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パワーゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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パワーゲートの昇降状態

パワーゲート(Power Gate)は貨物自動車における荷役省力化装置のひとつで、車両後部に装着して使用するエレベーター(昇降機)の一種。テールゲート昇降装置、テールゲートリフター(Tail Gate Lifter)、テールリフト(Tail Lift)とも呼ばれており、大型トラックから軽トラックピックアップトラックに至るまで幅広い車種に採用されている。日本では1964年に極東開発工業が商品化、新明和工業との2社で日本国内シェアの大半を占めている。

メーカーによって複数の名称があるが、「パワーゲート」は極東開発が、また「すいちょくゲート」は新明和工業がそれぞれ商標登録している。なお新明和工業の製品にも「パワーゲート」の商品名がある。

構造

パワーゲートは積み降ろしの際にゲートを展開して使う。動力は電動モーター、油圧、真空、チェーン、ワイヤーなどが用いられる。

  • 垂直式
    垂直式はゲートが車体側板に設けられた軌道に沿って上下動を行う。荷台床面より高い位置にゲートを昇降できる設計も可能。
  • アーム式(カンチレバー式)
    アーム式はゲートの軌跡が上下方向に弧を描く。上下動中にゲートの水平を維持する必要があるため垂直式に比べて構造は複雑になるが、ゲートを任意の角度で固定させてスロープにすることもできる。1970年にスウェーデンのゼプロ社(現・ヒアブ)によって商品化された。

走行中やゲート非使用時は路面や荷台床面に対してゲートを垂直に固定して、荷台のあおり板とすることが多い。工事用作業車では垂直式が側面に設置されている場合がある。 ただパワーゲートをバンボディに装着すると、構造上ゲートを展開しなければバンボディのドアを開けられない、プラットホームに着けられない弊害が生じる。このためゲートを収納できる機構を持つものも登場しており、垂直式ではボディの床下にゲートを収容する構造が、アーム式では折りたたんでリアオーバーハングに収納できる機構が開発されている。逆にゲートを扉の一部分と見なして、上の部分に扉を設けた設計のバンボディもある。

パワーゲート車が主に用いられる業種・運ぶ品目

リフト付きバン
車椅子リフトを荷役に利用する例

主に配送車で見られる。積載時はトラックの荷台の高さに合わせたプラットホームやフォークリフト、クレーンなどがあっても、荷降ろしのときはこれらの設備がない(またはその逆パターンかいずれも存在しない、もしくはプラットフォームがあっても段差が生じる)場合に、重い物や壊れやすい物を輸送する場合は積み降ろしに人手や時間がかかっていた。その際にパワーゲート車を採用することで、作業員や運転手の負荷を軽減している。

  • ガスボンベ
    危険物であるので慎重な荷扱いが求められる。液化石油ガス(LPガス)の配送でよく見られる。
  • チェーンストアの配送、宅配便郵便物の拠点間の輸送
    商品や荷物を店ごとのかご台車(ロールパレット)にまとめることで、荷崩れや誤配送に対する心配が減った。
  • 大型電化製品家具・什器、引越し業者
    冷蔵庫や洗濯機、コピー機、タンス、ピアノ、自動販売機など、大型の重量物の扱いが容易になった。
  • 自動二輪車原動機付自転車耕耘機田植機
    スロープ板を渡しての荷扱いに比べて安全に行えるようになった。
  • 工事用の機械
    発電機やポンプ、標識など重量物が多いため必需品となってきている。道路標示の塗装作業を行う業者では車両の側面にゲートを装着することがある。