太陰暦

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太陰暦(たいいんれき、: lunar calendar)は、の満ち欠けの周期を基にした暦法)である[1]。その周期を朔望月といい、1朔望月を1とする。なお、「太陰」は「(天体の)月」の意味である[2]陰暦(いんれき)とも言われる[2]。「太陽暦」(陽暦)の対義語である[2]

概要[編集]

月は地球に対して公転し、その周期はほぼ一定である。その周期平均は平均朔望月といい、2015年時点では、29.530589日[3]である。太陰暦では、1朔望月を1月(ひとつき)とし、さらに12月を1年(1太陰年)とする。1太陰年は、29.530589日×12 = 354.36707日である。月の期間を29日(小の月)、30日(大の月)を6回ずつ設け、1太陰年を354日とすると、3年で1月以上の誤差が出るので、閏日を設けて調整する。閏日を設けた年のことを閏年という。なお、太陰暦であるヒジュラ暦は、30年間に11回、閏年を設けている。

太陰暦と季節[編集]

1太陰年(太陰暦の1年)は、354.36707日であり、これは、地球の公転周期(回帰年)である365.24219日[3]より約11日短い。一方、季節の周期は、地球の公転周期と関連する。したがって、太陰暦では、特定の月日の季節は、年により変動し、約8年で四季1つぶん(約88日)早くなり、約33年で季節を一周する。一例を挙げれば、北半球を基準とすると、ヒジュラ暦1428年のラマダーン(9月)は西暦2008年9月ごろで初秋だが、ヒジュラ暦1410年のそれは西暦1990年4月ごろで中春であった。

このように、十数年以上の時間スケールで見た場合、月日と季節はまったく無関係である。しかし短い時間スケールなら、たとえば去年と今年のラマダーンの季節はほぼ等しい。これは、太陽暦において長い時間スケールでは日と月相は無関係だが、先月と今月の同じ日の月相ならほぼ等しいことと対応している。逆に、太陰暦では同じ日なら月相はほぼ同じである。太陽暦では、同じ月日なら季節はほぼ同じである。

太陰暦の特定の月日の季節が年ごとにずれる欠点を補うため、閏月を設け季節のずれを調節したものが、太陰太陽暦である(一方、閏月を設けない太陰暦のことを純太陰暦純粋太陰暦とよぶ場合もある)。太陰太陽暦は、月相の一致と季節の一致を両立させている(ただし季節が一致する精度は高くない)。東アジアで単に太陰暦・陰暦といった場合、かつての太陰太陽暦である中国暦和暦など意味することが多い。これらが廃止された中国日本では、旧暦とほぼ同義である[注 1]

太陰暦は月の運行を元にはしているが、1年を1回帰年の長さに近い12か月としている点でわずかに太陽暦の性格を持つ。逆に、太陽暦で1か月を約30日としているのは太陰暦の名残りと考えられている[要出典]

太陰暦に基づく暦法[編集]

太陰暦の利用[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 現代において旧暦の日付について述べる場合は、一般的に最後の公的な太陰太陽暦であった時憲暦(中国)天保暦(日本)による日付を指す。ただし、日本の伝統行事占いなどで現在主に使用されている旧暦と本来の天保暦とでは、日付などにわずかなずれが生じる場合もある(詳細は「旧暦#「旧暦」の計算」を参照)。

出典[編集]

  1. ^ 内田正男 「太陰暦」『世界大百科事典平凡社
  2. ^ a b c 『国語辞典』 旺文社、東京都、1986年10月20日、改訂新版。ISBN 4-61-077506-8
  3. ^ a b 平成27年 理科年表

外部リンク[編集]