般若経

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Prajñāpāramitā ジャワ島, インドネシア.

般若経(はんにゃきょう、サンスクリット:prajñāpāramitā sūtra)は、般若波羅蜜(般若波羅蜜多)を説く多数の経典を総称した呼称。

概要[編集]

玄奘西域から持ち帰って漢訳し、集大成したとされる『大般若波羅蜜多経』600余巻があり、これを指すことも多い。

一般にを説く経典とされているが、同時に呪術的な面も色濃く持っており、密教経典群への橋渡しとしての役割を無視することはできない。

般若経典一覧[編集]

般若経典のうち、玄奘訳『大般若波羅蜜多経』(663年)以前に漢訳された代表的なものを以下に挙げる。

  • 八千頌(じゅ)般若経』(Aṣṭasāhasrikā-prajñāpāramitā-sūtra)(紀元前後 - 1世紀)
  • 二万五千頌(じゅ)般若経』(Pañcaviṃśatisāhasrikā-prajñāpāramitā-sūtra) 
    • 現存サンスクリット本に対応する残存する漢訳は計3本、『摩訶般若波羅蜜経』鳩摩羅什訳(403年、大品般若経) は中国・日本の仏教形成に大きな影響を与えた。
  • 金剛(こんごう)般若経』(Vajracchedikā-prajñāpāramitā-sūtra)
    • この経は「空」を説く般若教典の中で「空」という用語が使われていないため最古層に編纂されたものであるとする意見もある。
    • 漢訳は、『能断金剛般若波羅蜜多経』玄奘(648年)ほか計6本あるが、鳩摩羅什訳の「金剛般若波羅蜜経」(402年)が主に使用されている[2]
    • 空海請来と称するサンスクリット本があるが真偽のほどは明かではない。
  • 般若心経(はんにゃしんぎょう)』(Prajñāpāramitā-hṛdaya)
    • 最古のサンスクリット本が法隆寺に伝わる。(7~8世紀の写本とされている)
    • 残存する漢訳は、『摩訶般若波羅蜜大明咒経』鳩摩羅什訳(402年 - 413年)、『般若波羅蜜多心経』玄奘訳(649年)があり、こののちも4本残存するが、玄奘訳が人口に膾炙している。

ほかに玄奘訳『大般若波羅蜜多経・第十会・般若理趣分』は、真言宗で重用する理趣経即ち『大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品』不空訳(720年 - 774年)と比較的近いサンスクリット本の翻訳とされている。

なお、漢訳との対応関係が曖昧な般若経典として以下のものがある。

  • 十万頌(じゅ)般若経』(Śatasāhasrikā-prajñāpāramitā-sūtra)
    • 現存サンスクリット本に対応する漢訳はないため、鳩摩羅什(344年 - 413年)の時代には編纂されていなかった可能性がある。玄奘訳『大般若波羅蜜多経・第一会』との対応は明確でない。

現代語訳[編集]

※以下は、比較的入手し易く、大半が現存サンスクリット・テキストからの翻訳である。

[編集]

  1. ^ CiNii 論文 - 金光明経の教学史的展開について14頁
  2. ^ 「世界大百科事典 第2版」2006年 平凡社

関連項目[編集]