コンテンツにスキップ

海底人8823

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
海底人8823
ジャンル テレビドラマ
原作 黒沼健
脚本 黒沼健
出演者 井上信彦
製作
制作 フジテレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1960年1月3日 - 6月28日
放送時間日曜18:15 - 18:45
火曜18:15 - 18:45[注釈 1]
放送分30分
回数26

特記事項:
宮本製菓(現:カンロ)一社提供
テンプレートを表示

海底人8823』(かいていじんはやぶさ)は、1960年に製作された特撮テレビ番組、および劇中の主人公であるヒーローの名称。大映テレビ室製作。1960年1月3日から6月28日まで(近畿地方では6月26日まで)、フジテレビ系で放映された。宮本製菓(現:カンロ)一社提供

放送時間は毎週日曜日18:15 - 18:45。フジテレビ(関東地方)のみ、第15話「隼太郎と名乗る男」から毎週火曜日18:15 - 18:45に移動したが、近畿地方では放送時間そのままで放送された。

概要

[編集]

当時ノンフィクションライターとして活動していた黒沼健が原作と脚本を担当し、海底に沈んだ大陸や人間の耳には聞こえない3万サイクル(=30キロヘルツ[注釈 2]の音を出す笛など黒沼の持つ科学知識が設定に反映されており、当時としては珍しい科学性を押し出した作品である[1][2]

また、既成のドラマツルギーを無視した脚本・演出[注釈 3]大映テレビの原点として位置づけられる[3]

海底の地下空洞に住む先住民族や、その名称が数字表記で地上人から語呂合わせで呼ばれるなどの設定は、黒沼が1958年に発表した小説『黒い炎』と類似しており、同小説が本作品の実質的な原作とされる[4][注釈 4]

九里一平により漫画化され少年に連載された[5]。8823のデザインが全く違うものになっている。

ストーリー

[編集]

第1部

[編集]

両親を亡くし及川博士の養子として箱根で暮らしていた中学生・勇は、謎の流星群が降りしきる中、芦ノ湖畔で斜面の赤土でベルトが外れたまま倒れていた奇妙な服装の男を助けた。海底人・エルデ10008823と名乗るその男はお礼に勇に30000サイクルの音波が出る笛を与えた。勇に危機が迫り誰にも聞こえない笛の音が2回鳴ると8823が現れ、及川博士が研究中の数式「X132」を狙うブラックスター団の一味と戦う。

8823

[編集]

海底人8823は遠い昔に彗星ツイフォンの接近により海底に没したエルデ大陸[注釈 5]からやってきたという[8]。本名はエルデ10008823。ただし長い名前なので周りからは簡略してはやぶさと呼ばれる。

短時間だけ相手の脳神経に激痛を与えて気絶させる特殊な光線銃が武器。肉眼では確認不可能であり、発射中は特殊な音が鳴る。自らと同じ姿をし8823の2などの名前を持つ機械と呼ばれる分身に偵察を行わせ[注釈 6]、自らも背広姿で行動する。任務が終わると波しぶきを残し海底に帰って行く。

キャスト

[編集]

第1部

[編集]

第2部

[編集]

スタッフ

[編集]

放映リスト

[編集]
第1部
  1. 黒い星
  2. 怪しき指令
  3. ユネスコ村の襲撃
  4. ドクター・ブラック
  5. 山荘の決闘
  6. 地球の悲劇
  7. マリモの秘密
  8. 邪悪の眼
  9. 悪魔に魂を売った男
  10. ハヤブサの危機
  11. 決闘
第2部
  1. 怪光線
  2. 隼太郎と名乗る男
  3. 邪魔者は消せ
  4. 2つの盗難
  5. スパイ潜入
  6. 対決
  7. 黒いフィルム
  8. 失踪
  9. ユリ子ちゃんの冒険
  10. 野獣の挑戦
  11. スパイP3号
  12. 盗まれた設計図
  13. 宇宙旅行第1号

備考

[編集]
  • 近畿地方では、1970年代、近畿放送(現在のKBS京都)で再放送が行われていた。また、関西テレビでも1980年3月6日から同年4月11日まで平日午前6:00 - 6:30の時間帯で再放送されていた。

映像ソフト化

[編集]
  • 1995年以前に大映ビデオからビデオソフト2巻が発売された[2]
  • 放送40周年を記念し、傑作選のビデオ全3巻が2000年8月23日発売。
  • 2018年8月31日に初めて全話を収録したDVDBOXがベストフィールドより発売された。

同名・類似名作品

[編集]
  • 音楽雑誌編集者の渋谷陽一は、 スピッツの楽曲『8823』のタイトルの元ネタは「海底人8823」だと指摘したことがあるが、作詞をしたスピッツのボーカルの草野マサムネは否定している。
  • 1977年に漫画家の西岸良平が同名の作品を発表している(内容はオリジナルで単行本『地球最後の日』に収録)。
  • 1980年に漫画家の柴田昌弘によって『海底土人8823』(かいていどじん、ぱぱにいちゃん)/後に他社からの再版時に『海底原人8823』(かいていげんじん、ぱぱにいちゃん)と改題、なるSF漫画が書かれており、花とゆめ5号に掲載されている。内容はオリジナルな作品であり、タイトルがオマージュとなっている。単行本『盗まれたハネムーン』に収録。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ フジテレビのみ(第15話 - )。
  2. ^ 可聴周波数は20キロヘルツまで。これ以上は超音波になる
  3. ^ 後述の初登場シーンや勇少年が散歩中に8823と8823の代わりの「機械」に会うシーンなど。
  4. ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、同小説は同じく1958年に黒沼が原作を担当した東宝の未制作映画『黒の恐怖』に関連しているものと推測している[4]
  5. ^ ドラマ中ではエル大陸。なおこれは脚本家の黒沼健がエル大陸をジェームズ・チャーチワードムー大陸、彗星ツイフォンをイマヌエル・ヴェリコフスキー衝突する宇宙[6]からとったと推測される[7]
  6. ^ 機械の数は書籍『全怪獣怪人』では9体[1]、書籍『超人画報』では8体と記載している[2]
  7. ^ オープニングテロップでは「ラ・ビット マイナー号」となっている。

出典

[編集]
  1. ^ a b 全怪獣怪人』 上巻、勁文社、1990年3月24日、52-53頁。ISBN 4-7669-0962-3。C0676。 
  2. ^ a b c 超人画報 1995, p. 46
  3. ^ 竹内義和「第一章●それは「海底人8823」から始まった」『大映テレビの研究』澪標、2005年1月10日、26頁。ISBN 4-86078-047-7 
  4. ^ a b 東宝特撮映画大全集 2012, p. 37, 「撮影秘話-特別編- 東宝特撮映画とその海外進出4 黒沼健が生んだ天翔る怪獣たち」
  5. ^ 超人画報 1995, p. 45, Bonus Column「漫画雑誌を駆けるテレビヒーロー」.
  6. ^ "Worlds in Collision"『衝突する宇宙』
  7. ^ 鮎川哲也・黒沼健そして『ウルトラQ』原田実参照。
  8. ^ 第7話「地球の悲劇」

参考文献

[編集]
フジテレビ 日曜18:15 - 18:45枠(1960年1月3日 - 1960年4月3日)
前番組 番組名 次番組
あっぱれ蝶助

四季のドライブ・ウェイ
つなぎ番組
海底人8823
一心茶助
(18:00 - 18:30)
単発番組枠
(18:30 - 19:00)
フジテレビ 火曜18:15 - 18:45枠(1960年4月12日 - 1960年6月28日)
※関東地方のみ
海底人8823
海外アニメ
※つなぎ番組

遠山の金さん捕物帳