アスコルビン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アスコルビン酸
IUPAC名 (R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((S)- 1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5H)-オン
別名 ビタミンC
識別情報
CAS 50-81-7
PubChem 5785
EINECS 200-066-2
InChI InChI=1/C6H8O6/c7-1-2(8)5-3(9)4
(10)6(11)12-5/h2,5,7-8,10-
11H,1H2/t2-,5+/m0/s1
特性
化学式 C6H8O6
モル質量 176.1241 g/mol
外見 白色または淡黄色の固体
密度 1.65 g/cm3
融点

190-192 °C, 463-465 K, 374-378 °F (分解)

への溶解度 33g/100ml
エタノールへの溶解度 2g/100ml
グリセロールへの溶解度 1g/100ml
プロピレングリコールへの溶解度 5g/100ml
酸解離定数 pKa 4.17 (一段階)、11.6 (二段階)
危険性
MSDS ScienceLab.com
半数致死量 LD50 11.9 g/kg (経口、ラット)[1]
特記なき場合、データは常温(25 ℃)・常圧(100 kPa)におけるものである。

アスコルビン酸(—さん、ascorbic acid)は、ビタミンC としてのはたらきが有名な、ラクトン構造を持つ有機化合物の一種。IUPAC命名法では、フランの誘導体と見なして、(R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((S)-1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5H)-オン と表される。分子量は 176.13。光学活性化合物であり、ビタミンC として知られる異性体は L体である。そのCAS登録番号は [50-81-7]。食品添加物酸化防止剤として、広く使用される。

この項目ではアスコルビン酸を有機化合物としての側面から解説する。栄養素としての役割などは、ビタミンC の記事に詳しい。

目次

[編集] 工業的製造法

L-アスコルビン酸はグルコースを原料として、主に2通りの経路で製造される。1930年代に開発された Reichstein法では、1段階の発酵の後に、化学合成へ移る。より新しい 2段階発酵法は、もとは1960年代に中国で開発された方法であるが、そこではその化学合成の後ろのほうの段階も酵素反応で置き換えている。どちらの経路も、用いたグルコースから約 60% の収率でアスコルビン酸を産出する。世界において、アスコルビン酸の年間の生産量は約 110,000 トンにのぼる。

[編集] 化学的性質

[編集] 酸性

アスコルビン酸はビニル性カルボン酸のように振る舞い、二重結合のπ電子がヒドロキシ基カルボニル基の間に伝わることにより高い酸性を示す (pKa1=4.17、pH=2(50mg/mL))。それは、プロトンを放出した後の共役塩基が共鳴構造を持ち、負電荷を非局在化させて安定化できるためである。

アスコルビン酸は還元性を示す。適当な酸化剤の作用により、プロトンを2個放出してデヒドロアスコルビン酸に変わる。この性質により、酸化防止剤として用いられる。

アスコルビン酸のエノールへプロトンが求核攻撃し、1,3-ジケトンを与える。

[編集] 互変異性

アスコルビン酸はプロトンの移動によって不安定なジケトンに互変異性する。この場合、エノール側が優勢である。エノールがプロトンを失うと、その二重結合からπ電子を受け取り、ジケトンが生成する。この互変異性では1,2-ジケトンと1,3-ジケトンが生成可能である。

[編集] 定量法

アスコルビン酸の定量分析は、酸化還元滴定により行える。試料をメタリン酸水溶液に溶かし 0.05mol/L ヨウ素溶液で滴定する。指示薬は、デンプン試液を用いる。この方法の中で、ヨウ素は酸化剤としてはたらく。

[編集] その他

アスコルビン酸の構造を決定したウォルター・ハースは、1937年ノーベル賞を受賞した。 なお、アスコルビン酸の名前の由来は、壊血病(scorbutic)の治療に効果があったことによる。

[編集] 脚注

  1. ^ "Safety (MSDS) data for ascorbic acid". Oxford University (2005-10-09). 2007-02-21 閲覧。