽造品が販売されており、それを輸入した非正規代理店が多く存在するため注意が必要である。

個人輸入[編集]

個人が直接(代行を介さず)外国の販売店へ、商品を注文して購入する形態。通信販売の購入先が国内から外国に変わったもの。自国では手に入りにくいような特殊なサイズの衣類や一部の医薬品など、その国では入手しにくいものの購入に利用されることが多い。従来は相手国で通用する言語でビジネスレターが作成できるレベルの語学力が求められ時差や支払方法の問題もあったが、インターネットの発達で高度な語学力の必要性が薄れ業者によっては自国語以外の言語によるページを開設しているところもある。支払方法にはクレジットカードを使うことが多い(ただし、不着や商品トラブルなどの対応には電話や電子メールなどにより意思疎通ができる程度の語学力が必要となる)。

逆輸入[編集]

主に以下のようなケースを指すが、通常は(3)の生産国から一度他国に輸出された製品が再び生産国に輸入されるケースを逆輸入という場合が多い。

  1. ある国原産の商品が他の国で生産され、それが輸入されること(例:ドイツ原産のラガービールだがアメリカの企業が現地ブランドで生産、それがドイツに輸入された)。
  2. ある国(A国)に親会社を置く企業が子会社などの現地法人を他の国(B国)に設立するかB国の現地企業に生産を委託(OEM)し、そこで生産した商品をA国に輸入すること(例:日本の電機メーカーが東南アジアに子会社を作り現地工場で日本の電機メーカーブランドのテレビ受像機を生産し、生産したテレビ受像機を日本に輸入して販売する)。
    1990年代以降の家庭用電気機械器具の多くはこの形態が取られている。自動車(四輪車・二輪車)にもこのような車種がある[2]
    日本から見た「B国」は人件費などのコストの安い東南アジアや中国などが多いが、それには当てはまらず「A国」・「B国」における市場間の差異が原因となり逆輸入が行われる例[3]も少なくない。
  3. ある国(C国)の製品が、他国(D国)に輸出された直後に元の製造国(C国)へ輸入されること(例:日本国内で生産される高性能の輸出用オートバイは一旦欧米などに輸出された後、日本へ輸入される。自主規制回避の一手段。あるいは特定の商品がC国で品薄になり、D国から逆輸入される)。
    特に日本のポップスは、台湾や中国などで日本の市場よりも安く売られている音楽CDなどを逆輸入することにより、日本市場の半額程度で購入出来た。しかし2005年文化庁逆輸入CDの還流防止措置を取り、日本で発売されてから4年経過しないと逆輸入CDが販売出来ないようになった。
    また、2011年の東日本大震災の直後に計画停電が行われたことから、懐中電灯に多用される単1型乾電池が極度に品薄になり、パナソニックなどで海外の生産工場からの緊急輸入も行われた。

メディアミックスにおける逆輸入[編集]

漫画映画などのメディアミックス作品においては上記のものから転じた形で「逆輸入」という言葉が使われる。以下はその例である。

作品の逆輸入
ある国(E国)の漫画・アニメ作品などが他の国(F国)で異なる形で制作・リメイクされ、E国に輸入されること。例えば、『DRAGONBALL EVOLUTION』は日本の漫画『ドラゴンボール』をアメリカで実写映画化した作品である。
設定の逆輸入
ある作品が異なるメディアで展開される際、展開先の作品で独自に作られた設定や登場人物などが原作となる作品でも起用されること。例えば、漫画作品がアニメ化された際、アニメオリジナルキャラクターが原作にも追登場することである。

みなし輸入[編集]

外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、または消費される場合にはその使用し、または消費する者がその使用又は消費の時に当該貨物を輸入するものとみなす。ただし、以下の場合は輸入とみなされない。

  1. 保税地域においてこの法律(関税法)により認められたところに従って外国貨物が使用され、又は消費される場合。
  2. 外国貨物の船用品、機用品を本来の目的に従って使用し、又は消費する場合。
  3. 旅客又は乗組員が携帯品である外国貨物を個人的な用途に使用し、又は消費する場合。
  4. 税関職員の権限の規定、その他法律の規定により外国貨物をその権限のある公務員がその権限に基づき使用し、又は消費する場合。

脚注[編集]

  1. ^ 並行輸入品の修理受託の拒否:公正取引委員会
  2. ^ 2014年11月現在、新車で販売されている車種の例・日産・マーチ日産・ラティオトヨタ・タウンエース(商用バン/トラック)/ライトエース(商用バン/トラック)三菱・ミラージュなどがこれに該当する。
  3. ^ 北米地域で生産されたトヨタ・セプター(ただしセダンは除く)やトヨタ・アバロン(日本市場向けにおける後のプロナード)、三菱・エクリプスホンダ・ラグレイト、オーストラリアで生産された三菱・マグナワゴン(日本市場向けにおける後のディアマンテワゴン)、英国で生産されたトヨタ・アベンシス、オランダで生産された三菱・カリスマ、ハンガリーで生産されたスズキ・スプラッシュなどがこれに該当する。

関連項目[編集]