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金沢百万石まつり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
金沢百万石まつり
Hyakumangoku Matsuri
2017年
2017年
イベントの種類 祭り
通称・略称 百万石まつり
開催時期 6月
初回開催 1952年昭和27年)[1][2]
会場 石川県金沢市
主催 金沢百万石まつり実行委員会
来場者数 約42万人(2018年)[3]
約34万人(2022年)[4][5]
(いずれも主催者発表)
公式サイト
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金沢百万石まつり(かなざわひゃくまんごくまつり)は、毎年6月石川県金沢市で行われる祭りである。金沢百万石まつり実行委員会(金沢市と金沢商工会議所)が主催する[6][7][8][9]

概要

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加賀藩の祖・前田利家1583年天正11年)6月14日金沢城に入城したことにちなんだもので[10]、入城の行列を再現した百万石行列をはじめ[4][5][6][7][8][9][11]薪能茶会などのイベントが、6月上旬の土曜日2007年からは第1土曜日)を中心とした3日間に行われる[2][10]

百万石まつりのルーツは、1923年大正12年)6月14日に金沢市祭として行われた行事で[1][12][13]1945年昭和20年)まで行われた。翌年から1952年(昭和27年)までGHQの指導により「尾山まつり」として執り行われた[1][13]

現在の形式での祭りは、1952年(昭和27年)4月25日の金沢市と金沢商工会議所主催による「商工まつり」が第1回とされている[13][14]。もともとは江戸時代に行われていた百日祭が起源とされ、百日祭では行列は3日間かけて行われた。1988年(昭和63年)および1989年平成元年)は金沢市制百周年を記念して5日間開催された[15][16]

新型コロナウイルスの影響で、2020年令和2年)の開催は見送られる方針で検討されていると同年4月9日北國新聞が報じた[17]。その後4月14日には正式に中止が決まり、初の開催中止となった[18]2021年(令和3年)は当初一部の行事を中止し、行列のみの開催となる予定だった。しかし、まん延防止等重点措置の影響で見送られる方針が検討され、4月30日に中止が発表された[19]2022年(令和4年)は3年ぶりに百万石行列が開催された[4][5][6][7][8][9][11]

主な日程

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協賛行事含む。

子ども提灯太鼓行列

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市内各校区(金沢市内では「校下」と呼称)の児童生徒が、法被を着て「金沢市歌」を歌いながら市内を練り歩く行事[23]。出発場所は石川県政記念しいのき迎賓館のしいのき緑地で[23][25][27]、帰りは自分の校区まで歩いて帰る。2022年の第72回では各校区ごとに実施する方針に変更された[23]

百万石行列

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祭りのメインイベント[28]1999年(平成11年)までは「百万石パレード」の名称で翌年(2000年)から現在の「百万石行列」に変更した[1]。かつては史実にしたがって第1回(1952年)と2回(1953年)は4月25日(前田利家の入場日の陰暦に相当)に[1]、3回(1954年)から6回(1957年)までは5月1日から5月3日までの期間に[1]、7回(1958年)からは6月14日を中心とした日程に行われた[1]。2000年(平成12年)から県外からの観光客を招くために、6月14日に近い6月の第2土曜日に固定して開催するようになった[1]。しかし雨天の年が多かったため、2007年(平成19年)から梅雨の影響を避けるためとして、6月の第1土曜日に早めて行われている。

1980年(昭和55年)から2005年(平成17年)までは金沢市役所前を出発し市内メインストリートを一周、長町研修館で終了していたが、2006年(平成18年)からは金沢駅東広場に新設された「鼓門」を出発し[29]、石川門から金沢城に入城するようになった[4][5]

前田利家公行列やお松の方行列を中心に行列が練り歩く(構成は後述)。利家公役は、従来市役所や商工会議所の職員から選ばれていたが、1984年(昭和59年)に地元出身[注釈 2]の俳優・鹿賀丈史を起用した。1985年(昭和60年)を除きそれ以降は毎年男性の俳優を起用している[1][25]

お松の方役は、金沢市内にある百貨店・大和名鉄丸越(当時、現在の金沢エムザ)の女性店員が交代で務めていた(2001年のみ、第50回記念として斉藤慶子を起用)が、2008年(平成20年)以降は毎年女優[注釈 3]を起用している[25]

行列の行程

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百万石行列は以下の行程で構成されている(年度によって変更あり)[30]

歴代の利家公とお松の方

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芸名は起用時点。

利家公 お松の方 出典
1984年 鹿賀丈史 (一般公募)
1985年 (一般公募)
1986年 御木本伸介[注釈 4]
1987年 三浦浩一
1988年 名高達郎[注釈 5]
1989年 横内正
1990年 目黒祐樹
1991年 中条きよし
1992年 橋爪淳
1993年 辰巳琢郎
1994年 渡辺裕之
1995年 美木良介
1996年 高橋英樹
1997年 あおい輝彦
1998年 千葉真一 [31]
1999年 藤岡弘
2000年 勝野洋
2001年 松平健 斉藤慶子 [32]
2002年 風間トオル (一般公募)
2003年 加勢大周
2004年 東幹久
2005年 赤井英和
2006年 髙嶋政宏
2007年 的場浩司
2008年 山下真司 石野真子
2009年 永島敏行 熊谷真実
2010年 宍戸開 小林綾子
2011年 村上弘明 藤谷美紀 [33]
2012年 川野太郎 横山めぐみ [34]
2013年 松村雄基 大河内奈々子 [35]
2014年 原田龍二 菊池麻衣子
2015年 内藤剛志 菊川怜 [25][36]
2016年 袴田吉彦 笛木優子
2017年 保阪尚希 佐藤藍子
2018年 高橋克典 羽田美智子 [3][32][37]
2019年 加藤晴彦 藤本美貴 [38]
2020年 陣内孝則 壇蜜 [39]
2021年
2022年
竹中直人[注釈 6] 栗山千明 [4][5][6][7][8][9][11][32]
2023年 市川右團次 紺野まひる [40][41]
2024年 仲村トオル 夏菜 [42]

テレビ中継

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石川県内の放送局では、百万石行列の実施時期に合わせてテレビ中継が行われ、2011年以降は北陸放送(MROテレビ)と石川テレビ放送の2局で放送されている(2020年を除く)[32]。前者は同局アナウンサーのほとんどが出演、後者は『石川さん情報Live リフレッシュ』の出演者(2008年以降)が中心となって出演する。2015年以降の概要は以下のとおりであるが、利家公役が金沢城に入城するまでは2019年までは放送されなったが、2022年ではYouTubeの「石川テレビ公式チャンネル」にて、入場祝祭の模様が流れるようになった。1970年代から2000年代前半までは北陸放送の独占中継だった。土曜日開催後、石川テレビでも生中継を開始している[要出典]

開催年 放送時間 ゲスト 備考
2015年[43] 13:25 - 17:30(MRO)
14:00 - 17:30(石川テレビ)
太川陽介篠井英介キンタロー。(MRO)
松本明子照英(石川テレビ)
2016年[44] 13:25 - 17:30(MRO)
13:55 - 17:25(石川テレビ)
椿鬼奴狩野英孝(MRO)
壇蜜篠原信一(石川テレビ)
2017年[45] 13:25 - 17:30(MRO)
13:00 - 17:30(石川テレビ)
TKOMEGUMI(MRO)
平野ノラ(石川テレビ)
2018年[46] 12:55 - 17:30(MRO)
13:00 - 17:30(石川テレビ)
遠藤章造ココリコ)、菊地亜美(MRO)
ウド鈴木キャイ〜ン)、流れ星(石川テレビ)
2019年 アンミカJOY、アントニー(マテンロウ)(MRO)
羽田美智子(石川テレビ)
石川テレビでは当初、原田龍二(2014年の利家公役)の出演を予定していたが、『週刊文春』で報じられた不倫騒動により、石川テレビ側の意向で出演を取り止めた[47]
2020年 13:05 - 14:35 太川陽介、高橋克典 MROのみの放送。過去の百万石まつりを振り返る。
2021年 12:10 - 13:40(MRO)
10:25 - 11:20(石川テレビ)
長谷川孝徳 (北陸大学教授)(MRO)
壇蜜 (石川テレビ)
MROでは事前収録となっている。
2022年 12:55 - 17:30(MRO)
13:00 - 17:30(石川テレビ)
国分太一(MRO)
炎鵬晃 (石川テレビ)

テレビ金沢ではかつて中継が行われたが[48]、経営状況から2010年の放送を最後にテレビ中継を終了した。翌年以降は、バラエティ番組(再放送含む)やテレビショッピングなどが編成されている。なお、北陸朝日放送(HAB)では開局時から中継は行っていないが、2014年にはFIFAワールドカップの前哨戦となる日本ザンビア戦と特別番組の放送に伴い、『土曜はドキドキ』内で行列開始直前の様子が放送された(12:40 - 13:30)。

出来事

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火災

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2018年(平成30年)6月1日に、特別協賛行事として行われた浅野川での加賀友禅燈ろう流しで、1個のろうそくが倒れたことをきっかけにして灯籠約600個が燃える火災が発生した[20][21][22]。関係者の減少や高齢化が進むなか、ろうそくの新製や安全対策の強化は多大な負担となることから、翌年度の燈ろう流しは中止となった[49]。2022年(令和4年)からはろうそくをLEDに変更して再開した[21][22]

撮影禁止に関する騒動

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2022年(令和4年)開催の百万石行列では、同年5月28日に金沢百万石まつり実行委員会が公式ウェブサイトにおいて肖像権保護のため竹中直人・栗山千明への撮影・SNS投稿をご遠慮くださいという告知を掲載した[6][7][8][9][11]。行列が開催された当日には「撮影はご遠慮ください。」と掲示したプラカードをスタッフが掲げながら行列が進行した[6][8][9][11]。行列開催後もSNSやインターネット上では炎上状態となり[6][7][8][9][11]、その結果、栗山は自身のTwitterにおいてこの騒動を謝罪する結果となった[7][8][28][32][50][51]。また、金沢市長(当時)の村山卓も謝罪することになった[7][8][28]。なお、同年11月6日岐阜県岐阜市で開催されたぎふ信長まつりの「信長公騎馬武者行列」では、行列に参加した木村拓哉伊藤英明ともに撮影・SNS投稿への制限は実施されなかった[9][52][53]

脚注

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注釈

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  1. ^ 国道157号香林坊 - 片町間を歩行者天国にして実施される[24]
  2. ^ 地元出身およびテレビドラマ・映画などで利家・お松の方を演じた人物の起用例は、初期を除き見られない。
  3. ^ 2011年の藤谷美紀以降はオスカープロモーション所属者が集中的に起用される時期があった。また石野真子、藤本美貴のように、俳優が本業でない女性芸能人の起用例もある。
  4. ^ 同年3月まで放送されたNHK新大型時代劇真田太平記』で利家役。
  5. ^ 金沢工業大学機械工学科卒業(本人は京都府出身)。
  6. ^ 歴代最高齢の利家役(2022年開催時点で66歳)。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i 百万石まつり実行委員会 2003, p. 2.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q JTB 2015, p. 30.
  3. ^ a b “時代絵巻、城下に熱気 平成最後、百万石行列にぎわう”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2018年6月3日). https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000014932 2019年6月9日閲覧。 
  4. ^ a b c d e 3年ぶり「金沢百万石まつり」開催 竹中直人さんが前田利家公に扮し、金沢入城を再現 沿道に観客34万人”. 日テレNEWS (2022年6月4日). 2022年12月15日閲覧。
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  6. ^ a b c d e f g “【石川】俳優撮影 なぜNG? 「百万石まつり」観客戸惑い”. 北陸中日新聞Web. (2022年6月8日). オリジナルの2022年6月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220608064441/https://www.chunichi.co.jp/article/485505 2022年12月15日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g h 金沢 百万石行列 俳優の写真撮影禁止で批判 あり方検討へ”. NHK政治マガジン (2022年6月14日). 2022年12月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i “「百万石行列」撮影規制が波紋 栗山千明さんと市長が謝罪した背景は”. 朝日新聞デジタル. (2022年6月14日). オリジナルの2022年6月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220614194031/https://www.asahi.com/articles/ASQ6G660PQ6GPISC00W.html 2022年12月15日閲覧。 
  9. ^ a b c d e f g h “キムタク写真撮影OK 6日、ぎふ信長まつり騎馬武者行列”. 中日新聞Web. (2022年11月5日). オリジナルの2022年11月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221105064416/https://www.chunichi.co.jp/article/576773 2022年12月15日閲覧。 
  10. ^ a b 能登印刷 2015, p. 114.
  11. ^ a b c d e f なぜ?主役の利家公とお松の方に“撮影NG” 3年ぶりの百万石行列…SNSでは「興ざめ」との声も【石川発】”. FNNプライムオンライン (2022年6月14日). 2022年12月15日閲覧。
  12. ^ 『愛蔵版ふるさと写真館 北國新聞創刊115周年記念』北國新聞社、2008年7月16日、131頁。 
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  14. ^ 『ふるさと石川歴史館』(2002年6月10日、北國新聞社発行)541頁。
  15. ^ 百万石まつり実行委員会 2003, p. 14.
  16. ^ 百万石まつり実行委員会 2003, p. 16.
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  18. ^ 百万石まつり、初の中止 実行委が決定”. 北國新聞 (2020年4月14日). 2020年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月15日閲覧。
  19. ^ a b c d e f g 百万石まつり中止決定 実行委 市長「代替行事開催を」”. 北國新聞 (2021年5月1日). 2021年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月15日閲覧。
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  23. ^ a b c d “金沢百万石まつりの子ども提灯行列、分散型で3年ぶり再開 出発式行わず”. 北國新聞. (2022年5月31日). オリジナルの2022年6月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220601002428/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/754407 2022年12月29日閲覧。 
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  26. ^ 能登印刷 2015, p. 113.
  27. ^ 子ども提灯太鼓行列”. 石川県政記念しいのき迎賓館 (2019年5月31日). 2022年12月29日閲覧。
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参考文献

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  • 『金沢百万石まつり 第36回から52回までの記録』金沢百万石まつり実行委員会、2003年12月。 
  • 能登印刷出版部『伝統と革新の町・金沢を歩き解く!金沢謎解き街歩き』実業之日本社、2015年3月19日。ISBN 978-4-408-00870-7 
  • 『ニッポンを解剖する!金沢 能登図鑑』JTBパブリッシング、2018年3月1日。ISBN 978-4-533-12465-5 

関連項目

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外部リンク

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