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== 日本の薬事法とメラトニン ==
== 日本の薬事法とメラトニン ==
日本では、[[薬事法]]により、一人につき二ヶ月分までの販売と制限されているが、含有量にバリエーションがあり、1回分の摂取量も各個人により異なる。
日本では、[[薬事法]]により、一人につき二ヶ月分までの販売と制限されているが、含有量にバリエーションがあり、1回分の摂取量も各個人により異なる。

=== メラトニン製剤の製造販売承認と発売 ===
=== メラトニン製剤の製造販売承認と発売 ===
[[2010年]](平成22年)4月16日、不眠症治療薬である薬剤一般名・[[ラメルテオン]]([[武田薬品工業]]株式会社・商品名:ロゼレム®錠8mg)が、[[厚生労働省]]の製造販売承認を取得した。適応は「不眠症における入眠困難の改善」であり、用法・用量は、成人に1回8mgを就寝前に投与となっており、2010年6月11日に薬価基準収載となった。日本で開発され、まず米国で承認・販売され、日本でも承認・販売されるようになったものであり、メラトニン受容体を刺激する日本発の睡眠剤である。
[[2010年]](平成22年)4月16日、不眠症治療薬である薬剤一般名・[[ラメルテオン]]([[武田薬品工業]]株式会社・商品名:ロゼレム&reg;錠8mg)が、[[厚生労働省]]の製造販売承認を取得した。適応は「不眠症における入眠困難の改善」であり、用法・用量は、成人に1回8mgを就寝前に投与となっており、2010年6月11日に薬価基準収載となった。日本で開発され、まず米国で承認・販売され、日本でも承認・販売されるようになったものであり、メラトニン受容体を刺激する日本発の睡眠剤である。ラメルテオンは、[[アメリカ食品医薬品局]]が公開したデータの分析により、偽薬と比較して[[うつ病]]の危険性を2倍に高めることが見出されている<ref name="pmid17711589">{{cite journal|last1=Kripke|first1=Daniel F|title=Greater incidence of depression with hypnotic use than with placebo|journal=BMC Psychiatry|volume=7|issue=1|pages=42|year=2007|pmid=17711589|pmc=1994947|doi=10.1186/1471-244X-7-42|url=http://www.biomedcentral.com/1471-244X/7/42}}</ref>。体重増加の副作用も指摘されている<ref>{{Cite book |和書|author=デイヴィッド・ヒーリー|translator=田島治、江口重幸監訳、冬樹純子訳|date=2009-07|title=ヒーリー精神科治療薬ガイド|edition=第5版|publisher=みすず書房|isbn=978-4-622-07474-8|pages=263-264}}</ref>


== 歴史 ==
== 歴史 ==

2013年3月28日 (木) 02:46時点における版

メラトニン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
投与経路 ヒトでは経口投与(カプセル、錠剤、液体)またはパッチで経皮吸収。実験動物では注射。
薬物動態データ
生物学的利用能30 – 50%
代謝肝臓CYP1A2により6-ヒドロキシル化
半減期35 - 50 分
排泄尿
識別
CAS番号
73-31-4
ATCコード N05CH01 (WHO)
PubChem CID: 896
IUPHAR/BPS 224
DrugBank APRD00742
ChemSpider 872
KEGG D08170
化学的データ
化学式C13H16N2O2
分子量232.278 g/mol
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メラトニン: melatonin)またはN-アセチル-5-メトキシトリプタミンN-acetyl-5-methoxytryptamine[1]は、動物植物微生物で見られる天然の化合物である[2][3]。動物ではホルモンの一つで松果腺から分泌される。メラトニンの血中濃度は1日のサイクルで変化しており、いくつかの生物学的機能に概日リズム(サーカディアンリズム)を持たせている[4]ヒトでは、メラトニンの血中濃度は昼に低く夜に高く、睡眠と関連している。夜行性の生物の場合も同様なリズムを示す。

メラトニン受容体の活性化[5]の他、強力な抗酸化物質としての役割[6]や、核DNAおよびミトコンドリアDNAを保護する役割も持つ[7]

アメリカでは栄養補助食品サプリメントとして販売されており、一般薬局で誰でも容易に入手することができる。メラトニンは不眠治療に用いられるほか、時差ボケの解消にも利用されている。

作用

  • 抗酸化物質
    ビタミンEの2倍の効果を持ち[要出典]血液脳関門も容易に通り抜けることができ体全体に行きわたる。
  • 色素細胞に対する退色作用
    人間の場合その作用はみとめられなかったがカエル等の両生類では退色作用が認められている。
  • 生体リズムの調節作用
  • 性腺抑制作用
    動物の生殖に影響を与え多く摂取すると月経を止める作用がある。
  • 催眠作用
  • 深部体温低下作用

副作用

  • 悪夢
  • 低血圧
  • 睡眠障害
    昼間に飲むなど服用時間を間違えると概日リズムを乱すことになる。
  • 腹痛
    多量に飲んだ場合、吐き気などの原因になる。

専門家の指導が無い限り、14歳以下の子供、妊娠を希望する女性、妊婦、授乳中の女性は使用しないことが勧奨されている[8]。子供のメラトニン分泌量が多いこと、妊婦にはホルモンの影響が分かっていないためである[要出典]

メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成される。睡眠薬として体外から摂取すると身体は容易にサボることを覚え、自分では作らなくなってしまう。トリプトファンを多く含む食材から食事の形で摂取することが望ましい[要出典]

日本の薬事法とメラトニン

日本では、薬事法により、一人につき二ヶ月分までの販売と制限されているが、含有量にバリエーションがあり、1回分の摂取量も各個人により異なる。

メラトニン製剤の製造販売承認と発売

2010年(平成22年)4月16日、不眠症治療薬である薬剤一般名・ラメルテオン武田薬品工業株式会社・商品名:ロゼレム®錠8mg)が、厚生労働省の製造販売承認を取得した。適応は「不眠症における入眠困難の改善」であり、用法・用量は、成人に1回8mgを就寝前に投与となっており、2010年6月11日に薬価基準収載となった。日本で開発され、まず米国で承認・販売され、日本でも承認・販売されるようになったものであり、メラトニン受容体を刺激する日本発の睡眠剤である。ラメルテオンは、アメリカ食品医薬品局が公開したデータの分析により、偽薬と比較してうつ病の危険性を2倍に高めることが見出されている[9]。体重増加の副作用も指摘されている[10]

歴史

アメリカ合衆国のイェール大学病院皮膚科の医師アーロン・ラーナー皮膚の色を濃くするホルモン(メラミン細胞刺激ホルモン)を発見した後、今度は反対に皮膚を白くするホルモンを研究している途上で、牛の松果体というところであるホルモン(メラトニン)が作られていることを知って、それが人間の松果体でも作られているのではないかと考え、それの抽出や研究に入っていった[11]、と言う。そして、メラトニンの研究のために志願してきたボランティアの人々にそれを注射すると、ほとんどの人が眠りはじめてしまった、という。それによってメラトニンは睡眠と関係し、リラックスさせる作用があることが判った。

最近ではメラトニンが免疫系に効く、発ガンを抑える作用がある等、人体全体に関して大きな役割を果たしていることがわかってきているが、薬として特許出願するには新しい物質でなければならず、メラトニンのような人体の中にもともと存在するホルモンでは構造上の特許権を取れないため(但し、用途発明の場合は除く)、製薬会社にとっては大きな利益とは繋がらないことから、メラトニンが重要な物質であるのにもかかわらず、なかなか研究を行わない[12]、と言う。

脚注

  1. ^ http://www.sleepdex.org/melatonin.htm
  2. ^ Caniato R, Filippini R, Piovan A, Puricelli L, Borsarini A, Cappelletti EM (2003). “Melatonin in plants”. Advances in Experimental Medicine and Biology 527: 593–7. PMID 15206778. 
  3. ^ Paredes SD, Korkmaz A, Manchester LC, Tan DX, Reiter RJ (2009). “Phytomelatonin: a review”. Journal of Experimental Botany 60 (1): 57–69. doi:10.1093/jxb/ern284. PMID 19033551. 
  4. ^ Altun A, Ugur-Altun B (2007). “Melatonin: therapeutic and clinical utilization”. Int. J. Clin. Pract. 61 (5): 835–45. doi:10.1111/j.1742-1241.2006.01191.x. PMID 17298593. 
  5. ^ Boutin JA, Audinot V, Ferry G, Delagrange P (August 2005). “Molecular tools to study melatonin pathways and actions”. Trends in Pharmacological Sciences 26 (8): 412–9. doi:10.1016/j.tips.2005.06.006. PMID 15992934. 
  6. ^ Hardeland R (July 2005). “Antioxidative protection by melatonin: multiplicity of mechanisms from radical detoxification to radical avoidance”. Endocrine 27 (2): 119–30. doi:10.1385/ENDO:27:2:119. PMID 16217125. 
  7. ^ Reiter RJ, Acuña-Castroviejo D, Tan DX, Burkhardt S (June 2001). “Free radical-mediated molecular damage. Mechanisms for the protective actions of melatonin in the central nervous system”. Annals of the New York Academy of Sciences 939: 200–15. doi:10.1111/j.1749-6632.2001.tb03627.x. PMID 11462772. 
  8. ^ About.com. “Melatonin”. 2009年12月3日閲覧。
  9. ^ Kripke, Daniel F (2007). “Greater incidence of depression with hypnotic use than with placebo”. BMC Psychiatry 7 (1): 42. doi:10.1186/1471-244X-7-42. PMC 1994947. PMID 17711589. http://www.biomedcentral.com/1471-244X/7/42. 
  10. ^ デイヴィッド・ヒーリー 著、田島治、江口重幸監訳、冬樹純子訳 訳『ヒーリー精神科治療薬ガイド』(第5版)みすず書房、2009年7月、263-264頁。ISBN 978-4-622-07474-8 
  11. ^ 米山公啓自然治癒力のミステリー』p.129
  12. ^ 米山公啓『自然治癒力のミステリー』p.134

関連項目

外部リンク