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乗鞍岳

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乗鞍岳

奈川渡ダム上空より望む乗鞍岳
標高 3,025.64[1] m
所在地 長野県松本市岐阜県高山市
位置 北緯36度06分23秒 東経137度33分13秒 / 北緯36.10639度 東経137.55361度 / 36.10639; 137.55361座標: 北緯36度06分23秒 東経137度33分13秒 / 北緯36.10639度 東経137.55361度 / 36.10639; 137.55361[2]
山系 飛騨山脈
種類 活火山ランクC
初登頂 1680年代(円空上人)
プロジェクト 山
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乗鞍岳の位置(日本内)
乗鞍岳
乗鞍岳の位置

乗鞍岳(のりくらだけ)は、飛騨山脈(北アルプス)南部の剣ヶ峰標高3,026m)を主峰とする山々の総称。朝日岳摩利支天岳、富士見岳、屏風岳など23の山があり、広大な裾野が広がる。日本百名山[3]及び新日本百名山[4]に選定されている。

概要

中部山岳国立公園内の岐阜県長野県にまたがっており、長野県側の麓には乗鞍高原が広がっている。山名の由来は、古くは「鞍ヶ嶺」と呼ばれ、姿がに似ている事から名付けられたとされている。平安時代には「位山」と呼ばれ、1645年正保2年)頃の乗鞍岳と呼ばれるようになったとされている(幕府に提出された絵図に山名が記載されている)[5]

自然

日本の火山としては富士山御嶽山に次ぐ高さである。火山体のほとんどは古期火山体で、新期の火山体は山頂付近に分布する火山体や山腹に分布する溶岩ドーム溶岩流からなる大規模な成層火山。裾野が広いのが特徴で、8つの平原がある。12の火山湖(池)があり、山頂直下西にある権現池は日本有数の高所にある池である。山頂付近の積雪が多く、乗鞍スカイラインの開通のために長期間の除雪が必要となる。夏でも一部の北東斜面などには、雪渓が残り夏山でのスキーが可能となっている。

噴火活動

マグマに伴う噴火活動は、9600年前頃と9200年前頃に剣ヶ峰で起こり、火山灰の噴出と溶岩流の流出があった。また、約2000年前には恵比寿岳で発生し、火山灰の噴出と溶岩の流出を起こしている。火山性の地震群発は現在でも観測されている[6]。活火山としての活動力を失っているが、湯川(梓川支流)の最上流部では、火山ガスが発生している[7]。周辺の山麓には温泉地が多い。

動植物

イワヒバリイワツバメ天然記念物に指定されているライチョウが生息するほか、コイワカガミキバナシャクナゲミヤマキンバイクロユリコマクサイワギキョウヨツバシオガマなどの植物が見られ、高山ならではの自然を堪能する事ができる。畳平には、高山植物のお花畑があり、木道の遊歩道が整備されている。

ライチョウ(冬毛) イワヒバリ クロユリ コマクサ

歴史

乗鞍コロナ観測所

観光・登山

乗鞍エコーライン

2,700m付近にある駐車場(畳平)まで乗鞍スカイライン(岐阜県側)や乗鞍エコーライン(長野県側)といった自動車道が通じていることもあり、「日本で最も登りやすい3,000m超級の山」「ハイヒールでも上れる山」とも称されてきた。しかし自家用車で畳平の駐車場まで乗り入れのできた以前とは異なり、マイカー規制により2010年(平成22年10月)現在、麓にある専用駐車場などからシャトルバス又はタクシーの利用が必要となった。

マイカー規制(岐阜県側)

マイカー規制(長野県側)

登山コース

乗鞍岳山頂からの畳平方面の展望

各方面から登山道が開設されている[14]。一部登山道は閉鎖や通行禁止状態になった。大部分の観光客やハイカーは、畳平から周辺や山頂を散策している。山頂には、一等三角点乗鞍神社奥宮と頂上小屋がある。

  • 畳平からのコース
  • 乗鞍高原からのコース
  • 平湯口コース
  • 日陰平口コース(乗鞍青年の家の登山口から丸黒尾根を経由)
  • 青屋口コース
  • 阿多野口コース
  • 野麦口コース

他に、西麓には五色ヶ原があり、インタープリター同行でのガイドツアーが行われている[12][14]。完全予約制で、滝や自然林を巡る登山道が整備されている。

山小屋・宿泊施設

乗鞍肩ノ小屋

登山者用の山小屋が山頂周辺にある。

  • 乗鞍肩ノ小屋
  • 白雲荘(白雲荘は畳平駐車場に隣接しており、個室もあり一般観光客の利用も多いが、相部屋中心で、付近の残雪が少なくなると入浴ができなくなるなど、設備的には山小屋である。)
  • 乗鞍岳頂上小屋(売店のみで宿泊はできない。)
  • 位ヶ原山荘
  • 奥千町避難小屋(千町尾根の登山道上にある避難小屋

畳平には、一般観光客向けの旅館タイプの宿泊施設ある。

ゴール地点の様子

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍

毎年8月の最終日曜に開催される自転車ヒルクライムレース。乗鞍エコーラインの鈴蘭から長野・岐阜県境までの区間、全長約20km、標高差1,258m(スタート地点1,458m, ゴール地点2,716m)(大会主催者側の公称値は全長22km、標高差1,400m、恐らく宇宙線観測所までの数値)のコースをひたすら登り続ける。1986年昭和61年)から実施されており2011年大会で実に26回目を数える、日本のヒルクライムレースの草分け的存在である。最近の自転車人気の復活も手伝ってか近年の参加者数は3,000名を大きく超える規模となっている。

地理

剣ヶ峰から望む大日岳と御嶽山
木曽駒ヶ岳から望む乗鞍岳の峰々

乗鞍岳の峰々

  • 剣ヶ峰(けんがみね)…乗鞍岳の主峰 権現池火山体の外輪山 3,026m
  • 大日岳(だいにちだけ)…権現池火山体の外輪山 奥ノ院 3,014m
  • 屏風岳(びょうぶだけ)…権現池火山体の外輪山 2,968m
  • 薬師岳(やくしだけ)…権現池火山体の外輪山 2,950m
  • 雪山岳(せつざんだけ)…権現池火山体の外輪山 2,891m
  • 水分岳(みくまりだけ)…権現池火山体の外輪山 2,896m
  • 朝日岳(あさひだけ)…権現池火山体の外輪山 2,975m
  • 蚕玉岳(こだまだけ)…権現池火山体の外輪山 2,979m
  • 摩利支天岳(まりしてんだけ)…コロナ観測所設置 2,872m
  • 不動岳(ふどうだけ)…2,875m
  • 里見岳(さとみだけ)…2,824m
  • 富士見岳(ふじみだけ)…2,817m
  • 恵比寿岳(えびすだけ)…2,831m
  • 魔王岳(まおうだけ)…2,760m
  • 大黒岳(だいこくだけ)…2,772m
  • 大丹生岳(おおにゅうだけ)…2,698m
  • 烏帽子岳(えぼしだけ)…2,692m
  • 四ツ岳(よつだけ)…2,751m
  • 猫岳(ねこだけ)…2,581m
  • 大崩山(おおくえやま)…2,523m
  • 硫黄岳(いおうだけ)…2,554m
  • 十石山(じゅっこくやま)…2,525m
  • 安房山(あぼうさん)…2,220m

以上は、乗鞍23峰と言われている。その他の峰として、高天ヶ原(たかまがはら、2,829m)と金山岩(かなやまいわ、2,532m)がある。

山頂付近の池

山頂付近には12個の火口湖の池がある。

  • 権現池
  • 五ノ池
  • 不消ヶ池(きえずがいけ)
  • 鶴ヶ池
  • 亀ヶ池
  • 大丹生池
  • 土樋池
  • 無名池(四ツ岳と硫黄岳の間)

周辺の山

飛騨山脈(北アルプス)最南端の山で、野麦峠付近までが中部山岳国立公園の指定範囲である。

飛騨山脈上空からの乗鞍岳と周辺の山
西穂高岳から望む乗鞍岳
山容 名称 標高
(m)
三角点等級
基準点名[1]
乗鞍岳からの
方角と距離(km)
備考
白山 2,702.17  一等
「白山」
 西 70.6
両白山地最高峰
日本百名山
奥穂高岳 3,190
 北 22.0
北アルプスの最高峰
日本百名山
焼岳 2,455.37  二等
「焼岳」
 北 13.7
日本百名山
乗鞍岳 3,025.64  一等
「乗鞍岳」
0
日本百名山
鎌ヶ峰 2,121.10  二等
「鎌ケ岳」
 南  9.8
鉢盛山 2,446.43  一等
「鉢盛山」
 東 18.2
日本三百名山
御嶽山 3,067 (一等)「御嶽山」
(3,063.41 m)
 南 24.6
独立峰
日本百名山
木曽駒ヶ岳 2,955.95  一等
「信駒ケ岳」
南東 41.8
中央アルプスの最高峰
日本百名山

源流の河川

本州における太平洋側(木曽川)と日本海側(信濃川神通川)の中央分水嶺が剣ヶ峰を通っており、この分水嶺の最高所となっている。

周辺の峠

  • 平湯峠国道158号の平湯トンネルが下を通る。輝山と大崩山との鞍部、神通川の支流である久手川と高原川の支流であるトヤ谷との分水嶺)
  • 安房峠(国道158号、飛騨山脈主稜線の白倉山と安房山との鞍部、高原川の支流である安房谷と梓川との分水嶺、岐阜県と長野県との県境
  • 野麦峠長野県道・岐阜県道39号奈川野麦高根線、戸蔵と鎌ヶ峰との鞍部、飛騨川の支流である益田川と梓川の支流である奈川との分水嶺、岐阜県と長野県との県境)[15]

周辺の滝

  • 平湯大滝(高原川の源流部)
  • 乗鞍三名滝三本滝、善五郎の滝、番所大滝が小大野川にある。)
  • 布引滝(五色ヶ原)
  • 岳谷滝(飛騨川の支流である益田川の源流部)
  • 青垂滝、御越滝(神通川の支流である小八賀川の源流部)

周辺の温泉

周辺では温泉が湧きでていて、旅館などの宿泊施設がある。

スキー場

山麓には4つのスキー場がある。

交通・アクセス

乗鞍岳の風景

脚注

  1. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2011年6月11日閲覧。
  2. ^ 日本の主な山岳標高(岐阜県の山)”. 国土地理院. 2011年6月11日閲覧。
  3. ^ 深田久弥の著書『日本百名山』(朝日新聞社ISBN 4-02-260871-4
  4. ^ 岩崎元郎の著書『ぼくの新日本百名山』(朝日新聞社、ISBN 4-02-261526-5
  5. ^ 『日本二百名山』昭文社ISBN 4-398-22001-1、P165
  6. ^ 気象庁 | 乗鞍岳
  7. ^ a b 『コンサイス日本山名辞典』三省堂ISBN 4-385-15403-1、P407
  8. ^ 『日本の山1000』山と渓谷社ISBN 4-635-09025-6、P348
  9. ^ 深田久弥の著書『日本百名山』(朝日新聞社ISBN 4-02-260871-4)、P225
  10. ^ 『日本アルプスの登山と探検』ウォルター・ウェストン(著)、青木枝朗(訳)、岩波文庫ISBN 4-00-334741-2、P370
  11. ^ 高山市HP・観光情報(乗鞍スカイライン) 
  12. ^ a b 乗鞍山麓 五色ヶ原
  13. ^ 以前は、平湯大滝から谷沿いの登山道があったが、途中崩落のため通行禁止になっていた。新しい登山道は、平湯温泉スキー場から尾根伝いに桔梗ヶ原までの9.6kmで、登り5時間、下り3時間半を要する。これで、登りは登山道を歩き、下りはバスといったことが可能になった。
  14. ^ a b 『改訂版 岐阜県の山』山と渓谷社、ISBN 978-4-635-02370-2
  15. ^ 『乗鞍高原2010年版(山と高原地図 38)』昭文社、ISBN 978-4-398-75718-0

関連項目

外部リンク