自然治癒力
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自然治癒力(しぜんちゆりょく、spontaneous cure)とは、人間・動物などの心身全体が生まれながらにして持っている、ケガや病気を治す力・機能を広くまとめて指す表現。手術を施したり、人工的な薬物を投与したりしなくても治る機能のこと。「自己治癒力」とも呼ばれる。
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[編集] 概説
「自然治癒力」と古くから呼ばれ親しまれている機能の中には、「自己再生機能」と「自己防衛機能」が認められる。
「自己再生機能」とは、体が外傷などを負った時に、(それが少々の規模であれば)傷を治す機能のこと(「傷」の項目も参照可)。
「自己防御機能」とは、生体の外部から浸入してくるウィルス・細菌類と戦う機能のこと。つまり「免疫」のことである。
二つの機能は連携して機能することもある。例えばスリ傷を負った時の治癒では、生体は浸入してくる細菌と戦いつつ皮膚を再生しているので「自己防衛機能」と「自己再生機能」を同時に働かせているということになる。
例えば、風邪をひいて病院に行くと多くの場合抗生物質を処方されるが、風邪の原因はウィルスであるので、細菌を効果の対象とした抗生物質が効くはずはない。実際、抗生物質を飲んでも飲まなくても、風邪をひいている期間は同じだという調査結果がある[1]。"抗生物質が、風邪をひいている期間を短くする"などという科学的論文は存在しない[2]。つまり、普通の風邪であれば、結局、抗生物質を飲まなくても治っているのである。(ただ、患者の側は病院や医師の暗示にかかって、それに気づかないでいるだけ)。患者は薬で風邪を直しているつもりでも、実際に風邪を治しているのは、人体が本来持っている自然治癒力なのである[3]。
また、1993年にアメリカ合衆国のノエティック・サイエンス研究所から出版された『自然退縮』という本には、腫瘍の自然退縮(自然治癒)1051例の中には、癌の自然退縮が216例含まれていた、という。この論文では、組織を科学的・化学的に検査して、がんであることをあらかじめ確かめている。よって、これは、癌であっても自然治癒が起こりうる、ということを客観的・科学的に証明したことになる[4]。
もともと人体は、自己治癒に必要なさまざまな物質を体内で分泌している。医薬品として認知されている人工物質と類似の物質が、最近になって、もともと体内で自然に分泌されていることが発見されたこともある。例えば、狭心症の薬として有名なニトログリセリンは人工物だが、最近、人間の血管の内側からそれに似た構造の物質、体内ニトロとでも言うべき一酸化窒素が分泌されており、強力に血管を拡げる作用を担っているこがわかってきた。また、もともと「キツネノテブクロ」というイギリスの民間療法で使われていた薬草を、ウィザーリングという人がむくみのひどい心不全患者に使ったのが、現在、心不全の治療薬として知られる「ジギタリス」の最初の使用記録なのであり、やがてジギタリスには心臓の働きを強くする効果があることがわかったのであるが、最近になって、このジギタリスと同じ作用をするE-DLSという物質が、人間の体内で分泌されていることが発見された[5]。
我々は人間が本来持っている自然治癒力をいつのまにか軽視し、体調がちょっと悪いだけですぐに医薬品に頼ってしまう習慣を作りあげてしまった。これは、現代の医療というものが持っている弊害でもある[6][7]。こうしたことは我々が忘れがちなことなのだが、だがとても大切なことなのである。[8]
[編集] 自己防衛機能
免疫機能は非常に高度で精密(あるいは複雑)なシステムである。免疫機能を担っている要素の例としては「リンパ球」が挙げられる。「リンパ球」というのは総称であり、現在のところ「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」「B細胞」「T細胞」などが知られている。ナチュラルキラー細胞は腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に携わっている。B細胞は体液性免疫や抗体産生に携わっている。T細胞は細胞性免疫に携わっている。
[編集] 参考書籍
- 『人はなぜ治るのか 現代医学と代替医学にみる治癒と健康のメカニズム』アンドルー・ワイル著 上野圭一訳、日本教文社 ISBN 978-4531080762
- 『癒す心、治る力』 アンドルー・ワイル著 上野圭一訳 角川書店 ISBN 978-4042777014
- 『自己治癒力 イメージのサイエンス』ジーン・アクターバーグ著 井上哲彰訳 日本教文社 ISBN 978-4531080694
- 米山公啓『自然治癒力のミステリー』法研、1998 ISBN 4-87954-188-5
[編集] 関連書
- マックス・ノイブルガー『自然治癒力学説史』 1926年
- スティーブン・ロック[9]『内なる治癒力 こころと免疫をめぐる新しい医学』創元社、1990、ISBN 4-422-11137-X

